2023年の中学入試から、今回は兵庫県の女子中学校最難関の神戸女学院中学部について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2024年の受験対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.神戸女学院中入試の特徴
神戸女学院中学部の入試は2日間入試で、まず統一入試日初日(2023年は1 月14日(土))に国語・算数・社会・理科の4教科の学科試験をこの順番で受験します。午前中に国語と算数、午後から社会と理科の受験となります。
この日に2校の受験は可能ではありますが、場所によっては物理的にも体力的にも厳しいでしょう。
その後、1日空けて統一入試日3日目(2023年は1 月16日(月))の午前中に体育の実技試験があるという特徴的な入試となっています。
なお、2021年より神戸海星女子学院中が3科・4科の選択制となったため、兵庫県下で4科受験必須としているのは神戸女学院中学部のみとなっています。
2.2023年度の入試データ
(前年比)<人>
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率 |
135 |
254(+25) |
250(+22) |
159(+5) |
1.57(+0.09) |
神戸女学院中の実質倍率は例年1.5倍強くらいですので、2023年は概ね例年並みと言えます。
神戸女学院中の志願者数や受験者数は、ここ数年増減を繰り返しています。2021年の受験者数は大きく増加し、実質倍率も1.72倍と1.7倍を上回る狭き門でしたが、昨年2022年の受験者数は、直近5~6年で最も少ない年でした。
関西最難関校の中では比較的倍率は高くはないのですが、試験難度は高く、兵庫県最難関女子中の座は揺るぎません。今後も同程度の倍率を推移するのではないかと思われます。
3.神戸女学院中志望者の受験日程パターン
例年、関西圏中学統一入試日は土曜日で、翌2日目が日曜日となり、キリスト教主義の神戸女学院が日曜日を「礼拝の日」として行事ごとを避けることから、2日目の試験は日曜をはさんで月曜日となります。
このような日程での受験ですので、神戸女学院中の併願校は限られてきます。
前受け校 |
・愛光(愛媛) ・岡山白陵(岡山) ・岡山(岡山) |
|
1日目 1/14(土) |
2日目 1/15(日) |
3日目以降 1/16(月) |
・神戸女学院(兵庫) (国語・算数・社会・理科)
<午後> ・須磨夙川2(兵庫) ・雲雀丘A(兵庫) ・親和前期Ⅱ(兵庫)
|
<午前> ・須磨学園2(兵庫) ・神戸海星B(兵庫) ・甲南女子A2(兵庫) ・雲雀丘B(兵庫)
<午後> ・須磨学園3(兵庫) ・高槻B(大阪) ・西大和学園(奈良) ・三田学園B(兵庫) |
・神戸女学院(兵庫) (体育実技)
【4日目以降(1/17~)】 ・関西学院B(兵庫) ・白陵後期(兵庫) ・清風南海B(大阪) ・甲南女子B(兵庫) ・神戸大附属(兵庫)
|
統一入試日前の前受け校として、愛光や岡山白陵、岡山などで合格を確保しておき、統一入試日初日午前の神戸女学院中に臨みます。
神戸女学院中は初日の午前に国語と算数、午後に理科と社会となりますので、初日は疲れないためにもこれで終了する受験生が多いのですが、受験しようと思えば午後からの夙川や雲雀丘、親和なども受験できないこともありません。
2日目は1日空いているため、午前に須磨学園、神戸海星、甲南女子、雲雀丘など、午後から須磨学園、高槻、西大和学園、三田学園などで、3日目の午前中に神戸女学院中の体育の実技試験を受けます。
4日目に受験するなら、関西学院、白陵、清風南海などの受験が考えられます。神戸女学院中の合格発表は4日目の午後ですので、合格でしたらここで受験は終了。そうでない場合は5日目の甲南女子や神戸大附属などを受験するパターンが多いでしょう。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の神戸女学院中合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
希学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
SAPIX |
進学館 |
能開センター |
47(+3) |
45(+11) |
27(-9) |
14(+1) |
9(-1) |
8(-4) |
2(+2) |
30年以上トップの座を守り続けてきた浜学園が、今年も最多合格者数を誇っていますが、2番手の希学園との差は僅か2名と僅差となっています。
一方、ここ数年僅差で2位と3位を争っていた希学園と日能研でしたが、今年は明暗がはっきり出ました。希学園の合格者数は昨年より11名も増加し、神戸女学院中合格者数トップの座も見えてきました。
浜学園が来年また引き離すのか、希学園がこのままの勢いでトップに出るのか、今年減少した反動で日能研のリベンジが見られるのかなど、来年も注視したいところです。
5.2023年入試結果
神戸女学院中の2023年の入試結果は下記の通りです。
|
満点 |
合格最高点 |
合格最低点 |
4 科 (学 科) |
460点 |
361点(+24) |
261点(+1) |
体 育 (実 技) |
①バスケットボール(5号ボール)のシュート 20秒 |
神戸女学院中の試験時間と配点は、1日目の午前に行われる国語と算数が各50分の120点、午後に社会と理科が各45分の100点、2日目午前中に行われる体育の実技が20点の合計460点満点です。
3科目での評価はなく、4科目全てと体育実技で評価されます。ただ、体育については出来不出来による大きな差は出ませんので、学科試験の4科でしっかり対策しておくことが大切です。
体育の実技は上記の表の通りですが、数年前までこれらの他に跳び箱もありましたが、今は上記の4種目になっています。
神戸女学院中は毎年、受験者平均点や合格者平均点などは公表せず、合格者最高点と合格者最低点のみ公表しています。昨年に比べると、合格者最高点は大きく上がり、合格者最低点は1点だけ上がりました。昨年よりやや易化したと思われます。
昨年は合格者最高点と合格者最低点の差が77点と例年になく差が縮まりましたが、今年は100点差と例年並みの得点差でした。
6.2023年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の神戸女学院中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
神戸女学院中の2023年国語入試は、今年も50分120点満点の試験で、例年通りの大問3題構成でした。今年は物語文・随筆文・詩の3題構成でしたが、年により随筆が論説文のこともあります。
また、数年に一度「詩」の出題がない年もあり、代わりに大問として知識問題が出題されることが多い傾向にあります。
漢字や語句は、読解の中の小問として毎年出題されています。配点割合としては例年20%前後ですが、ここはしっかりと得点しておきたいところです。
【傾向と対策】
神戸女学院中の国語入試の特徴は、記述解答の多さです。半分以上が字数制限のある記述での解答となっています。
50分という短い試験時間内で、多くの文字数を読まされた上、記述も多いので、スピード勝負でもあります。記述問題ですぐに手を動かせるように日頃からしっかりした訓練が必要です。
また、素材文も小学生には難しい内容ですので、難しい文章にも慣れておかなければ時間内に読み進めていくことができません。神戸女学院中を志望するのであれば、日ごろから難度の高い文章に触れ、高い国語力を身につけることが必須です。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
神戸女学院中の2023年算数入試は、今年も50分120点満点の試験で、大問数は例年通り6題、小問数は13題と例年同様の構成でした。
神戸女学院中の算数は特徴的で、大問6題の全問が解き方を書かせる解答形式です。
【傾向と対策】
神戸女学院中では例年、多くの算数入試にある最初の計算問題がなく、いきなり大問がスタートします。毎年幅広い分野からの出題があり、偏りが少ないので幅広く学習して、苦手単元をなくしておく必要があります。
2021年まで毎年出題のあった「速さ」の問題が2年連続で出題がありませんでした。図形問題は毎年出題がありますが、「立体図形」の問題は4年ぶりの出題で、今年は2題出題がありました。
大問5では今年もやや難問の「立体図形のくり抜き」問題が出題されました。数年前にも立体図形のくり抜き問題が出題され、超難問でした。その時の問題に比べると、今年も難問ではありますが、解きやすい問題でした。
今年の大問6の「平面図形」は、たいへんな難問でした。大問5も6も最後まで解答できなくても、それぞれ途中まで解き進めた過程が書かれていると加点はされます。部分点が取れるように、解き方をきちんと書く習慣をつけておきましょう。
◆理科
・難易度
過去5年の中では小問数が最も多く、50問以上ありましたが、難易度はそれほど高いものではありませんでした。最難関中入試の理科は計算問題が多いイメージがありますが、神戸女学院中は比較的少なく難度もさほど高くはないと言えるでしょう。
【試験時間・配点と構成】
神戸女学院中の2023年理科入試は、45分100点満点の試験で、今年は大問5題構成でした。例年、物理・化学・生物・地学の各分野からの出題がありますが、各分野の大問数は年度によりやや変化があります。今年はやや多かったのですが、全体の小問数はほぼ変わっていません。
【傾向と対策】
大問数5問のうち、生物だけ2問で他分野は各1題でした。2022年は大問数6題で物理と化学が各2題、生物と地学が各1題でした。2021年も大問数6題でしたが、物理と生物と地学が各2題で化学分野の出題はありませんでした。
2022年は大問1が地学の分野でしたが、今年は例年通り大問1は生物の正誤問題でした。2022年はありませんでしたが、今年は物理分野で算数のように途中の計算式を書かせる問題がありました。
作図や記述の問題も頻出しています。過去問などでしっかり対策し、神戸女学院中の問題に慣れておくようにしましょう。
◆社会
【試験時間・配点と構成】
神戸女学院中の2023年社会科入試も45分100点満点の試験で、今年も地理、歴史、公民の各分野から出題がありました。また今年も例年同様やや歴史分野と地理分野に偏りのある出題内容でした。
概算にはなりますが、ここ数年の出題割合は、歴史分野45%、地理分野40%、公民分野15%程度になっています。今年の割合も同様でした。
【傾向と対策】
45分という短い試験時間の中で問題数は70問強と多いのですが、今年は一問一答の用語記述が多く、それ以外はすべて選択問題で文章記述がなかったことから、さほど時間に追われることもなかったと思われます。
昨年までは記述解答も増加傾向にあったので、また来年は出題されるかもしれません。過去問などでしっかり対策しておきましょう。
7.まとめ~神戸女学院中合格への道~
ここ数年受験者の増減を繰り返している神戸女学院中学部。2022年は大きく減少したのですが、2023年は例年並みに盛り返してきました。2024年はまた減少するのか、逆に増加するのか予測はつきませんが、どのような状況下でも慌てずに受験できるよう、今からしっかり準備していきましょう。
関西最古のミッションスクールとして名高い神戸女学院。社会に必要とされる女性のリーダーを育成する使命を担い、オールイングリッシュの英語授業など特色ある英語教育や、制服がない生徒主体の自由な校風などで人気がある名門校です。
小学生が自分1人だけで最難関中学の受験に取り組むのはたいへんだと思いますから、親御さまもぜひいっしょにサポートしてあげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。
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