【最新版】四天王寺中合格への道!2023年入試からみる2024年の傾向と対策

  • 2023.04.08
  • 受験情報

 

 

2023年の中学入試から、今回は大阪府の女子中最難関、四天王寺中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析各科目の傾向やポイント、2024年の対策等について徹底解説いたします!

 

CONTENTS:

1.四天王寺中入試の特徴

2.一昨年度より変更となった新コース制度について

従来のコースと課題

新コース

3.2023年の受験者数データ

4.四天王寺中志望者の受験日程パターン

5.大手塾別合格者数

6.科目別成績データ

7.2023年度入試からみる科目別の傾向と対策

国語

算数

理科

社会

8.まとめ~四天王寺合格への道~

 

 

1.四天王寺中入試の特徴

 

四天王寺中の入試は、国語・算数・理科・社会の4教科型、または国語・算数・理科の3教科型のどちらかを出願時に選択して受験します。

試験時間と配点は国語と算数が各60分120点、理科と社会は各40分80点の合計400点満点で、得点の計算方法は以下の通りです。

 

<3教科型> 評価点

・国語・算数・理科の合計点×1.25

 

<4教科型> 評価点=下記①~③のうち最も高得点の点数

① 国語・算数・理科・社会の合計点

② 国語・算数・理科の合計点×1.25

③ 国語・算数・社会の合計点×1.25

(※医志コースは①または②の高得点で評価)

 

 

2.一昨年度より変更となった新コース制度について

 

■従来のコースと課題

四天王寺中の入試は、一昨年2021年からコース分けが大きく変わりました。2020年までは「医志コース」、「英数Ⅱコース」「英数Ⅰコース」というレベル別のコースと「文化・スポーツコース」の4コースがあり、医志コースで受験しても、英数Ⅱコースや英数Ⅰコースへの廻し合格もあったため、医志コースを受験する生徒が多くいました。

 

しかし、このコース分けの場合、医志コースに合格できる高い学力があっても、医学部を志望しない最難関の理系、文系学部進学を考えている受験生にとっては、英数Ⅱコースを選ぶか他の学校を選ばざるを得ないということが課題でした。

 

■新コース

優秀な生徒の流出を防ぐために、2021年から新コースとして「英数Sコース」が新設されました。医志コースと英数Sコースを同列に置き、その下に「英数コース」があり、医志コース受験者や英数Sコース受験者から英数コースに廻し合格はありますが、医志コースから英数Sコースへの廻し合格はなくなりました。受験時に医志コースか英数Sコースかを選択することになります。

 

ちなみに医志コースと英数Sコースは同列とは言いましたが、今年度入試の合格者最低点は、医志コースが293点、英数Sコースが289点と、3年連続で医志コースのほうが高い点数での勝負となっています。

とはいえ、昨年の合格最低点は医志コースが277点、英数Sコースが265点ですので、昨年に比べると今年はかなりその差が縮まっていると言えるでしょう。

 

また、合格後に入学が必須の「英数コース専願」は、併願の合格者最低点より毎年20点近く低いので、四天王寺中に入学したい気持ちが強いのであれば、専願で受験することをお勧めします。

 

◆医志コース(募集定員:約40名)

キャリア講座や英語のカリキュラムをより充実させ、6年間を通してハイレベルな知識、学力、教養を身につけながら、国内外の最難関医歯薬学系大学進学をより確実に目指すコース。

 

◆英数Sコース(募集定員:約40名)

医歯薬学系以外の文系、理系の文理混合クラスに国際教養も身につけるハイレベルなコース。医志と同等レベルの最難関国公立大学、海外大学進学を目指します。

 

◆英数コース(募集定員:約170名)

従来の英数IIと英数Iを合わせたもので、英数IIの教育スタイルに新しい教育プログラムを融合した基礎力を高めるための手厚いサポートが得られるコース。

 

◆文化・スポーツコース(募集定員:約20名)

世界を目標に見据えたアスリート&アーティストを目指すコース。他コースと違い、有名難関国公立・私立大学進学を目指すコースではありません。

 

 

3.2023年の受験者数データ

(前年比)<人>

 

募集

人員

志願者数

受験者数

合格者数

実質倍率

医志コース

40

155(-44)

147(-52)

82(-8)*

1.79

(-0.42)

英数Sコース

40

120(-4)

110(-8)

61(+7)*

1.80

(-0.39)

英数コース(併願)

170

15(-6)

13(-8)

6(+1)

 

英数コース(専願)

 

401(+74)

392(+74)

208(+53)

 

合  計

250

691(+11)

662(+6)

431(+23)

1.54

(-0.07)

(※文化・スポーツコースは除きます。)

*医志コースの合格者から41名、英数Sコースの合格者から33名は英数コースへの廻し合格です。

 

2023年の四天王寺中の受験者数は、合計だけを見ると微増しておりますが、四天王寺の看板コースである医志コース及び英数Sコースは2年連続で減少しています。

 

特に医志コースの減少幅が大きくなっていて、その分英数コースの専願受験者が大きく増加しております。昨年よりもさらに、とにかく四天王寺中に入学したいという安全志向の受験者が多かったようです。

 

 

4.四天王寺中志望者の受験日程パターン

 

四天王寺中の受験日程パターンとしては、受験コースによってやや偏差値に差があるため、併願校も志望コースよって変わってきますが、概ね下記のような受験パターンとなっています。

 

前受け校

・愛光(愛媛)・岡山(岡山)・岡山白陵(岡山)

1日目

1/14(土)

2日目

1/15(日)

3日目以降

1/16(月)

<午前>

・四天王寺(大阪)

 

<午後>

・帝塚山1B(奈良)

・大谷1B(大阪)

・金蘭千里中期(大阪)

<午前>

・清風南海A(大阪)

・帝塚山2A(奈良)

・金蘭千里後期(大阪)

・神戸海星B(兵庫)

・同志社女子(京都)

・京都女子(京都)

<午後>

・西大和学園(奈良)

・高槻B(大阪)

・大谷1C(大阪)

・帝塚山学院(大阪)

・洛南高附属(京都)

大阪桐蔭S(大阪)

・京都女子(京都)

 

【4日目以降(1/17~)】

・清風南海B(大阪)

大阪桐蔭L(大阪)

・開明2(大阪)

・関西学院(兵庫)

・甲南女子B(兵庫)

 

 

まず統一入試日前に前受け受験として愛光岡山白陵岡山中を受験し、統一入試日初日午前の四天王寺中に臨みます。初日に2校受験するのであれば、午後から帝塚山大谷金蘭千里などとなります。

 

四天王寺中は統一入試日初日午前の1回だけの試験ですので、2日目は午前に清風南海A帝塚山金蘭千里神戸海星同志社女子京都女子を受験し、午後は西大和高槻大谷帝塚山学院などを受験するパターンが多くなっています。

 

四天王寺中の合格発表は掲示による発表が3日目の午前中、午後にはWeb発表がありますので、受験は3日目まで続くことになります。3日目の受験校としては洛南高附帝塚山大阪桐蔭京都女子などとなり、合否の結果次第で、4日目以降に清風南海大阪桐蔭開明関西学院甲南女子などとなるでしょう。

 

 

5.大手塾別合格者数

 

関西大手進学塾の四天王寺中合格者数は多い順に下記の通りでした。

 (前年比)<人>

浜学園

馬渕教室

能開センター

日能研

希学園

118(+8)

89(+6)

78(+12)

54(-11)

50(+2)

進学館

SAPIX

第一ゼミナール

成基学園

 

9(-4)

8(+2)

3(-5)

2(+2)

 

 

2年連続で減少していた四天王寺中の合格者数ですが、2023年の今年は昨年より23名も合格者数が増えました

 

昨年までの2年間は、どの塾も四天王寺中の合格者数が減少傾向になっていましたが、今年はやや持ち直した感じです。

 

100名以上の浜学園を先頭に、上位5塾が6位以下を引き離しているのは例年通りですが、上位5塾の中で日能研だけが大きく合格者数が減少しています。日能研は昨年能開センターと1名差でしたが、今年はまた能開センターが大きく伸ばしてきたので、再び大きく引き離されることになりました。

 

 

6.科目別成績データ

 

四天王寺中合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。

(前年比)<点>

 

受験者平均

合格者平均

合格者平均との差

合格者最高点

国   語

71(+1)

79(+2)

8(+1)

115(+7)

算   数

77(+12)

87(+12)

10(±0)

120(+7)

理   科

48(-1)

51(-3)

3(-2)

73(-5)

社   会

62(+7)

65(+7)

3(±0)

78(±0)

合   計

261(+21)

286(+20)

25(-1)

382(+32)

(※国語、算数は各120点、理科、社会は各80点の400点満点)

 

四天王寺中の今年度の入試の難易度は、昨年に比べ大きく易化しました。特に算数の難度が大きく下がり、取り組みやすい内容となりました。

 

国語は昨年大きく易化しましたが、今年も昨年並みの難易度でした。受験者平均点と合格者平均の差はやはり他校同様に算数で差が付くのは確かですが、最難関男子校などと比べるとさほど大きな差とも言えないでしょう。

 

 

7.2023年度入試からみる科目別の傾向と対策

 

今年度の四天王寺中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!

 

◆国語

 

 

 

【難易度】

四天王寺学園中学の2023年国語入試は、昨年大きく易化したのですが、今年も昨年並みの難易度で、例年と比較してもやや易しい試験内容でした。

 

 

【試験時間・配点と構成】

60分120点満点の試験で、大問3題構成。問題用紙はA4の縦開き冊子形式(開いたらA3)で11ページとボリュームがあり、空白が少なく文字で埋め尽くされているような問題用紙です。慣れていないと、その文字量に圧倒されそうになるでしょう。

 

論説文、物語文、随筆文という大問3題構成は、今年も例年通りでした。漢字や語句などの知識問題は、各読解問題の小問の中に含まれています。

 

【傾向と対策】

問題数がやや多いので、読解スピードが要求されます。過去問などで時間を計りながら長文問題練習をたくさん行うようにしましょう。漢字や語句などの知識問題は、比較的難易度は低い傾向にあるので、確実に得点できるようにしたいところです。

 

記述解答字数制限のあるものばかりで、特に長文を書かせるような問題はありません。今年も長くても20字程度でした。文字数が少ないから簡単というわけではなく、文章をだらだらと書かず端的にまとめる力が必要です。演習しておかなければすぐにはできません。しっかり対策しておきましょう。

 

 

◆算数

 

 

 

【難易度】

四天王寺中の2023年算数入試は、昨年に比べ大幅に易化しました。昨年が例年並みでしたので、今年は例年と比較しても易しい試験でした。

 

来年2024年はこの反動で大きく難化する可能性があります。2019年度入試のような難度の高い問題にも慣れておきましょう。

 

【試験時間・配点と構成】

60分120点満点の試験で、問題用紙は昨年同様A4横開きの冊子形式で9ページ。解答用紙が別にあり、式や解き方を書く欄はなく、解答のみを書く方式です。部分点がありませんので、正確性が要求されます。大問7題小問19問は例年並みの問題数でした。

 

【傾向と対策】

毎年最初の大問1題目に計算問題が出題されます。計算問題以外の出題分野は「平面図形」「立体図形」「速さ」「場合の数」が頻出で、今年も出題がありました。これらの分野については特にしっかりと対策しておく必要があります。

 

60分で20問弱の問題数を解き進めなければなりません。大問1の計算問題は式自体が長く、一見面倒に思えますが、工夫をすれば簡単に解けますので、ここで時間を使い過ぎないように解き進めたいところです。

 

また、それぞれの大問の中の小問1については平易な問題も多くあります。見た目で難しいと判断するのではなく、まずはよく問題文を読み、解き進める順序や問題の取捨選択ができるように過去問などでしっかり対策しておきましょう。

 

 

◆理科

 

 

 

【難易度】

四天王寺中の2023年理科入試は、点数だけを見ると昨年より難化したようにも見えますが、実際の難度は昨年とさほど変わりません

 

【試験時間・配点と構成】

40分80点満点の試験で、問題用紙はA4横開きの冊子形式で14ページ。例年通り大問4題構成物理・化学・生物・地学の各分野から出題となっています。

 

小問数は2年連続増えていますが、ここ数年計算問題の割合が減ってきています。とは言え、計算問題は難度が高いので時間に余裕が出るわけではありません。

昨年はなかった記述解答作図問題が今年はまた復活しています。

 

【傾向と対策】

1)問題文の文字数がたいへん多いのも四天王寺の特徴で、会話文形式の文章を読み、会話の中に出てくる事象について問題が出題されています。かなりの長文を読むことになり、この問題文の長文化も、平均点がやや下がった要因の1つだと思われます。

 

中には問題にまったく関係のない会話も含まれていますので、一字一句すべてを細かく読み進める必要はないでしょう。逆にしっかり読んでいると40分という短い試験時間ですので、時間が足りなくなります。

 

2)今年はここ数年で最も問題数が多く、時間が足りないと焦った受験生も多かったでしょう。しかし、四天王寺レベルを志望する受験生にとっては、このくらいの問題数や問題文の文字量には慣れておきたいところです。

 

3)四天王寺中の理科は、普段の塾などの授業ではあまり出てこないような問題が出題されますので、慣れていないと難しく感じるかもしれません。

 

今年も大問1でカッコウやオオヨシキリ、オナガといった鳥の問題が、大問2では使い捨てカイロの問題、大問3では光の3原色の問題など、馴染みの薄い内容の出題があり、難しく感じたと思います。

 

しかし、実際に問題文を読み進めると、難度はさほど高くありません。初見の問題だと難しく感じがちですが、逃げずに問題文をしっかり読む練習をしましょう。

 

四天王寺中の試験は、とにかく長文読解力が必要となりますので、過去問などで「問題形式」や「解答方法」などに慣れておき、決められた時間内で問題文をしっかり読み取れるようにしておきましょう。

 

 

◆社会

 

 

 

【難易度】

四天王寺中の2023年社会科入試は、昨年度までは難易度に大きな変化はありませんでしたが、今年は大きく易化しました。

 

合格者平均点は65点(80点満点)と得点率が8割を上回りました。受験者平均も62点と7割7分以上の得点率ですので、いかに取り組みやすい試験だったのかがわかります。

来年は難化する可能性もありますから、注意が必要です。

 

【試験時間・配点と構成】

40分80点満点の試験で、問題用紙はA4横開きの冊子形式で16ページ。今年は問題数が増え、ページ数も昨年に比べ3ページほど増えました。ただし、図や表、イラスト、写真などが多く使われていますので、さほど文字数を読まされることはなく、ページ数ほどのボリュームは感じないと思います。

 

今年を含め毎年、歴史・地理・公民の各分野から出題がありますが、出題比率には偏りがあります。歴史と地理の出題比率が高く、この2分野だけで約8割を占め、その残りが公民分野となります。その中でも今年は歴史分野の割合が高めでした。

 

解答は今年も半分以上は記号選択で、記述は単純な用語記述がほとんどで、文章記述は今年も昨年に続き1問だけでした。

 

【傾向と対策】

毎年時事問題も出題されます。その年に起きた一つの事件や出来事を取り上げるというよりは、さまざまな出来事が出題されます。

 

日ごろから新聞やニュースで国内外の出来事に関心を持つようにし、家族の会話の中で話ができると試験勉強にも親子のコミュニケーションにもなり一石二鳥ですのでお勧めです。

 

 

8.まとめ~四天王寺中合格への道~

 

 

 

四天王寺中の入試は、2年連続で医志コースと英数Sコースの受験者が減少し、逆に英数コースの受験者が増加しています。来年2024年度入試の受験者数がどのように推移するかはわかりませんが、どのような状況下でも慌てずに受験できるよう、今からしっかり準備していきましょう

 

四天王寺中は、2022年に100周年を迎えた歴史ある人気の女子校で、大阪府の女子最難関中学校と位置づけられています。2021年よりコース制も変わり、今後さらに医歯薬系理系はもちろん、最難関文系の進学率も上がってくることが期待されています。

 

小学生が自分1人だけで最難関中学の受験に取り組むのはたいへんだと思いますから、親御さまもぜひいっしょにサポートしてあげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。

 

 

 

 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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