2024年の中学入試から、医学部の進学率も高い男女共学の進学校、高槻中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2025年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.高槻中入試の特徴
高槻中の入試は、統一入試日初日(今年は1/13)の午前中に「A日程入試」または「英語選択型入試」、2日目の午後に「B日程入試」が行われ、2回受験するチャンスがあります。
募集人員の男女比と理科・社会の試験時間が昨年変更になりました。詳細は次の通りです。
◆A日程入試
募集人員:男子100名、女子80名、計180名
試験概要: A日程入試は4教科型受験(国語・算数・理科・社会)または3教科型受験(国語・算数・理科)のどちらかを選択します。試験の順序は国語、算数、理科、社会の順で、判定に3教科型、4教科型の区別はありません。
試験時間と配点は国語と算数が各60分で120点、理科と社会は各40分で80点の計400点満点で、評価点は以下の通りです。
<4教科型> 評価点=下記①~③のうち最も高得点の点数
① 国語・算数・理科・社会の合計点
② 国語・算数・理科の合計点×1.25
③ 国語・算数・社会の合計点×1.25
<3教科型> 評価点
・国語・算数・理科の合計点×1.25
(※国語・算数・社会という3教科受験はありません)
◆B日程入試
募集人員:男子60名、女子30名、計90名
試験概要: B日程入試は国語・算数・理科の3教科のみで、時間と配点はA 日程入試と同様に320点満点で判定されます。
◆英語選択型入試
募集人員: 毎年「募集人員は男女若干名」と書かれていますが、この方式の受験で例年15名前後の合格者を出しています。今年度は受験者が大きく減り、合格者も8名にとどまりました。その結果、受験者は減りましたが、実質倍率は上がっています。
試験概要: 国語・算数・英語(筆記)・英語(リスニング)の4教科で、時間と配点は国語と算数が各60分で120点と同じで、英語の筆記が40分の100点、英語のリスニングが30分60点の計400点満点で評価されます。英語選択型で受験する国語と算数はA日程入試と同じ試験となります。
2.2024年の入試データ
(前年比)<人>
|
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率(倍) |
A日程男子 |
100 |
427(+76) |
389(+68) |
131(+9) |
2.97(+0.34) |
A日程女子 |
80 |
294(-4) |
289(+3) |
130(+6) |
2.22(-0.09) |
B日程男子 |
60 |
991(+50) |
854(+61) |
354(+3) |
2.41(+0.15) |
B日程女子 |
30 |
482(+53) |
392(+49) |
111(±0) |
3.53(+0.44) |
英語選択型男女 |
若干 |
23(-18) |
22(-17) |
8(-9) |
2.75(+0.46) |
高槻中2024年入試は、A日程B日程ともに男女とも受験者が増加しました。特に男子受験者が大きく増加し、A日程では実質倍率が3倍に迫る狭き門となりました。
B日程も男子は募集人員60名に対して、受験者は854名、女子も30名の募集に対し受験者は392名と、昨年よりもさらに増加し、近年の高槻中人気がわかる結果でした。
3.高槻中志願者の併願校受験日程パターン
高槻中志願者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛)・岡山白陵(岡山)・岡山(岡山) |
|
1日目 1/13(土) |
2日目 1/14(日) |
3日目 1/15(月) |
<午前> ・高槻A(大阪)
<午後> ・金蘭千里(大阪) ・雲雀丘学園(兵庫) ・帝塚山(奈良) ・明星前期(大阪) ・東山前期A(京都)
|
<午前> ・金蘭千里(大阪) ・雲雀丘学園(兵庫) ・立命館(京都) ・明星後期(大阪) ・同志社女子(京都) ・京都女子(京都) ・甲南女子(兵庫)
<午後> ・高槻B(大阪) |
・帝塚山2B(奈良) ・同志社香里(大阪) ・東大寺学園(奈良) ・清風後期(大阪) ・洛南高附属(京都)
【4日目以降(1/16~)】 ・開明(大阪) ・大阪桐蔭(大阪) ・関西学院(兵庫) ・東山(京都) ・大教大附属池田(大阪) ・神戸大附属(兵庫) |
高槻中を第一志望に考えている受験生の併願パターンは、統一受験日前に前受けとして、愛光、岡山白陵、岡山などを受験し、統一受験日初日午前の高槻A日程に臨みます。その日の午後に受験するのであれば、金蘭千里、雲雀丘、帝塚山など、男子なら明星や東山なども併願校になります。
A日程の合格発表は翌日2日目の午前中ですので、2日目の午前までは受験が続きます。2日目の午前は、金蘭千里、雲雀丘、立命館、帝塚山、男子なら明星、女子なら同志社女子、京都女子、甲南女子などが考えられます。
午前の試験が終わった時点で高槻A日程の合否の確認はできますので、合格していればこれで終了ですが、そうでなければ午後の高槻B日程を受験することになります。
3日目は帝塚山、同志社香里、男子なら清風を受験する生徒が多いのですが、洛南高附にチャレンジする受験生もいます。
B日程の合格発表は4日目の午前中ですので、4日目に開明、大阪桐蔭、関西学院、男子なら東山などが考えられます。5日目以降は、大教大附属池田や神戸大附属などが併願校となるでしょう。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の高槻中合格者数は多い順に下記の通りでした。
<人>(前年比)
浜学園 |
馬渕教室 |
希学園 |
日能研 |
能開センター |
265(+26) |
116(±0) |
104(-6) |
102(-3) |
42(+1) |
成基学園 |
進学館 |
SAPIX |
第一ゼミナール |
京進 |
41(+9) |
30(-12) |
28(-2) |
9(-5) |
8(-1) |
3年連続で合格者数を伸ばしている浜学園が、首位の座を揺るぎないものにしています。昨年大きく合格者数を伸ばした希学園は、合格者数がやや減少したものの、今年も100名以上の合格者を出しました。
昨年大きく減少した成基学園はまた大きく増加に転じ、日能研と進学館は2年連続の減少となりました。
来年度も浜学園の首位は揺るぎないと思われますが、馬渕教室・希学園・日能研と、能開センター・成基学園・進学館・SAPIXは僅差なので、順位に変動があるかもしれません。
5.科目別成績データ
高槻中合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
<点>(前年比)
科 目 |
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 (A入試・男子) |
68.9(-7.5) |
77.9(-6.5) |
9.0(+1.0) |
国 語 (A入試・女子) |
79.4(-5.8) |
84.7(-7.7) |
5.3(-1.9) |
算 数 (A入試・男子) |
64.6(+17.5) |
84.6(+22.3) |
20.0(+4.8) |
算 数 (A入試・女子) |
72.4(+17.9) |
89.7(+17.2) |
17.3(-0.7) |
理 科 (A入試・男子) |
40.9(-17.2) |
46.8(-16.8) |
5.9(+0.4) |
理 科 (A入試・女子) |
44.5(-15.2) |
50.4(-16.0) |
5.9(-0.8) |
社 会 (A入試・男子) |
56.8(+0.9) |
61.2(+1.1) |
4.4(+0.2) |
社 会 (A入試・女子) |
59.9(+3.0) |
65.0(+2.7) |
5.1(-0.3) |
合 計 (A入試・男子) |
231.5(-2.0) |
277.6(+9.5) |
46.1(+11.5) |
合 計 (A入試・女子) |
258.6(+3.4) |
296.9(+3.0) |
38.3(-0.4) |
国 語 (B入試・男子) |
68.1(-7.7) |
74.7(-8.3) |
6.6(-0.6) |
国 語 (B入試・女子) |
75.9(-6.2) |
84.9(-5.4) |
9.0(+0.8) |
算 数 (B入試・男子) |
73.1(+1.4) |
93.8(+6.1) |
20.7(+4.7) |
算 数 (B入試・女子) |
66.1(+2.1) |
88.0(+6.9) |
21.9(+4.8) |
理 科 (B入試・男子) |
53.5(+0.7) |
61.7(+1.5) |
8.2(+0.8) |
理 科 (B入試・女子) |
51.1(+1.9) |
60.7(+1.3) |
9.6(-0.6) |
合 計 (B入試・男子) |
194.6(-5.7) |
230.2(-0.7) |
35.6(+5.0) |
合 計 (B入試・女子) |
193.2(-2.1) |
233.5(+2.7) |
40.3(+4.8) |
国 語 (英語選択型入試) |
66.3(-9.3) |
73.3(-10.8) |
7.0(-1.5) |
算 数 (英語選択型入試) |
44.6(+5.2) |
64.4(+15.4) |
19.8(+10.2) |
英 語 (英語選択型入試) |
100.3(-14.4) |
128.5(-2.4) |
28.2(+12.0) |
合 計 (英語選択型入試) |
211.2(-18.5) |
266.1(+2.2) |
54.9(+20.7) |
(※全入試、国語、算数は各120点、理科、社会は各80点、英語160点)
高槻中の2024年A日程入試は、全体的に概ね例年並みの難易度でした。教科によってはばらつきがあり、昨年たいへん難化した算数がその反動で易化し、理科は大きく難化しました。
毎年のことですが、今年も全体的に女子の平均点が男子よりも高く、特にA日程女子の受験者平均点と合格者平均点の差が小さいことがわかります。共学化して女子の実績も上がっていることから、優秀な女子が集まってきていることがわかります。
昨年も算数では、受験者平均点と合格者平均の差が15点以上と大きく開きましたが、今年はおよそ20点とさらに広がる結果となりました。
6.2024年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の高槻中A日程入試を中心に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
60分120点満点の試験で、今年も例年通りの大問3題構成でした。問題用紙は冊子形式の20ページ。大問1と大問2が長文読解問題、大問3が漢字の書き取り問題でした。
大問1と大問2の長文読解は、今年も説明文と物語文でしたが、随筆が出題される年度もあります。問題は20ページですので、長文問題は多くの文字数を読むことになり、読解スピードが求められる試験です。
【難易度】
高槻中の2024年国語入試は、2年連続で難化しました。ここ数年で最も受験者平均点が低い難度の高い試験となりました。
【傾向と対策】
大問1と2の長文読解は、今年も昨年同様、「論説文」と「物語文」でした。大問3の漢字の書き取りは、例年10問あり、灘中や東大寺学園中のような難問はあまり出題されません。しっかりと得点源にしたいところです。
大問1と大問2の解答形式は、半分ほどが選択解答なのですが、簡単ではありません。すぐに1つには絞れないような難解な選択問題も多いので、選択肢を何度も読み返すことになり、時間を費やしてしまう可能性があります。
記述は例年4問程度ですが、今年は3問でした。記述は3問とも字数制限のあるもので、80字以内、30字以内、60字以内と多くの字数を書くことになります。記述は配点も大きいので、部分点を取れるような記述解答対策が必須となります。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
60分120点満点の試験で、問題用紙は冊子形式の5ページでした。昨年より2ページ減っていますが、今年も例年通り大問5題構成でした。今年は大問2と大問4の小問で、それぞれ1題ずつ解き方を書かせる出題がありました。
【難易度】
高槻中の2024年算数入試は、昨年と比べ大きく易化はしましたが、概ね例年並みと言えるでしょう。
昨年はたいへん難度の高い試験でしたが、直近の5年でも男子受験生の受験者平均点が60点以上だった(=得点率50%を上回った)のは、一昨年と今年だけでした。ロースコアの難度の高い試験というのが、高槻中算数入試の最近の特徴です。
【傾向と対策】
高槻中の算数の解答形式は、基本的に毎年解答のみで、途中で解き方を書かせる問題が2問出題されています。今年は大問2と大問4の小問内での出題でしたが、昨年は大問1の中で2題、一昨年は大問5の最後の2題でした。解き方を書かせる問題がどこで出題されるのかは年度によりさまざまです。
最初の計算問題はミスなくスピーディーに解き進めたいところです。今年の最初の計算問題は「分数の計算」で、比較的簡単に通分ができて簡単に161/690という答えが導き出せたかと思います。
このまま解答してしまった受験生もいたようですが、これは分母・分子共に23で割り切れる数であるため、約分して7/30が正解です。簡単な問題こそ油断せずに、この解答で大丈夫か常に疑って解くようにしましょう。
頻出単元は「数の性質」「平面図形」「立体図形」「速さ」などですが、偏りはあまりないほうなので、苦手単元を作らないようにしておきましょう。ちなみに今年は速さの単元の出題はありませんでした。
また、解答のみの問題はケアレスミスが命取りになりますので、地道な計算演習とミス対策をしっかり行っておきましょう。
※ケアレスミス対策については、下記のブログ「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【試験時間・配点と構成】
40分80点満点の試験で、今年の問題用紙は冊子形式の15ページでした。昨年一昨年は22ページの冊子で、かなりのボリュームがあったのですが、今年はページ数も問題数も減少しました。
【難易度】
高槻中の2024年理科入試は、問題用紙のページ数も減り問題数も減ったのですが、決して易化したわけではなく、逆に大きく難化しました。過去10年でも受験者平均点が最も低く、合格者平均点ですら男子で得点率58.5%でした。いかに難度が高い試験だったかがわかります。
【傾向と対策】
高槻中の理科は、例年物理、化学、生物、地学の各分野から出題があります。各分野1題ずつの大問4題構成が基本ですが、昨年のように地学が2題出題され大問5題構成の年度もあります。
出題順序は毎年大問1から物理、化学、生物、地学の順で出題されています。今年もそうでしたが、前半の物理と化学分野では難問が出題されることが多く、そこで時間を使いすぎると、比較的解きやすい後半の生物、地学分野に到達する前に終わってしまいます。
40分と試験時間も短いので、時間の使い方がとても大事です。解き進める順序、取捨選択も合否を分ける大きな要素となりますから、過去問演習のみならず、普段のテストでも解きやすい問題から解き進めるような試験のテクニックも身に付けておきましょう。
当然、普段から演習量が少ないと、どれが難問でどれが易問かもわかりません。高槻中を志望するのなら、理科の演習量をしっかりこなしておく必要があるでしょう。
頻出単元は物理分野の「力のつりあい」、生物分野の「植物のつくり」、地学分野の「天体(特に月)」ですが、毎年各分野一つではなくさまざまな単元から出題があります。苦手単元を作らないようにしておきましょう。
◆社会
【試験時間・配点】
40分80点満点で、問題用紙は冊子形式の16ページでした。社会も理科同様に、ページ数も問題数も昨年に比べると緩和されています。
それでも16ページという量に圧倒されそうになりますが、問題文の文字は比較的大きく、図や写真、表なども多いので、それほど多くの文字数を読まされるわけではありません。
【難易度】
高槻中の2024年社会科入試は、ここ数年で最も受験者平均点・合格者平均点が高く、標準的な易しい試験だったといえるでしょう。特に女子の合格者平均点は、80点満点中の65点と得点率81.25%となり、かなりの高得点勝負となりました。
【傾向と対策】
高槻中の社会は、地理・歴史・公民の各分野から出題がありますが、今年を含め例年の出題数の割合は、概ね地理40%、歴史40%、公民20%ですので、地理と歴史に偏っているといえるでしょう。
解答方法は用語解答が6割以上で、記号選択が3割ほどで、今年も短文記述が1題出題されました。40分で50問ほどを解き進めなければなりませんが、さほど時間に追われるような試験ではありません。
用語解答が多いのですが、各問題の中で「漢字で答えなさい」という問題も多く出題されています。正確な漢字で書けるように、書いて覚えるクセをしっかりつけておきましょう。
7.まとめ~高槻中合格への道~
2020年には、創立80周年を迎え、「学びの森」と称される立派な図書館の入った新校舎も建てられました。大阪府の名門校として人気が高い学校です。
総合進学セミナーには高槻中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように高槻中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
高槻中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験に関するお悩みなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
高槻中対策ならお任せください!
保護者の方の疑問にお答えし、不安を解消する