中学受験が終わってから入学までの間の過ごし方で、中学生活のスタートがスムーズに切れるかどうかが決まります。これだけはやっておきたい5つの入学準備について解説いたします。
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受験が終わってすぐに行うべきこととは?
今年の中学受験も終わりました。志望校に合格した生徒もそうでなかった生徒も皆4月からは中学生になります。中学受験に向けて塾に通い、模試を受けるなどしてその結果に一喜一憂していた日々もこれで一段落となります。
一旦は受験生としての生活からは解放されますが、これで終わりではありません。中学受験は決してゴールではないからです。せっかく志望の中学に入学しても、残念ながら毎年一定数の生徒が離脱してしまいます。理由はさまざまですが、学習についていけないという人も少なくありません。
そこで今回は、中学生活を少しでもスムーズにスタートさせるために、入学前にやるべき5つのことをご紹介します。
1. 学習習慣の維持
中学受験を経験して得た貴重な財産!
中学受験を経験した現小学6年生は、受験を経験していない同級生よりも確実に勝っていることがあります。それは、「学習習慣が身についている」ということです。
もちろん、中学受験をしていない生徒でも、塾に通ったり、毎日コツコツと勉強をしたりしていた生徒もいますが、受験生の勉強量やその内容とは比較にならないでしょう。
中学受験をした生徒は、塾や親から言われてイヤイヤだったかもしれませんが、机に向かう勉強習慣はしっかり身についたかと思います。実はこれが大きな財産なのです。
いかに学習習慣を持続させるかがポイント
中学受験でせっかく身についた学習習慣を失ってしまうのは、たいへんもったいないことです。身につけようと思っても、なかなかできることではないので、1度習慣が途切れてしまうと、再度構築するのはたいへんなパワーと労力を必要とします。
決して受験のときのようにハードな勉強をする必要はありません。1日30分でも15分だけでもいいので、毎日学習する習慣は続けさせましょう。いかに本人をのせて、持続させられるかがポイントになります。
できれば朝食後や夕食前の数分と時間を決め、ルーティン・習慣化するのがいいでしょう。中学の事前学習や資格試験など、本人がやる気になりそうなものをやらせてください。
せっかくの貴重な財産を失わないよう、くれぐれも学習時間をゼロにすることだけは避けるようにしてくださいね。
2. 事前学習(英語と数学の先取り学習)
入学まで学習習慣を維持するとはいっても、受験が終わって何を学習したらいいのかわからないという人も多いかと思います。そこでおすすめしたいのが、中学になると大きく学習内容が変わる「英語」と「数学」です。
英語は嫌いであっても苦手にしてはいけない教科です。文系はもちろん、理系でも難関校が求める英語レベルが相当高いからです。これは大学受験だけでなく、就職にも影響します。将来を考える上でも英語力は欠かせません。苦手ではすませられない時代となっています。
何ごとも最初が肝心といいます。英語に苦手意識を持たせないためには、中学初年度の英語授業をスムーズにスタートさせることが何よりも大事です。1学期の最初の試験で英語に苦手意識を持たせない、むしろ優越感を持てるくらいにさせてあげたいものです。
そのために、入学までに準備しておくに越したことはありません。具体的には、主に次の3つの演習をおすすめします。
- ラジオや動画などで英語耳をつくる
- 教科書や簡単な絵本などから単語を学ぶ
- 家で簡単な英会話を試みる
英語耳をつくる
まずは英語に慣れることです。NHKラジオの基礎英語や英語の動画などで学習したり、英語ニュースや英語のアニメなどをただBGMとして聞き流したりするだけでもぜんぜん違います。
帰国子女かと思われるほど英語が得意なある先輩パパは、若いころ音楽に興味があり、洋楽を聴いて発音やフレーズを学んだり、洋画を英語で観て、その後日本語版を見て、再度英語で観るということを繰り返したりしたそうです。2度目に英語だけで映画を観ると、なんとなく英語がわかったような気がすることを嬉しく思ったそうです。
このように英語に耳が慣れてくると、必然的に英語に対する好奇心が湧き、より「聴き取りたい」「話したい」という気持ちになり、語彙力アップやリーディング力にもつながっていきます。最悪でも「英語を聴いて不快にならない」ようにはしておきたいところです。
単語を学ぶ
英語の授業が始まる前に、ある程度単語を学んでおくと、スムーズに授業に入れます。教科書や参考書、幼児向けの絵本や教材などで楽しく学んでください。中学英語で学ぶ単語だけで日常会話は成立するとも言われていますから、英語力をつけるためには単語力がとても重要です。
英会話を楽しむ
せっかく英語を学んでも使えなかったら意味がありません。ここは親御さまも協力し、あいさつなどのかんたんな会話を英語でやってみましょう。
“Good morning.” (おはよう) “Good night.” (おやすみなさい)
“How are you?” (元気?) “I’m fine.”(元気) “I’m good.”(いいよ)
“Thank you.” (ありがとう) “You are welcome.” (どういたしまして)
“I’m sorry.” (ごめんなさい) “Don’t worry.” (心配ないよ)
“Wake up!” (起きなさい) “Go to bed.” (寝なさい)
「親子で英会話なんてとんでもない、絶対無理」と思われた方も、このくらいならどうでしょうか。それも、「さあ、これから英会話の時間よ」などと気張ってやるのではなく、何気ない日常会話の中でさりげなく盛り込むのが自然でおすすめです。
毎日でなくても、気が向いたときに思いついたお決まりのフレーズを使うだけでも違います。日常の中に自然と英会話が混ざっているような状態が理想です。
上記の5フレーズに慣れてきたら、
“Open the door”(ドアを開けて) “Close the door”(ドアを閉めて)
と、徐々にフレーズを増やしていきましょう。
“Close the door”と子どもに言ったのに、子どもがスルーしてしまうようなら、少し声を大きくしてゆっくりと“Please”(お願いします)と言ってみましょう。日々の中で、だんだんと英語が身近になっていくでしょう。
また、子どもが手伝いをしてくれたなど何かいいことをしたとき、成績やスポーツなど功績があったときには、
“Great!”(すばらしい!) “Good job!”(よくやった!)
なども使ってみましょう。
子どもを送り出すときの「いってらっしゃい」の代わりに
“Good luck!” (がんばって) “Have a nice day!” (良い1日を!)
と言って送り出すのもいいですよ!
ぜひ試してみてくださいね。
小学校までの「算数」が、中学からは「数学」に変わります。大きな変更としては、
・負の数を扱う
・文字式を使う
が挙げられます。
「負の数」は、数字の前にマイナス(-)がつく、ゼロより小さい数字です。
「文字式」は、「x」や「y」などを使ったいわゆる「方程式」のことです。まずは「x」や「y」を使った計算式に慣れるところからスタートします。これまでは植木算、つるかめ算、旅人算のような和算で解いていた文章題も、方程式で解き進めるようになります。
中学からはこれまでの算数の概念とはまったく違った数学の学習となり、同じ教科というより新しい教科と言っても過言ではないくらいです。
これまで算数が苦手でつるかめ算や旅人算などで苦戦し、なかなか点が取れなかった生徒が、方程式を習うことでスラスラと解けるようになり、数学が好きになったという生徒も少なくありません。
数学は英語と違い、文系を選択した場合には高2以降全く数学を勉強しなくてもよくなる可能性もあり、学校にもよりますが、必ずしも全員にとって大学まで必須となる教科ではないかもしれません。
しかし、文系でも後の就活で苦労したり、社会人になってから必要になったりで、もっとちゃんとやっておけばよかったと後悔する人が少なくないのもまた事実です。文系を目指すにしても、手を抜かずきちんと学習しておくに越したことはないでしょう。
先取り学習として、学校の教科書や問題集を独学するのもいいですし、塾や家庭教師などにきちんと指導してもらうのもいいでしょう。いずれにしても、1学期の授業についていけないことがないように、新しい概念の数学に慣れておくことをおすすめします。
3. 他分野学習(読書・資格試験)
これまで受験勉強でやりたくてもできなかった読書や資格試験などに挑戦するにもいい時期です。
読書は人生の財産!
受験勉強の問題に出題された作品で気になるものがあったら、その作品をはじめ、同じ作家の他の作品を読んでみたり、ぜんぜん違う自分の好きな趣味の本を読んだり、あるいは歴史の勉強にもなる時代物や科学的なサイエンス本を読んだり、この機会にゆっくり読書を楽しむのもいいでしょう。
読書は知識と心を豊かにする人生の財産です。寝る前や電車の中、何かしらの待ち時間に、スマホではなく本を読むという習慣をここでつけられたらいいですね。
資格取得で有利なスタートを
今までの勉強を活かし、漢字や算数が得意であれば漢字検定や数学検定に挑戦してみるのも新たな目標設定ができていいでしょう。前述した通り、今後も必ず必須となる英語検定に本格的に取り組むのも、将来的にも役立ちますし予習にもなるのでおすすめです。
歴史や地理、世界遺産なども、それぞれに検定があり、いろいろきわめてみるのも楽しいでしょう。
何かしら資格を取れれば、本人の自信にもなりますし、さらに学習に興味を持つようにもなりますので、大きなメリットになります。中学生活をより有利にスタートするのにとてもいい影響を及ぼすでしょう。
これらは受験勉強とは違い、本人が興味をもってやれそうなものを、いかにうまくのせてやらせてあげられるのかがポイントとなります。
4. 思い出づくり
学習習慣と同じくらい大事なことがあります。それは小学校での思い出作りです。学習はこれからいくらでもできますが、小学生という時間は決して戻ってきません。勉強も大事ですが、今しかできない友人との遊びや家族との思い出作りも大事にしてください。
とくに中学受験組はこれまで通塾したり学校を休んだりして、あまり思い出作りができていなかったと思います。これまであまり顔を見せることのできなかった祖父母へ会いにいったり、家族旅行をしたり、友人や仲間と思いきり遊んで小学校最後の思い出をたくさんつくってください。
後で悔いが残らないよう、できる時には思う存分残りの小学校生活を楽しむようにしてくださいね。
また、これまで家でも塾でも机の前に座っている時間が多く、運動不足になっていたと思います。この時期を利用してスポーツや習い事を再開するなどして体を動かし、体力をつけておくこともおすすめします。
5. やる気を起こさせる模様替え
学習習慣をなくさないようにと思っても、せっかく長く苦しかった受験が終わったのに、なかなか再び机に向かう気にならないというお子さまも少なくないでしょう。
そこでおすすめしたいのが、部屋の大掃除と模様替えです。受験でできなかった年末の大掃除をこの機会に一気にやって、これまでに使っていた参考書や問題集など、不要なものは処分(もしくはしまうなど)し、代わりに中学の新しい教科書を並べましょう。
思いきって机やベッドなどのレイアウトも変え、「小学生の部屋」から「中学生の部屋」へと模様替えするのもいい機会です。今までと同じ環境だと、これまでやってきた受験勉強の延長のような気持ちになり、やる気も起こりにくいかもしれません。
部屋の模様替えをして新しい教科書を並べることによって、心機一転、今までとは違う気分になり「中学生になったのだ」という新たな気持ちで机に向かえるかもしれませんよ。
6. まとめ~入学までの貴重な時間を有意義に!
今回は、中学受験を終えた小学6年生の中学入学までの過ごし方についてお伝えしました。
この1~2か月は受験からも解放され、中学の新生活に向けて希望に満ちた楽しい期間です。受験が終わったからと言って何もしないのはたいへんもったいないことです。
中学生になると定期的に試験や部活動などで、今ほどは好きなことができなくなります。この機会に今しかできない思い出づくりや自分のやりたいことをたくさんしておきましょう。
繰り返しになりますが、たくさん遊んでも、学習習慣だけはなくさないように気をつけてください。苦しかったハードな受験勉強とは違い、先取り学習などは気軽に楽しみながら学習しましょう。このようなリラックスした状態の学習のほうが、すんなりと頭に入ったりするようですよ。
もし入学までの学習に不安を感じたら、プロの講師に相談し、本人に合った先取り学習プログラムを教えてもらうといいでしょう。中学でいいスタートを切るためにも、この貴重な時間をぜひ有意義に過ごしてくださいね。
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