関西の名門、同志社中学は今年度2023年より、受験科目を2科目のみに変更し注目を浴びました。果たしてその結果はどうだったのか、そして関関同立系の中学受験者数の推移を一覧でご紹介いたします!
CONTENTS:
1. 2023年中学入試で話題となった同志社中
同志社中学校は、言わずと知れた同志社大学の歴史ある附属校で、人気も高い京都の名門校です。その同志社中が今年度の2023年から入試形態を大きく変更し、受験界ではたいへんな話題となりました。主な変更点は次の2点です。
①入試教科数の変更
1点目の変更は入試教科数です。昨年度までの同志社中の入試は、同地域の他校でよくあるように、国語・算数・理科の3教科か、国語・算数・理科・社会の4教科のどちらかを選択する形式の入試でした。
今年度からは、国語と算数の2教科のみの入試となりました。各評価点は以下の通りです。
2022年度までの入試と評価点
<3教科型>
● 国語・算数・理科の合計点×4/3
<4教科型> (下記のうち最も高得点の点数)
● 国語・算数・理科・社会の合計点
● 国語・算数・理科の合計点×4/3
※各教科40点満点の合計160点満点
2023年度からの新入試と評価点
<2教科のみ>
● 国語・算数
※各教科80点満点の合計160点満点
②男女別合格の変更
2点目の変更点は、昨年までは男女ともに概ね半分ずつの人数になるように合格者を出していましたが、今年の2023年からは男女に関係なく総合点の上位から合格者を出すようになりました。
実はこのような男女の別なく合格者を決める入試というのは、大学入試ではもはや当たり前となっていますが、中学入試ではまだ極めて珍しく、大抵は女子の募集定員が男子より少なめだったり、入学者数がほぼ半数になるような男女別の合格最低ラインを決めたりするなど、やや女子に不利になるようなケースが多くあります。
このような不公平な男女別選考方法を問題視する声も近年では多くなってきていることもまた事実で、そういう意味でも同志社中の入試改革は時代の先端をいく英断的な決定であったともいえるのではないでしょうか。
結果、男女比がどちらかに偏ったとしても、それを問題とはしていない。むしろこれからの多様性な時代、男女の枠など関係なく、公平な選考こそに意味があるのかもしれません。
*ちなみに、今年度の同志社中入試の結果として、男女比は公表されていませんので、実際のところどうなったのかはわかりません。
2. なぜ2科目入試に踏みきったのか?
京都の名門、同志社中学がなぜこのような思いきった入試変更に踏み切ったのかは、さまざまな思惑があってのことだと思いますが、その1つに近年の受験者数の減少傾向に、少なからず危機感を持った可能性も考えられます。
いくら伝統ある名門校でも、少子化の未来を見据えると必ずしも安泰とはいえません。以前のブログでもお伝えしましたが、中学受験者数のピークは2025年とも2027年とも言われていて、そこから減少する一途と予測されています。生き残るためには、さまざまな改革をしなければならないでしょう。
同じ同志社系に、大阪の同志社香里中や京都の同志社女子中、同志社国際中があり、受験者数の変動はあるものの、ある程度の人気を保って推移しています。同志社中は同志社系の中心的な存在ではありますが、交通アクセスのいい同志社香里中や同志社女子中などと比べると、危機感は否めないのかもしれません。
今回、国語と算数のみの2教科とすることで、受験科目を絞ることができ、受験しやすくなったのは確かでしょう。ただし、どちらかの教科に苦手意識があれば、50%の割合で合否に影響してくるとも考えられます。
このあたりを踏まえ、今年の同志社中の入試がどのような結果になるのか大注目していました。昨年受験者数が大きく減少しましたので、ある程度は回復するのだろうと、多くの業界関係者は予想していたのです。
3. 気になる同志社中の結果は?2023年の入試結果
受験者数の推移
2科目となり、注目された同志社中の2023年入試結果ですが、受験者数はやや増加したものの、思ったほどの結果ではなかったというのが正直な印象です。下記の表は今年の受験者数を含め3年前からの推移を表したものです。
上記表を見てわかるように、大きな変革を行った割にはさほど受験者数に反映されなかったようです。2020年度の受験者数、もしくはそれ以上の受験者数になるかもしれないと考えていた者からするとややもの足りない印象です。
思ったほど受験者数が増えなかった要因として、受験者が次のようなことを想定していたことが考えられます。
・受験者数の大幅増加を考え敬遠した
・国語と算数の2教科を得意とする受験生が集まり、高得点勝負になる
・国語を得意とする女子が多く集まり、国語が不得意な男子には不利になる
これはあくまで臆測ですので、事実はわかりません。しかし、次の表を見ていただくと、あながち間違ってはいないのかもしれません。
2023年入試の受験者平均点と合格最低点
下記は2023年の受験者平均点と合格最低点の表です。
国語の平均点の得点率は64%、算数は68%で、例年とさほど変わりはありませんでした。前年と比べ、国語が例年並み、算数が下がっている(難化した)ように見えますが、入試内容や結果データを見ると、難易度は例年並みで、2教科になったとはいえ、国語も算数も難易度に変化はありませんでした。
算数が難化したように見えるのは、難易度の変化というより、例年より算数が苦手な女子の受験者が多かったためかもしれません。
また、合格最低点は103点で、倍率が1.6倍。当初思ったような高得点勝負にはなりませんでした。2教科という事で2教科に特化したレベルの高い受験生が多いかとも思われましたが、そうでもなく、受験者層(受験者レベル)も例年とさほど変わらなかったようです。
得点率64%ですから、受験者平均が取れれば合格できる試験でした。来年入試を考えるなら、7割以上を目指すといいでしょう。
2023年入試でわかったこと
大注目だった2023年同志社中の入試結果からわかったことは次とおりです。
①受験者数は思ったほど増えなかった
②受験者レベルもさほど変化はなかった
③高得点勝負にはならず、得点率64%で合格
④国語は前年と変わらず、算数はやや難化した
⑤女子の受験者が多かった可能性がある(事実かどうかは不明)
以上を踏まえ、次に同志社中の来年2024年入試について予測をしてみたいと思います。
4. 2024年同志社中の受験予測
2024年度入試の募集要項は既に発表されていて、来年度も今年度同様の形態(時間・教科や配点)で行われることがわかっています。よほどのことがない限り変更はないものと思われます。
そこで、2023年の同志社中の入試結果から、来年2024年の入試はどうなるのか予測してみたところ、次のようなことがいえるでしょう。
①合格するには7割以上の得点を目指すとよい
②今年思ったほど増えなかったため、来年度は増加する可能性がある
③人気名門校の割には敬遠者が多いので、今がねらい目かもしれない
④算数が得意な男子は有利になるかもしれない
いずれも推測にすぎませんし、次年度以降、実際に受験者数が増加するのか、また停滞・減少に転じてしまうのかはわかりません。いずれにせよ、今後もまだまだ注目されることは間違いないでしょう。
次に同じ同志社系中学の受験者推移も見てみましょう。
5. 同志社系中学の受験者推移一覧
同志社系中学直近3年の受験者推移は下記の通りです。
以下は、同志社系中学4校の受験者数の前年比をグラフ化したものです。
6. 関関同立系中学の受験者推移一覧
その他、参考までに関関同立系中学の直近3年間の受験者推移を表にまとめましたので、ご覧ください。
以下は、上記の表を基に、前年比をグラフ化したものです。
7. まとめ~志望校はどう決める?
同志社中を含む関関同立系中学入試は、ここ3年をみても、さほど大きな変化はないといえるでしょう。コロナ禍ということもありましたが、受験者数も増減を繰り返し、とくに運営に関わるような極端な状況ではないものと思われます。
やはり大学附属校(特に関関同立のような有名難関私立大学附属校)は、そのまま大学まで進学できることが大きな安心材料ですし、根強い人気があります。同じ系列の学校でも、自宅からのアクセスの良さはもちろん、それぞれのカラーや特色があります。学校見学や説明会などに参加して、本人に合う学校をよく吟味して選択するとよいでしょう。
夏休みが明ければ、そろそろ志望校を決めることになります。そもそも大学附属校にするのか、男女別の進学校にするのか、または共学校なのか、同志社中のように2教科受験なのか、3科なのか4科なのか、人それぞれです。
※志望校選びについては過去に当ブログでも詳しく解説していますので、ご参考にしてください。
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●中学受験を決める前に。偏差値だけで志望校を選んでいませんか?
今回は同志社中の入試を中心にお話しをしてまいりましたが、受験情報はその年々で変わります。まだまだ激化する中学受験をどう乗り切るかは、新しい情報や正確な情報、必要な情報を手に入れることもまた大切です。
情報が知りたい、または不安を感じたり、志望校選びに悩んだりしたら、ぜひいちど受験のプロにご相談ください。
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