2024年の中学入試から、今回は兵庫県を代表する男女共学の進学校、須磨学園中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2025年の受験対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.須磨学園中入試の特徴
須磨学園中の入試は第1回から第3回まで3回のチャンスがあり、統一入試日初日(今年は1/13土曜日)午前中に第1回、2日目の午前中に第2回、2日目の午後に第3回の入試が行われます。
第1回と第2回は国語・算数・理科の3教科型または国語・算数・理科・社会の4教科型を出願時に選択します。試験時間と配点は国語と算数が各60分の150点、理科と社会は各40分の100点で、3教科型が400点満点、4教科型500点満点となり得点率で判定します。どちらを選択しても合否に有利不利はありません。
第3回は2教科型で算数・国語の2教科または算数・理科の2教科の選択となります。試験時間と配点は各科目60分の150点、2科目300点満点で判定します。
また、須磨学園中には最難関国公立大学を目指すBコース(募集定員40名)と難関国公立大学を目指すAコース(募集定員80名)があり、最初にどちらかのコースを選んで受験します。Bコースを選択しBの合格点に達していなくても、Aコースの合格点に達していればAコース合格となる「廻し合格」もあります。
【優遇措置制度】
須磨学園中の入試は複数回受験をすると、下記のような加点制度があるのが特徴的です。
・第1回と第2回、または第3回の2回受験……→ +6点(2回目受験時に6点の加点)
・第2回と第3回の2回受験……→ +4点(2回目受験時に4点の加点)
・3回連続受験……→ +10点(3回目受験時に10点の加点)
受験は1点、2点を争う試験ですので、複数回受験するだけで加点がもらえるのは大きいでしょう。須磨学園中を第一志望校にするのなら、複数回受験することをおすすめします。
2.2024年の入試データ
須磨学園中の2024年入試の志願者、受験者、合格者の人数と各回の実質倍率は下記表の通りです。
(前年比)<人>
|
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率 |
171(-16) |
165(-11) |
A:57(-7) B:26(+2) |
1.99倍(-0.01) |
|
第2回 |
362(-35) |
356(-33) |
A:97(+13) B:67(-13) |
2.17倍(-0.20) |
第3回 |
400(-41) |
376(-33) |
A:94(-4) B:87(+12) |
2.08倍(-0.28) |
合 計 |
933(-92) |
897(-77) |
A:248(+2) B:180(+1) |
2.10倍(-0.19) |
※募集定員は、Aコース80名、Bコース40名の計120名
2024年の須磨学園中入試の志願者数、受験者数は、3年連続で大きく減少しました。一方で合格者数は昨年度と同程度でしたので、今年は昨年よりもさらに広き門となりました。
ここ数年志願者が減少しているのは、須磨学園が経営する同じ神戸市内の夙川中学校の人気が上がっていて、同じ須磨学園の学校なら、より合格の可能性が高くなる夙川中に流れているという可能性もあります。
また、須磨学園と同じ最寄り駅(神戸市営地下鉄・山陽電鉄「板宿駅」)の滝川中は、駅からも近く、今年度男子校から共学になり、校舎も共学用にリニューアルされたことで、滝川中に流れた可能性もあると思われます。
3.須磨学園中志願者の併願校受験日程パターン
須磨学園中志願者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛) ・岡山白陵(岡山) ・岡山(岡山) ・北嶺(北海道) |
|
1日目 1/13(土) |
2日目 1/14(日) |
3日目 1/15(月) |
<午前> ・須磨第1回(兵庫)
<午後> ・夙川(兵庫) ・滝川第ニ(兵庫) ・滝川(兵庫) ・親和(兵庫) |
<午前> ・須磨第2回(兵庫)
<午後> ・須磨第3回(兵庫) |
・夙川(兵庫) ・帝塚山2B(奈良) ・大阪桐蔭(大阪) ・滝川第ニ(兵庫) ・淳心学院(兵庫)
|
4日目以降 1/16(火)~ |
・関西学院(兵庫) ・三田学園(兵庫) ・滝川第ニ(兵庫) ・神戸大附属(兵庫) ・滝川(兵庫) |
■前受け
須磨学園中を第一志望に考えている受験生の併願パターンは、統一受験日前に前受けとして、愛光、岡山白陵、岡山、男子なら北嶺などを受験。統一受験日初日午前の須磨学園中第1回入試に臨みます。
- 1日目
須磨学園中を受験した初日の午後は、同じ学校法人の夙川中を受験する生徒が多く、他に滝川第二や滝川、女子なら親和などを受験しています。
翌日の2日目には午前に須磨学園第2回、午後には第3回があるので、初日の午後は他を受験せずに体を休ませるというのも一つの手段です。
- 2日目
2日目には午前に須磨学園第2回入試、午後に第3回入試があります。前日の第1回の合格発表は2日目の15時ですので、第3回まで受験してから第1回の合否を確認します。第1回で合格であればこれで終了です。
- 3日目~
第1回で合格できなかった場合は、3日目にやはり夙川や滝川を受験するパターンが多いのですが、住んでいる地域により帝塚山や大阪桐蔭を受験する生徒もいます。男子なら淳心学院なども考えられるでしょう。
2日目に受験した第2回と第3回の合格発表は3日目の16時ですので、合格していればここで終了です。そうでなかった場合は、4日目以降に関西学院、三田学園、滝川第二、神戸大附属、滝川などを受験するパターンが多いようです。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の須磨学園中合格者数は多い順に下記の通りでした。
<人>(前年比)
浜学園 |
日能研 |
希学園 |
馬渕教室 |
173(+7) |
83(-9) |
50(+12) |
38(-44) |
進学館 |
SAPIX |
第一ゼミナール |
久保塾 |
33(±0) |
9(+7) |
9(+4) |
8(+5) |
昨年に続き合格者数が増加した浜学園が、今年も圧倒的な強さを見せました。昨年50名も増加した馬渕教室でしたが、今年は44名の減少と、ほぼ一昨年の実績に戻りました。
2位の日能研が3年連続で減少しましたので、1位と2位の差がさらに広がることになりました。希学園は昨年に続き今年も10名以上の伸びを見せていて、今後の展開が注目されています。
5.科目別成績データ
須磨学園中合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
(前年比)<点>
科 目 |
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 (第1回・B) |
93.6(+3.4) |
105.0(+0.3) |
11.4(-3.1) |
国 語 (第1回・A) |
98.8(+4.2) |
5.2(+0.8) |
|
算 数 (第1回・B) |
99.8(+2.6) |
124.2(+4.7) |
24.4(+2.1) |
算 数 (第1回・A) |
112.1(+6.7) |
12.3(+4.1) |
|
理 科 (第1回・B) |
60.3(-0.9) |
79.7(+1.5) |
19.4(+2.4) |
理 科 (第1回・A) |
64.3(-2.9) |
4.0(-2.0) |
|
社 会 (第1回・B) |
62.6(+2.4) |
80.5(-4.5) |
17.9(-6.9) |
社 会 (第1回・A) |
63.8(+0.8) |
1.2(-1.6) |
国 語 (第2回・B) |
93.8(+2.2) |
109.2(+3.9) |
15.4(+1.7) |
国 語 (第2回・A) |
99.4(+3.2) |
5.6(+1.0) |
|
算 数 (第2回・B) |
94.0(-1.8) |
118.9(+1.8) |
24.9(+3.6) |
算 数 (第2回・A) |
104.2(+2.3) |
10.2(+4.1) |
|
理 科 (第2回・B) |
61.5(+1.1) |
72.1(-0.9) |
10.6(-2.0) |
理 科 (第2回・A) |
68.7(+3.6) |
7.2(+2.5) |
|
社 会 (第2回・B) |
62.0(-0.2) |
64.0(-4.8) |
2.0(-4.6) |
社 会 (第2回・A) |
64.0(+0.2) |
2.0(+0.4) |
国 語 (第3回・B) |
90.2(+0.5) |
114.4(+9.6) |
24.2(+9.1) |
国 語 (第3回・A) |
101.8(+5.5) |
11.6(+5.0) |
|
算 数 (第3回・B) |
94.5(-2.0) |
118.3(-3.3) |
23.8(-1.3) |
算 数 (第3回・A) |
104.1(-1.9) |
9.6(+0.1) |
|
理 科 (第3回・B) |
97.4(+3.8) |
112.4(+2.5) |
15.0(-1.3) |
理 科 (第3回・A) |
97.2(-2.6) |
-0.2(-6.4) |
(※第1回、第2回の国語、算数は各150点、理科、社会は各100点、第3回の国語、算数、理科は各150点)
須磨学園中も他校と同様に、受験者平均点と合格者平均点の差が算数で大きく出ています。算数だけは第1回から第3回のすべての回で、Aコースでも10点以上の差がついています。
上記表の通り、毎年Bコース合格者のレベルの高さが際立っています。Aコースの合格者平均点と比べても大きな差がついています。Bコースでの合格を目指すのであれば、兵庫県の他の最難関校と同レベルの力が必要です。
6.2024年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の須磨学園中の第1回入試を中心に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
60分150点満点の試験で、例年長文読解の大問2題構成。一昨年までは物語文と説明文または随筆という2題構成でしたが、今年は昨年に続き説明文と詩の2題でした。
漢字や語句問題は大問中の小問で出題されます。記述解答は今年も昨年同様に100字以上120字以内という長文記述1題のみでした。
【難易度】
昨年よりやや易化しましたが、ほぼ例年並みの難易度でした。上位のBコースであれば110点、Aコースでも100点が1つの目標となります。
【傾向と対策】
昨年から傾向が変わり、説明文と詩という2題構成が2年連続で続いています。今後もこの傾向が続くのか、また2年前までのような物語文と説明文や随筆といった傾向に戻るのかはわかりません。直近の過去問はもちろん、少し古い過去問も演習しておくようにしましょう。
須磨学園中の国語は、小問数自体はさほど多くありません。つまり、1問1問の配点が大きくなります。その中でも毎年出題のある100字以上の長文記述解答の配点は大きいと思われます。満点は取れなくても、しっかりと部分点が取れるようにするための記述対策が必須です。
今年の解答形式は半分くらいが選択問題でした。正しいものを選ぶだけでなく、誤ったものやすべて選ぶ問題などが混在しています。問題文を細かく正確に読み、必要なら線を引くなどしてケアレスミスをしないようにしましょう。選択問題も決して易しくはありませんので、しっかり対策しておきましょう。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
60分150点満点の試験で、大問5題の小問25問とほぼ例年通りの問題構成でした。問題用紙も例年通りで、B5サイズ12ページの冊子形式でした。12ページとはいっても、片面は計算用紙用として白紙のため、実際の問題は6ページでさほどのボリュームは感じません。
問題用紙とは別にB4用紙1枚の解答用紙があり、基本的には解答のみの記入ですが、例年1問だけ解き方を書かせる問題が出題されています。
【難易度】
須磨学園中の算数入試は、4年連続で前年に比べ易化しています。今年の第1回の算数は合格者平均124.2点で得点率82.8%とたいへん高く、高得点勝負の試験となりました。
ここ数年易化が続いていたため、今年は大きく難化するかもしれないと思われていましたが、逆にさらに易化したため来年度は難化が予想されます。
【傾向と対策】
2024年度の算数も易化が進み、Aコースでも得点率7割は必要になっています。
大問5題構成の大問1では計算問題が5題出題されますが、須磨学園中受験者ならここでのミスは許されません。
大問2の小問集合は8問で、さほど難しい問題ではなかったものの、最後の小問8の図形の問題は大問2の中ではやや難問だったかもしれません。大問3から大問5もそれぞれ小問が3~4問ありましたが、小問1や小問2は易しい問題で、大問3~5の小問の後半で難しくなり、差が出てきます。
今年はさほどの難問はありませんでしたが、問題を解いていて時間がかかりそうだと思ったら、思い切ってその問題は飛ばして後回しにする勇気も必要です。後半にも解きやすい問題がありますので、問題の取捨選択、解き進める順番も合否を分ける重要なポイントです。
計算問題以外には規則性、場合の数、平面図形、立体図形の単元が頻出です。
ここ数年のような易しい試験では、計算問題などを含めケアレスミスが致命傷になります。塾の復習テストなどでも緊張感を持って取り組み、ケアレスミスをなくしていく心構えを常に持っておくようにしましょう。
ケアレスミス対策は、下記ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【試験時間・配点と構成】
40分100点満点の試験で、生物・化学・物理・地学の各分野1題ずつの大問4題構成です。出題順序も例年、大問1が生物、大問2が化学、大問3が物理で大問4が地学という順に出題されています。問題数の割合もほぼ4分野均等です。
【難易度】
須磨学園中の理科入試は、例年受験者平均が60点強くらいで、今年度も60.3点だったので、概ね例年並みと言えます。
受験者平均点と合格者平均点を見てもわかる通り、最難関国公立大学を目指すBコースと、難関国公立大学を目指すAコースの合格者平均点を見ると、Bコースの合格者平均点の方が15点近く高くなっています。須磨学園Bコースの算数や理科の難度の高さがわかります。
【傾向と対策】
昨年度の理科入試は知識問題が大きく減少し、計算問題が増加しましたが、今年も昨年と同じような出題数となりました。須磨学園中の理科の試験は出題単元に偏りがなく、毎年さまざまな単元から出題されますが、化学分野は「気体と燃焼」の単元が頻出しています。
化学分野、物理分野では、計算問題が複数出題されています。40分と試験時間が短いので、焦ってしまいがちですが、慎重に解き進める必要があります。
化学分野においては、聞きなれない用語や物質の名前が出てくることがありますが、問題文をしっかり読めば、考え方が分かるようになっています。初見の言葉や語句が出てきても慌てずに、「やっぱり出たな」くらいの気持ちで取り組みましょう。問題文に慣れるためにも、過去問などでしっかり対策しておきましょう。
◆社会
【試験時間・配点と構成】
40分100点満点の試験で、大問5題構成で小問数は40問、問題用紙は24ページの冊子形式です。
地理・歴史・政治の各分野から出題があります。大問1と大問2が歴史分野、大問3と大問4が地理分野、大問5が公民分野で、歴史と地理分野に偏りがあります。
【難易度】
須磨学園中の社会科入試は、理科同様、受験者平均が60点強くらいで安定しています。今年度も受験者平均点が62.6点と概ね例年並みの難易度でした。
【傾向と対策】
社会3分野の中では、地理分野がやや難度が高い傾向にあります。毎年数問「説明しなさい」という記述解答が出題されます。2行程度ですが、しっかりと答えられるように過去問などでしっかり対策しておきましょう。
記号選択問題が多く、「適切なものを選びなさい」と「適切でないものを選びなさい」の両方が混在しています。問題文を読みながら、指示部分に線を引くなどして読み間違いのないように注意しましょう。
7.まとめ~須磨学園中合格への道~
須磨学園中の受験者数は、ここ数年減少傾向にありますが、兵庫県を代表する難関共学校としての人気は高く、来年度はまた反動で増加に転じる可能性もあります。
須磨学園は「to be myself,…なりたい自分になる。そして…」をスローガンに掲げ、主体性を重んじ、充実した設備と独自のプログラムを展開、意識の高い人材を育てている文武両道の男女共学校です。最難関国公立大学や医歯薬系への現役合格目指す手厚い指導体制が人気の進学校です。
総合進学セミナーには須磨学園中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように須磨学園中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
須磨学園中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験に関するお悩みなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
須磨学園中対策ならお任せください!
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