2022年の中学入試から、今回は東大寺学園中について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2023年の対策等について徹底解説いたします!
\プロ家庭教師による東大寺学園中の入試対策!/
無料体験授業お申し込みCONTENTS:
1.東大寺学園中学2022年入試の特徴
2.2022年東大寺学園中学の入試データ
3.地域別、志願者数・合格者数
4.東大寺学園中志望者の受験パターン
5.大手塾別合格者数
6.科目別平均点
7.東大寺学園中学、科目別の傾向と対策
8.まとめ~灘中合格への道~
1.東大寺学園中学2022年入試の特徴
東大寺学園中学は国語・算数・理科の3教科、または国語・算数・理科・社会の4教科受験のどちらかを選ぶことができます。試験時間は算数が60分、他教科は50 分となっています。
4教科受験の場合は各教科100 点の400 点満点の合計と、国算理の3教科の合計の4/3 倍のうち高い方を総合点とします。3教科受験生は得点(300点満点)を4/3 倍して400 点に換算します。
このような配点法のため、東大寺を第一志望にしている受験生のほとんどが4教科で受験します。もちろん社会科があまり得意でない受験生や併願志望の場合は3教科もあり得ます。
東大寺学園は統一受験日から3日目が受験日なので、毎年初日、2日目に灘や甲陽学院を受験した生徒の併願校となっているケースが多く、今年も例年通りこの併願パターンが多かったようです。
灘と甲陽は3教科受験ですので、毎年のことですが、3科受験と4科受験の生徒の成績を比べたとき、特に算数においては3教科受験の生徒の方が受験者平均点も合格者平均点もかなり高くなります。
このことからも灘や甲陽学院といった最難関を目指す受験生の算数のレベルが相当高いことがわかり、3教科で東大寺学園を受験するなら、算数のレベルを十分に上げておかないと厳しいとも言えるでしょう。
2.2022年東大寺学園中学の入試データ
※( )内は昨年比 <人>
【募集人員】 200名 |
出願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
3科受験 |
344(-3) |
331(+5) |
160(-26) |
4科受験 |
558(-20) |
525(-18) |
212(-4) |
合 計 |
902(-23) |
856(-13) |
372(-30) |
2022年の東大寺学園中学入試は、昨年から募集人員を200名に増やしましたが、昨年の受験者数は40名の減少、今年はさらに昨年から13名の減少、志願者数も23名減少しています。
昨年の実質倍率は直近10年で最も低い2.16倍でしたが、今年は合格者を30名減らしたため、倍率は2.30倍と少し持ち直しました。
3.地域別、志願者数・合格者数
2022年東大寺学園中入試で府県別に合格者数が多い順に並べたものが下の表です。
※( )内は昨年比 <人>
【募集人員】 200名 |
出願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
大阪府 |
406(-11) |
379(-11) |
179(-12) |
京都府 |
153(-4) |
147(-5) |
60(-4) |
兵庫県 |
99(-5) |
93(-3) |
44(-8) |
奈良県 |
137(+8) |
130(+10) |
39(-3) |
愛知県 |
47(-4) |
47(-4) |
26(+1) |
滋賀県 |
14(+2) |
14(+3) |
5(-2) |
三重県 |
9(-8) |
9(-7) |
1(-5) |
和歌山県 |
3(-4) |
3(-3) |
1(-2) |
上記以外 |
34(+3) |
34(+7) |
17(+5) |
合 計 |
902(-23) |
856(-13) |
372(-30) |
4.東大寺学園中志望者の受験パターン
東大寺学園中学は毎年統一受験日から3日目(今年は1/17)が受験日となります。
統一受験日前の前受け受験として、愛光、海陽、岡山白陵、北嶺、函館ラ・サール等を受験した生徒が多く見られました。
統一入試日以降は1日目と2日目の2日間受験として灘や甲陽学院を受験するか、1日目に大阪星光学院や洛星、高槻等を受験し、2日目に清風南海、西大和学園、高槻B等を受験して本番の3日目に臨むパターンが多く見られました。
前半で合格していない受験生は、4日目以降に清風南海Bや六甲学院B、洛星後期を受験したと思われます。
前受(お試し受験) |
1日目(1/15) |
2日目(1/16) |
3日目(1/17) |
・愛光学園(愛媛) ・海陽学園(愛知) ・岡山白陵(岡山) ・北嶺(北海道) ・函館ラ・サール(北海道)
|
・灘(兵庫) ・甲陽学院(兵庫) ・大阪星光(大阪) ・洛星(京都) |
・灘(兵庫) ・甲陽学院(兵庫) ・清風南海(大阪) ・西大和学園(奈良) ・高槻B(大阪) |
・東大寺学園(奈良)
【4日目以降(1/18~)】 ・清風南海B(大阪) ・六甲学院B(兵庫) ・洛星後期(京都) |
5.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の東大寺学園中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
※( )内は昨年比 <人>
浜学園 |
馬渕教室 |
希学園 |
能開センター |
日能研 |
150(-1) |
117(+2) |
70(+16) |
52(-2) |
39(-16) |
進学館 |
SAPIX |
成基学園 |
京進 |
|
13(+3) |
12(+2) |
7(+4) |
6(+3) |
|
東大寺学園の合格者は、今年も1名減とは言え、浜学園からの合格者が多く、昨年大きく増加した馬渕教室がさらに増えて、ここ数年コンスタントに100名以上の合格者を出すようになっています。
大きく波があったのは、16名減少した日能研と、逆に16名の増加となった希学園でした。
\塾のクラスアップ対策もプロにおまかせ!/
無料体験授業お申し込み6.科目別平均点
東大寺学園中学合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
(点)
|
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国語(3科) |
57.2 |
63.1 |
5.9 |
国語(4科) |
55.6 |
61.5 |
5.9 |
算数(3科) |
53.2 |
63.8 |
10.6 |
算数(4科) |
41.6 |
51.7 |
10.1 |
理科(3科) |
58.0 |
65.1 |
7.1 |
理科(4科) |
53.5 |
60.3 |
6.8 |
社 会 |
65.8 |
72.6 |
6.8 |
※全教科 各100点
今年は全教科で昨年よりも平均点が下がり、大きく難化しました。昨年が東大寺にしてはやや易しいテストでしたので、今年は大きく難化と言えるでしょう。過去5年で見ても最も平均点が低い入試となりました。
合格者の最低点も例年250点前後ですが、今年は224点と低く、東大寺学園の入試は400点満点ですから得点率56%で合格したことになります。
受験者平均点と合格者平均点の差は上記の表の通り、やはり算数で大きく開きましたが、全体的に難しく点数が取りにくかったこともあり、例年ほど差が開くテストにはなりませんでした。
また4科受験と3科受験を比べてみると、灘や甲陽学院との併願生が多い3科受験生は、やはり算数に強く、同じ合格者平均点でも算数における4科受験生の合格者平均点は51.7点に対し、3科受験生の合格者平均点は63.8点と、12点以上もの大きな差が出ています。
先に述べた通り、東大寺学園は4教科受験でも3教科と比較していい方の点数で評価してもらえますので、東大寺学園を第一志望に考えるのであれば4科受験の方がハードルはやや低くなると言えるでしょう。
7.東大寺学園中学、科目別の傾向と対策
今年度の東大寺学園中学入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
東大寺学園の国語入試は、50分100点満点の試験です。2022年の入試は昨年よりやや難化し、例年と比べてもやや難しい試験でした。
例年3題構成で、1番に漢字・語句、2番と3番が長文読解となります。長文読解は説明文と物語文の2題が多く、今年も例年通りの構成でした。
【漢字】
毎年のことですが、東大寺学園の漢字問題は、文字自体はさほど難しくないのですが、普通の小学生ではほとんど使わない、大人でもあまり使わないような難しい単語が出題されます。昨年出題の「ガンプクを得る」もそうでしたが、今年も「ロギンを使い果たす」や「カダンな対応」など小学生が答えるとは思えないような言葉が出題されました。今年もその流れは健在でした。
漢字自体は「眼福」「路銀」「果断」と決して難しくはないのですが、いかにも東大寺学園という漢字問題でした。ただ、このような問題ですので、その単語の意味は分からなくても、その読みだけで当てずっぽうで書いて正解する可能性はあります。今年も「意味は分からないけど『路銀』って書いたら正解だった」という生徒もおりました。この1点2点で合否が変わる可能性もあります。わからなくても白紙解答はやめましょう。
つまり、東大寺の受験者は灘受験者と同様、漢字力というよりは語彙力が求められます。過去問などでしっかり対策しておきましょう。
【読解】
2番、3番の読解問題では、毎年長文記述解答の問題が出題されます。今年も60字以内の記述解答が1題、80字以内の記述解答が2題出題されました。
一朝一夕に長文解答はできないと思いますので、しっかり記述練習をしておく必要があります。先に述べましたが、東大寺学園の国語のテストは50分と決して試験時間が長いわけではありません。記述の問題でも時間を取られすぎることなく、すぐに手が動かせるようにトレーニングして慣れておくようにしましょう。
◆算数
東大寺学園2022年の算数入試は、60分100点満点の試験で、昨年と比べ大きく難化しました。3年前もたいへん難しい試験でしたが、その年と同程度、ここ数年の中でも難しい試験内容だったと言えるでしょう。
難しくなった分、受験者平均点と合格者平均点の差は例年ほどには開きませんでした。例年15点以上差がつくことが多いのですが、今年の差は10.8点でした。
また今年は昨年に比べ小問数も増えたことから、時間に追われる試験になったと思われます。
東大寺学園の算数入試の特色は、年により出題分野に偏りがあることです。毎年最初に1問だけ計算問題が出題されていましたが、今年は計算問題の出題がありませんでした。
今年は「数論、規則性、場合の数」の分野から7題、速さが4題出題されました。今年は小問数が16題でしたので、大部分がこの2分野と言えます。
一昨年は「数論、規則性、場合の数」の分野と「割合・比」の分野に偏りがあり、「速さ」の出題がありませんでした。平面図形と立体図形については、問題数の増減はありますが毎年出題されています。
このような試験ですから、得意分野と試験内容が一致すればいいのですが、その年の試験が自分の苦手分野に偏ってしまうと大きく取りこぼしてしまいます。ある意味目星をつけることが難しいので、苦手分野を作らないように準備しなければなりません。
東大寺学園の算数は大問1の小問集合以外は、解き方や式を書く解答形式になっており、そこでの部分点も期待できますので、最後までたどり着かなくても分かるところまではしっかり書く練習をしておきましょう。部分点で1点でも稼げるような解答力やしっかり筋道を立てて解き方を進めていける作業力も必要となります。
◆理科
東大寺学園2022年の理科入試は、50分100点満点のテストで、2年連続難化した昨年よりもさらに大きく難化し、ここ数年で最も難しい試験となりました。
今年も昨年同様大問6題構成で、物理と化学の分野から各2題、生物と地学の分野から各1題の出題でした。出題順序は毎年生物→地学→化学→物理の順で出題され、今年も例年通りの出題順序でした。
例年、物理と化学の分野で難解な問題が出題されますが、今年に関しては化学分野の難易度は2題ともやや緩かったように思います。物理は今年も小問集合のような形で様々な分野の総合問題が出題されました。この部分では解きやすい問題も含まれていますので、出題上は後半ですが先に目を通すなど、時間配分や解く順番を工夫する必要があるでしょう。
今年は昨年に比べ小問数が大幅に増えたため、ややスピードを要する試験となりました。
受験までに過去問などで時間配分を徹底し、取れる問題で確実に得点できるようにしておきましょう。
◆社会
東大寺学園の社会入試は50分100点満点の試験で、昨年よりやや平均点が下がり難化したようにみえますが概ね例年並みの難度でした。
やや難化したとは言え、受験者平均点65.8点、合格者平均点72.6点と他の3科目に比べると点数の取りやすい教科となっています。4教科受験をする生徒は社会でしっかりと点数を稼いでおく必要があります。
今年の出題分野も歴史・地理・公民・総合と例年通りの出題でした。一昨年は天皇即位に関する歴史問題、昨年は鬼滅の刃にちなんで漫画に関する歴史問題、今年は成人年齢に関する公民分野の問題といったように、時事問題に絡めた内容が出題されているのも東大寺学園の社会の特徴です。
日ごろから社会の出来事に関心を持ち、ニュースや新聞などに目を通して親子で話し合う習慣をつけておくと良いでしょう。出題形式などは過去問が参考になりますので、しっかり過去問演習もしておくことをおすすめします。
8.まとめ~東大寺学園中学合格への道~
今年の中学受験は昨年に続き、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた入試となりました。来年2023年の入試もどうなるかは誰にも予測できませんが、これだけははっきり言えます。どのような状況下でも慌てずに受験できるよう、今からしっかり準備していきましょう。
自主性を重んじる自由な校風の東大寺学園は、毎年多くの東大・京大進学者を輩出している男子の中高一貫校。少子化でも毎年多くの受験者がチャレンジする人気校で、関西地区の最難関中学と位置付けられています。
小学生が自分1人で最難関校の受験勉強するのは難しいと思われますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。