2024年の中学入試から、大阪府でもトップクラスの進学実績を誇る共学校、清風南海中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2025年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.清風南海中入試の特徴
清風南海中の入試は、「SG入試」または「A入試」と「B入試」の3つの入試形態があります。「SG入試」と「A入試」は統一入試日2日目(今年は1/14日曜日)の午前中、「B入試」は統一入試日4日目の午前中に行われます。「SG入試」と「A入試」の併願はできません。
清風南海には、「スーパー特進コース」と「特進コース」があります。スーパー特進コースで受験し、そのコースでは不合格でも特進コースの基準に達していれば廻し合格があります。
スーパー特進コースを選択する受験生が多いのですが、成績順にコースが決まるので、特進コースで受験しても成績が良ければ一旦はスーパー特進コースでの合格となります。どちらのコースで入学するかは選択できます。
【A入試・B入試】
A入試とB入試の試験科目は、4教科型受験(国語・算数・理科・社会)または3教科型受験(国語・算数・理科)のどちらかを出願時に選択します。試験時間と配点は、国語と算数が各60分で120点、理科と社会が各40分で80点の合計400点満点で判定します。評価点の計算方法は以下の通りです。
<4教科型> 評価点=下記①~③のうち最も高得点の点数
① 国語・算数・理科・社会の合計点
② 国語・算数・理科の合計点×1.25
③ 国語・算数・社会の合計点×1.25
<3教科型> 評価点
・国語・算数・理科の合計点×1.25
【SG入試】
SG入試は、A入試の3教科型受験と共通問題で試験時間と配点も同じですが、評価点が以下の通り異なりますのでご注意ください。
評価点=下記①~③のうち最も高得点の点数
① 国語・算数・理科の合計点×1.25
② 国語・算数の合計点×5/3
③ 算数・理科の合計点×2
上記点数に英語検定資格が以下の通りに点数化されて加算されます。
・英検準2級→+20点
・英検2級→+30点
・英検準1級以上→+50点
*英語検定資格は英検だけでなくGTEC、IELTS、TOEFL、TOEICなどでも点数により加算されます(詳細については、学校のホームページでご確認ください)。
国語、算数、理科で得意な2教科があり、基準以上の英語資格を持っている受験生にとって有利な入試となるでしょう。
2.2024年の入試データ
(前年比)<人>
|
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率(倍) |
|
SG 入試 |
S特 |
20 |
76(-12) |
75(-11) |
10(-24) |
7.50(+4.97) |
特進 |
20 |
18(-5) |
2.68(+1.17) |
|||
A入試 |
S特 |
70 |
864(+84) |
843(+76) |
193(-2) |
4.37(+0.44) |
特進 |
110 |
251(+22) |
1.90(+0.09) |
|||
B入試 |
S特 |
20 |
971(+404) |
549(+103) |
109(+21) |
5.04(-0.03) |
特進 |
30 |
151(+29) |
2.11(-0.01) |
|||
計 |
270 |
1,911(+476) |
1,467(+168) |
732(+41) |
2.00(+0.12) |
※特進コースの実質倍率は、S特進と特進の合格者数の合計から算出しています。
2024年の清風南海中入試は、A入試とB入試共に志願者数、受験者数が大きく増加しました。とくにA入試は、昨年まで5年連続減少していましたが、今年は反動なのか大幅な増加となりました。
A入試のスーパー特進の合格者がやや減少し、実質倍率が上がりました。特進コースは合格者数も大きく増え、実質倍率は微増にとどまっています。B入試は受験者数が昨年より100名以上増えましたが、合格者数も両コースともに20名以上増加し、実質倍率は昨年とほぼ変わっていません。
今年は昨年と比べ、SG入試の合格者数が大きく減少しましたので、各コース共に実質倍率が大きく上がることになりました。
3.清風南海中志願者の受験日程パターン
清風南海中志願者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛) ・岡山白陵(岡山) ・岡山(岡山) ・北嶺(北海道) |
|
1日目 1/13(土) |
2日目 1/14(日) |
3日目 1/15(月) |
・大阪星光(大阪) ・高槻A(大阪) ・清風理Ⅲプレ(大阪) ・明星前期(大阪) ・四天王寺(大阪) ・帝塚山1B(奈良) ・帝塚山泉ヶ丘1(大阪) |
<午前> ・清風南海A(大阪) <午後> ・西大和学園(奈良) ・高槻B(大阪) ・帝塚山泉ヶ丘2(大阪) |
・東大寺学園(奈良) ・清風後期(大阪) ・帝塚山2B(奈良) ・大阪桐蔭S(大阪)
【4日目以降(1/16~)】 ・清風南海B(大阪) |
清風南海中を第一志望に考えている受験生の併願パターンは、統一受験日前に前受けとして愛光、岡山白陵、岡山、男子なら北嶺などを受験します。
統一受験日初日は男子なら大阪星光、高槻、清風、明星、帝塚山泉ヶ丘、女子なら四天王寺、高槻、帝塚山、帝塚山泉ヶ丘などを受験し、2日目の清風南海A入試に臨みます。この日に2校受験する場合は、午後に西大和、高槻、帝塚山泉ヶ丘などを受験する生徒が多いようです。
3日目は、男子なら東大寺学園に挑戦するか清風や帝塚山、大阪桐蔭、女子なら帝塚山や大阪桐蔭などが考えられます。清風南海A入試の合格発表は3日目の14時ですので、合格ならここで終了となります。そうでなかった場合は翌日4日目の清風南海B入試へと進むことになります。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の清風南海中合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
能開センター |
馬渕教室 |
日能研 |
250(+58) |
239(+18) |
134(-11) |
53(+18) |
第一ゼミナール |
SAPIX |
進学館 |
|
27(+8) |
11(+2) |
6(+2) |
|
今年も昨年に続き、清風南海中の合格者数が増加しましたので、ほとんどの塾で合格者数が増えました。
ここ数年トップを守っていた、南大阪に強い能開センターも合格者数が増えましたが、50名以上増えた浜学園にトップの座をゆずることになりました。しかし、能開センターが南大阪で安定した強さを見せていることも確かです。
5.科目別成績データ
清風南海中2024年の各試験の教科ごとの受験者平均点と合格者平均点、スーパー特進コースの合格者平均点は下記の通りです。
(前年比) <点>
入試・教科 |
受験者平均点 |
合格者平均点 |
スーパー特進 合格者平均点 |
A入試・国語 |
73.1(-8.4) |
79.9(-7.1) |
83.5(-8.4) |
A入試・算数 |
76.3(+1.8) |
85.9(-0.1) |
95.2(+1.0) |
A入試・理科 |
56.2(-2.3) |
62.6(-0.7) |
66.9(-0.2) |
A入試・社会 |
44.0(-4.5) |
48.7(-4.1) |
51.8(-3.1) |
B入試・国語 |
74.7(+3.2) |
82.9(+3.3) |
89.2(+4.0) |
B入試・算数 |
84.0(+12.2) |
96.4(+10.2) |
104.8(+8.1) |
B入試・理科 |
63.0(+12.4) |
69.5(+12.5) |
73.2(+10.1) |
B入試・社会 |
54.7(+3.2) |
59.3(+2.1) |
61.8(+4.2) |
SG入試・国語 |
67.9(-9.3) |
72.1(-11.1) |
71.8(-14.8) |
SG入試・算数 |
74.3(-3.3) |
93.4(+6.6) |
103.4(+10.1) |
SG入試・理科 |
53.6(-6.2) |
65.1(+1.6) |
70.0(+6.7) |
(※国語、算数は各120点満点、理科、社会は各80点満点)
【合格者最低点】
清風南海中2024年の各試験、各コースの合格最低点は下記の通りでした。
(前年比)<点>
A入試 |
B入試 |
SG入試 |
|||
スーパー特進 |
特 進 |
スーパー特進 |
特 進 |
スーパー特進 |
特 進 |
288 (-7.0) |
257.5 (-8.5) |
315 (+30.0) |
285 (+32.5) |
341 (+21.0) |
307 (+27.0) |
6.2024年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の清風南海中A入試を中心に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
60分120点満点の試験で、大問4題構成です。長文読解2題と詩と漢字の書き取りという4題です。長文は物語文と論説文の2題でした。
解答形式の割合も例年あまり変わらず、概数ですが知識問題3割前後、記述解答が2割前後、記号選択が5割前後です。難関校の中では知識問題の割合が多く、記述解答が少ない傾向にあります。
【難易度】
清風南海中の2024年国語A入試は、昨年まで2年連続で易化しましたが、今年はやはり難化しました。昨年が例年と比較しても易しい試験でしたので、例年並みに戻ったとも言えます。
【傾向と対策】
清風南海中受験者にとって、大問4の漢字の書き取り問題はさほど難易度が高いわけではないと思われます。ここはしっかり得点源にしておきたいところです。
漢字以外の知識問題は、ことわざ、慣用句、和語が毎年出題されています。知識問題は出題単元が偏っていますので、対策もしやすいでしょう。
長文読解の各大問の中には1問記述解答があるものの、多くが記号選択です。少ないとはいえ記述問題は配点も大きくなります。しっかりと対策しておきましょう。
また、大問3で他校では出題の少ない詩や短歌や俳句も毎年出題されています。併せて準備しておきましょう。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
60分120点満点の試験で、例年通りの大問5題構成でした。大問1が計算問題、大問2が小問集合、大問3から大問5に平面図形、立体図形、速さの単元が頻出しています。
毎年最後の問題だけ、解き方(途中式)を書かせる解答形式になっています。
【難易度】
清風南海中の2024年算数A入試は、昨年とほぼ同様の難易度で、例年と比較しても概ね例年並みの難易度の試験でした。
【傾向と対策】
全体的に前半に易しい問題が多く、後半に難問が多い傾向にあります。前半でミスなく確実に点数を取ることが大切です。とくに大問1の計算問題での失点は許されません。しっかりと得点源にするよう意識しましょう。
大問2の小問集合は、さまざまな単元からの出題があり、ここでも平面図形や立体図形の問題が頻出しています。後半の大問3から大問5は、平面図形、立体図形、速さの単元が頻出していますが、平面図形の問題では毎年「相似」を利用した問題が出題されています。
清風南海中算数の大きな特徴は、例年円周率に「3.14」を使わず、「22/7」を使うように指示があることです。他校では円周率は3.14を使うことがほとんどですので、誤って3.14を使って計算しないように十分注意しましょう。
当然のことですが、答えしか書かない解答形式ですから、3.14で計算するのと22/7で計算するのとでは答えが変わってくることになり、解き方は正しくても1点ももらえないことになります。清風南海中を志望する受験生はもちろん、併願校として受験する場合にも過去問でしっかり演習し、22/7で計算することに慣れておくようにしましょう。
※解答のみを求める試験ではケアレスミスが命取りになります。ケアレスミス対策については、当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【試験時間・配点と構成】
40分80点満点の試験で、今年も例年通りの大問4題構成でした。例年物理、化学、生物、地学の4分野から各1題ずつ出題がありますが、今年は大問1が地学、大問2が物理、大問4が生物で、大問3は「密度」の問題で、化学とも物理とも言えるような問題でした。
問題用紙は12ページの冊子形式で、グラフや図が多いとはいえ、文字数はやや多い傾向にあります。解答用紙はオーソドックスで、他校でよくあるような作図やグラフ作成、文章記述解答などはありません。
【難易度】
清風南海中の2024年理科入試は、ほぼ昨年並みの易しい試験でした。2022年の試験がたいへん難しく、昨年は反動で大きく易化しましたが、今年は昨年よりやや難化したものの、比較的易しい内容となりました。
【傾向と対策】
試験時間は40分と短いのですが、問題数が30問強とさほど多くはないので、時間に追われるほどではなく、慌てる必要はありません。ただ、問題文がやや長文化しているので、スピーディーに読める力をつけておくに越したことはないでしょう。
各分野における出題単元はさまざまで、あまり偏りはないのですが、物理分野では「力学」の単元からの出題がやや多い傾向にあります。また、生物の分野では「植物」の単元と「動物」の単元がここ数年交互に出題されています。今年は植物の単元の出題でしたので、来年は「動物」の単元の可能性が高いと思われます。
毎年1問1答的な単純な知識問題も出題されますので、ここで時間をかけず確実に得点する必要があります。物理・化学分野では、計算問題や表・グラフの読み取り問題が毎年出題されています。ここで差がつきますので、過去問などでしっかり対策しておきましょう。
◆社会
【試験時間・配点と構成】
40分80点満点の試験で、今年は大問4題構成でした。例年は大問1が地理、大問2と3が歴史、大問4と5が公民分野の大問5題構成でしたが、今年は公民が1題減って大問4題構成となりました。
全体の問題数も少し減ったので、これまで3分野がほぼ均等に配分されていましたが、今年は公民分野の割合が減り、地理と歴史の割合が増えました。
【難易度】
清風南海中の2024年社会科入試は、社会にしてはやや難度の高い試験となりました。昨年まで8割前後が記号選択の解答でしたが、今年は用語記述の割合が増えて記号選択の割合が減りました。
やや難化したことに加え、全体の問題数も例年よりも減り1問当たりの配点が大きくなったことも平均点が下がった要因と言えるでしょう。
【傾向と対策】
昨年までは小問数の合計が30問で、地理、歴史、公民が各10問ずつの均等配点でしたが、今年は全部で28問、大問1の地理が10問、大問2と大問3の歴史が11問、大問4の公民が7問と大きく変わりました。
例年の30題でも問題数としては多くはないのですが、今年はさらに問題数が減り、1問の配点が大きくなりました。問題文の読み間違いなどによるケアレスミスをしてしまうと、1問で3~4点変わってしまいます。
慌てずに問題文をしっかり読み、問題の意図をしっかりと理解したうえで解答できるようにしましょう。今年もそうですが、特に地理分野では資料の読み取りや簡単な計算問題も頻出しています。
今年も関空からロサンゼルスまでの飛行時間を答えさせる出題がありました。関空の出発時間とロサンゼルスに到着した現地時間と時差を計算して求める問題です。計算自体は難しくはないのですが経度と時差の関係などが理解できているかを問う問題でした。
計算問題、資料の読み取り、地形図は頻出ですので、過去問などで傾向を理解しておくと、本番でも慌てることはないでしょう。また、ニュースに絡めたワードの問題も出題されるので、新聞やニュースなどで社会知識は一通り押さえておきましょう。
7.まとめ~清風南海中合格への道~
清風南海中入試の受験者数は、昨年まで減少傾向にありましたが、今年は大きく増加に転じました。清風南海中は、南大阪を中心に優秀な生徒が集まり、生活指導も徹底しているので、安心して通わせることができると評判の人気校です。
仏教を中心とした宗教による教育で校則がやや厳しいことでも有名な清風南海中学校。中・高の6年間を一つの流れとした独自のカリキュラムと「授業第一主義」を公言し、週39時間授業や夏期勉強合宿などを実施している男女共学校で、大阪府でもトップクラスの進学実績を誇る名門進学校です。
総合進学セミナーには清風南海中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように清風南海中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
清風南海中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験に関するお悩みなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
清風南海中対策ならお任せください!
保護者の方の疑問にお答えし、不安を解消する