2021年の中学入試から、今回は関西圏最難関の共学校、西大和学園中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2022年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.西大和学園中学校入試の特徴
2.2021年の入試データ
3.大手塾別合格者数
4.科目別成績データ
5.2021年度入試からみる科目別の傾向と対策
6.まとめ~西大和学園中学校合格への道~
1.西大和学園中学校入試の特徴
西大和学園中学校は関西圏の最難関中学と位置付けられていますが、募集定員が男子180名に対し女子は40名と大幅に少なく、特に女子受験生にとってはかなりの狭き門となり、関西のトップクラスの女子が集まる入試となっています。
実際、今年も女子の合格最低点は男子より18点高い結果となりました。しかし、一昨年は56点もの差が出ましたし、例年40~50点ほどの差はありましたので、今年度の男女間における合格最低点の差は大きく縮まったと言えるでしょう。
西大和学園は他の関西圏の多くの難関私立中学校と同様に、3科受験または4科受験を選択することができます。
試験時間と配点は、国語、算数が各60分で150 点、理科と社会は各40分で100点の計500 点満点で、得点の計算方法は以下の通りです。
<3教科型> 評価点
・国語・算数・理科の合計点×1.25
<4教科型> 評価点=下記のうち高得点の点数
・国語・算数・理科・社会の合計点
・国語・算数・理科の合計点×1.25
また、西大和学園は帰国生入試の他、英語重視型入試もあり、国語150点、算数150点、英語200点の500点満点としています。国語、算数の150点に対し、英語が200点と文字通り英語を重視した試験で、単なる筆記だけでなく、英語でのエッセイライティングや面接があり、4技能が求められる内容となっています。また、英語重視型入試には英検取得級により得点の加算もあります。これら英語重視型入試の国語や算数の試験は、一般の3科・4科入試の問題とは異なる試験となります。
西大和学園の受験日は統一入試日から2日目の午後ですので、灘、甲陽学院、大阪星光学院、四天王寺、清風南海などを1日目、2日目午前中に受験し、翌日3日目に東大寺学園、洛南高附、帝塚山、4日目に清風南海といった併願パターンが多いようです。
女子であれば、統一受験日初日と3日目の2日間受験の神戸女学院との併願受験生も少なくありません。
2.2021年の入試データ
<帰国生・英語重視型入試・21世紀型特色入試除く>(前年比)
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
倍率 |
220名 男子180名 女子40名 |
1,316名(-9) 男子1,073名(-20) 女子243名(+11) |
1,236名 男子1006名(+23) 女子230名(+22) |
513名(-47) 男子449名(-75) 女子64(+28) |
2.40 男子2.24(+0.36) 女子3.59(-2.19) |
2021年の募集人員は昨年同様男子180名、女子40名の合計220名。今年の志願者は男子1073名、女子243名の合計1,316名で、受験者は男子1,006名、女子230名の合計1,236名でした。
受験者数は男子も女子も昨年と比べ20名以上増えましたが、今年は全体の合格者数が560名から513名と大きく減少しました。その中でも男子は昨年に比べ75名減り、逆に女子は28名増えています。
従って実質倍率も、男子は昨年の1.88倍から2.24倍と上がり、女子は昨年の5.78倍から3.59倍と大きく下がりました。それでもやはり女子にとっては最難関の受験で狭き門の戦いとなりました。
3.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の西大和学園中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
馬渕教室 |
日能研 |
希学園 |
能開センター |
279(+6) |
182(+16) |
135(+3) |
94(-15) |
83(-2) |
SAPIX |
進学館 |
第一ゼミナール |
京進 |
成基学園 |
51(-1) |
16(-7) |
16(0) |
6(0) |
5(0) |
今年も浜学園をはじめ、やはり最難関校に強い塾は実際に進学しているかは別としても、併願校となる西大和学園の合格者を多数出しています。
特に毎年多くの合格者を出す浜学園は、昨年度も50人以上の合格者を増やしましたが、今年はさらに6人増やし、279人と他塾に大きく差をつけています。
4.科目別成績データ
西大和学園中学校合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
(点)
|
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 (男子) |
94.6 |
103.6 |
9.0 |
国 語 (女子) |
103.0 |
113.2 |
10.2 |
算 数 (男子) |
100.0 |
115.5 |
15.5 |
算 数 (女子) |
97.3 |
116.1 |
18.8 |
理 科 (男子) |
62.1 |
68.8 |
6.7 |
理 科 (女子) |
59.1 |
67.2 |
8.1 |
社 会 (男子) |
67.4 |
73.0 |
5.6 |
社 会 (女子) |
69.2 |
75.4 |
6.2 |
(※国語、算数は各150点、理科、社会は各100点の500点満点)
昨年は一昨年に比べ難化しましたが、今年はまた易化しました。ここ数年難化と易化の繰り返しとなっているので、来年度入試はまた難化するかもしれません。
受験者層や定員の違いにより、男女受験者の平均点もややばらつきがあります。理科以外の科目において男子より女子の合格平均点が上回っています。
西大和学園も他校と同様に算数で大きく差が出ていますが、国語でも差がやや大きくなっているのが特徴的です。このことからも国語に強いトップレベルの女子が集まっていることがうかがえます。
5.2021年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の西大和学園中学校入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
・難易度
西大和学園2021年の国語入試は、昨年に比べると易しい試験でした。今年も男子の国語の合格者平均点が103.6点に対し、女子の合格者平均点が113.2点と9.6点の差があり、易しいとは言え、女子にとっては国語も得意でないと厳しい試験だと言えるでしょう。
・出題構成
今年も例年通りの論説文、物語文、知識問題の大問3題構成でした。他の最難関校と比較すると記述解答はさほど多くはなく、一つの問題で書かせる字数は50~80字程度で、選択解答が多い傾向にあります。
選択問題が多いからとはいえ、決して楽な試験ではありません。逆にとらえると、〇か×かで得点されてしまうので、部分点は期待できず、大きく失点してしまう可能性もあります。
西大和の国語入試の選択肢はほとんどが5択で、多くの字数を読まなくてはならないのが特徴的です。
・合否のポイント
知識問題の中では段落整序の問題は頻出で、順序は完答で配点も大きいので対策は必須です。読解力対策としては文章全体の要点を正確に把握する演習をしっかりしておきましょう。
他校に比べ、受験者平均点と合格者平均点の差が開くテストですので、算数同様に国語の出来不出来も合否に大きくかかわってきます。
◆算数
・難易度
西大和学園2021年の算数入試は、昨年よりやや難化したとはいえ、この3年ほど難易度はやや落ち着いています。難関校としては比較的易しい試験ですが、受験者が灘、甲陽、東大寺、洛南などの最難関校の併願者であることから最高難度の試験であることに違いはありません。
・出題構成、頻出単元
今年も例年通りの大問4題構成でした。大問1は計算問題を含む一般的な小問集合、大問2は平面図形・立体図形の小問集合、大問3はやや難しい小問集合、大問4だけがいわゆる大問と呼ばれる問題という出題構成も例年通りでした。
今年もそうですが、大問1と大問2は得点源となりますので、ここでのケアレスミスには気をつけたいところです。大問3以降は難問がちりばめられていますので、できる問題から解き進めていきましょう。
・合否のポイント
今年も大問3と大問4の後半は超難問で、捨て問にしても良かったかもしれません。今年の大問4は問題文も長く、条件もややこしい内容でしたのでしっかりとした読解力も求められます。
大問1と2の全問と大問3で半分、大問4の前半がしっかり得点できれば十分に合格点は取れますので、問題の取捨選択がとても大切です。
過去問等で問題の見極め対策を行うと同時に、地道な計算演習とミス防止対策をしっかり行っておきましょう。
※ケアレスミス対策については、下記の2020年3月11日に掲載しました当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
・難易度
西大和学園2021年の理科入試は、昨年難化しましたが、今年は易化しました。今年は特に計算問題も多かったため、時間配分を間違うと時間が足りなくなったかもしれません。
・出題構成
出題構成は例年通り、物理、化学、生物、地学の4分野からの大問4題構成でした。40分と試験時間が短いわりに問題数も多く、難易度の高い試験ですが、男子最難関校にありがちな突飛な問題はほとんど出題されません。
・合否のポイント
今年も見慣れない題材からの出題として、ドップラー効果を利用した速度測定器の問題が出題され、これには手が止まった受験生も多かったかもしれません。
今年度もそうですが、例年物理と化学の分野は計算がややこしく難問が多いのですが、生物と地学の分野は比較的点数が取りやすい傾向にあります。
記述考察解答や計算問題には対策が必要で、前半の知識問題で手早くミスなく解き進め、後半の煩雑な計算問題に時間を残せるように時間配分を考えなくてはいけません。時間との勝負なので、基礎的な内容を理解しておくのはもちろん、ミスなく解けるよう時間を計っての計算練習をするなど、しっかり対策をしておきましょう。
◆社会
・難易度
西大和学園2021年の社会科入試は、昨年やや難化しましたが、今年は易化しました。特に女子は高得点者続出の試験でした。
・出題構成
今年も例年通り地理、歴史、公民の各分野からの出題があり、比重としては地理と歴史に重きが置かれているのも例年通りでした。
西大和の社会の特徴はやや長めの記述解答があることです。今年も50字以内、40字以内、20字以内などといったやや長めの字数指定の記述解答が出題されました。また、今年は字数指定がなく「簡潔に説明しなさい」という出題も1問ありました。
・合否のポイント
問題自体はさほど難しくはないのですが、やはり記述の訓練は必須です。また、用語解答は漢字指定が多いので、しっかりと漢字で覚えておきましょう。
公民分野では時事問題も出題されるため、日ごろから新聞やニュースにも関心を持ち、親子で話し合うなどして用語の説明ができるようにしておきましょう。
6.まとめ~西大和学園中学校合格への道~
今年の中学受験は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前代未聞の入試となりました。
来年2022年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、通常通り行われるものとして今から準備していきましょう。
西日本トップクラスの学力と国際性を重視した男女共学私立校として人気が高い西大和学園。英語多読や米国ハーバード大学に滞在するリーダー養成プログラムも魅力で、関西圏の最難関校と位置づけられています。前述の通り、特に女子にとっては狭き門の超最難関校と言えるでしょう。
小学生が自分1人で最難関校の受験勉強をするのはとてもたいへんだと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。