長い夏休みが明けると、中学受験はいよいよラストスパートに入ります。これから4~5か月の2学期に、受験生は何をして何をすべきではないのか詳しくお伝えします。
CONTENTS:
3. 学校は休ませる?休ませない?確認しておくべき5つの注意事項
4. 社会科を受験するか否か。社会科を受験するメリット・デメリット
1. 中学受験生の2学期の過ごし方~4つの重要ポイント
夏休みぐらいまではまだもう少し先と思っていた受験ですが、休みが明けて2学期が始まったかと思うと、本当にあっという間に冬休みとなり本番です。思っていた以上に時間がありません。
うかうかしていると、いつの間にか願書提出期間となり、あたふたとしながら受験を迎えることになってしまいます。そうならないためにも、この時期に何をすべきで何をすべきでないのか、2学期の過ごし方としてぜひおすすめしたいのが、下記の4つの重要ポイントです。
●生活リズムを整える(朝型生活に切替え)
●2学期に学校を休ませるか否か
●社会科受験をするのか否か
●この時期にありがちな誤った勉強法とは
次に詳しくみていきましょう。
2. 生活リズムを整えよう(朝型生活への切り替え)
受験は夜には実施されない!
今からしっかり心がけておきたいのは、生活リズムの調整です。もし今の時点で、生活が不規則だったり夜型だったりする場合は、規則正しい朝型の生活に変更しなければなりません。
どこの学校でも入試が夜に行われることはありません。実施されるのは、午前中か午後です。その多くは朝9時頃に1教科目がスタートします。その時間に頭が一番働くようにしておかなければ、これまでせっかくがんばってきたことが水の泡になりかねません。
生活リズムはすぐには整えられない
肝心の試験時間は眠くて頭が回らず、夜になってからギンギンに眼が冴えてきても後の祭りです。日中は学校で半分眠りながら授業を受け、夕方からの塾で頭がフル回転するような生活リズムになってしまっている受験生は要注意です!
生活リズムは一朝一夕には整いません。また、家族の協力も必須です。家族皆で夏の間の今から朝型に変えていくのが、いちばん簡単でスムーズです。日が短く、気温も低くなる冬になって慌てて変更しようとしても、よりいっそう難しくなりますよ。よく注意してくださいね。
睡眠不足では回る頭も回らなくなる
一番やってはいけないことは、受験が迫っているからと睡眠時間を削って夜遅くまで勉強することです。受験生とはいえ、まだ小学生です。睡眠はとても大事です。無理に睡眠を削って勉強させてもいい結果にはなりません。やはり7~8時間はしっかり寝かせてあげてほしいものです。
3. 学校は休ませる?休ませない?確認しておくべき5つの注意事項
2学期から受験に専念させるために、親御さまから「学校は休ませて、塾で受験勉強をさせるべきか」という質問をよく受けます。
受験のために学校を休ませるようなことは、一昔前までは考えられなかったことですが、中学受験が一般的になってきた昨今では当たり前のように休む児童も増えてきています。
それについて肯定も否定もしませんが、休ませる際の確認しておくべき5つの注意事項をお伝えします。
本人が後ろめたさや恥ずかしさを感じていないか
小学校の2学期といえば、さまざまな行事(運動会・音楽会・修学旅行など)も多い時期です。その行事に向けて、クラスの皆で行う練習や準備に自分が入れないことを、寂しく感じたり辛く感じたりするかもしれません。また、学校を休んで塾で勉強することに後ろめたさや恥ずかしさ、不安や焦りを感じたりする子どももいます。その場合は休ませないほうがいいでしょう。
せっかく学校を休んで塾に通っても、学校のことが気になって勉強どころではなく、集中することができなくてはまったく意味がありません。本末転倒です。
何より6年生の行事は小学校生活最後の行事です。集大成ともいえ、生涯残るような貴重な経験や思い出づくりにもなります。それは何にも代えがたいものですし、いい息抜きや気分転換にもなりますから、同じ休むにしても、行事には支障がないように休むなど、よく話し合って決める必要があるでしょう。
学校や先生の考え方はどうか
一口に「学校を休んで受験のために塾に行く」といっても、地域や学校によってまったく状況が異なります。同じ地域でも学校によって考え方が違う場合もありますし、もっと言うと、同じ学校でもクラスによって、担任の先生によって考え方が変わる場合もあるくらいです。
クラスの半分以上が受験組で、学校を休む児童が多く、休んでも何の問題にもならないクラスもあれば、受験をする児童がほとんどいなく、休むことがたいへん気まずいクラスもあります。
先生も中学受験に理解を示す先生もいれば、「受験のために学校を休ませないでください」とはっきり言う先生もいます。
地域や学校などの環境によって、状況がぜんぜん違いますので、そこは本人やクラスの保護者、地域の先輩保護者などにもよく聞いてみたほうがいいでしょう。間違った対応で本人がクラスから浮いてしまったりしては、受験勉強どころではなくなってしまうかもしれません。
志望校が調査書を重視していないか
学校を休ませるにあたり、よくある質問の1つとして「欠席日数が受験の合否に影響しないか」という問題です。
結論から言いますと、基本的に欠席日数が合否に影響することはありません。受験出願時に調査書(内申書)を必要としない学校であれば、そもそも欠席日数などは知り得ません。
調査書(内申書)が必要な学校なら、欠席日数などもわかってしまいますが、あまり影響はないでしょう。ただし、学校によって異なりますので、念のため事前に確認はしておくようにしましょう。
※ここ数年は新型コロナウイルスの影響もあり、学校を休むことに関しては寛容であまり注視もされませんでしたが、来年度受験からはコロナ前と同様の試験に戻る可能性が高くなります。もしかすると、学校によってはコロナウイルスの影響もないのになぜこんなに欠席日数が多いのかと不信に思われるかも知れません。この点については、昨年までと見方が変わってくる可能性がありますのでご注意ください。
大事なことは周囲ではなく自分
学校を休ませようとするのは周囲が塾に行くからという理由ではないでしょうか。「同じ志望校クラスの子が学校を休んで塾で勉強すると言っているからあなたも行きなさい」とか、子どもが「〇〇くんが塾で勉強するというから、自分も行きたい」などという理由で学校を休むのであれば、それは違います。
あるいは塾の先生に、「昼も塾を開けているから、いつでも塾に来て受験勉強をしていいんだよ」などと声かけをされて、子どもが真に受けてしまうかもしれません。塾は「面倒見の良さ」をアピールしているに過ぎないので、流されず自分でしっかり考えましょう。
もっとも「塾に行く=合格する」というわけではないのはいうまでもなく、成績もいまやるべきことも個人によって違います。それがわかった上で、周囲に流されてするのではなく、本当に自らが学校を休んできちんと勉強したいと思っているのか、その必要性をどこまで感じているのかしっかり見極める必要があります。
本当は本人がどう思っているのか
受験が近づいてくれば、少しでも受験勉強に専念させたいという親御さまの気持ちもよくわかります。とくにまだ成績が第一志望校の合格ラインに達していなければなおさらでしょう。
しかし、一番大事なのは本人の気持ちです。本人がそれを望んでいないのに、無理にやらせても逆効果となります。何より、学校を休んで塾で勉強したからといって必ずしもいい結果になるとは限りません。そこのところ、後で後悔しないようによく考えて行動するといいでしょう。
もちろん逆もしかりで、本人が学校を休んで塾で勉強をしたがっているのに、強制的に学校へ行かせることによって、受験のモチベーションが下がる可能性もあります。
本人がどうしたいのか、どう考えているのかが一番大切です。きちんと向き合って本人の本心をよく聞いてあげるようにしましょう。
4. 社会科を受験するか否か。社会科を受験するメリット・デメリット
志望校の入試方式はどうか
この時期に考えておかなければならない4つめの重要確認事項は「社会科」の勉強です。
いま第一志望に考えている学校の入試が「社会」必須というのであれば、当然「社会」の勉強もしなければなりませんが、「社会」を抜いた3教科もしくは2教科受験が可能な学校であれば、受験勉強方法を再度構築し直してみる必要があります。これが最後の見直し時期ともいえます。
社会科を選ぶか否か
一般に4教科で受験をすると、4科合計か3科受験での調整点数のどちらかいい方を評価点とするというパターンが多いため、4科のほうが評価される選択肢が広がり、有利と考えられています。
しかし、この時期になって、どうしても「社会」が苦手で成績も上がりそうになく、足を引っ張っているだけのような状況でしたら、思い切って「社会」をやめる決断をするのも一つの作戦です。それを決めるのも、いまが最後のチャンスです。
社会科を受験しないことで生まれるメリット・デメリット
「社会」をやめることによって、塾の1コマ分の時間と家での宿題を含めた「社会」の勉強時間を他の算数や国語、理科の勉強時間に充てることができます。
その時間を受験までの残りの時間に使うことができれば、3科の成績がグンと伸びる可能性もあり、大きなメリットになるといえるでしょう。
その一方で、社会科の勉強を一切しないとなると、やはり社会科の知識に差がつきます。小さい頃に覚えたことは大人になってからもけっこう忘れなかったりしますので、中学受験に合格したとしても、後々のことまで考えると必ずしもメリットばかりともいいきれません。
社会科の知識は、中学や高校の授業はもちろん、大学受験にも役立つことになります。社会科が苦手なまま進学することのデメリットも少なからずあることは否めません。
社会科を受験するか否かで迷ったら
社会科受験をするかしないかを決めるには、志望校の入試方式と現状の「社会」の成績を見てどのようにするのが一番いいのかよく考えなければなりません。その際、よくわからないからと、塾に相談するのは考えものです。
塾は一つでも多く講座を取ってほしいので、「社会」を継続するメリットを説得してくることが多いと思います。できれば第三者的な受験のプロに相談することをおすすめします。
社会科受験のまとめ
社会科受験について、これまでのことをまとめると、社会科受験をするメリット・デメリットは次のようになります。
<メリット>
・3科と4科受験を選択できる場合は、選択肢が増え有利となることが多い
・社会科が得意なら、得点が伸びる可能性がある
・中学、高校になっても社会の知識が生きる
<デメリット>
・3科受験の場合、社会科の勉強時間の分、他の3科に当てる勉強時間が減る
・社会科が苦手な場合は総合点が下がる
5. この時期にやってしまいがちな誤った勉強法とは?
言われるがままにオプション講座をとらない!
夏休みが終わると、塾などでも志望校に向けた本格的な受験勉強が始まります。塾でもここぞとばかりに「〇〇特訓」などと、さまざまなオプション講座を勧めてくるでしょう。
しかし、言われるがままに、なんでもかんでもあれもこれもと講座をとっては負担が増すばかりで逆効果になりかねません。本当に必要な講座だけを厳選して受けるようにしましょう。
大事なのは難問ではなく、基礎
この時期よくありがちな間違った勉強法は、焦るあまり、まだ基礎レベルに問題があるのに、超難問ばかりチャレンジしようとすることです。それはまったくの時間の無駄ですからやめましょう。
基礎ができていなければ、その応用問題は解きようもありません。あやふやになっている基礎をしっかり固めることが先決です。
また、毎日トレーニングとして行っている計算や漢字練習などは、継続して行うようにしましょう。「もう計算はできるから十分、もっと難しいことをやりたい」と思いがちですが、一流のスポーツ選手が毎日筋トレを欠かさないように、毎日の基本練習は怠ってはいけません。日々5分でも10分でも基礎トレーニングは必ず行うようにしてください。
過去問をやるタイミング
よく「過去問はいつからやればいいですか」という質問を受けます。こればかりは人それぞれで、講師によっても「なるべく早く」という先生もいれば、「ある程度実力がついてから」という先生もいます。
個人のレベルにもよるので一概にはいえませんが、時々過去問だけやっておけばいいという考えの受験生がいますが、それは違います。
過去問と同じ問題は実際の入試には出ませんから、それだけ完璧に暗記しても意味がありません。
大事なことは志望校の傾向を知って、自分の弱点を補強するなど、対策を練ることです。
なかなか自分だけでは難しいと思いますので、この時期だけでもプロに相談するのもいいでしょう。
上手な息抜きも必要
受験のラストスパートに向け、ますますハードに勉強しなければならないと、とにかくひたすら勉強させるのには注意が必要です。
大人でも追いつめられるとメンタルがやられてしまいます。ましてやまだ小学生の子どもですので、適度な息抜きも必要です。メンタルが弱ると免疫力も下がり、病気にも罹患しやすくなります。
時にはリフレッシュタイムを作ってあげてください。メンタルや体調を崩しては何にもなりません。カラダを動かすことも大切ですので、ストレッチをしたり、周囲を散歩したりするのもいいでしょう。
ただダラダラと長時間机に向かわせていても効果は期待できません。メリハリが大事ですよ!
6. まとめ~2学期の不安を払拭!
今回は、中学受験生がいまやっておくべきことと避けたいことを中心に、2学期の過ごし方について4つの重要なポイントをお伝えしました。
今まで夜型だった受験生が少し朝型に生活リズムを変えるだけで、何もしないよりは運気が好転したなどという話はよくあることです。
この時期に、今の生活習慣、生活リズムや入試科目、勉強法などを再度見直して、あと数か月先の受験本番に向けて悔いのない日々を送れるようにしていきたいですよね。
ラストスパートに入る大事な今だからこそ、やるべきことや逆にやるべきではないことがあります。自分たちだけは不安というご家庭は、残りの数か月だけでもプロの家庭教師に見てもらうのもいいと思います。不安は早めに払拭させましょう!
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