夏休みが明けると、いよいよ本格的に志望校を絞り込み、最終的な決定をしなければなりません。小学生にとってみたら、生まれて初めて自分の進路を考える機会かもしれません。
ですから、その際に「志望校決めは本人の問題だから」と、小学生の子どもだけに任せるのはあまりに危険です。
本人の一生を左右するとても大事なことですから、後悔のないようここは親子でしっかり話し合っておきましょう。
今回は最終的に志望校をどう決めたらいいか、やってはいけない志望校の決め方や本人の希望があまりに現実とかけ離れたものだった場合、どのような対処をしたらいいのかなど、親が子どもにしてあげられる上手なアドバイス術をご紹介します!
CONTENTS:
1.やってはいけない志望校の決め方!
2.志望校を決めるための5つのポイント
3.親が子にしてあげたい上手なアドバイス術!
4.まとめ~志望校決めは受験のヤマ
1.やってはいけない志望校の決め方!
◆その1 子どもか親のどちらかだけで決めてしまう
大手進学塾に通っている子どもでも、その大多数は最初から志望校が決まっていて通塾しているわけではありません。上に兄や姉がいて先に中学受験をしている場合は別として、何がしたいとか、どこに行きたいなどという明確な理由は特になく、単に「周囲がみな通塾しているから」「親に言われたから」という理由で塾に通い始めたケースがほとんどでしょう。
そのような子どもたちに、志望校選びを丸投げしてしまうのはあまりに無理があります。そもそも小学生の子どもはまだ社会経験も少なく、大人と違い判断能力も乏しいです。
×「自分の問題なのだから、自分で好きな学校を選びなさい」ではなく、
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〇「一緒に考えよう」というスタンスが基本です。親子でしっかり話し合って決めましょう。
もちろん、親が一方的に「この学校が素晴らしいから、ここにしなさい」という押しつけは論外です。仮に子どもが親の言う通りにその学校に入学したとしても、本人の意向に合っていなくて途中で耐えられなくなってしまった場合、不登校になったり、何もかも親のせいにして犯罪に走るなど、人生を棒に振ってしまうリスクさえあります。くれぐれも親の独断にならないよう気をつけてくださいね。
◆その2 両親の意見が不一致!
子どもと話し合う前に、まずは夫婦でしっかり話し合って意見を一致させておくことがとても大事なポイントです。時間だけかかって、けっきょく何も話が進展しないのでは意味がありません。
よくあるのが、子どもが何か言う度にどちらかが「いいんじゃない、そうすればいいよ」とコロコロ意見を変えてしまい、「これでは話が違う」と両親の意見がすれ違ってしまうことです。子どもの前で夫婦喧嘩が勃発するような事態となってしまってはもう最悪です。子どもは一気に受験する気も失せて、何もかも投げ出したくなってしまいます。
まずは夫婦でよく話し合って、子どもとの話し合いにおける着地点をどこに持って行くのかしっかり決めておく必要があります。そして子どもの意見をきちんと聞き入れた上で、「お父さんもお母さんもこういう風に思っている」と考えを話してあげ、最後は「2人で応援するから大丈夫だよ」と明確に応援する気持ちを伝えましょう。その態度に子どもは安心と安らぎを覚え、チャレンジする勇気も湧いてくるでしょう。
◆その3 知名度や偏差値だけで決めてしまう
「あの学校は有名だから」「合格できたら自慢できるから」といった知名度やステータスだけで決めたり、「今の偏差値にピッタリの学校はここだから」という偏差値がちょうどいいという理由だけで志望校を決めたりするのは避けましょう。もちろん実力に見合った学校選びは必要ではありますが、知名度や偏差値だけで、まるで他人事のように機械的に安易に決めてしまうと、後悔することになりかねません。
大切なことは「なぜこの学校がいいのか」「この学校に入って何がしたいのか」ということです。そこのところをよく親子で話し合って決めてくださいね。
2.志望を決めるための5つのポイント
それでは、何を基準に志望校を決めたらいいのでしょうか。決め手となる5つのポイントをご紹介します。
◆学校や生徒の雰囲気が子どもに合っている
◆通学しやすい
◆興味のある部活動や課外活動、留学の有無等
◆付属大学の有無、進学実績等
◆実力に合っている
中高一貫校なら6年間通う学校なので、本人の性格に合った学校なのか、また通いやすいのか否かも大きなポイントです。重い荷物を持って毎日通学するのですから、通学時間も考えの一つになってくるでしょう。
部活動や課外活動をはじめ、語学に力を入れている学校、理系が得意な学校、スポーツや芸術に強い学校、特色はそれぞれです。大学受験をするかしないか、どういう道に進みたいのか、本人の興味や才能、将来性を考えてトータルに判断することをお勧めします。
3.親が子にしてあげたい上手なアドバイス術!
よく親御さまから「子どもが偏差値40台なのに、灘中学校を受験したいと言っています。どうしたらいいでしょうか」というご質問をいただきます。確かに、いま6年生のこの時期でしたら、正直灘中はかなり難しいと言わざるを得ません。
しかし、そこで頭ごなしに否定してはいけません。
×「そんなところに入れるわけないでしょ。もっと身の丈に合ったところにしなさい」ではなく、
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〇「おお、すごいね!そういう志を持つことは大事だね」と一度は肯定してください。
今の成績を否定するのではなく、志望校には現状の点数が足りていないことを話し、
次の3つのケースから以下のような内容のアドバイスすることをお勧めします。
【ケース1】自分の現状をよく分かっていない
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まずは目先の目標を決め、そこから再度考える
「次回の模試で○○まで結果が出たら頑張って挑戦しよう。もしそこまでに至らなかったら、もう一度いっしょに考えようか」とまずは具体的に数値目標を持たせて頑張らせてみて、その結果から本人にも現状を納得させ、再度いっしょに志望校を考えましょう。
【ケース2】第一志望校に対する思いが強い
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あくまで子どもの意見を尊重するが、すべり止めの話をする
「そこまで考えているのであれば、お父さん(お母さん)も応援するよ。でも、この学校に挑戦するなら、今までよりももっともっと頑張らないとね。それと、もしものために他の学校も考えておこうね」と、とりあえず強引に第一志望校を諦めさせるのではなく、第二志望校、第三志望校も子どもにとって魅力ある学校をいっしょに考えてあげましょう。
【ケース3】知名度だけで決めている
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いろいろな選択肢を与えてみる
子どもが他の学校の情報をあまり知らず、単に知名度や「友人が行きたいと言っていたから」というだけで安直に学校を決めている場合もあります。親が勧めたい学校の学校案内や資料なども事前に準備しておき、「この学校も良さそうだよ」といい学校はそこだけではないと話をします。例えば、夢中になっているスポーツの強豪校を見せて、「ここなら全国も夢じゃないね」と子どもの夢が持てるような学校を紹介するなど、本人が喜びそうなポイントを見つけて紹介してあげましょう。
※モチベーションが低くて「志望校がない」「どこでもいい」という場合も、
×「どうしてそんないい加減なの。情けないわね」ではなく、
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〇「きっといいと思う面白そうな学校もあるよ。いっしょに見つけよう」と前向きに気持ちに寄り添いましょう。
その上で、クラブ活動や語学、プログラミング、ロボット研究、スポーツ、芸術など、何か本人が喜びそうな、夢が持てるような特色ある学校を紹介してモチベーションを上げてあげましょう。
ポイントは、子どもが何か大人から見ると的外れなことを言ったとしても、頭から全否定するのではなく、子どもの気持ちに寄り添い、しっかり受け入れた上で、両親で決めた着地点に導いてあげることが大事です。
4.まとめ~志望校決めは受験のヤマ
志望校決めは、中学受験における大きなイベントで、1つの大きな「ヤマ」であると言えます。これで子どもの一生が大きく変わってしまうといっても過言ではないので、後悔のないよう慎重にしっかりと話し合いましょう。
既に志望校がしっかり決まっている場合でも、本当にそれでいいのか再度確認し合ってみましょう。できれば両親揃って、膝を突き合わせて話すのが理想です。
しかし、なかなかそういった時間もなく、自分たちだけでは難しいと感じる場合は、やはりプロの力を借りるのがいちばんでしょう。
親子では感情的になってしまうことも、第三者が入ることで冷静になれますし、子どもも親には素直になれなくても、プロの信頼できる先生になら本音を言えるものです。何より受験の情報を豊富に持つプロならではのアドバイスがもらえるのは大きいでしょう。
大切な志望校決めだからこそ、プロの力を借りてみてはいかがでしょうか。