2021年の中学入試から、今回は兵庫県を代表する男女共学の進学校、須磨学園中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2022年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.須磨学園中学校入試の特徴
2.2021年の入試データ
3.大手塾別合格者数
4.科目別成績データ
5.2021年度入試からみる科目別の傾向と対策
6.まとめ~須磨学園中学校合格への道~
1.須磨学園中学校入試の特徴
須磨学園中学校の入試は第1回から第3回まで3回あり、統一入試日初日午前中に第1回、2日目の午前中に第2回、2日目の午後に第3回の各入試が行われます。
第1回と第2回は国語・算数・理科の3教科型または国語・算数・理科・社会の4教科型を選択します。試験時間と配点は国語と算数が各60分の150点、理科と社会は各40分の100点で、3教科型が400点満点、4教科型500点満点となり得点率で判定します。どちらを選択しても合否に有利不利はありません。
第3回は2教科型で算数・国語の2教科または算数・理科の2教科の選択となります。試験時間と配点は各科目60分の150点、2科目300点満点で判定します。
また、須磨学園の入試は複数回受験をすると加点制度もあるのが特徴的です。
須磨学園には最難関国公立大学を目指すBコース(募集定員40名)と難関国公立大学を目指すAコース(募集定員80名)があり、最初にどちらかのコースを選んで受験します。Bコースを選択しBの合格点に達していなくても、Aコースの合格点に達していればAコース合格となる廻し合格もあります。
■須磨学園中併願パターン■
須磨学園を第一志望に考えている生徒であれば併願校として、統一入試日の午後に滝川、滝川第二、須磨夙川、雲雀丘、3日目に須磨夙川、淳心、滝川、4日目に神戸大附属などを受験するパターンが多いようです。
また、女子最難関の神戸女学院を第一志望に考えている生徒も、須磨学園の2日目の第2回と第3回は受験できますので、併願校として受験する生徒も少なくありません。
2.2021年の入試データ
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
120名 (Aコース80名、 Bコース40名) |
1,494名(+419) (1回305名、2回576名、3回613名) |
1,447名(+393) (1回291名、2回565名、3回591名 |
2021年の須磨学園は、志願者数、受験者数ともに過去を振り返ってみても最も多くの人数を集めました。
昨年の受験者数は合計1,054名でしたが、今年は1,447名と大幅に増加しました。第一志望の受験生が多い第1回の受験者数は291名と昨年の210名から81名も増加し、第1回の実質倍率は昨年の2.33倍から3.16倍と大きく跳ね上がり、狭き門となりました。
第2回の受験者数も昨年度から162名増、第3回は150名増となり、コロナ禍でのオンライン授業が評判となったためか、人気の高さを表しています。
3.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の須磨学園中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
<人>(前年比)
浜学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
進学館 |
希学園 |
143(-16) |
112(+19) |
39(-6) |
37(+5) |
31(+3) |
若松塾 |
SAPIX |
第一ゼミナール |
久保塾 |
|
19(-11) |
12(+2) |
11(-1) |
5(-3) |
|
昨年に比べ16名減少したとはいえ今年も浜学園が最も多い合格者を輩出しています。2位の日能研は昨年から19名増加し100名超えと大きく伸ばしました。
神戸市須磨区という地域もあり、京都に強い成基学園や南大阪に強い能開センターからの合格者はありませんでした。一方、兵庫県に強い進学館や若松塾での合格者が目立ちました。
4.科目別成績データ
須磨学園中学校合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
<点>(前年比)
科 目 |
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 (第1回・B) |
88.0(+3.5) |
107.7(+9.1) |
19.7(+5.6) |
国 語 (第1回・A) |
97.3(+5.0) |
9.3(+1.5) |
|
算 数 (第1回・B) |
87.4(+2.5) |
112.2(-7.9) |
24.8(-10.4) |
算 数 (第1回・A) |
101.0(+2.2) |
13.6(-0.3) |
|
理 科 (第1回・B) |
64.4(+2.4) |
85.4(+9.2) |
21.0(+6.8) |
理 科 (第1回・A) |
76.8(+9.9) |
12.4(+7.5) |
|
社 会 (第1回・B) |
64.1(+0.8) |
80.4(+14.4) |
16.3(+13.6) |
社 会 (第1回・A) |
67.8(-1.6) |
3.7(-2.4) |
国 語 (第2回・B) |
95.6(+1.6) |
113.3(-1.8) |
17.7(-3.4) |
国 語 (第2回・A) |
105.8(+1.7) |
10.2(+0.1) |
|
算 数 (第2回・B) |
89.6(+8.4) |
122.2(+15.0) |
32.6(+6.6) |
算 数 (第2回・A) |
106.0(+12.7) |
16.4(+4.3) |
|
理 科 (第2回・B) |
62.3(-1.8) |
74.5(-2.2) |
12.2(-0.4) |
理 科 (第2回・A) |
70.5(+2.3) |
8.2(+4.1) |
|
社 会 (第2回・B) |
65.3(+0.3) |
74.0(+1.1) |
8.7(+0.8) |
社 会 (第2回・A) |
68.3(+1.7) |
3.0(+1.4) |
国 語 (第3回・B) |
99.6(+0.2) |
123.4(+7.2) |
23.8(+7.0) |
国 語 (第3回・A) |
110.1(-0.2) |
10.5(-0.4) |
|
算 数 (第3回・B) |
96.1(+13.1) |
127.4(+15.7) |
31.3(+2.6) |
算 数 (第3回・A) |
115.3(+19.1) |
19.2(+6.0) |
|
理 科 (第3回・B) |
101.9(+4.2) |
123.7(+7.1) |
21.8(+2.9) |
理 科 (第3回・A) |
111.5(+10.3) |
9.6(+6.1) |
(※第1回、第2回の国語、算数は各150点、理科、社会は各100点、第3回の国語、算数、理科は各150点)
他校と同様に須磨学園でも算数で大きく差が出ていて、第2回のBコースでは32.6点も開きがありました。須磨学園のBコースを志望するなら、算数はもちろんどの科目もかなりハイレベルな学力が求められます。
5.2021年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の須磨学園中学校の第1回入試を中心に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
・難易度
須磨学園中2021年の国語入試は、昨年、一昨年とやや難しい試験でしたので、今年はやや易化しましたが概ね例年並みの難易度でした。
・出題構成
出題構成はここ3年連続「読解問題」2題構成で、その中に小問として知識問題もちりばめられています。今年も昨年同様に物語文と随筆の出題でした。
大問1では記述解答はなく、大問2で10字以内の短い記述2題と120字以内の長文記述1題の合計3題の記述解答がありました。他の難関校と比較すると記述量は多くはなく、記号選択が多い傾向にあります。
・合否のポイント
須磨学園で取り上げられる素材文は大人向けの文章で難解なものが多く、理解して読み進めるには時間を要すかもしれません。文字数自体はさほど多くはありませんが、問題の選択肢が多く、なかなか一つに絞り切れない難しさがあります。
今年もそうですが、毎年一問は長めの記述問題が出題されていますので、文章の要点や人物の心情を傍線近辺の内容から読み取り、最大限に利用するなどしてまとめる力を養い、満点は難しくても確実に部分点の取れる記述力をしっかりと身につけておきましょう。
◆算数
・難易度
須磨学園中2021年の算数入試は、国語同様に昨年よりやや易化しましたが、概ね例年並みの難易度でした。
例年の傾向として第1回の試験は第2回や第3回に比べやや易しい試験となっています。
・出題構成
今年も例年通り大問5題構成でした。大問1は計算問題5問、大問2は一行題8問、あと3題大問が続きます。後半の大問の中で式や解き方を書かなければいけない問題もあります。普段から式や解き方を丁寧に書く練習をしておきましょう。
大問1と大問2で確実に点数を勝ち取り、大問3以降は解きやすい問題から取捨選択して解いていけるような判断力も必要です。
今年も大問3の水槽の水を使った立体図形の問題の後半は手が止まってしまった受験生もいたと思います。飛ばして大問4の規則性の問題にすぐに移った方が良かったでしょう。
大問4は小問も全て解きやすい問題でした。大問5の場合の数も小問前半はよく見る典型的な問題で解きやすかったと思います。後半はやや複雑になりますので、特に最後の問題は捨て問にしても良かったかもしれません。
・合否のポイント
大問1と大問2では確実に得点したいところですが、たまに一行題でも難問が出題されるので注意が必要です。
今年のように真ん中の大問3あたりで難問が出題されることもあります。須磨学園中の算数は決して難易度順に並んでいるわけではないので、解き進める上できっちりと取捨選択ができる受験のテクニックが必要です。問題の取捨選択による時間配分が合否を分けると言っても過言ではないでしょう。
その上で頻出する「数の性質」「場合の数」「立体図形」などは特に基礎的な問題を繰り返し練習し、正しく理解できているか確認しておきましょう。
◆理科
・難易度
須磨学園中の昨年の理科入試は一昨年に比べ易化しましたが、2021年は昨年よりさらに易化しました。上位のBコースの合格者平均点は85.4点とかなりの高得点勝負となりました。
昨年、今年の反動で来年度は少なくとも今年度よりは難化するのは、ほぼ間違いありません。
・出題構成
例年通り、物理・化学・生物・地学の各分野から1題ずつの4題構成で、出題順は生物・化学・物理・地学の順でした。今年も普段あまり見ない言葉として「充電式カイロ」の問題が出題されています。
昨年は「ヒートポンプ」、一昨年は「電気自動車」と、毎年須磨学園の試験では教科書にないなじみの薄い言葉が出てきますが、問題文を読むとその言葉を知らなくても解けるようになっています。知らない言葉でも慌てずに問題文をしっかりと読みましょう。
・合否のポイント
読解力は必須ですから長文対策をしっかり行い、須磨学園特有の問題に慣れておくため、過去問は繰り返し演習しておきましょう。
◆社会
・難易度
須磨学園2021年の社会科入試は例年並みの難易度でした。例年社会科では、あまり大きな差は出ないのですが、今年特徴的だったのは第1回のBコースでは合格者平均と受験者平均に大きな差が出たことです。
・出題構成
毎年、歴史・地理・公民の各分野からまんべんなく出題がありますが、やや歴史分野の問題数が多い傾向にあり、時事問題も毎年出題があります。
・合否のポイント
歴史分野や地理分野でグラフ、写真、年表、地図などの読み取り問題が頻出ですので、しっかりと対策をしておきましょう。
時事問題については政治分野からの出題が多いので、普段からニュースや新聞などで政治について関心を持っておきましょう。過去問演習で須磨学園ならではの問題に慣れておくと良いでしょう。
6.まとめ~須磨学園中学校合格への道~
今年の中学受験は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前代未聞の入試となりました。
来年2022年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、通常通り行われるものとして今から準備していきましょう。
須磨学園は「なりたい自分になる」をスローガンに主体性を重んじ、充実した設備と独自のプログラムを展開、意識の高い人材を育てている文武両道の男女共学校。最難関国公立大学や医歯薬系への現役合格目指す手厚い指導体制が人気の兵庫県を代表する進学校です。
小学生が自分1人で難関校の受験勉強するのはとてもたいへんだと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。