2021年の中学入試から、今回は洛南高等学校附属中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2022年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.洛南高等学校附属中学2021年入試の特徴
2.2021年洛南高等学校附属中学の入試データ
3.大手進学塾別合格者数
4.科目別平均点
5.洛南高等学校附属中学、科目別の傾向と対策
6.まとめ~洛南高等学校附属中学合格への道~
1.洛南高等学校附属中学2021年入試の特徴
洛南高等学校附属中は東大寺学園中と同様に国語・算数・理科の3教科、または国語・算数・理科・社会の4教科受験のどちらかを選ぶことができます。
試験時間は国語が60分、算数が70分、理科と社会はそれぞれ45分です。3教科の配点は、国語と算数がそれぞれ150 点、理科が100点の計400 点満点で、4教科は理科と社会を各50点と換算して3教科と同様に400点満点としています。合格判定に3教科、4教科の区別は行っていません。
日程は例年通り東大寺学園と同様に統一受験日から3日目(2021年は1月18日(月))で、統一試験日初日と2日目に灘中や甲陽学院中受験した受験生の併願校として東大寺学園と二分しています。
また、洛南高附属中を第一志望に考えている受験生は、統一日初日、2日目に男子校なら大阪星光学院、洛星、六甲学院、女子校なら四天王寺、共学なら高槻中、須磨学園、清風南海などを受験する生徒が多いようです。
2.2021年洛南高等学校附属中学の入試データ
(前年比)<人>
出願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
881名(+13) (男子604名、女子277名) |
793名(+9) (男子530名、女子263名) |
300名(+6) (男子219名、女子81名) |
2021年の洛南高附属中学入試の出願者数は募集280名に対し881名、昨年に比べ13名の増加、受験者数も9名増加の793名でした。昨年は出願者数、受験者数共に大きく減少しましたが、今年はやや持ち直しています。
実質倍率は2.64倍とほぼ横ばいで、やはり人気校であることに変わりはありません。
そのようななかでも特徴的なのは、男子の出願者は昨年比8名減少、受験者も6名減少でしたが、女子の出願者は21名増加、受験者は15名増加、合格者も6名増加と増えました。もっとも昨年の女子の志願者、受験者はここ数年で最も低かったので、例年並みの人数に戻ったとみることもできます。
地域別の2021年入試状況は下記の表の通りです。
(前年比)<人>
|
出願者数 |
合格者数 |
京都府 |
183(+17) |
70(+11) |
滋賀県 |
71(+16) |
24(+5) |
奈良県 |
30(+1) |
9(0) |
大阪府 |
293(+25) |
106(+24) |
兵庫県 |
260(-36) |
112(-28) |
その他 |
44(-10) |
7(-6) |
昨年同様、地域別の合格者は多い順に兵庫、大阪、地元京都という結果になっています。
今年はコロナの影響なのか、兵庫の出願者数が36名減と大きく減少し、逆に大阪は25名増、京都も17名増と増加しています。
3.大手進学塾別合格者数
関西大手進学塾の洛南高等学校附属中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
希学園 |
馬渕教室 |
成基学園 |
日能研 |
156(+1) |
59(+5) |
47(-4) |
42(-3) |
31(-5) |
能開センター |
進学館 |
第一ゼミナール |
京進 |
SAPIX |
12(-5) |
11(-2) |
4(-4) |
4(-1) |
3(0) |
今年も合格者数1位の浜学園が2位の希学園に100名近い差をつけています。浜学園の合格者数は灘や甲陽の併願者も多かったのも例年通りでした。洛南高附属中は東大寺学園と同様に灘や甲陽学院との併願者が数字を上げているものと思われます。
今年の各塾の合格者数は昨年と比べ、特に大きな増減はありませんでしたが、軒並み減少しているなかで、希学園のみが5名増と実績を伸ばしています。また、洛南高附属中については京都に基盤を持つ成基学園がやはり地元だけに今年も合格者が多いのが特徴です。
4.科目別平均点
洛南高等学校附属中学は受験者平均点を算出していないため、合格者平均点を紹介します。
(前年比)<点>
|
合格者平均 |
国語(3科) |
106.8(+10.0) |
国語(4科) |
109.4(+11.2) |
算数(3科) |
107.4(-11.8) |
算数(4科) |
95.5(-14.6) |
理科(3科) |
77.5(+15.0) |
理科(4科) |
72.3(+17.3) |
社 会 |
78.5(+1.3) |
総 合(3科/4科) |
291.7/280.5 |
(※3科は国語、算数は各150点、理科100点、4教科は理科、社会が各50点の400点満点)
今年も灘や甲陽の併願受験者の多い3科受験の方が4科受験よりも合格者平均が高い結果となりました。ここ数年3科と4科の差は3~5点程度でしたが、今年は11.2点と大きく差が開きました。
また、男子の併願受験者の合格最低点295点に対し、男子の専願受験者の合格最低点は236点と59点も差がありました。これも昨年に比べ14点も点差が開きました。
2021年の入試は昨年と比べ、国語は易化、算数は平均点が大きく下がり難化、理科は平均点が大きく上がる高得点勝負、社会も高得点勝負となる平易な試験でした。
5.洛南高等学校附属中学、科目別の傾向と対策
今年度の洛南高等学校附属中学入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
・難易度
今年の洛南高附属中国語入試は、ここ10年で見ても合格者平均点が高かった2015年と同程度点数の取りやすい易しい試験でした。
・出題構成
毎年、大問3題構成での読解は物語文・論説文・随筆というパターンが多く、その中の小問で漢字や語句の問題など知識問題がちりばめられています。読解問題、知識問題に偏った出題ではなく、バランスの取れた幅広い学力が求められます。
・合否のポイント
他校に比べ知識分野の配点割合がやや高い傾向にあります。さほど難易度は高くないので、ここでしっかり対策し、得点源としておきたいところです。極端に字数の多い記述も少なく、今年も50字以内、40字以内、25字以内の各記述が1題ずつ出題されました。記述にも慣れておきたいので過去問や問題集などでしっかり対策しておきましょう。
◆算数
・難易度
今年の洛南高附属中算数入試は、昨年に比べ難化しましたが、昨年の試験が過去10年で最も平均点の高い試験でしたので、例年並みの難度に戻ったと言えるでしょう。
・出題構成
他校に比べ試験時間はやや長く70分ですが、問題数が多く時間に余裕はありません。出題形式は例年通り大問6題構成。1番は計算問題、2番が小問集合、今年も昨年同様26問の小問数でした。
・出題内容
食塩水濃度の問題は頻出で、今年も出題されました。例年同様も難易度は高く、後半は捨て問にした受験生も多かったのではないかと思われます。
灘や東大寺と同様に入試年度の西暦数字が良く出題されます。今年も1番の計算問題で2021=43×47を知っているかを試されるような出題がありました。来年の西暦2022を素因数分解すると2×3×337で、337は「2の8乗と3の4乗の和」であることも覚えておきましょう。
・合否のポイント
問題によって難易度のばらつきがあるので、できるものから確実に解いていき、捨て問を見極める判断も必要です。
今年も6番の立体図形は難問でした。大問6は小問1と2だけ解いてあとは捨て問にしても良かったかもしれません。
基本的に大問1と2は落としたくはありませんが、たまに大問2の小問集合にも難問が含まれることもあります。大問1や2の問題は解けるはずだと思い込んで時間をかけすぎることのないよう、注意も必要です。
大きく差のつく算数は、小さなケアレスミスが命取りになりかねません。下記の2020年3月11日に掲載しました当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
・難易度
今年の洛南高附属中理科入試も、国語同様に大きく易化しました。ここ10年で見ても最も合格者平均点の高い高得点勝負の試験となりました。
今年は計算問題が減少したことも高得点となった要因かもしれません。
・出題構成
例年大問5題構成で、各分野からまんべんなく出題されています。生物分野が2題で物理・化学・地学の各分野から1題というパターンが多い傾向にあります。大問1と2が生物、大問3が化学、大問4が地学、大問5が物理という順番も例年通りでした。
・合否のポイント
生物分野については生物の絵や写真がよく出題されます。大問5は物理分野の「てこ」の問題が頻出。過去20年で見ても大問5で「てこ」が出題されなかったのは2年しかありません。過去に似たような問題が出ているので、過去問対策も必須です。
今年は難問らしい難問というものはありませんでしたが、年度によりたいへん難化する可能性がありますので、しっかりとした準備が必要です。
◆社会
・難易度
例年合格者平均点が70点以上となる洛南高附属中社会入試。さほど難易度は高くないのですが、今年も合格者平均点が78.5点と例年以上に平易な試験でした。
・出題構成
試験時間は45分と短いですが、選択回答も多くさほど時間に追われることはありません。歴史、地理、公民の大問3題構成で小問数50問(実質1問1点)も例年通りでした。問題数の割合もやや歴史分野の問題数が多いものの、ほぼ均等な問題数なのも洛南高附中の特徴です。
・合否のポイント
歴史と時事問題が頻出なので、日ごろから新聞やニュースに関心を持ち、政治や外交、文化などの問題を親御さまといっしょに話し合って、歴史の重要事項や時事ワードを説明できるようにしておくと良いでしょう。
6.まとめ~洛南高等学校附属中学合格への道~
今年の中学受験は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前代未聞の入試となりました。
来年2022年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、通常通り行われるものとして今から準備していきましょう。
洛南高等学校附属中学校は、日本最古の私立学校「綜藝種智院」を起源に持つ、洛南高等学校の附属中学で、京都の名門共学校として有名です。学業はもちろん、スポーツもトップクラスの英才教育校で人気が高く、最難関と位置づけられています。
小学生が自分1人で最難関校の受験勉強をするのはとてもたいへんだと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。