夏は受験生にとっていちばん大事な時期。実は意外と「体調管理」が難しい時期でもあります。この時期に親ができる受験生の健康管理、気をつけたい熱中症のサインなどをご紹介します。
CONTENTS:
1. 夏はラストスパートに入る前の大事な時期
受験生にとって大事な夏こそ避けたい体調不良
夏休みが終わると、受験生にとっては「ラストスパート」と言われる時期に入ります。当ブログでも再三お伝えしていますが、「夏を制する者が受験を制する」ので、この時期に体調を崩すことだけは避けたいものです。
この夏を元気に乗り切りたいと誰もが思うと思いますが、実は「疲れ」が出やすい時期でもあり、体調を崩しやすくもあります。連日の猛暑と日々の夏期講習が重なって「疲れ」が溜まりやすいからです。
猛暑の中の通塾、塾内では体は動かさないものの頭は常にフル稼働しています。室内で椅子に座っているだけとはいえ、日々の学習の疲れ、周囲のライバルとの競争ストレスなど、体調不良になる要因は十分にあります。
周囲がラストスパートに向かっている中、ここで体調を崩して勉強ができなくなってしまうと、成績はもちろん、体力的にも精神的にもかなりきつい状況に追い込まれることになります。
昭和や平成とは違う令和の夏
気候も昔とは違います。近年の異常な猛暑を踏まえ、夏の甲子園野球も暑い昼間の時間を避け、午前中や夕方からの時間帯に変更となったほどです。サッカーの試合などでも、前半後半の休憩時間以外にも給水タイムが設けられるなど、さまざまな暑さ対策が講じられています。これらは昔なら考えられなかったことです。
自分たちが子どもの頃には学校の教室にクーラーなどなかったのだから、今のようにエアコンの効いた涼しい教室で勉強できているし、熱中症など無縁でまったく問題ないと思われるかもしれませんが、その考えはたいへん危険です。
2. 熱中症のメカニズム~室内だからだいじょうぶの落とし穴
なぜ熱中症になるの?熱中症のメカニズム
最近の暑さが昔とは違うことは多くの人がわかっていると思いますが、学校や塾など、どこでもエアコンがありますし、受験生であまり外に出ることもないので、熱中症や夏バテなど、ありえないと思ってはいないでしょうか。
実はここに危険な落とし穴があります。熱中症や夏バテは、室温と外気の温度差や、睡眠不足、栄養不足などによっても発症します。屋外の猛烈な暑さと冷房のよく効いた室内との温度差で体調を崩したり、暑さでよく眠れず睡眠不足から夏バテになることもあります。
また、暑さの上に、ずっと座って体を動かさないでいることから食欲が落ち、好きなスナック菓子だけ食べてしまって、きちんと食事が摂れなくなったりします。そうすると余計に体力が落ち、ますます食欲がなくなりさらに体力が落ちるという悪循環に陥ります。
同様に、涼しい室内にいると、実は乾燥していて水分が不足しているのに気がつかず、いつの間にか脱水症状を起こしているということもあります。その上、「受験」という大きなストレスに日々さらされています。ストレスはさまざまな体調不良を引き起こしやすく、熱中症や夏バテの大きな要因となります。
親が気をつけたいこと
夏休みに入るといきなり「受験モード」に入り、勉強量がぐっと増えます。塾の先生をはじめ周囲の皆が本気モードになるので、急に大きな負荷を感じることになるでしょう。自分も「やらなければいけない」と知らず知らずのうちに無理をしてしまっていることもよくあります。そこは親がきちんと見て、時には休ませる勇気も必要です。
またこの時期は、受験生本人だけでなく、親も受験に向けての焦りを感じ、冷静さを失っていることがよくあります。子どもに勉強させたいがあまり、体調不良を見逃したり、無意識に見て見ぬふりをしたりしてしまうのです。酷い場合には子どもが体調不良を訴えているのに、「サボりたいからでしょ」と無視してしまうということもあります。
ここで体調を崩してしまっては元も子もないので、くれぐれも冷静に判断するようにしましょう。もちろん親自身も同様です。親が倒れてしまってはもっと困った事態になります。親自身も無理をせず、なるべくストレスをためないように自身のケアもしてくださいね。
次に気をつけたい熱中症のサインをご紹介します。
3. こんな場合は要注意!熱中症の5つのサインとは
個々人で体質も環境も違いますので一概にはいえませんが、前述したようにこの時期の受験生は夏バテや熱中症になりやすい状況下にあります。とくに以下のような症状があったら、熱中症の初期サインかもしれません。見逃さないように近くにいる親がよく見てあげるようにしましょう。
①めまいや顔のほてり
めまいや顔のほてりなどが出たら、熱中症のサインかもしれません。失神の可能性もありますから、水分補給をしてすぐに休ませましょう。
②カラダのだるさ・吐き気
ぐったりして力が入らなかったり、吐き気やおう吐、頭痛などがあったりする場合は、熱中症のサインかもしれません。症状を悪化させないためにすぐに休ませ、良くならないようなら医療機関で受診しましょう。
③汗のかきかたが異常
汗が噴き出すように出て止まらない、または逆に暑いのにまったく汗をかいていないなど、汗のかきかたが異常の場合も熱中症のサインかもしれません。すぐに涼しいところで休ませましょう。
④カラダが熱い
体温が高くて触るととても熱かったり、皮膚が赤く乾燥していたりするのも熱中症のサインの可能性があります。すぐにカラダを冷やして休ませましょう。
⑤筋肉の異常
手足がつったりする、いわゆる「こむら返り」も熱中症の可能性があります。筋肉がぴくぴくとけいれんしたり硬くなったり、何かしら筋肉の異常を感じたら、水分補給をしてすぐに休ませましょう。
以上の①~⑤はいずれも熱中症の初期症状です。これらが悪化すると、歩けなくなったり意識がもうろうとしたりして失神する可能性もあり、たいへん危険です。呼びかけに応じなくなったり、自分で水分補給ができなくなったりした場合は重症化している可能性が高いので、無理に水分を飲ませず、すぐに医療機関で診てもらってください。
4. 夏に受験生の親がケアしてあげたい3つの健康管理
熱中症など、夏のこの時期に体調不良になりやすい受験生のために、ぜひ親がしてあげたいこと、それは何と言っても「健康管理」です。
受験生本人に自身の健康管理まで強いるのは難しいと思いますので、そこはやはり日々近くにいて様子を見てあげられる親がケアをしてあげるのがベストです。主にやってあげたい健康管理は次の3つです。
①生活リズムと睡眠管理
規則正しい生活を心がけ、生活のリズムを保つようにしましょう。特に塾もない休みの日などは生活のリズムが狂いがちです。翌日が休みでも夜更かしをしないように、質の良い睡眠を十分にとって疲れを残さないようしてください。
特に重要なのが朝です。朝は休みの日でも決まった時間に起き、すぐに朝日を浴びてしっかり朝食を摂るようにしましょう。習慣化することで体内時計を整えることができ、良質な睡眠にも繋がり、体力づくりや免疫力アップにもなります。
受験生の親として、生活リズムと睡眠時間の確保といった時間管理の健康ケアをしてあげることが、この夏に親が行うべき最も大事な役割のひとつとなります。
②栄養管理~予防になる栄養素とは?
暑さで疲れやすい夏、汗でミネラル分も不足し食も細くなりがちです。食欲が増すような工夫もしながら、バランスの良い食事を心がけましょう。
とくに熱中症予防のためには、こまめな水分補給と肉や魚、卵、大豆製品などのタンパク質、ビタミンやミネラルを多く含む野菜を積極的に摂らせてあげてください。
中でも疲労回復効果のあるビタミンB1がおすすめです。ビタミンB1は、疲労回復だけでなく、糖質の代謝を促してエネルギーをつくる手助けをすることで、神経機能を正常に保つ効果があり、イライラを抑える働きもあると言われています。
受験生におすすめしたいビタミンB1を含む代表的な食品はコチラ
豚肉・納豆・ブロッコリー・モロヘイヤ・ウナギなど
|
※ビタミンB1は「にんにく・たまねぎ・ニラ」などに含まれるアリシンといっしょに摂ると、吸収率を高めることができますよ。食も進みそうですね。
できれば1日1回は家族で食卓を囲み、受験以外の話題も楽しく会話できたら、心の安定にもなり一石二鳥ですよ。
③メンタル管理
夏の時期の受験生は、熱中症や夏バテなどわかりやすい体調不良だけでなく、受験勉強疲れやストレスからメンタルによる不調も起こしやすい状況下にあります。
そんな受験生に対する親の大きな役割として、やはりメンタルケアは欠かせません。メンタルケアといっても、何か特別なことをするわけではなく、親の「前向きな声かけ」と「笑顔」をいつもより多く心がけるだけで構いません。
受験生とはいえ小学生です。親に褒められたり、親が喜んでくれたりするのがいちばん嬉しいものです。試験でいい点数を取った時、それを親が笑顔で「よくがんばったね」と褒めてくれることで、子どもは充実感を覚え幸せを感じます。それが何よりも受験勉強のモチベーションになります。
逆にたとえ悪い点数だったとしても、「なんでこんな問題を間違えるんだ」「もっとできるはずでしょう」などと、ネガティブなことを言って追い詰めないであげてください。「いまミスがわかってよかったね」「本番までにはもっと点数アップできるよ」などというポジティブな声かけをしてあげましょう。
親というのは、自分の子どもに対して欠点にばかり目がいって、つい辛辣な言葉を吐いてしまいがちです。しかし、欠点をそのままストレートに指摘しても往々にしていい結果にはなりません。本人がいちばんよくわかっていることですから、余計に反発してやる気をなくしてしまうだけです。
受験生にとってただでさえストレスフルな夏です。心身ともに疲弊させないためにも、親の温かい前向きな言葉とやさしい笑顔で、ぜひ元気を与えてあげてくださいね。
5. もしも体調不良になったら
いろいろ対策していても、体調不良になってしまうこともあります。万が一体調を崩してしまった場合は、まずは体調を回復させることに専念しましょう。体調を崩しても「勉強をしないと遅れてしまう」と無理をして、体調不良を長引かせたり悪化させたりしてしまうことは最も避けたいことです。
一言で「体調不良」といってもその重症度はさまざまです。軽度なら無理のない程度に勉強してもいいでしょう。なかなか体調が回復しないようなら、1日、2日何もできなくても、とにかくしっかりと寝て回復させることが最優先です。
間違っても「なんでこの大事な時に」と怒って無理をさせないようにしましょう。悪化し取り返しのつかないことになっては本末転倒です。親からすれば我が子の不甲斐なさにイライラしてしまう気持ちもよくわかりますが、頑張っているからこその体調不良です。
「たくさん頑張ったから、少し休もうね」と理解して寄り添ってあげましょう。きっと体調が回復した後には、モチベーションもアップしやる気も増しますよ。
6. まとめ~夏を制する者は受験を制する
今回は、受験生にとって体調不良を起こしやすい夏を乗り切るための健康管理についてお伝えしました。夏はどうしても本格的な受験モードに入り、志望校判定なども控えているため、成績アップを最優先させがちですが、それで無理をして体調を崩してしまっては意味がありません。
繰り返しますが、受験生にとって、この夏いちばん大切なことは「体調管理」です。それが結局は成績にも関わります。夏の疲れを秋にまで残すと、志望校判定にも関わってきますから要注意です。
この時期を健康に乗り切ることが、「夏を制する」ことになり、「受験に勝つ」ことにもなります。ここはぜひ親御さまにも協力してもらい、心身ともにしっかり「健康管理」してあげてください。
この時期の親の健康フォローが意外と受験生本人に大きく響くものです。受験まで残りの約20週間を最後まで頑張り抜いてくれるでしょうし、後々大人になった時でもきっとこの時のことを感謝すると思いますよ。
受験生本人の夏の負担を少しでも減らしたいと考えるのなら、せめて学習面での負荷を減らすために、プロ講師に塾などの宿題やテスト直しをみてもらうことをおすすめします。1人で抱え込むよりずっとラクになりますよ。ぜひ一度受験のプロに相談してみてくださいね。
夏休みに関する不安を解消!
中学受験のプロが1人ひとりに合った学習指導を行います。