受験生にとってなぜ夏が大事なのか、夏休みを無駄にせず過ごすにはどうしたらいいのか、学習以外にやっておいたほうがいいことなど、受験生の過ごすべき夏休みについて詳しく解説いたします。
CONTENTS:
②オン・オフの切替えが大切。オンスイッチの入れ忘れに要注意!
1. 中学受験は夏が大事という真実
夏の過ごし方で将来が変わる!?
夏は受験生にとってとても大事な期間です。昔から「夏は受験の天王山」や「夏を制する者は受験を制す」と言われてきました。とくに中学受験において、夏休みが極めて重要で、その過ごし方によって合否にも影響を及ぼすといっても過言ではありません。大袈裟なようですが、それが現実です。
夏休みが明ければすぐに模試があり、その成績如何で第一志望校を含めた中学受験が決まってしまうようなところがあります。学校がない夏休みの間に勉強量を増やしてぐんと力をつけ、希望の受験校を目指せるだけの実力を養います。塾の先生もライバルである仲間たちもこの時期必死でがんばるわけです。
受験モード全開!
どこの塾でも夏休みに入ると本格的な受験モードに入ります。夏休み前までは、夕方からせいぜい2~3時間通塾するのが常だったかと思いますが、夏休みになると、「通常授業」にプラスして「夏期講習」が始まります。「夏期合宿」のある塾もあるかもしれません。
どんなにのんびりしている子どもでも否応なしに受験モードに入ります。急激に勉強量が増え、その多くがぐんぐん成長し、成績も伸びます。逆にこのモードに入れず、乗り遅れてしまうと、たちまち置いて行かれて差がついてしまいます。
毎年、受験前になって夏休みの時間の使い方を後悔する生徒が出ます。受験結果が良くなかった受験生からは、必ずといっていいほど「夏休みにもう少しやっておけば」というぼやきが聞こえてきます。後悔先に立たずですね。
それほど大事な夏休み。受験後に後悔することにならないよう、どう過ごすべきなのかを次に詳しくお伝えしていきます。
2.夏休みは時間があるは間違い!?
夏休みはふだんより時間がない!
夏休みといえば長いお休みなので、「時間はたっぷりある」と思われがちです。この期間を利用して「苦手な単元を補強しよう」や、普段はできずに溜まってしまっている「テストの間違い直しをやってしまおう」などと考えている受験生がたくさんいます。
しかし、実際に夏休みが始まると、思ったほど時間はないのが実情です。夏休みになると、通常の塾の授業に加えて夏期講習が始まり、宿題も倍増します。
夏期講習で1日長い時間通塾することになれば、家でゆっくり勉強する時間も取れません。いつもの塾の宿題でさえ何とか終わらせているのに、学校の夏休みの宿題もある上に夏期講習の宿題も増えるわけです。むしろ受験生は夏休みのほうが忙しいとさえいえるでしょう。
事前に夏休み計画を立てよう!
そんな忙しい夏休みを無駄にしないためには、まず「計画を立てる」ことです。塾や学校などの夏期講習日程は事前にわかると思いますので、家にいる時間に何をするのか、きちんと決めておくことが大切です。
その時にならないとわからないし、家にいる時くらいは休みたいと思うかもしれませんが、それではけっきょくダラダラ過ごして終わりです。そうならないためにも、ある程度の計画は夏休み前にしっかり立てておきましょう。たとえ計画通りにならなかったとしても、ある程度の抑止力にはなります。
よく「どうせ計画なんて立てても、それ通りに実行なんてできないんだから、立てるだけ無駄」などという人がいますが、立てなければ余計にできません。立てないよりも立てたほうが必ず何かしらのプラスになるはず。決して無駄にはなりませんよ。
3. 夏休みの計画の立て方~ポイントは2種の計画表
計画の立て方は個人やご家庭によってやり方もさまざまかと思いますが、当校では「1日の計画」と「夏休み期間全体の計画」の2種類の計画表を作成することをおすすめしています。
①1日の計画表
「1日の計画表」は、毎朝何時に起きて、午前中に何をして、昼食後は何をし、夕食後から就寝するまでの時間はどうして何時に寝るのかという1日24時間の計画です。
可能でしたら、毎朝起きてすぐに漢字と計算、寝る前に理科や社会の暗記ものなど、具体的決めてしまえればそれに越したことはありませんが、そこまでできなくても、ざっくりとこの時間は「勉強」、ここは「食事」、この時間は「休憩」、「入浴」、ここからここまでが「睡眠」などと、家にいる時間で絶対に必要な項目を大まかでいいので割り振り、表にしてみましょう。
その際、塾や学校のある日とない日の2パターンくらいあるといいでしょう。ただし、起きる時間と寝る時間は変えないことが望ましいです。とくに起床時間には注意が必要です。何もないからといって、昼まで寝ることのないようにしてください。生活のリズムは一定に保ち、崩さないことが鉄則です。
②夏休み期間全体の計画表
「夏休み期間全体の計画表」はカレンダーをもとに、〇日までに「学校の宿題を終わらす」や、この週の午前は「理科の弱点補強」を集中して行う、毎週〇曜日の夜は溜まっている「テストの間違い直し」を行うなどといった大雑把な全体の計画です。
上記①②の表を作成したら、机の前など、見やすいところに貼っておきましょう。自分で立てた計画なので、自ずとモチベーションも上がるはずです。
前述しましたが、全ては計画通りにはならないものです。しかし、この計画があるか否かで、夏休みの貴重な時間が何となく流れて終わるのか充実した時間になるのか、大きく差が出ることになります。それはまず間違いないでしょう。
できない時は、無理せず第3者に助けを借りよう!
計画表と一口で言っても、まだ小学生の子どもがすべて1人でうまく作成できるかというと難しいかもしれません。学習に関しても何ができていて、何ができていないか、どこまでに何をどのくらいやればいいのかなどはなかなかわからない場合が多いでしょう。
起きる時間と寝る時間くらいは自分で決めさせても、学習時間をどのようにしたらいいのかは難しいと思います。欲張って多すぎても、最初から少なすぎてもよくありません。
そのような時は、本人にあまり無理強いをせず、思いきって家庭教師など、信頼のできるプロの先生に相談してみることをおすすめします。志望校も学習の進度も個人によって違いますから、それらをきちんと精査してもらい、本人といっしょに計画表を作成するのが理想的です。
4. 受験生が夏休みにやっておきたい学習以外のこと
受験生にとって夏休みがいかに大事かをお伝えし、そのためには計画を立てることをおすすめしました。学習が重要なことはおわかりいただけたかと思いますが、それ以外にも大事なことがありますので、ここでご紹介します。
休憩・気分転換も必要!
受験生なのですから、勉強が大事なことは本人もよくわかっていると思います。それでも、長い夏休み中ひたすら机に向かってばかりいては息も詰まりますし、健康にもよくありません。心身に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。適度な休憩や気分転換もとても大切なことです。
〇分ごとに休憩、例えば受験校の試験時間が60分なら、60分ごとに休憩などとするのもいいでしょう。あるいは、〇〇をここまでやったら、問題集の〇ページまで終わったらというように決めてもいいですし、夕食後〇分間、入浴後〇分間などとしてもいいしょう。
大事なことは、自分である程度決めさせ、計画表に記しておくことです。
休憩時間は文字通り身体を休めるほか、テレビやゲームなど好きなことをさせてあげてもいいと思います。ただし、必ず時間を決め、ダラダラと延長してしまうことのないようにしましょう。ご褒美タイムやメリハリがあったほうが学習にも集中できるというものです。
夏の遊びはどこまで?
メリハリは大事ですが、受験生の夏休み、遊びはどこまでしていいものでしょうか。受験生とはいえ、恐らくお盆期間などは休講にしている塾も多いかと思います。小学生最後の夏です。少しは思い出づくりをしてメリハリをつけることも必要です。
お休みが何日かある中、1日くらいは友人や家族で近所のお祭りやプールなど、思い出になるような夏らしい遊びをしてもいいでしょう。ただし、旅行をしたり、海など遠出をしたりして丸1日遊ぶようなレジャー的なことはNGです。
遊びに出かけたとしても、学習を丸1日お休みにしてしまうようなことは避けてください。朝や寝る前など、必ず計算問題を1ページはやる、宿題や問題集の〇ページはやる、というように学習ゼロにはならないように約束させ、きちんと守らせましょう。
受験しない仲間が楽しそうに遊ぶなか、受験組はいろいろ我慢させられてかわいそうでもありますが、「今年我慢した分、来年合格したら思いきり楽しもうね」などと励ましてあげてください。きっと来年の夏には、「あの時がんばって本当によかった」と楽しさも倍増すると思いますよ。
もし休みはあるものの、「とくに予定がない」「友達と遊びに行かせたくない」と感じるようでしたら、親子で「志望校見学」に行くことをおすすめします。その理由を次に詳しく説明いたします。
5. 志望校見学をおすすめする2つの理由
夏休みはオープンスクールや説明会などを開催している学校もたくさんありますし、個人的な校内見学を受け入れてくれる学校もあります。夏休みの学校見学はいい気晴らしにもなり、たいへん有意義なことです。
とくに夏休みに出かける予定が1つもない、志望校見学はまだしていないというご家庭には強くおすすめします。ぜひ計画表に入れておいてください。おすすめしたい主な理由は次の2点です。
①実際の通学路を歩くことで合格イメージが鮮明に
志望校見学は、本番入試に向けて、実際の経路の予行練習(どの電車にどのくらい乗って、どのくらいの距離を歩くのかなど)になることと、「来年は毎日この道を通るのかもしれない」と、より明確な合格のイメージを持つことができるようになります。それは間違いなくその後の受験勉強のプラスになるでしょう。
②行くか行かないかは大違い!?モチベーションアップ必至
志望校の校舎や施設、グラウンドなどを実際に見ることによって、やはり学習の意欲が断然変わってきます。とくに私立の学校は、広大な敷地に歴史の重みを感じる立派な校舎や図書館、洗練されたハイテク施設など、敷地内を見ているだけでも魅力的です。
来年は自分もここで勉強すると思うとテンションも上がり、間違いなくモチベーションも高まるでしょう。受験勉強のいい気分転換・気晴らしにもなりますし、夏休み中にぜひ一度見学に行ってみることをおすすめします。
※必ず事前に学校の公式ホームページで確認してから行くようにしましょう。
6. 受験生が夏休みにこれだけはやってはいけないNG行為
これまで受験生が夏休みにやるべきことをお伝えしましたが、逆に夏休みにやってはいけないNG行為とはなんでしょうか。最後にこれだけはやってはいけない2つのことをご紹介します。
①夏期講習に行っているからだいじょうぶは危険!
本人はもちろん、親御さまも「夏は塾や夏期講習に行くからだいじょうぶ」という変な安心感を持ってしまう人が少なくありません。
当然、塾ではこれまでにも増して授業量も増えますし、小テストや宿題も増え、塾でみっちり勉強することにはなります。しかし、それで安心してしまって、家ではまったく何もしないというのはたいへん危険です。
ハイレベルな学校をねらうライバルたちは、家庭時間も上手に学習を進めています。1か月以上毎日計画的に学習を進められた受験生と、家ではただダラダラとしているだけの受験生、その差は夏休み明けに如実に表れます。
この夏休みという期間に成績がぐんと上がる生徒もいれば、逆にどんどん下がってしまい、志望校を変えざるを得なくなるという生徒も毎年おります。
②オン・オフの切替えが大切。オンスイッチの入れ忘れに要注意!
前述したように、受験勉強中であっても気分転換は必要です。上手にオン・オフを切り替えてメリハリをつけることがとても大事なのですが、間違ってはいけないのが「完全オフ」の「オフデー」を作ってはいけないということ。
遊んだり休憩したりするのはいいのですが、1日中ダラダラ過ごして終わるようなことだけは避けてください。ゲームではなく、勉強のオンスイッチを毎日必ず入れるようにしてくださいね。
7. まとめ~最後の夏を有意義に!
今回は、受験生が夏休みに何をするべきか、また何をしてはいけないかをお伝えしました。計画を立てる重要性もお伝えしましたが、「後でいいや」などと思っていると、けっきょく何もできずに終わってしまいます。
できるだけ早く学習計画と遊びや志望校見学などの計画を立てて、この夏休みを充実した有意義な休みにして欲しいです。
「夏を制する者は受験を制す」です!本番直前になって後悔することにならないように、今できることをやってくださいね。
学習計画の立て方や休み中の宿題など、自分だけでは難しいと感じたら、ぜひ一度受験のプロにご相談ください。本人に合った計画を一緒に立て、実行していきましょう。
夏休みに関する不安を解消!
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