【最新版】灘中合格への道!2022年入試から見えてくる2023年の傾向と対策

  • 2022.02.24
  • 受験情報

 

 

2022年の中学入試から、日本最難関中学と言われる灘中について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析し、各科目の傾向やポイント、来年の入試対策について徹底解説いたします!

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~*はじめに*~

今年も関西では1月に中学入試が終わり、2月からはどこの進学塾も新学年としてスタートを切りました。今回から難関各校の今年度入試をシリーズで振り返ってまいります。

まずは第一弾として、今年も灘中学の入試について解説いたします。

 

CONTENTS:

1.最新(2022年)灘中、入試データ

2.都道府県別、志望者・合格者数

3.灘中受験の日程パターン

4.大手塾別合格者数

5.科目別平均点

6.灘中、科目別の傾向と対策

(◆国語、◆算数、◆理科

7.まとめ~灘中合格への道~

 

 

1.最新(2022年)灘中、入試データ

(※前年比)(人)

 

2020

2021

2022

募集人員

180

180

180

志願者数

775

687(-88)

652(-35)

受験者数

762

650(-112)

623(-27)

合格者数

256

227(-29)

255(+28)

実質倍率

2.98

2.86

2.44

 

2022年の灘中入試は、募集人員180名に対し志願者数が652名、受験者数が623名でした。2020年は直近10年間で最も多い志願者数と受験者数となりましたが、2021は大きく減少、今年もさらに減り、志願者が35名、受験者数が27名減で、ここ数年間で最も少ない人数となりました。

 

昨年は受験者数の減少に伴い、合格者数も減らしたため実質倍率では大きな変化はありませんでしたが、今年は一昨年と同程度の合格者を出したため、実質倍率は大きく下がり、例年にない広き門となりました。

 

2.都道府県別、志望者・合格者数

 

下の表は、2022年灘中入試おいて都道府県別に合格者数が多い順に表にしたものです。

※( )内は前年度比 (人)

都道府県

志願者

合格者

都道府県

志願者

合格者

大阪府

139-20

57(-6)

愛媛県

5-2

1(0)

兵庫県

132-18

55(+5)

三重県

4(0)

1+1

東京都

91+6

50(+11)

北海道

3+1

1+1

京都府

50-2

22(-1)

長崎県

3+3

1+1

愛知県

47(-5)

13(+2)

宮城県

2+2

1+1

神奈川県

30+7)

12+4)

高知県

2-2

1-1

奈良県

32(+8)

9+1)

広島県

9-4

0-1

滋賀県

10(-2)

6(+2)

岐阜県

3(0)

0(0)

福岡県

25(+6)

5(-1)

鹿児島県

3-4

0-1

千葉県

13(+9)

4+4)

茨城県

2+1

0-1

埼玉県

7-7

4+2)

富山県

2+2

0(0)

岡山県

18-8

3+2

香川県

1-3

0(-1)

静岡県

5+5

3+3

和歌山県

1-1

0-1

宮崎県

3+2

2+2

 

 

 

佐賀県

2+1

2+2

海 外

2+1

1+1

大分県

6+4

1+1

合計

652-35

255+28

 

灘中は、日本最難関中学校というだけあって、まるで大学のように全国から受験者が集まります。今年は地元の兵庫県や大阪府の志願者数が大きく減少し、昨年大きく減少した東京や神奈川からの志願者がやや増えました。

 

3.灘中受験の日程パターン

 

灘中受験生の受験日程は例年通り、前受け(本命校を受験する前に、練習として受験するお試し受験)として愛光、海陽、北嶺、函館ラ・サール、岡山白陵を受験した生徒が多く見られました。

 

受験パターンとしては、灘中は2日間受験ですので、統一受験日初日(1/15)と2日目(1/16)の午前中に灘中、午後に西大和または高槻B須磨学園第3回、3日目(1/17)に東大寺洛南高附属、四日目(1/18)に六甲Bまたは白陵後期清風南海B、それ以降なら洛星後期という併願パターンが多く見られました。

 

前受(お試し受験)

1日目(1/15)

2日目

(1/16)

3日目(1/17)

・愛光学園(愛媛)

・海陽学園(愛知)

・北嶺(北海道)

・函館ラ・サール学園(北海道)

・岡山白陵(岡山)

【午前】

国・理・算

【午前】

算・国

・東大寺学園(奈良)

洛南高附属(京都)

【4日目以降(1/18~)】

・六甲学院B(神戸)

・白陵後期(兵庫)

・清風南海学園B(大阪)

・洛星後期(京都)

【午後】

・西大和学園(奈良)

・高槻B(大阪)

・須磨学園第3回(神戸)

 

4.大手塾別合格者数

 

関西大手進学塾灘中合格者数は多い順に下記の通りでした。

※( )内は前年度比 (人)

浜学園

馬渕教室

希学園

日能研

96(+-0)

70(-1)

48(+1)

43(+13)

SAPIX

能開センター

進学館

 

34(+8)

11(+1)

8(+1)

 

 

2年連続で100名を割った浜学園でしたが、やはり多くの合格者を出しています。昨年大きく合格者数を減らした日能研が例年程度に戻しています。

 

SAPIXも増加しておりますが、関東の受験者も複数おり辞退者も多かったのではないかと思います。京都の大手である成基学園からも毎年数名の灘中合格者を出していましたが、今年はゼロでした。

 

関東の大手進学塾早稲田アカデミーが47名の合格者数を出しているのも興味深いところでした。開成・筑波大駒場等の関東最難関を第一志望にしている受験者の前受けが多く、SAPIX同様に多くの辞退者があったものと推察されます。ただ、灘中に関しては関東受験者の前受けとしてではなく、合格したら関西に引っ越して灘中に通う生徒ももちろん多数おります。

あくまで概数でありますが、180名の募集に対し近畿圏からの進学者は約150名、関東他近畿圏以外から約30名くらいが進学するのではないかと思われます。

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5.科目別平均点

 

灘中合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。

                              (点)

 

2020

2021

2022

合格者平均との差

国語1(80点)合格者平均

58.1

63.2

57.5

 

(受験者平均)

(54.3)

(57.7)

(53.4)

4.1

国語2(120点)合格者平均

79.9

78.0

70.9

 

(受験者平均)

(75.2)

(71.0)

(64.2)

6.7

算数1(100点)合格者平均

72.0

83.0

64.5

 

(受験者平均)

(55.4)

(65.1)

(52.7)

11.8

算数2(100点)合格者平均

71.2

67.8

65.3

 

(受験者平均)

(55.4)

(54.3)

(53.8)

11.5

理科(100点)合格者平均

66.7

76.5

69.9

 

(受験者平均)

(57.3)

(68.5)

(60.4)

9.5

※各配点は国語(1日目)が80点、国語(2日目)が120点、他は各100点

 

【灘中入試の難易度の推移】

3年前(2019年)の灘中の入試はたいへん難しい試験でしたが、2年前(2020年)に大きく易化しました。昨年(2021年)はまた反動で難化すると予想されましたが、コロナ禍の影響か昨年はさらに易化し、例年になく易しい入試でした。

 

そのようなこともあり、今年は昨年に比べ難化しているのは間違いないのですが、3年前のような特別難しい入試というわけでもなく、例年並みの灘中の難しさに戻ったという印象でした。

 

今年は全体的に受験者平均点と合格者平均点の差が小さかったのも特徴的です。例年、特に算数で大きく差が出るのが灘の特徴で、昨年も一昨年も2回の算数で30点以上の差がついていたのですが、今年は23.3点と例年に比べると差がつきませんでした。

 

ただ、理科で9.5点と大きく差が出たので、算数はもちろん理科に強い生徒に有利な試験内容だったと言えるでしょう。

 

6.灘中、科目別の傾向と対策

 

今年度の灘中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!

 

◆国語◆

 

 

 

 

【2022年灘中国語入試の特徴と2023年対策】

例年、1日目の「国語1」は語句関係の出題が多く、2日目の「国語2」は長文読解中心という形式。どちらも過去5年の中で最も平均点が低い難しい試験でした。ただし、受験者平均点と合格者平均点の差は昨年やや開きましたが今年は例年並みでした。

 

■「国語1」

 

例年通り慣用表現俳句外来語漢字しりとりの出題と敬語の出題がありました。毎年最後に出題され、時間を要する「漢字しりとり問題」は、例年に比べると比較的取り組みやすい問題でした。この問題に慣れている受験生にとっては点数が取りやすく、不慣れな受験生にはやはり難しい問題だと思われますので、差がつく問題となったかもしれません。

 

灘中の問題文の語句は、大人でないとなかなか使わない言葉も多くあります。今年出題された外来語の「コンセンサスを得る」や語句問題の「大(なた)をふるって人員整理」などという言葉は、社会人でないと使わないのではないかと思われるようなものでした。

 

国語1の対策としては、灘中の国語入試が特徴的な試験であるため、まずしっかりと過去問で対策をする必要があります。その上で高度な語彙力が試される試験でもあるため、時間を見つけて本や新聞を読んだり、親子で「~のことを〇〇って言うんだよね。知ってた?面白いよね」などと楽しみながら会話をするなどして語彙力をつけるといいでしょう。できましたら、親御さまがふだんの会話の中で少し難しい語句をちりばめてお話するとより効果が上がりますよ。

 

■「国語2」

 

今年も8割以上が字数制限のない記述解答でした。他校によくあるような80字や100字を書くようなものではなく、解答欄の大きさからみてもせいぜい30~50字程度の解答が多いように思います。

 

しっかり長文を書く力というよりは、簡潔にまとめて書ける力が必要です。短くても決してラクではなく、逆に簡潔にまとめて書く方が難しいので、しっかりトレーニングをしておきましょう。

 

例年、素材文のジャンルは論説文と随筆と詩の3題が多い傾向にありますが、数年に1度は物語文の出題があるので注意が必要です。また、ここ数年読解の文章量がやや多くなってきています。早く正確に読み解く練習も必要です。

 

 

◆算数◆

 

 

 

 

【2022年算数入試の特徴と2023年対策】

今年も例年通り、1日目の「算数1」は答えのみの解答、2日目の「算数2」は解き方が必要な解答方式でした。2021年と2020年の算数入試は、灘中にしては易しい試験で、今年は難化しましたが、概ね例年並みの灘の難しさに戻ったという印象です。

 

「算数1」「算数2」共に受験者平均点と合格者平均点の差が10点以上離れており、算数が苦手なら合格を勝ち取るのは難しい試験でしたが、例年ほどは差がつきませんでした。

 

■「算数1」

 

昨年に比べ、大きく難化しましたが、昨年が易しかったため例年並みの難度と言えるでしょう。今年も例年通り1番に計算問題で、真ん中あたりに難問があり、難易度と出題順がバラバラなのも例年通りでした。解く順番や捨て問など、問題の取捨選択も合否を分けるポイントとなります。過去問でしっかり対策をしておきましょう。

 

前述の通り、1日目の「算数1」は解き方を書く必要がないため、解き方が正しくても最後の答えを間違ったら1点ももらえません。計算スピードと同時に正確性を重視しなくてはいけません。凡ミスや計算ミスなどは徹底的になくし、日頃から「実践的思考力」「処理能力」を身につけることが大切です。

 

出題単元も例年通り数論、規則性、場合の数、平面図形、立体図形の出題があり、毎年頻出しています。頻出単元は特に取りこぼしのないよう入念に対策するようにしておきましょう。

 

以前、こちらのブログでも紹介しましたが、今年もやはり受験年の西暦数字(今年でしたら2022)を使った出題がありました。今年は大問4で「2を2022回掛けた数字を17で割った時の余りは?」という問題でした。

来年の数字2023は素数のように見えますが、7×17×17で表せます。頭に入れておいた方がよさそうです。

 

■「算数2」

 

今年2日目の「算数2」は、「算数1」と同様に2020年や2021年に比べると難化しましたが、概ね例年並みの難度でした。解答だけの「算数1」とは違い、「算数2」は解き方を書く欄があります。

 

たとえ最後の答えが間違っていても、解き方があっていれば部分点をもらえる可能性もあります。粘り強く、できるところまで解き進めて1点でも加点できるようにしましょう。

 

「算数2」は例年大問5題構成がほとんどで、今年も例年通りの5題構成でした。昨年同様、今年も最後の立体図形の問題では、見慣れない展開図から見取り図を描いて考える問題が出題されています。

 

展開図を見たり切り取ったり、どのような立体になるのかを想像し作図できなければ正解には近づきません。毎年のように立体図形の出題がありますので、苦手意識を持たないようにしっかりと準備しておきましょう。作図力も求められますので、集団塾でなかなか克服できない場合には家庭教師など個別指導でフォローした方が良いでしょう。

 

 

◆理科◆

 

 

 

 

【2022年の理科入試の特徴と2023年対策】

今年の理科も昨年に比べて難化し、例年で見ても難しい試験でした。例年通り6題構成で物理と化学の分野で各2題、生物と地学で各1題の6題でした。

各分野の出題順は決まっていませんが、生物分野が1番で出題されることが多い傾向にあります。今年は1番に物理分野の問題が出題されましたので、例年にはない珍しい出題順でした。

 

今年は受験者平均点と合格者平均点の差が9.5点と大きかったのが特徴的でした。また、今年度の理科入試は例年になく問題数が多かったことも特徴的です。

例年小問数が45~50問程度ですが、今年は58問もあり、それぞれの問題文も長めで、さらに表やグラフの読み取りも多く、問題用紙4枚とボリュームが増した試験でした。

 

物理分野は「重心」を扱った問題が3年連続出題と頻出しています。化学分野は「中和」と「気体発生」が頻出、地学分野では三角形の相似を使った計算が頻出です。

生物分野は昨年に続き「人体」の単元からの出題でしたが、毎年いろいろな単元の出題があり傾向がつかみにくいので、幅広い学習が必要となります。

 

灘中の理科入試は計算力も求められるため、算数の計算練習を毎日行ってスピードを上げておきましょう。受験が近づくにつれ、理科にそれほど時間は割けなくなると思いますので、寝る前の30分だけなど、自分なりの理科時間を作るようにしましょう。

 

7.まとめ~灘中合格への道~

 

 

 

 

灘中学受験はとにかく「難しい」、最難関中の「最難関」、それだけは確かです。軽い気持ちで受験するものではなく、時間をかけてしっかり対策していかないと厳しい結果に終わります。

 

先にご紹介したデータを見ても分かるように、全国から受験生が集まります。いずれも地域屈指の、その県を代表するような強者が集まるわけですから、学校はもちろん、地域の進学塾で優秀でもまったく安心はできません。そもそも、このレベルを的確に指導できる指導者も限られてしまうのが実状です。

 

なかなか小学生が自分1人でどうにかできる次元ではないと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、灘中をはじめ、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。

 

 

 

 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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