2024年の中学入試から、今回は洛南高等学校附属中について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2025年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1. 洛南高附中2024年入試の特徴
洛南高附中は国語・算数・理科の3教科、または国語・算数・理科・社会の4教科受験のどちらかを選ぶことができます。
試験時間は国語が60分、算数が70分、理科と社会はそれぞれ45分です。3教科の配点は、国語と算数がそれぞれ150 点、理科が100点の計400 点満点で、4教科は理科と社会を各50点と換算して3教科と同様に400点満点で評価しています。合格判定に3教科、4教科の区別は行っていません。
受験日は東大寺学園と同様に統一受験日から3日目(2024年は1月15日)で、統一試験日初日と2日目に灘中や甲陽学院中を受験した受験生の併願校として東大寺学園と二分しています。
2. 2024年洛南高附中の入試データ
(前年比)
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率 |
男子643名(+26) 女子271名(+5) 合計 914名(+31) |
男子541名(+12) 女子257名 (+5) 合計 798名(+17) |
男子195名(-5) 女子 95名(+5) 合計 290名(±0) |
男子2.77(+0.12) 女子2.71(-0.09) 合計 2.75(+0.06) |
2024年の洛南高附中入試は男子、女子ともに受験者が増加しました。男子は過去5年間で最も多く、女子は概ね例年並みの受験者数でした。
受験者数が増えても、合格者数は3年連続で変化していないので、全体的に実質倍率が高くなっています。特に男子は受験者が12名増えたのに対し、合格者数は5名減っているので、実質倍率が上がり、直近15年で最も狭き門となりました。
女子も受験者が5名増えましたが、合格者数も5名増えたため、実質倍率は昨年よりも低くなり、男子と女子の実質倍率の差が少し縮まりました。
3. 地域別、出願者数・合格者数
2024年洛南高附中入試で府県別に合格者数が多い順に並べたものが下の表です。
※( )内は昨年比 <人>
|
出願者数 |
合格者数 |
大阪府 |
294(+31) |
96(+22) |
兵庫県 |
262(-4) |
88(-10) |
京都府 |
208(+29) |
67(+4) |
滋賀県 |
51(-16) |
14(-9) |
奈良県 |
33(-8) |
7(-2) |
その他 |
66(-1) |
18(-5) |
昨年合格者数20名減と大きく減少した大阪府でしたが、今年の合格者は22名の増加となりました。逆に昨年18名増だった兵庫県が10名の減少となり、再度大阪府と兵庫県の順位が入れ替わりました。
今年大きく増加した大阪府と京都府の志願者数は、直近の5年間でも最も多くなり、逆に滋賀県の志願者数は直近5年間で最も少なくなりました。
4. 洛南高附中志願者の受験パターン
洛南高附中志願者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛)・北嶺(北海道)・岡山白陵(岡山) |
|
1日目 1/13(土) |
2日目 1/14(日) |
3日目以降 1/15(月)~ |
<午前> ・甲陽1(兵庫) ・洛星前期(京都) ・大阪星光(大阪) ・四天王寺(大阪) ・高槻A(大阪) <午後> ・東山前期A(京都) ・明星前期(大阪) ・帝塚山1B(奈良) ・金蘭千里(大阪) ・大谷(大阪) |
<午前> ・甲陽2(兵庫) ・東山前期B(京都) ・明星後期(大阪) ・帝塚山(奈良) ・清風南海A(大阪) ・京都女子B1(京都) ・立命館(京都) <午後> ・西大和学園(奈良) ・高槻B(大阪) |
・洛南高附属(京都)
【4日目以降(1/16~)】 ・清風(大阪) ・清風南海B(大阪) ・洛星(京都) ・大阪桐蔭(大阪) ・開明2(大阪) |
洛南高附中の受験日は、統一入試日から3日目(今年は1月15日)です。併願パターンは男子と女子で大きく変わります。
【男子】
洛南高附中を受験する前の前受け受験として、男子なら愛光、北嶺、岡山白陵などを受験。統一入試日初日と2日目に2日間入試の灘や甲陽学院に挑戦する受験生も毎年います。
灘や甲陽学院ではなく手堅く受験するであれば、初日の午前に洛星、大阪星光、高槻、午後に東山、明星、帝塚山、金蘭千里などが考えられます。2日目の午前に東山、明星、帝塚山など、午後に西大和または高槻が多く、3日目に本命の洛南高附を受験して、4日目以降は清風、清風南海、洛星などとなるでしょう。
【女子】
女子は、統一入試日までに愛光や岡山白陵などを前受け受験し、統一入試日初日の午前に四天王寺または高槻、午後に帝塚山、金蘭千里、大谷が多いようです。
2日目の午前は、帝塚山、清風南海、京都女子などで、午後は西大和または高槻というパターンが多いようです。3日目は本命の洛南高附で、4日目以降は清風南海、大阪桐蔭、開明などが考えられるでしょう。
5. 大手進学塾別合格者数
関西大手進学塾の洛南高等学校附属中学の2024年度合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
希学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
成基学園 |
144(+7) |
60(±0) |
36(-11) |
35(-11) |
31(+8) |
能開センター |
進学館 |
京進 |
SAPIX |
第一ゼミナール |
10(-4) |
10(+2) |
10(+2) |
6(+1) |
2(±0) |
昨年は10名減だった浜学園が、今年はまた増加に転じ、他塾を大きく引き離す結果となりました。地元京都の成基学園は、昨年まで3年連続で合格者数が減少していましたが、今年は4年ぶりに増加に転じました。
6. 科目別平均点
洛南高附中は受験者平均点を算出していないため、合格者平均点と最高点、最低点をご紹介します。
(前年比)<点>
|
合格者平均 |
合格者最高点 |
合格者最低点 |
国語(3科) |
86.9(-2.3) |
125(-2) |
41(-16) |
国語(4科) |
92.6(-3.2) |
||
算数(3科) |
93.8(-4.2) |
144(-6) |
45(-9) |
算数(4科) |
82.8(-6.7) |
||
理科(3科) |
66.3(-0.1) |
94(-4) |
35(+1) |
理科(4科) |
62.6(-0.4) |
||
社 会 |
72.8(+2.2) |
96(+4) |
58(+3) |
合計(3科) |
246.9(-6.7) |
333(+1) |
(併)252・(専)201 |
合計(4科) |
243.3(-9.3) |
※国語、算数は各150点、理科100点の400点満点(4教科の理科、社会は各50点換算)
洛南高附中の2024年入試は、たいへん難度の高い試験だったといえます。昨年まで2年連続で難化し、ここ数年で最も合格者平均が低くなっていましたが、今年はさらに合格者平均点が下がり3年連続の難化となりました。上記の表からもわかるように、特に算数と国語が難化しています。
7. 洛南高附中、科目別の傾向と対策
今年度の洛南高附中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
60分150点満点の試験で、今年も例年通りの大問3題構成でした。大問は論説文、物語文、随筆文の長文読解問題3題だったのも例年通り。漢字や知識問題の単問はなく、大問の中の小問に漢字や外来語、慣用句や故事成語などの知識問題が出題される形式です。
各大問には、やや長めの記述解答の小問がそれぞれ1問ずつあり、今年も70字・75字・
30字の出題がありました。最難関校入試の中では、記述が多いほうではありません。
問題用紙はB5の冊子形式で、今年も24ページとボリュームを感じますが、適度に行間もあり、細かい字が詰まっているような読みにくさはありません。
【難易度】
洛南高附中の2024年国語入試は、過去5年間で最も合格者平均点の低い試験でしたが、概ね例年並みの難易度と言えるでしょう。
【傾向と対策】
長文読解の大問3題なので、60分でかなりの長文を読むことになります。読解スピードが要求される試験となります。
小問で出題される知識問題は、必ずしも本文を読まなければ解けないという問題ではないので、あまり時間をかけずに解き進めることができます。知識問題は得点源になるので、時間のかからない問題から解き進めるなど、解く順の工夫も必要です。
時間を計りながら、解く順番を意識して問題を解き進めていけるよう、過去問や問題集などでしっかり対策しておきましょう。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
70分150点満点の試験で、今年も大問8題構成、小問数も25問と例年並みの問題数でしたが、今年は小問集合がなくなりました。問題用紙はB5の冊子形式の14ページですが、片面が計算用紙として使えるようになっているので、そこまでのボリュームはありません。
解答用紙は別にA4の用紙があり、解き方を書くスペースはなく、解答のみを書く解答形式です。部分点がもらえず、最後まで正確に解答を出さないと一点にもならない、ケアレスミスの許されない試験です。
【難易度】
洛南高附中2024年算数入試は、たいへん難度の高い試験でした。昨年も合格者平均点が100点を下回る難度の高い試験でしたが、今年はさらに下回り、4科受験生の合格者平均点は82.8点、6割にも満たない結果となりました。ここ10年間で最も難度の高い試験だったといえるでしょう。
難度が高い試験ではありますが、前半には易しい問題も多く出題されていて、大問1~大問3はさほど時間をかけずに解き進めることができたと思われます。後半の大問6~大問8は難問でしたが、小問1と小問2は十分解き切れる難易度でした。全体的に難度は高めでしたが、解ける問題を確実に点数にすることが合否のカギとなったでしょう。
【傾向と対策】
70分とやや長めの試験時間ですが、問題数も多く難問も多いため、時間は足りないくらいかと思われます。しかし、前半には易問も多いので、時間をかけすぎず後半の難問に時間を残せるようすることがポイントです。
大問の出題傾向にはあまり偏りがなく、さまざまな単元からの出題がありますが、「平面図形」「立体図形」「速さ」「場合の数」の単元が比較的頻出しています。
毎年大問1は計算問題が4題出題されています。ここは時間をかけずに全問正解し、後半に時間を残したいところです。今年もそうですが、例年全体的に前半はシンプルな易問が多く、後半になるにつれて難度が増してくる傾向にあります。
前半の易問でケアレスミスをしたり時間をかけすぎたりしていると洛南高附中の合格点には届きません。前半で取りこぼさず、後半は小問の前半まで解き切ることが大切です。
また、難問に無駄に時間をかけすぎず、捨て問にする勇気も必要です。
難問かそうでないかの見分け方も、普段から演習を重ねていないとわかりません。過去問や問題集などでしっかり対策しておきましょう。難しい場合には、思いきって家庭教師に依頼するのも一つの手段です。
洛南高附中の算数は部分点が見込めないため、小さなケアレスミスが命取りとなります。ケアレスミスの対処法としては、以前掲載しました当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【試験時間・配点と構成】
45分100点満点の試験で、今年も例年通り大問5題構成でした。大問1と大問2が生物、大問3が化学、大問4が地学、大問5が物理分野という出題順も例年通りでした。
問題用紙は他教科と同様にB5の冊子形式で、今年は17ページありました。例年16~18ページ程度ですので、例年通りといえるでしょう。
【難易度】
洛南高附中2024年理科入試は、昨年並みの難易度で、例年と比べるとやや易しい試験でした。
【傾向と対策】
今年も大問5の物理の問題は難問でしたが、今年は大問1~大問4まで難問らしい難問はなかったように思います。大問4まで時間をかけずに、大問5にいかに時間を残せておけたかがポイントとなったでしょう。
今年の大問5でも出題された「力のつり合い」問題は頻出しています。「洛南の物理と言えば力のつり合い」ともいえる単元。しっかり対策しておきましょう。
前半には単純な知識問題も出題されます。今年の出題内容であれば、合格者平均点ももう少し高く出てもよさそうでしたが、そこまでではなかったことから、前半の単純な知識問題で取りこぼしをした受験生が多かったことが推察されます。
難しい計算問題ばかりでなく知識問題もしっかりと対策し、時間を計りながら過去問演習を行うなど時間配分を間違えないようトレーニングしておきましょう。
◆社会
【試験時間・配点と構成】
社会入試は、45分100点満点の試験です。問題用紙は他教科同様にB5の冊子形式で、今年も昨年とほぼ変わらず35ページありました。
問題冊子の厚さに圧倒されそうになりますが、開いてみると空白も多く、表や図なども多いので、それほど多くの字数を読まされるわけではありません。
構成は例年大問3題構成で、小問数は50問です。大問1が歴史、大問2が地理、大問3が公民という順で出題されます。45分間で50問ですが、さほど時間に追われるような内容ではなかったと思われます。
【難易度】
洛南高附中2024年社会入試は、合格者平均点が72.8点とほぼ例年並みでした。昨年はやや難易度が高かったのですが、今年はやや易化して例年並みに戻りました。
社会科の合格者平均点は例年70~75点くらいで、あまり差がつかない高得点勝負の試験となっています。
【傾向と対策】
歴史、地理、公民の各分野から概ね均等に出題されます。他校では歴史、地理分野に偏った出題が多い傾向にありますが、洛南高附中はやや公民分野の出題が多いのも特徴の1つといえます。
社会は50点満点で換算されるので、さほど差がつく教科ではありませんが、合格を勝ち取るためには必要で大事な点数です。油断せずにしっかり取り組みましょう。
過去問演習の際は、問題文をしっかりと最後まで読む癖をつけることと、短文記述対策も行っておきましょう。
例年時事問題も出題されています。日ごろから新聞やニュースに関心を持ち、政治や外交、文化などの問題を食事時などに家族で会話するだけでも、ちょっとした試験対策になり、おすすめですよ。
8. まとめ~洛南高附中合格への道~
洛南高等学校附属中学校は、日本最古の私立学校「綜藝種智院」を起源に持つ、洛南高等学校の附属中学で、毎年東京大学や京都大学、医学部など最難関大学にも多数進学している京都の名門共学校として有名です。学業はもちろん、スポーツもトップクラスの英才教育校で人気が高く、最難関中学校と位置付けられています。
総合進学セミナーには洛南高附中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように洛南高附中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
洛南高附中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験に関するお悩みがあったら、お気軽にご相談ください。
洛南高附中対策ならお任せください!
講師の質はどこにも負けません!安心して任せられる