「夏は受験の天王山」と言われています。受験生にとっては勝負となる大事な夏休み。親としてこの時期にどうサポートしたらいいのか、また必ずやっておきたいことなどをご紹介します!
1.志望校選びで最も大事なこと
夏休みが明ければすぐに志望校に向けてラストスパートが始まります。どんどん忙しくなっていきますので、夏休み中に志望校選びをしておくのがベストです。もう志望校が決まっているご家庭でも、今一度本当にそれでよいのか確認しておきましょう。
志望校選びについては、2022年6月に当ブログで「志望校の決め方~後悔しない受験校選び5つのポイント~ 」でご紹介させていただきました。そのなかで、「やってはいけない志望校選び」として3つのポイントを挙げています。
そのうちの2点、
①「子どもか親のどちらかだけで志望校を決めてしまう」
②「両親の意見が不一致」
についてここで補足いたします。
実はこの2点が志望校選びにおいてたいへん重要なことで、これから受験に向かうお子さまのモチベーションに大きく関わり、ラストスパートがうまくできるか否かのカギとなります。
まず夫婦で意見を一致させることがとても大切です。父親と母親が考えている受験校が違っていて、当の本人である子どもの意見が全く無視されている状況を目にすることがあります。
母親は父親のいない時に、「A校がいいわよね、あなたもそう思うでしょ」と言い、父親は母親がいない時に「B校だろ、決まってるよな」と詰め寄ります。
または、どちらか一方が無理をさせてでも最難関校に入れたくてハードな勉強を強いているのに対し、もう一方は分相応でいいと思っていて、勉強はそこそこすればいいと思っている、それどころか受験することさえ否定的という意見不一致のケースもよくあります。
かわいそうなのは子どもです。両親の間で板挟みになってしまい、どちらにも不快な思いをさせたくないし怒らせたくもないので、どちらも否定せずに「そうだね」と答えていることもあります。
親には笑顔を見せていても、子どもは両親の意見の不一致にストレスを感じ、また、仕方なしに両方の意見に曖昧に肯定している自分自身に対しても大きなストレスを感じています。
受験そのものに大きな負荷がかかるのに、受験とは関係のない所で両親がけんかをしていては余計なストレスが加算され、勉強に対するモチベーションは大きく減退します。自分のことで両親がもめていると思うとなおさらです。
勉強して成績が上がると受験校の選択肢が広がり、ますます両親の仲が悪くなると考えると、勉強に身が入るはずがありません。「自分のせいで家庭が崩壊している…」などと悲しくなってくるかもしれません。大人として、受験期の子どもをそのような気持ちにさせることだけは避けなければいけません。
2.家族会議を開こう!
夏休み中にぜひおすすめしたいのが、家族会議の開催です。前述のように、両親がバラバラに自分の意見を押しつけたり夫婦で揉めたりしていては、子どもが置きざりにされ、子どものためのはずが、逆に子どもによくない影響を及ぼしてしまっていて本末転倒です。
主役はあくまで子どもですから、きちんと本人の意見を聴くことが何より大切です。夏休みは家族がゆっくりと膝を突き合わせて話せる最後のチャンスです。もちろん、夏休みとはいえ、夏期講習などもあって忙しいでしょう。
それでも、志望校は必ず決めなければなりません。それにはあまり時間もありません。後回し後回しにして出願時期ギリギリになると、落ち着いて話し合ってもいられなくなります。また、時間が迫ってくると結論を急ぐため感情的になってしまいがちです。
家族会議といっても、何も大げさに考える必要はありません。好きなスイーツや飲み物などを用意して、リラックスした話しやすい雰囲気で始めましょう。決して親が感情的にならないことです。そして子どもの考えを否定せず、最後までしっかり聴いてあげることがとても大切です。
もしかすると、今まで考えもしなかった学校名がお子さんの口から出てくるかもしれません。それはとてもいいことです。そのための家族会議です。決して頭ごなしに否定するのではなく、一緒に検討してあげてくださいね。
ポイントは、
◆一方通行にならない |
ことです。
そんなことわかっていると思われるかもしれませんが、気がつくと自分の意見を一方的に押しつけて、子どもがただひたすらうなずいているだけということがよくあります。
学校案内のパンフレットやネットを閲覧して、いろいろな学校を比較検討しながら楽しく会議を進めてください。
家族の考えが一致することができれば、その学校に向けて本人もよりいっそう勉強に集中して頑張ることができます。勉強に集中することができれば、当然成績にも反映されるでしょう。
受験に向けて家族皆で同じ方向を向くことができれば、本番に向けてますます好転していくに違いありません。
3.夏休み中に話し合っておきたいこと
家族会議でこの夏中に話しておきたいことは、志望校選びだけではありません。
せっかく話し合いの機会を設けることができたので、2学期以降受験までの簡単な学習スケジュールも話し合っておくといいでしょう。
受験が近づくと、学校を休む受験生も増えてきますが、学校を休む是非についても意見が分かれます。子どもも親も、学校を休んで受験勉強に専念したい「休む派」もいれば、学校は休みたくない「休まない派」もいます。
親と子で意見が同じならいいですが、違う場合はよく話し合っておきましょう。これも基本は子どもの意見を尊重してあげてください。
2学期は学校の行事が多い時期です。小学校生活最後の思い出作りをしたいと考える子どもも多いでしょう。そのような考えのお子さまに無理やり学校を休ませて自習をさせたところで、学校のことが気になって勉強にはなりません。それよりはしっかり学校生活を楽しんで、帰宅後に切り替えて塾で頑張る方がよほど効果的です。
また、地域によって受験組が多い学校と少ない学校があります。受験組がたくさん休んでいると焦るかもしれませんし、逆にほとんど休みがないのに自分だけ休むのも休みづらいでしょう。そういう意味でも本人の意見を尊重してあげましょう。
そして一番大事なことは、受験当日、健康で前向きに気持ちよく試験に向かうことができるようにすることです。家族内のことなどでストレスを感じ、食欲もなくなって体調を崩してしまっては、今まで頑張ってきた成果が発揮できずに悔いが残ることになります。
受験前には誰でも緊張でストレスがたまったり体調を崩したりしがちです。それ以上無駄にストレスを溜めないように、親がしっかりフォローしてあげましょう。
4.まとめ~親の心得!
毎年夏のこの時期になると、親のほうが「夏休みが勝負!」と必要以上に力が入ってしまうことがあります。子どもたちは夏期講習でもさんざん先生から発破をかけられています。家でまで追い詰めないであげてください。
親の焦りやイライラは、子どもに伝染します。「うちの子だけやっていない」「ぜんぜん勉強が足りていない」と焦らずにどっしりと構えていてあげてください。皆が必死にラストスパートをかけているように見えて、焦ってしまうかもしれませんが、人それぞれです。他と比べても意味がありません。それに案外考えていることは皆一緒です。焦っているのは決して自分たちだけではないことを覚えておきましょう。
心配な場合には、やはり受験のプロに早めに相談することをおすすめします。受験のプロなら、そのお子さまに合った適切で効果的なアドバイスをしてもらえます。
焦ってプレッシャーに押しつぶされる前に、まずは信頼できる第三者に相談してみましょう。