2020年の中学入試から、今回は甲陽学院中学について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2021年の受験対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.甲陽学院中学2020年入試の特徴
2.2020年甲陽学院の入試データ
3.大手塾別合格者数
4.科目別平均点
5.甲陽学院中学、科目別の傾向と対策
6.まとめ~甲陽学院中学合格への道~
1.甲陽学院中学2020年入試の特徴
甲陽学院中学校の入試は下記の表の通り、灘中入試と同様に2日間入試で、国語・算数は2日間(2回ずつ)あり、各100点で200点、理科は100点の計500点満点の試験です。
1日目(1/18) |
2日目 (1/19) |
3日目以降 (1/20~) |
国語(55分・100点) 算数(55分・100点) 理科(55分・100点) |
国語(55分・100点) 算数(55分・100点) |
・東大寺学園(奈良) ・洛南高等学校附属(京都) ・六甲学院(兵庫) ・清風南海中学校(大阪) ・洛星中学(京都) |
【午後】 ・西大和学園(奈良) ・須磨学園(兵庫) ・高槻中学校(大阪) |
甲陽学院の受験者も併願の形は2日目の午後に西大和学園、3日目に東大寺または洛南高附というパターンが多いですが、灘の併願者に比べると、更に2日目の午後に須磨学園や高槻中学、3日目以降に六甲学院、清風南海中、洛星中学という併願パターンも見られました。
2.2020年甲陽学院の入試データ
(人)
|
2018年 |
2019年 |
2020年 |
募 集 人 員 |
200 |
200 |
200 |
志 願 者 数 |
423 |
411 |
410 |
受 験 者 数 |
402 |
393 |
383 |
合 格 者 数 |
222 |
220 |
217 |
甲陽学院中は最難関中学と呼ばれるカテゴリーですが、灘中と入試日が同じ日程ということもあり、比較的倍率が低く毎年実質倍率は1.8倍程度です。
今年も募集200名に対し、志願者は昨年から1名減の410名、受験者数は昨年から10名減の383名で、実質倍率は1.76倍と例年並みでした。
しかし、入試の難度は安定してかなりの高さを保っていますから、最難関レベルであることに違いはありません。
3.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の甲陽学院中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
(人)
浜学園 |
希学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
84 |
42 |
38 |
30 |
進学館 |
SAPIX |
第一ゼミナール |
能開センター |
15 |
8 |
8 |
5 |
甲陽学院中学の合格者数もやはり浜学園が強いですが、希学園が昨年の29名から42名と13名も大きく合格者を増やしたことも今年度の特徴です。京都府に基盤をもつ成基学園からは2年連続で0でした。
4.科目別平均点
甲陽学院中学合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
(点)
|
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 |
127.8 |
133.5 |
5.7 |
算 数 |
111.1 |
129.0 |
17.9 |
理 科 |
53.9 |
58.6 |
4.7 |
※国語、算数は各200点、理科は100点満点
注目すべきは、やはり算数です。受験者平均点と合格者平均点の差ですが、甲陽学院も他の最難関校の例にもれず、上の表の通り、算数で大きな差が出ています。
甲陽学院を目指すなら、算数のレベルを相当上げておく必要があります。
5.甲陽学院中学、科目別の傾向と対策
今年度の甲陽学院中学入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
甲陽学院2020年の国語の問題は、昨年に比べると受験者平均点が約10点近く高くなり、やや易化したと言えるでしょう。ここ数年で見てもやや高めの平均点でした。
1)難解な長文読解
毎年1日目、2日目両日共に物語文と論説文の長文2題構成でたまに随筆文が出題されます。甲陽の国語は灘よりも難しいという人もいるくらい難解です。それは、出題に使われる素材文が中高生以上や大人が読むような書籍からの抜粋が多く、小学生が通常読むような文章ではなくてかなり読みにくい内容となっているからです。
しかし、長文読解にしては他の最難関校に比べて文章が長いわけでもありません。ただ内容が難解なので理解して読むのに時間がかかる可能性はあります。
2)記述力も必須
記述による解答が多いのも甲陽の特徴の1つで、近年は字数制限付きのものが増えている傾向にあります。端的にまとめる力も、詳しく長文で説明する力も必要です。
昨年に比べ答案字数は減りましたが、今後も甲陽学院の国語対策に記述力は必須です。
漢字の書き取りは毎年1日目も2日目も両日出題されています。
3)来年度の対策
以上のことから、甲陽学院の国語対策には過去問演習や漢字演習はもちろん、日ごろから難解な文章に慣れておくことと、記述力をつけておくことが必要です。国語の試験問題の解き方テクニックも知っておく方が良いでしょう。独学ではなかなか難しい部分もありますから、国語力が不安な方は家庭教師など個別に受験のプロに相談してみることをおすすめいたします。
◆算数
甲陽学院の算数は昨年大きく難化していましたが、今年はやや易化し例年並みの難度に戻ったと言えます。
1)途中式もしっかり書く
甲陽学院の算数は問題用紙と答案用紙が分かれているわけではなく、解き方を含め直接書き込む形式です。途中式でも充分な部分点が見込めますので、最後まで行きつかなくても分かるところまで粘り強く答案を作成する力が必要です。
2)作図力も必須
出題された図を読み取るだけでなく、自分で作図し、解き進める力も必要です。作図力も上記(1)の式と同様に採点時の評価対象となります。
3)2日目の超難問はどう対処する?
今年も昨年と同様、1日目に比べ2日目の方が難しい問題でした。特に2日目の速さの問題、図形の移動の問題、立体図形の問題はかなり難問でした。超難問は捨て問にするかできるところまでと割り切り、できる問題でしっかり点数を稼ぐように問題の取捨選択も合否を分けるポイントとなるでしょう。
◆理科
例年並みの難度でしだが、最難関校の入試のなかでも最高難度レベルの試験内容でした。
今年も物理と化学が2題ずつと生物と地学が1題ずつという構成で、大問数6題というのも例年通りでしたが、小問数は例年よりも少なめでした。
記述問題や作図問題、煩雑な計算問題や思考問題がほとんどで、時間に追われる試験だったと思われます。毎年、物理、化学の分野で極端に難しい問題が出題されます。算数同様に問題の取捨選択をしっかりとし、解ける問題から解くという進め方の練習が必要でしょう。
6.まとめ~甲陽学院中学合格への道~
今年も1月に中学入試が終わり、例年でしたら4月から一斉に新学年をスタートできるはずでした。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で前代未聞のイレギュラーなスタートとなりました。
来年2021年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、それでも通常通り行われると予測して日々準備していく他ありません。
灘中と並び、関西圏の最難関中学と位置付けられている甲陽学院中学。灘とはまたひと味違う自由な校風と、きめ細かいサポートや学習指導で昔から人気のある伝統校です。
このような最難関校を小学生が自分1人で受験勉強するのはとてもたいへんだと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめします。