中学入試本番まで残り3ヵ月となりました。これからがラストスパートです。今やるべき最善策として効果的な過去問演習法をご紹介いたします!
※ご紹介する演習法は基本中学受験を対象にしていますが、高校受験、大学受験の過去問対策にも通じるところがありますのでぜひご参考にしてみてください。
CONTENTS:
- 受験まで3ヵ月!何をどうしたらいいの?
- 効果的な過去問演習5つのステップ!
- 志望校の出題傾向を知る
- 時間配分と捨て問トレーニング
- 用紙の形式をチェック
- 自己採点と合格点のチェック
- 解き直しの徹底
- 過去問演習を行う際に親が注意すべきNG言動
- まとめ~ラストスパートを元気に乗り切ろう!
1.受験まで3ヵ月!何をどうしたらいいの?
10月も中旬となり中学入試まで残り3か月になると、だんだんと焦燥感や緊張感でナーバスになってくる頃ではないでしょうか。
特に今年は新型コロナウイルスの影響で新学年の始まりも夏休みもイレギュラーな形となってしまい、戸惑うことも多かったかと思います。ただ、そうは言っても年が明ければ今年も中学入試は始まります。
もうこの時期ですから、ほとんどの受験生が第一志望校及び併願校などの受験校を決めていることと思います。もしまだ決められていないのなら、できる限り早く決めるようにしましょう。「志望校対策」が大幅に遅れてしまいます。
「志望校対策」と言葉ではわかっていても、何をしたらいいのでしょうか。
答えは徹底的に過去問を解くことです。今回は過去問の効果的な演習法を具体的にご紹介していきます。
2.効果的な過去問演習5つのステップ!
入試まで3ヵ月となった今からできることは、志望校や併願校の過去問演習を徹底的に行うことです。
第一志望校の過去問は最低過去5年(余裕があればそれ以上できるだけたくさん)の問題を最低2回以上は繰り返しましょう。
併願校は時間の許す限り、最低直近1、2年くらいのものを一度は目を通しておきましょう。
過去問に取り組む際は、ただやみくもに問題を解くのではなく、次の5つのステップに従って確実に行っていきましょう。
- 志望校の出題傾向を知る
- 時間配分と捨て問トレーニング
- 用紙の形式をチェック
- 自己採点と合格点のチェック
- 解き直しの徹底
次にそれぞれについて詳しく解説します。
3.志望校の出題傾向を知る
まずは受験校の過去問を多く解いて、その学校の傾向を知るということがとても大事です。ただ漠然と問題を解くのではなく、その学校の出題傾向の特徴を掴みましょう。
その際のポイントとしては以下のような「問題文のクセ」を知ることです。
- 出題単元に偏りがあるのかバランスよく出題されているのか
- 記述解答が多いのか少ないのか
- 何文字くらい書かされるのか
- 字数制限のある問題なのかそうでないのか
- 国語の長文読解をはじめ、各教科の問題文はどのくらいの長さの問題が出題されるのか
以上のような志望校の出題のクセや傾向に慣れておきましょう。
4.時間配分と捨て問トレーニング
◆時間を計る
過去問を解くときには必ず時間を計り、実際に受験しているつもりで解き進めなければいけません。できるかぎり本番通り4教科(または3教科)を実際の入試と同じ順番で連続して解き、常に合計点を意識しながら進めましょう。
例えば「国語で大問1題を失敗したので、算数と理科でプラス10点を目指す」というように考えながら行ってください。
◆時間配分と捨て問の見分け方
問題配列や難易度、問題数等から、解く順番や捨て問(頑張っても時間内に解けそうにない超難問)を見つけるトレーニングを行います。
易しい問題から入り、後半難しくなるような傾向にある試験なら順番に進めていけばいいですが、先に難問がある傾向の試験の場合はどこから進めるべきか、その戦略を立てます。
まず問題全体に目を通して解けそうな問題から取り組み、限られた時間内でどの問題を捨て問にするか見極められるように過去問でしっかり訓練しておきましょう。
5.用紙の形式をチェック
志望校の試験がどのような問題用紙と解答用紙なのか事前にチェックしておく必要があります。そのポイントは以下の通りです。
- 問題用紙のボリュームはどのくらいか
- 算数の場合、解き方を書かせる答案なのか答えだけでいいのか。
- 問題用紙に解答欄がついているパターンなのか、解答用紙が別途ついているパターンなのか
- 余白スペースはどのくらいか
(余白に図や計算式などを書きますから、文字の大きさや配分を考えないと、後で小さくなってしまったりごちゃごちゃしたりして読みづらくなり、余計なミスを誘発する可能性が高くなります。)
用紙の形式などあまり意識されないかもしれませんが、意外と影響が大きいことに驚きます。本番で思ったよりも大きな用紙、または小さい用紙でやりにくかったというのも緊張につながり、本来の実力を出せなくなってしまう場合があるからです。
実際に今年の受験で下記のような話がありました。
【実際にあった体験談2020!】
今年、高槻中学を受験した生徒の話です。
この生徒は高槻中学を第一志望に考えており、事前に過去問もしっかり数年分解いていて準備は万端。しかし、問題用紙の形式までは気にしていませんでした。
実際の高槻中の理科入試は冊子形式で20ページにもわたります。今年の理科の試験は合格者平均点が得点率約8割と例年に比べかなり易しいテストではありましたが、その生徒は20ページというボリュームに圧倒されかなり動揺してしまったそうです。問題自体は難しくないのですが、冊子のボリュームだけで緊張し実力が発揮できなかったそうです。
当然「失敗した」と落ち込み、合格発表まで不合格を覚悟していましたが、幸いにも合格を勝ち取ることはできました。結果、その生徒は合格できたので後で笑い話にできますが、これで不合格になっていたら「過去問対策のやり方」を悔やんでも悔やみきれなかったと思います。
もし初めから高槻の理科は20ページにもなる冊子形式だとわかっていたら、もう少しリラックスして試験を受けることができたでしょう。つまり、ちょっとし用紙の形式でさえ動揺することもありますし、ただ過去の試験問題を解くだけでは過去問対策としては不十分であるということも頭に入れておきましょう。
6.自己採点と合格点のチェック
1年分の過去問を解き終えたら、必ず自己採点してその年の合格点と比較し、合格できているのかどうかチェックしましょう。
学校の公式ホームページに直近の入試結果データを公開しているところがほとんどですので、受験校の「合格最低点」「受験者平均点」や「合格者平均点」をチェックし、自分の点数がどのくらいの位置にいるか確かめてください。
例えば4教科400点満点の試験でその年の合格平均点が280点、自分の得点が230点(算数55点、国語70点、理科45点、社会60点)だとしましょう。そうすると不足分の約30~50点分をこれからどう頑張るかということになります。
いま合格最低点に届いていなかったとしても、悲観的になることはありません。今ならまだ間に合います。できていなかった単元を見直し、補強すればいいのです。
この例でいくなら苦手な算数と理科を強化し、得意な国語と社会をさらにのばすには何をしたらいいのか、失点を見て考えます。単純なミスによるものなのか、知識不足なのか、苦手な単元の復習でどこまでカバーできそうか分析し、しっかり作戦を練りましょう。
なお、当セミナーのサイトでも難関中の各入試データや傾向と対策をご紹介していますのでぜひご覧ください。
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7.解き直しの徹底
当然のことながら、間違えた問題についてはきちんと解き直しをします。その際は解き直しノートを作るなどして、なぜ間違えたのか明確にしておきましょう。ポイントは3つです。
- 単純ミスなのか
- 知識や解き方を忘れていたのか
- 解答を見てもわからない問題なのか
①のミスはどうしてそのようなミスをしてしまったのか自分で考え、二度と同じミスをしないよう次の過去問や二巡目に解く時に意識して気をつけるようにしてください。
②は知識や理解が曖昧だったということなので、その単元をしっかり復習し直しましょう。
③は少し注意が必要です。前述「4. 時間配分と捨て問トレーニング」で説明したように、それは「捨て問」にすべき超難問かもしれません。何も満点を取る必要はありません。「6. 自己採点と合格点のチェック」でチェックした合格最低点以上、できれば合格平均点近くを目標に考えればいいわけですから、この時期に「あれもこれも」と欲張るのではなく、合格に必要な点数に到達できるように、解ける問題を確実にすることを優先し、捨て問は追求しない方がいいでしょう。
よくわからないところがあれば、今ならまだ質問する時間もあります。塾の先生や志望校のことをよく知っている家庭教師の先生に見てもらうのもいいでしょう。
一番やってはいけないことは、わからなかった問題を何も精査せずにそのままにしておくことです。できなかった問題を原因もわからずそのままにしておくことは、精神的にも不安感が高まるだけですので、必ず自分なりにきちんと分析し消化しておくようにしましょう。
8.過去問演習を行う際に親が注意すべきNG言動
これまで過去問の効果的な演習法についてご紹介してまいりました。それでは受験生を見守る保護者はどうするのがいいでしょうか。
ポイントは「受験するのはあくまでお子さま。親御さまではない」ということです。親御さまができることは、せいぜい過去問演習を行う際に受験と同じような静かな環境づくりをしてあげることや時間を計る手伝いをするくらいでしょう。余計な口出しは厳禁です。
特に以下の言動はNG行為ですから注意しましょう。
×「早く過去問をやりなさい!」
×「前にやった問題じゃない。どうしてできないの!」
×「こんなに間違えて、どうするつもり!」
×「ぜんぜん合格点に足りてない。これじゃダメね!」
×「これじゃ不合格になるわよ!」
これでは過去問をやりたくなくなりますよね。それどころか過去問がトラウマになり、本番でも問題を見ただけで気分が悪くなって力を発揮することができなってしまうかもしれません。
これから受験まで受験生の前でネガティブな表現は避け、ポジティブな表現でサポートしてあげて欲しいです。ましてや「不合格」や「落ちる」といったワードは極力控えましょう。
逆に以下のような言葉かけを心がけましょう。
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〇「よくがんばっているね。過去問にもトライしてみては?」
〇「今のうちにできないところがわかってよかったね」
〇「今ここまでできていればだいじょうぶ。間違った所をしっかり見直そうね」
たとえ今の時期にあまりできていなかったとしても、焦らず前述した過去問演習法でしっかり分析をして対策することが大切です。
過去問が思うようにできなくてショックを受けているのは親御さまではなく、他ならぬお子さま本人です。どうか前向きでやさしい言葉をかけてあげてくださいね。
9.まとめ~ラストスパートを元気に乗り切ろう!
受験本番3ヵ月を切ったら、いよいよラストスパートです。まだまだ得点を伸ばすことができます!ここからは過去問で本格的に志望校対策をしていきましょう。
過去問演習はどの受験でも欠かすことのできない重要なものです。問題量と時間の感覚を身をもって体験しておくことで、志望校の出題傾向に慣れ、本番での緊張感を多少なりとも和らげることができます。
過去問で一番大切なのは、演習後にできない問題があって不安に感じても、その不安を不安のまま残さないことです。受験が近づくとしっかりできているつもりでも、「あれもできていない、これもできていない」と不安になって焦るものですが、不安要素は受験当日の緊張に直結します。
入試当日に「不安要素は何一つない」ということも難しいのですが、あまり理想を追わず今のうちに不安要素を一つ一つ解消し、ため込まないようにしましょう。
今回は効果的な過去問演習法をご紹介しましたが、お子さまが一人で取り組むにはなかなか難しいかもしれません。そうかと言って、前述のように親御さまが下手に口出ししたり介入したりするのも逆効果になってしまう場合もありますから注意が必要です。
過去問をいやいややらされている感でやっては本末転倒です。だんだんと問題が解けるようになることに喜びを感じるようにもっていくのがベストです。
困った場合にはやはり第三者である受験のプロに相談するのがいいでしょう。特にこの時期はお子さまの志望校に個別対応してくれる家庭教師の人気が高まります。実際、残り3ヵ月だけお願いしたいという声も非常に多くなってきています。
これからは新型コロナだけでなく、インフルエンザも心配なシーズンとなります。本人はもちろんご家族も体調管理には十分に気をつけて、万全な体制でラストスパートに臨んでくださいね。