受験当日、緊張のあまりいつもの力が発揮できなかったという後悔談は少なくありません。実力以外のことで失敗しないために、受験生本人はもちろん親も行っておくとよい「事前準備」について詳しくご紹介いたします!
CONTENTS:
1. 自分は緊張しないが一番危ない!?
中学受験はもう始まっている!
2023年の関西中学統一入試日は1月14日(土)、関東では2月1日(水)から本格的に中学受験がスタートします。一方、地域によっては既に入試が行われ、もう終了しているところもあります。
岡山中学など中国地方の中学受験は年内にスタートしました。これらの地域の中学受験生にとっては「もう受験は終了した」という人もいるでしょう。中学受験はもう始まっているのです。
中学受験を侮ることなかれ!
入試当日はいくら万全と思っていても、どうしても緊張はするものです。これはある意味当然で、適度な緊張感も受験には必要です。
しかし、極度に緊張し、実力が発揮できなくなってしまっては、これまで頑張ってきたことが無駄になってしまいます。
ふだんあまり緊張しない人でも本番は緊張感に呑まれてしまうということもよくあります。実際、「自分は緊張しないから大丈夫」と思っていた受験生が当日緊張してしまい、「こんなはずじゃなかった」とどんどん焦りが増し、いつもの実力の半分も出せなかったなどという話もよく聞きます。
しっかり準備しておこう!
受験というのはそれくらい独特の空気感の中で行われます。変な過信をせずに、自分も緊張するだろうと構えておきましょう。
そして、大事なことは、緊張は事前の準備である程度緩和できるということです。当日、失敗しないためにも、これからご紹介する準備をしっかり行っておきましょう。
2. 体調管理・フィジカルケアの意外な盲点とは?
受験で最も大事なこと
当たり前のことですが、受験において最も大事なことは「体調管理」です。これまでにも何度もお伝えしてきましたが、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症をはじめ、何かしらの疾病に罹患することなく、健康体で本番を迎えることが何より大切です。それには家族全員の協力も必要不可欠です。
意外な盲点とは
意外な盲点となっているのが、ケガなどのフィジカルケアです。感染症などの疾病ばかり気にして、フィジカル面をあまり意識していないことが多いため、十分な注意が必要です。
机に向かってばかりであまりカラダを動かしていない上に、この時期は気温も低く、思ったようにカラダをうまく動かすことができず、日常の遊びのなかで思わぬケガをしてしまうケースが毎年のようにあるのです。
小さなケガでも‥‥
松葉杖をついて受験会場に行くことになったらたいへんですし、ボール遊びなどで「突き指」してしまうのも要注意です。「突き指くらいで大げさな」と思われるかもしれませんが、特に鉛筆を持つ利き手のケガは、大きなハンデとなります。
しっかりと鉛筆が握れずスムーズに筆記ができないことから、スピード面で遅れをとったり、字がうまく書けなかったりする恐れがあります。自身が書いた「5」と「6」を見間違えて計算してしまう、わかっている漢字問題で正確な文字が書けずに失点となるなど、さまざまなリスクが考えらえます。
利き手ではなくても、カラダのどこかに少しでも不調があれば、それだけ試験に集中することが難しくなることは間違いなく、できる限りそういった無駄な違和感は省きたいところです。
しっかり対策、こまめにケア!
感染症などの予防はもちろん、ケガにも注意しましょう。だからといって、家の中でずっとじっとしているのではなく、晴れた日には家の周囲を軽く歩いたり、室内でもこまめにストレッチをしたりするようにしましょう。適度な運動は健康面にはもちろん、脳の活動にも影響しますし、大切ですよ!
3. 受験生の親が直前にやるべきこと・気をつけること
親が直前に必ずチェックしておくこと
受験直前期に親が必ずしておかなくてはならないことは、受験当日のスケジュールの最終チェックです。
受験当日は何時に起きて、何時の電車に乗って何時何分に到着する予定なのか。また、当日の付き添いは母親なのか父親なのかも決めておきます。当日になってどちらも行けないということのないようにしてくださいね。
1日に2校受験する場合のチェック事項
1日で午前と午後の2校受験する場合はより注意が必要です。午前の受験が終わってすぐ移動しなければなりませんので、どこで待ち合わせをするのかも細かく決めておきます。
よくある失敗談として、「正門前で」と待ち合わせしたつもりが、人が殺到していてなかなか出会えず、午後の試験時間ギリギリになってかなり焦ったというもの。その点も考慮して待ち合わせ場所を決めるようにしましょう。
すべてのスケジュールの時間に余裕をもって!
受験に関するスケジュールの時間はギリギリにならないように、余裕をもって設定しましょう。緊張感から急に腹痛を起こさないとも限りませんし、途中でトイレにかけこむことがあるかもしれません。あるいは、鼻水が止まらなくなり、ティッシュがなくなってしまってコンビニに立ち寄るかもしれません。
充分に余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。
家では受験生に配慮を!
受験直前期の受験生はかなりナーバスになっているはずです。受験が終わるまで、なるべくご家族も協力してあげるようにしてください。
たとえば、テレビやゲームなどを受験生本人が我慢しているようなことを目の前で行うようなことは避けてください。
とくに中学受験直前期は年末年始でテレビも特番が組まれ、楽しい番組がたくさんあります。受験生が最後の力を振り絞って1人頑張っているのに、その横で家族がテレビを見て大笑いしていたら、やるせなくなってやる気もなくしてしまいます。お子さまが我慢しているのですから、親も受験生の目に入るところでは新聞や本を読んだり、仕事や家事をしたりし、テレビやゲームなどの遊び事は本人がいない時にするなど配慮してあげましょう。
4. 受験当日の服装・持ち物
当日の服装と注意点
受験当日の服装も大事です。中学受験は雪が降るような寒い時期に行われます。外はかなり寒いですが、試験会場はしっかりと暖房が効いていることがほとんどです。しかし、会場や着席した場所によっては暖房が効きすぎていたり、ぜんぜん効いていなかったりすることもあります。
暑すぎて試験中にボーっとしてしまったり、寒すぎて手がかじかんでしまったりということもありますから、脱ぎ着しやすい服装がいいでしょう。
また、変に気張って新しいオシャレな服装で行く必要はありません。よく着慣れた、腕や肩に負担のかからない軽い服装がおすすめです。ただし、数字や文字の入った服装は不可という学校もありますから、よく注意してください。
基本的に大学や高校入試では、英字がプリントされている服装はNGですが、念のため中学入試でも、漢字や数字、英字などが入ったプリントものはやめておいた方がいいでしょう。
試験会場で、他人の見ている前で「その服装は着替えて下さい」と言われたり、暑いのに上着を着用させられたりするかもしれません。思った力が発揮できないどころか、モチベーションも大きく下がり、変に動揺するなど、少なくともいい結果には繋がらないでしょう。
当日の持ち物と注意点
前述の服装と同じ観点で、筆記用具やティッシュなどの持ち物にも注意が必要です。基本は試験中に使用する持ち物すべて文字や数字などが入ってないものを使ってください。「合格」という文字が入った鉛筆や消しゴムもやめておきましょう。
同様に、鼻水や鼻血が出た時のためにとポケットティッシュをたくさん用意する人がいますが、街頭でよく配られているような裏面に広告が入っているものは使用しないでください。
偶然にも問題の答えやヒントとなる漢字が書かれていないともいえませんので、カンニングと見なされ、その解答だけが失点するだけならまだしも、その試験自体が失格となってしまっては泣くに泣けません。
試験中にティッシュを出す場合、「袋から出した状態で」という決まりがあるところがほとんどだと思いますが、つまらないことでイヤな思いをしないように、持ち物も事前にしっかりチェックして準備をしておきましょう。
一般的な入試当日の持ち物は以下の通りです。もちろん、学校によってこれ以外のものが必要なこともありますから、よく入試要項等を読んでチェックするようにしてください。
◆入試持ち物チェックリスト
□受験票
□筆記用具(字などがないもの)
□マスク(予備に複数枚)
□時計(アラーム・計算機能のないもの)
□カイロ、防寒着(脱ぎ着しやすいもの)
□飲み物(暖房が効きすぎて暑かったり、乾燥して喉が渇いたりする場合も)
□(食べやすく消化の良い)弁当、甘いもの(必要な場合)
□メガネ(必要な人のみ)
□ハンカチ、ティッシュ(字などがないもの)
□保険証(緊急の場合や身分証として)
□現金、交通機関ICカード
□その他受験校の入試要項等をしっかりチェック
持ち物のチェックは、受験当日までに必ず親御さまが最終確認しておきましょう。
5. 受験当日の行動に関する注意事項
試験会場へ行く際の注意点
試験会場へは必ず家族のみで行くようにしてください。友人や塾の仲間と一緒に行くのは避けましょう。もちろん場合によっては、友人と一緒の方が緊張しないし安心だという考え方もあるかもしれません。しかし、お勧めはできません。
その理由は、友人が待ち合わせ時間に遅れてきたり、場所を間違えたりなどといったトラブルになりかねないからです。せっかく万全の準備をしていても、そのせいで計画が崩れたり、モチベーションを下げてリズムを崩したりする可能性もあります。
いくら仲のいい友人でも、試験会場ではライバルです。友人との何気ない会話のはずが、緊張をほぐすどころか不安を煽ったり不快に感じたりして、試験中まで引きずってしまうなどといったことも大いにあり得ます。
親子だけの方がよほど入試に集中できますし、有益な会話ができるでしょう。
合格発表時の注意点
合格発表も同様です。最近はネットによる発表が主流になってきたとはいえ、受験番号が張り出される形式の発表も根強く残っています。もし発表を見に行くのであれば、これも友人とは行かないようにしましょう。
2人どちらも合格なら問題ないのですが、片方が不合格の場合は相当気まずくなります。双方がストレスになって、次の試験にも影響を及ぼしかねません。いずれにしてもあまりいいことはないので、家族以外とは一緒に行かないようにする方が賢明と言えるでしょう。
6. 合格発表に関する注意事項
試験前に併願校の合格発表を見る?それとも見ない?
昨今の中学受験は複数校受験することが多く、試験と試験の合間に合格発表があるケースも少なくありません。第1志望校の合格発表の直後に第2志望の併願校の試験が始まることもありますし、逆に第2志望の併願校の合格発表が午前中にあって、その日の午後に第1志望校の試験があるというケースもあるでしょう。
そのような場合、「合格発表を見た方がいいのか否か」といった質問をよく受けます。
お子さまの性格にもよりますから、一概にはいえませんし、これが絶対に正解という答えもないのですが、強いて言うならば、答えは「どのタイミングで結果を見るのか、最初から親子で決めておく」です。
結果を事前に見ることのメリットとデメリット
結果を事前に見ることに決めた場合は、合格していれば、心の余裕ができて次の試験のプラスに働きますが、不合格の場合は気持ちが動揺し、今度こそ何とかしなければというプレッシャーに打ち勝てない恐れもあります。
一方、結果が出ることは本人もわかっているので、「どうだったんだろう」と気になって次の試験に集中できないのであれば、結果はどうあれ知っておく方がいいという考えもあります。
事前に見る方がいいタイプのお子さまもいれば、そうでないお子さまもいます。大事なのは、本人とよく話し合って、予めどちらにするか、どのタイミングで見るのか決めておくことです。
結果を見ないと決めた場合
次の試験に影響してしまいそうだから前の試験結果を見ないと決めた場合は、「私も見ないから、この試験が終わってから一緒に見ようね」と言って、親も見ないようにしてください。親だけがこっそり見ると、子どもは親の顔色をうかがって察してしまいます。動揺がより大きくなってしまうので絶対にやめましょう。
結果を見ると決めた場合
本人が「結果が気になって仕方ないから、悪くても先に見たい」と事前に見ることにした場合、良い結果のときは問題ありませんが、悪い場合はどうフォローするのか考えておく必要があります。
何よりまず親が動揺してはいけません。まちがっても「うそでしょ」「どうするのよ」「次はがんばりなさいよ」といった追い詰めるようなネガティブな言葉は絶対に言わないでくださいね。
「だいじょうぶ」「自分を信じて」とやさしい笑顔でポジティブに送り出してあげてください。それができないのであれば、やはり試験が終わるまでは親子ともに見ないと約束しておいた方が無難だとは思います。
7. まとめ~緊張をほぐす特効薬
今回は中学受験直前のチェック事項や注意点として、体調管理をはじめ、服装や持ち物、合格発表を見るタイミングなど、本番の試験で緊張したり、悪い影響を及ぼしたりしないための事前準備をご紹介しました。
最後に、親御さまにできる準備でいちばん重要なこと、それは「笑顔」です。子どもにとって親の笑顔は緊張をほぐす何よりの特効薬です。毎日笑顔で「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえり」「おやすみ」と声かけをしてあげてください。これは受験前日も当日も変わりなく行ってください。お子さまも応援してくれていると感じると安心するはずです。
何はともあれ、冒頭でもお伝えしたように受験シーズンは既にスタートしています。
今まで頑張ってきたことを信じ、悔いのないように全力を尽くしてください。
何か不安なことやわからないこがある場合は、受験のプロにご相談くださいね。最後の最後まで諦めず一緒に頑張りましょう!
体調管理はしっかりと、
最後まで諦めず頑張りましょう!!