2023年の中学入試から、今回は洛南高等学校附属中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2024年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1. 洛南高附中2023年入試の特徴
洛南高附中は国語・算数・理科の3教科、または国語・算数・理科・社会の4教科受験のどちらかを選ぶことができます。
試験時間は国語が60分、算数が70分、理科と社会はそれぞれ45分です。3教科の配点は、国語と算数がそれぞれ150 点、理科が100点の計400 点満点で、4教科は理科と社会を各50点と換算して3教科と同様に400点満点としています。合格判定に3教科、4教科の区別は行っていません。
受験日は東大寺学園と同様に統一受験日から3日目(2023年は1月16日)で、統一試験日初日と2日目に灘中や甲陽学院中を受験した受験生の併願校として東大寺学園と二分しています。
2. 2023年洛南高附中の入試データ
(前年比)
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率 |
男子617名(+107) 女子266名(+1) 合計883名(+108) |
男子529名(+101) 女子252名 (-5) 合計 781名(+96) |
男子200名(+9) 女子 90名(-9) 合計 290名(±0) |
男子2.65(+0.41) 女子2.80(+0.21) 合計 2.69(+0.33) |
昨年は男子の志願者数、受験者数が100名以上大きく減少しましたが、今年は昨年の減少分と同等数増加しましたので、一昨年の2021年のレベルまで戻りました。
女子に大きな変化はありませんでしたが、受験者数が2年連続でやや減少しています。
実質倍率も昨年の2.36倍から2.69倍と大きく上がり、こちらも一昨年と同じような倍率でした。
女子は男子よりも合格者数が大幅に少なく、2021年まで3倍を超える実質倍率でしたが、2022年は合格者が増加したため2.60倍と大きく下がり、今年は2.80倍にまで戻りました。2年連続で3倍を下回るなどやや落ち着いています。
3. 地域別、志願者数・合格者数
2023年洛南高附中入試で府県別に合格者数が多い順に並べたものが下の表です。
※( )内は昨年比 <人>
|
志願者数 |
合格者数 |
兵庫県 |
266(+71) |
98(+18) |
大阪府 |
263(+2) |
74(-20) |
京都府 |
179(+5) |
63(+1) |
滋賀県 |
67(+1) |
23(-1) |
奈良県 |
41(+15) |
9(-6) |
その他 |
67(+14) |
23(+8) |
2023年の洛南高附中入試は昨年と比べ、志願者数も受験者数も大きく増加しました。
上記の通り、兵庫県で大きく増加しておりますが、2022年は2021年に比べ65名も減少していたので、例年並みの人数に戻ったと言えます。
大阪府の合格者数は大きく減少し、2年連続で減少しています。奈良県の志願者も大きく増加しましたが、合格者数は減少しています。また、近畿圏外からの志願者も年々増加し、合格者数も増えています。
4. 洛南高附中志望者の受験パターン
洛南高附中志望者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛)・北嶺(北海道)・岡山白陵(岡山) |
|
1日目 1/14(土) |
2日目 1/15(日) |
3日目以降 1/16(月)~ |
・灘1(兵庫) ・甲陽学院1(兵庫) ・洛星前期(京都) ・大阪星光(大阪) ・高槻A(大阪) ・四天王寺(大阪) ・帝塚山1B(奈良) |
・灘2(兵庫) ・甲陽学院2(兵庫) ・東山前期B(京都) ・西大和学園(奈良) ・高槻B(大阪) ・京都女子B1(京都) |
・洛南高附属(京都)
【4日目以降(1/17~)】 ・東山後期(京都) ・洛星後期(京都) ・清風南海B(大阪) ・大阪桐蔭(大阪) ・開明2(大阪) |
洛南高附中の受験日は、統一入試日から3日目(今年は1月16日)です。
【男子】
洛南高附中を第一志望にする併願校として、男子なら統一入試日までに愛光、北嶺、岡山白陵などを前受け受験し、統一入試日初日と2日目は灘または甲陽学院の2日間受験、あるいは初日に洛星、大阪星光、高槻のいずれかを受験し、2日目に西大和、高槻、東山などを受験して3日目の本命に臨むパターンが多く見られました。
【女子】
女子は、統一入試日までに愛光や岡山白陵などを前受けとし、統一入試日初日に四天王寺、高槻、帝塚山のいずれかを受験、2日目に西大和、高槻、京都女子など受験し3日目に臨むパターンが多いようです。
【4日目以降】
初日、2日目の結果を確認して合格がなければ、4日目以降に男子校は東山や洛星、共学校は清風南海、大阪桐蔭、開明などが後半の併願校となりました。
5. 大手進学塾別合格者数
関西大手進学塾の洛南高等学校附属中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
希学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
成基学園 |
137(-10) |
60(+16) |
47(+8) |
46(+8) |
23(-14) |
能開センター |
進学館 |
京進 |
SAPIX |
第一ゼミナール |
14(-1) |
8(+2) |
8(-7) |
5(+1) |
2(-5) |
今年も減少したとはいえ、やはり浜学園が昨年に引き続き他校に大きな差をつけ、圧倒的多数の合格者を出しています。ただ昨年は浜学園と2位の希学園との差が103名でしたので、今年は77名差と大きく差が縮まったともいえます。
灘、東大寺、甲陽のブログでもご紹介しましたが、希学園はいずれの学校も合格者数が増加していて、今年は希学園が大躍進しています。
日能研も昨年に引き続き8名の増加と堅調な伸びを見せています。昨年10名以上増加した京進は、今年また大きく減少に転じました。地元京都には強いはずの成基学園ですが、3年連続で京都最難関の洛南高附中の合格者数が減少しています。
6. 科目別平均点
洛南高附中は受験者平均点を算出していないため、合格者平均点と最高点、最低点をご紹介します。
(前年比)<点>
|
合格者平均 |
合格者最高点 |
合格者最低点 |
国語(3科) |
89.2(+0.6) |
127(+3) |
57(+5) |
国語(4科) |
95.8(+2.6) |
||
算数(3科) |
98.0(-14.6) |
150(±0) |
54(±0) |
算数(4科) |
89.5(-15.0) |
||
理科(3科) |
66.4(+4.1) |
98(+6) |
34(+1) |
理科(4科) |
63.0(+3.7) |
||
社 会 |
70.6(-2.5) |
92(-2) |
55(+6) |
合計(3科) |
253.6(-9.9) |
332(-16) |
209(-3) |
合計(4科) |
252.6(-11.6) |
※国語、算数は各150点、理科100点の400点満点(4教科の理科、社会は各50点換算)
2022年は2021年に比べ大きく難化しましたが、2023年の今年は昨年よりもさらに難化し、合格最低点が直近の5年間で最も低い点数となりました。
【国語】
科目別にみると、国語は2021年がたいへん易しく、その反動で2022年は難化したものの例年並みの難易度でした。2023年の今年もやや平均点は上がっていますが、概ね例年並みといえます。
【算数】
算数は2022年大きく易化し、その反動で2023年の今年は大きく難化しました。例年と比べても難しい試験でした。比較的算数の得意な生徒が多い3科受験の合格者平均点が150点満点で100点にとどかなかったのは2018年以来です。
【理科】
理科は2022年大きく難化したのですが、2021年が易しかったので例年並みの難度でした。2023年の今年は2022年より易化し、例年と比べてもやや易しいレベルでした。
【社会】
社会は2年連続で難化しました。とはいえ、合格者平均が70点を越えていますので、高得点勝負の試験であるといえるでしょう。
7. 洛南高附中、科目別の傾向と対策
今年度の洛南高附中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【難易度】
洛南高附中の2023年国語入試は、昨年度と同程度の難易度で、概ね例年並みの難易度でした。
【試験時間・配点と構成】
60分150点満点の試験で、例年通りの大問3題構成。論説文、物語文、随筆文の3題で、知識問題の単問はなく、小問の中に漢字や慣用句、外来語などの知識問題がちりばめられている構成です。
問題用紙はB5の冊子形式で20ページにもなります。ボリュームに圧倒されないようにしましょう。
解答形式は難関校の中では記述解答が比較的少なく、今年度も字数制限のある50字以内の記述と、40字以内の記述が2題の3題のみでした。
【傾向】
かなりの長文を読むことになりますので、読解スピードが要求されます。多くの文字数を読むことになり、60分という時間に全く余裕はありません。
途中の知識問題などは本文を読まなくても解答できるものが多いので、そのような問題から解き進めるなど、解く順の工夫や時間配分には十分注意が必要です。
やはり知識問題は得点源になるので、途中で時間が足りなくなってしまい、本来答えられた知識問題に手を付けることなく終わってしまうのは非常にもったいないことです。
【対策】
洛南高附中の国語対策に必要なのは、時間との勝負にもなるため長文を読む力とスピード力、また問題数が少ないとはいえ、記述は配点が高いので確実に部分点が取れるように記述力も大切です。
時間を見ながら解く順番を意識して問題を解き進められるよう、過去問や問題集などでしっかり対策しておきましょう。
◆算数
【難易度】
洛南高附中2023年算数入試は、2022年より大きく難化しました。2018年から難化と易化を繰り返しています。今年は例年に比べても難しい試験でしたので、来年度2024年入試が易化する可能性は高いです。
【試験時間・配点と構成】
70分150点満点の試験で、70分とやや長めの試験時間ですが、問題数も多く難問も多いため、時間は足りないくらいでしょう。
洛南高附中の算数は解答のみで解き方を書く欄はありません。その分、部分点がもらえないためケアレスミスは許されず、最後まで正確に解答を出さないと一点にもなりません。正確性を要する試験となります。
【傾向】
毎年大問1には計算問題が数題出題されています。ここでは時間を使わず全問正解して、後の大問に時間が残せるようにしたいところです。計算の工夫ができれば、さほど時間をかけずに解き進められる問題です。
大問1の計算問題以外に「平面図形」「立体図形」「速さ」「場合の数」といった単元からの出題が頻出です。また、洛南高附の校章の形にちなんで、毎年六角形に関する問題が出題されています。今年は立体図形の切断面が六角形でした。
【対策】
全体的に前半は比較的シンプルで、後半になるほど難度が増していきます。前半で確実に点数を稼ぎ、取りこぼしの無いようにすることが重要です。過去問でしっかり演習しておきましょう。
洛南高附中の算数は部分点が見込めないため、小さなケアレスミスが命取りになりかねません。以前掲載しました当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【難易度】
洛南高附中2023年理科入試は、昨年に比べやや易化しました。昨年が概ね例年並みの難易度でしたので、今年は例年と比較しても比較的易しい試験だったといえます。
【試験時間・配点と構成】
45分100点満点の試験。例年5題構成で、今年も生物分野2題、化学、地学、物理が各1題ずつで、大問1と大問2が生物、大問3が化学、大問4が地学、大問5が物理という出題順序も例年通りでした。
問題用紙は他教科と同様に冊子形式で、今年は16ページでした。昨年より2ページ減っています。昨年に比べ小問数が10問以上増えましたが、さほど負担にはならなかったと思われます。
今年は記述問題が出題されましたが、これは2018年以来となります。10文字程度の解答で難度も高くありませんでした。
【傾向】
大問4の地学分野の問題までは比較的解き進めやすかったと思われますが、大問5の物理問題は難問でした。
化学分野は「中和計算」や「気体発生」が頻出で表やグラフの読み取りに慣れておく必要があります。
やや面倒なのは、記号選択の問題です。該当するものを「すべて選びなさい」という問題が多い傾向にあります。このような問題は全ての選択肢を読まなくてはいけないので時間を要します。十分注意しましょう。
また、今年は計算問題の出題割合が高かったのですが、難易度は特別高くはありませんでした。
【対策】
記述や計算問題だから難問かと後回しにしたら案外スムーズに解けたり、逆に記号選択問題だから簡単に答えられるかと思うと時間がかかったりするようなことがあります。
時間配分を間違えないよう、時間を計りながら過去問演習を行うなどしっかり対策しておきましょう。
◆社会
【難易度】
洛南高附中2024年社会入試は、昨年に比べやや難化しました。難化は2年連続となりますが、合格者平均点は70点以上あり、高得点勝負の差がつきにくい試験です。
東大寺学園や大阪星光学院に比べて基本的な難易度の問題が多く、解き進めやすい内容です。
【試験時間・配点と構成】
45分100点満点の試験。問題用紙は他教科同様にB5の冊子形式で今年も昨年同様の34ページでした。問題冊子の厚さに圧倒されそうになりますが、開いてみると空白も多く字も大きいのでそれほど多くの字数を読まされるわけではありません。
大問3題構成で、大問1が歴史、大問2が地理、大問3が公民という順で出題されます。小問数は毎年50問前後です。
【傾向と対策】
歴史、地理、公民の各分野から、やや歴史分野が多い傾向にあるものの概ね均等に出題されています。他校では地理・歴史に偏った出題が多いので、洛南はやや公民分野が多いとも言えます。
過去問演習の際は、問題文をしっかりと最後まで読む癖をつけておくようにすること、短文記述対策もしっかり行いましょう。
また、歴史や時事問題対策として、日ごろから新聞やニュースに関心を持ち、政治や外交、文化などの問題を家族で話し合うなどして、歴史の重要事項や時事ワードを説明できるようにしておくとなお良いでしょう。
8. まとめ~洛南高附中合格への道~
昨年特に男子受験生が大きく減少した洛南高附中でしたが、今年は男子受験生が100名以上増え、男女ともに倍率2.5倍以上の狭き門となりました。来年度入試の倍率がどうなるかはわかりませんが、どのような状況下でも自分の力が発揮できるよう、今からしっかり準備しておきましょう。
洛南高等学校附属中学校は、日本最古の私立学校「綜藝種智院」を起源に持つ、洛南高等学校の附属中学で、毎年東京大学や京都大学、医学部など最難関大学にも多数進学している京都の名門共学校として有名です。学業はもちろん、スポーツもトップクラスの英才教育校で人気が高く、最難関中学校と位置付けられています。
小学生が自分1人で最難関校を受験勉強するのはとてもたいへんだと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。
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