【最新版】灘中合格への道!2020年入試から見えてくる傾向と対策

  • 2020.07.03
  • 受験情報

 

2020年の中学入試から、今回は日本最難関中学と言われる灘中について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析し、各科目の傾向やポイント、来年の入試対策について徹底解説いたします!

 

CONTENTS:

1.最新(2020年)灘中、入試データ

2.灘中受験の日程パターン

3.大手塾別合格者数

4.科目別平均点

5.灘中、科目別の傾向と対策

(◆国語、◆算数、◆理科)

6.まとめ~灘中合格への道~

 

1.最新(2020年)灘中、入試データ

(人)

 

2019

2020

募 集 人 員

180

180

志 願 者 数

731

775

受 験 者 数

708

762

合 格 者 数

262

256

実 質 倍 率

2.70

2.98

2020年の灘中入試は、募集人員180人に対し志願者数が775人、受験者数が762人で、直近10年で最も多い人数となりました。合格者数が262人、実質倍率は2.98倍で、こちらもここ数年で最も高い倍率となっています。

昨年と比べ、受験者数は54名も増えているのに、合格者は6名少ないという厳しい結果でした。少子化が進んでいるはずですが、最難関中学の受験人気は全く関係ないようです。

 

都道府県別に見ると、今年志願者を大きく増やしたのは地元兵庫県で昨年比48名増加。また関東首都圏からの受験者も昨年比26名増加しました。関東受験は2月からですので、灘中本命というよりも前受的(いわゆるお試し受験的)な意味合いでの受験も多いですし、大手進学塾の実績名目の受験も多かったと思われます。逆に昨年志願者、合格者共に最も多かった大阪府からの志願者は19名減少しました(下記表)。

※合格者数の多い順 ( )内は前年度比 (人)

都道府県

志願者

合格者

都道府県

志願者

合格者

兵庫県

185+48

69(+21)

三重県

7+1

1+1

大阪府

135-19

59(-4)

和歌山県

2+1

1+1

東京都

134+12

38(-7)

山口県

2+2

1+1

愛知県

44-1

15(+1)

香川県

4-1

1-1

京都府

36(+5)

15(+5)

愛媛県

6-1

1(0)

福岡県

40(+9)

10(+2)

佐賀県

1-1

1-1

神奈川県

50(+3)

9(-12)

熊本県

2-6

1-2

奈良県

27(+2)

9(-4)

大分県

1-3

1(0)

埼玉県

25(+10)

7(+5)

宮崎県

1-1

1+1

千葉県

6(+1)

3+2

茨城県

2(0)

0-2

滋賀県

9-4

3-6

栃木県

1(0)

0(0)

岡山県

17+1

3(0)

静岡県

3(0)

0-1

高知県

6+1

2(0)

徳島県

2+1

0-1

北海道

2-2

1-1

長崎県

2(0)

0(0)

岐阜県

3+1

1+1

鹿児島県

3-7

0-3

灘中は、日本最難関中学校というだけあって、まるで大学のように全国から受験者が集まります。かなり狭き門ですので、しっかりした対策が必要です。

 

2.灘中受験の日程パターン

今年の灘中の入試日は、1日目が1月18日(土)で国語、理科、算数の三科目。2日目が1月19日(日)で算数と国語の2科目でした。2日目は午前で終わるので、午後に2校目を受験する受験生が増えています。

 

灘中受験者の受験日程として多かったパターンとしては、まず近畿圏の統一入試日の縛りのない他県にて前受(本命校を受験する前に、練習としてのお試し受験)をします。今年も愛光学園、海陽学園、北嶺中、函館ラ・サール学園、岡山白陵中を受験した受験生が多くいました。

 

灘中は2日間受験がありますので、例年2日目の午後に西大和学園、3日目に東大寺学園洛南中というパターンが多く、今年もこのパターンが多く見られました。

前受(お試し受験)

1日目(1/18)

2日目

(1/19)

3日目

(1/20)

・愛光学園(愛媛)1/9

・海陽学園(愛知)1/6、1/12、2/8

・北嶺中・高等学校(北海道)1/8

・函館ラ・サール学園(北海道)

1/8、2/3

・岡山白陵中学校(岡山)1/5

 

 

国・理・算

算・国

・東大寺学園

(奈良)

洛南高等学校

附属(京都)

 

【午後】

・西大和学園

(奈良)

 

3.大手塾別合格者数

関西大手進学塾灘中合格者数は多い順に下記の通りでした。

※( )内は前年度比 (人)

浜学園

馬渕教室

希学園

日能研

SAPIX

102(0)

57(-3)

56(+24)

44(-6)

24(-7)

能開センター

第一ゼミナール

進学館

京進

成基学園

17(+1)

8

5(-3)

2

1(-2)

今年も安定して100名を超える合格者を出した浜学園の実績は群を抜いています。ここ数年やや低迷していた希学園が、今年は他塾が昨年に比べ軒並み合格者減となっているなか、なんと24名増となったのが特徴的でした。

 

もちろん上記以外の塾や個別指導などもありますし、他県の塾からも合格者が出ています。つまり、上記の数字は実際には複数塾に通っている受験生もいて重複しているということです。浜学園で自分の順位が塾内100位でも、102名受かっているからだいじょうぶなどと安心してはいけません。各塾の灘コースで平均以上の位置にいないと厳しいと思っていた方がよいでしょう。

 

4.科目別平均点

灘中合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。

                              (点)

 

2018

2019

2020

合格者平均との差

国語1(80点)合格者平均

63.9

63.6

58.1

 

(受験者平均)

(59.4)

(60.0)

(54.3)

3.8

国語2(120点)合格者平均

77.3

75.1

79.9

 

(受験者平均)

(70.7)

(69.1)

(75.2)

4.7

算数1(100点)合格者平均

66.5

49.8

72.0

 

(受験者平均)

(52.6)

(38.5)

(55.4)

16.6

算数2(100点)合格者平均

69.2

44.5

71.2

 

(受験者平均)

(54.8)

(83.0)

(55.4)

15.8

理科(100点)合格者平均

71.9

73.2

66.7

 

(受験者平均)

(62.5)

(64.5)

(57.3)

9.4

注目すべきは、算数です。例年、国語や理科に比べると、受験者と合格者の点数には大きな開きがあります。算数の出来不出来が合否を分けると言っても過言ではありません。つまり、算数を制するかどうかで「灘中合格が決まる」と思って日々勉強に励んだ方がいいでしょう。

 

5.灘中、科目別の傾向と対策

今年度の灘中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!

 

◆国語

 

語句関係の出題の多い1日目の「国語1」は昨年と比べてやや難化、2日目の「国語2」はやや易化しました。「国語1」、「国語2」を合わせてみると、国語は昨年同様の難易度と言えるでしょう。

 

【2020年入試、国語の特徴】

1)「国語1」

1日目の「国語1」は、今年も「俳句」や「漢字しりとり」「外来語」といった、いかにも灘中という出題内容でした。特筆すべきは漢字の筆順の問題が出題されたことです。少なくともこの10年くらいは漢字の筆順問題は出題されたことのない単元で、全国的にも減少傾向にあったため、驚きでした。

 

2)「国語2」

2日目の「国語2」はここ数年、読解2問、随筆と詩が続いていましたが、今年は4年ぶり小説の問題が出題されました。こちらも予想外で驚きでした。

 

【2021年に向けての国語対策】

1)「国語1」対策~漢字、語句は早めにマスター!

灘中の国語は算数に比べれば易しく感じるかもしれません。高得点が取れて当たり前なので、「国語1」の語句の問題は早めにマスターしておくことです。漢字外来語慣用句俳句(季語)などは、先取りして自分で学習できるので、できれば5年生のうちに、遅くとも6年生の夏くらいまでには全てやっておくのが理想です。

 

2)「国語2」対策~時間をかけて解き直しを!

「国語2」は長文読解記述中心です。字数制限がないのが灘中入試の特徴で、それだけに難しくもあります。内容的にはかなり難しいので、「国語2」に関しては、模試などの問題を解いた時間の1.5倍の時間をかけて解説を見ながら解き直しをしましょう。自分の手で書き直すことが大切です。

 

 

◆算数

 

 

 

【2020年入試、算数の特徴】

1)昨年より大きく易化!

今年の算数は昨年に比べ、1日目の「算数1」、2日目「算数2」共に大きく易化しました。「4.科目別平均点」のデータからも分かるように、昨年度入試は「算数1」では受験者平均が30点台で合格者平均ですら50点に満たなかったような試験でしたから、昨年の算数が特別難しく今年の算数が易化したというよりは、例年並みのレベルに戻ったと言えるでしょう。もちろん易しいといっても灘中の入試です。最難関の問題であることに違いはありません。

 

2)「算数1」、「算数2」の特徴と違い

内容としては、「算数1」は解き方不要、「算数2」は解き方や作図が必要という例年通りのパターンでした。つまり、「算数1」は正確性重視、「算数2」は課程重視となっています。

 

3)西暦年問題が今年も出題!

今年も灘中の算数の入試問題には、西暦「2020」を含む計算問題が出題されました。次年の「2021」は43×47であることを頭に入れておくといいかもしれません。

 

4)まとめ~満点がとれる試験!

今年は灘中を受験する生徒にとって確実な「捨て問」と思われる超難問は「算数1」、「算数2」を通してなかったように思われます。「算数1」、「算数2」共に100点満点の生徒が出たことからも今年は比較的オーソドックスな試験であったと言えるでしょう。それだけにミスが許されなくなったとも言えます。

 

【2021年に向けての算数対策】

1)ケアレスミス対策

算数の問題は毎年かなり難しく、算数でかなりのがつきます。算数で決まると言ってもいいでしょう。算数が苦手な受験生は相当がんばる必要があります。

凡ミスや計算ミスなどは徹底的になくし、日頃から「実践的思考力」「処理能力」を身につけることが大事です。

 

2)途中式もしっかりと

灘中の算数問題の特徴の1つとして、2日目の「算数2」の解答用紙には問題に対する解答欄と答えを導いた課程を書く欄があります。仮に解答が導き出せなくても解き方欄の途中式や考え方が合っていれば、部分点がもらえる可能性が高いので、できないと思っても最後まで諦めず、粘り強く解く習慣をつけましょう。それには普段から道筋をしっかりと立てて、答えを導き出す力をつけるようにしておくことが必要です。

 

3)図形対策

灘中の算数問題の傾向として図形問題がよく出題されます。特に立体図形はたいへん難しく、つまずくお子さまも少なくありません。集団塾でなかなか克服できない場合には、家庭教師など個別指導でフォローすることをおすすめします。

 

◆理科

 

 

【2020年入試、理科の特徴】

1)昨年より低い平均点~問われる計算スピード

今年の理科は、受験者平均点、合格者平均点が共に直近10年の中で最も低いという結果でした。ただ、特別難易度が高い試験というわけではなく、今年は煩雑な計算問題が多く、計算スピードが要求され、時間に追われる試験となったことが要因と思われます。

 

2)例年通りの出題分野

灘中の理科の問題は例年、大問が6題出題され、その内訳は次のような分野となっています。

・物理と化学……各2題

・地学と生物……各1題

ここ数年ずっとこのパターンで、今年も同様でした。

 

3)分野別出題傾向

今年は事前に定規とコンパスを持ってくることとの注意事項があり、物理の「てこ」の問題では作業力、作図力が必要となる問題でした。

地学分野は毎年天文分野が出題されています。

 

【2021年に向けての理科対策】

1)とにかく実践!量をこなそう!!

理科は算数に比べれば易しく感じられる問題ではありますが、標準問題はまず出ません。難問ばかりで、正直理論まで完璧に分からないかもしれませんが、とにかく実践的な問題をどんどん解いて覚えていくことです。

 

2)ビジュアルで覚える

暗記物は図鑑などの写真を目で見ることで、記憶に残りやすくなります。また、計算問題は、間違えたところをやり直し、確実にできるように繰り返しましょう。特に灘中の試験は今年のように計算力も求められるため、算数の計算練習を毎日行ってスピードを上げていきましょう。

 

3)時間配分は上手に

進学塾の灘コースに通われているのであれば、理科入試に必要な内容は5年までで一通り終わっていると思いますから、算数に時間を費やせるよう、理科は早め早めに取り組んでおきましょう。受験が近づくにつれ、理科にそれほど時間は割けなくなると思いますので、寝る前の30分だけなど、自分なりの理科時間を作るようにしましょう。

 

6.まとめ~灘中合格への道~

 

 

今年も1月に中学入試が終わり、例年でしたら4月から一斉に新学年をスタートできるはずでした。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で前代未聞のイレギュラーなスタートとなりました。

来年2021年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、それでも通常通り行われると予測して日々準備していく他ありません。

 

灘中学受験はとにかく「難しい」、最難関中の「最難関」、それだけは確かです。軽い気持ちで受験するものではなく、時間をかけてしっかり対策していかないと厳しい結果に終わる試験です。

先にご紹介したデータを見ても分かるように、全国から受験生が集まります。いずれも地域屈指の、その県を代表するような強者が集まるわけですから、学校はもちろん、地域の進学塾で優秀でもまったく安心はできません。

 

なかなか小学生が自分1人でどうにかできるレベルではないと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。

 

 

 

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浅田ゆうき先生

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