中学受験における親の役割はいろいろありますが、その中でも大きな役目が出願準備です。今回は「出願」や事前準備について詳しくお伝えします。また、灘中など関西圏の主な難関中学校の出願期間を一覧でご紹介いたしますのでご参照ください。
CONTENTS:
1. 出願準備とは?何をすればいいの?
受験するには当然ですが、事前に出願(受験の申し込み)をし、受験料を支払う必要があります。中学受験は年明けからスタートするところがほとんどで、まだ先の話のように思われるかもしれませんが、地域によっては早いところで11月から出願の申し込みが始まる学校もあります。
出願時期や方法は学校によって違います。複数校受験する場合は、各学校のホームページなどでそれぞれ確認し、指定通りの準備をしなければなりません。準備は大学受験なら受験生本人が行いますが、中学受験では親の仕事(役目)となります。
ここでは一般的な出願の流れと確認事項、準備しておくものなど、出願全般について詳しくお伝えします。
2. 具体的な出願の流れ~3つのSTEP
最近では「Web出願」が主流になっているものの、中には出願書類を取り寄せ期日までに送付する「郵送出願」や、学校に直接出願書類を取りに行き提出したりする従来ながらの「窓口出願」などもまだあります。
Web出願の学校がほとんどではありますが、郵送出願や窓口出願などの場合は出願期間が異なる場合もありますので注意が必要です。
もう一つ注意したいことは、Web出願だから簡単ですぐにできると思い込み、出願をギリギリまで先延ばしにしてしまう人がいることです。確かに作業的には簡素化されたかもしれませんが、後回しにすると、気がついたときはもう締め切られていたり、入力作業に手こずったりしてパニックになることがあります。突然PCが不具合を起こしたり印字ができなくなったりなどといった想定外のトラブルが起こる可能性があるからです。
また、受験するA校もB校も出願締め切り日が年明けなので、C校も同じに違いないと勝手に思っていたら、実は年内の締め切りで、結局受験できなかったという例も実際にありました。
子どもが一生懸命その学校を目指して勉強してきたのに、親の思い込みで受験できないというのはあまりに酷というものです。
まずは出願期間と出願方法を確認し、きちんとスケジュールを組みましょう。複数校受験するなら、それぞれいつまでに何をどうするかチェックし計画を立てます。受験日といっしょに一覧表などにして目につく所に貼っておくといいでしょう。
当たり前ですが、出願申込は締め切りに遅れると入試を受けることができません。第1志望校はもちろん、併願校もなるべく余裕をもって早め早めに準備するようにしましょう。
出願期間と出願方法を確認したら、期間内に出願できるように願書や必要書類を入手します。Webなのか郵送なのかによっても違いますし、学校によって願書を取り寄せるのか、取りに行くのか、インターネットから印字するのかなど、さまざまです。
また、出願時に内申書(調査書)の提出を必要とする学校もありますので、早めに確認し、必要なら担任の先生にお願いしたほうがいいでしょう。出願期日ぎりぎりになって、「うちの子が中学受験をするので、この書類を書いてください」とお願いしても、必ずしもすぐに対応してくれるとは限りません。
担任の先生も急に言われるより、前もってお願いされたほうが準備も対応も早くできますし、丁寧に書いてもらえるでしょう。とくに年末年始は小学校も忙しくなります。調査書はなるべく早く入手し、先生にお願いするのが基本です。
Web出願にしても郵送出願にしても、願書は丁寧に作成してください。誤字脱字は厳禁です。手書きなら丁寧な読みやすい字で書き、少しでも悪い印象を与えないようにしましょう。
Webの場合も、出願前に何度も見直して間違いがないか確認してください。よく漢字の変換間違いや打ち間違いがあるので注意しましょう。
願書等の準備ができたら、いよいよ出願と受験料の納入です。期間内に指定された方法で出願し、受験料を納入します。これもなるべく時間に余裕をもって出願するようにしましょう。受験料の納入方法や期日も学校によってさまざまですので、しっかり確認しておきましょう。
3. 出願後に親がやるべき2つのこと
出願後にも親がしなければならないことがあります。ここでは前述につづき、受験準備の一環としてご紹介します。
出願後にまず親がやることは、「受験会場への道順と交通機関の確認」です。ほとんどの学校が試験会場となっていますが、まれに別会場を設けて試験会場にしている学校もあります。
近くのホテルや研修センターの1室や、中高大一貫のエスカレーター校であれば、系列の大学の大きな教室を使用する場合もあります。また、同じ学校の試験でも、前期試験と後期試験(二次試験)で会場が異なる場合もあります。当日間違えて学校に行ってしまって受験できないといったことのないよう、しっかり確認しておく必要があります。
試験会場を確認したら、自宅からどのようなルートで、どの交通機関を使えばいいのか、最良のルートを予め調べておきましょう。
試験会場までは公共交通機関を使って行くことが鉄則です。自家用車は渋滞に巻き込まれる可能性もありますし、時間が読めません。焦って事故を起こしては本末転倒です。
もちろん公共交通機関でも事故や遅延の可能性もありますが、公共交通機関の遅延の場合は、考慮されたり試験自体が遅れて開始されたりする場合もあります。自家用車は避け、公共交通機関を利用するようにしましょう。
試験会場までの行き方の確認ができれば、次はタイムスケジュールの作成です。何時に家を出て何時の電車に乗ってといった細かい時間のスケジュールも立てておきましょう。
入試当日は極めて大事な一日です。時間にじゅうぶんな余裕をもたせてスケジューリングするようにしましょう。当日は何が起きるかわかりません。急に体調を崩す場合もあります。そのような場合に備え、パニックにならないよう余裕を持たせることがとても大事です。
「少し電車が遅れたけど、ゆっくり歩いても大丈夫だからね」「トイレに行ってもじゅうぶん間に合うよ」などと話しながら歩けるように計画しましょう。その際、受験会場までの間でコンビニやトイレの場所を確認しておくとより安心です。
第一志望校だけでなく、併願校についても同様です。とくに1日に2校受験するのであれば、家からではなく1校目から2校目の受験会場という慣れないルートでの移動になります。不安があれば、一度親だけでもルートの下見をして、実際にどのくらい時間がかかるのか、所要時間の確認をしておいてもいいでしょう。
試験会場までの道のりを親が「あれ?どっちだっけ。おかしいな」などと不安気にしていると、その不安感が子どもにも伝わってしまいます。できるだけ試験に悪影響を及ぼすことは避けたいので、「こっちだよ。その角を曲がったらすぐだからね」と頼もしい親でいてください。「親といっしょだから安心」と思わせ、試験のことだけに集中できるようにしてあげたいですね。
4.2025年関西圏最難関・難関中学校出願期間一覧
参考までに関西圏の主な難関中学校の出願日程を一覧にしましたのでご覧ください。出願準備は2025年の年明けでいいなどと考えていると、2024年の年内に締め切ってしまう学校もあります(下記年内締切は赤字で表示)。
願書提出を失念して受験できなかった実例もありますので、くれぐれもご注意ください。
中学校名 |
Web出願 |
調査書郵送 |
灘 |
12/16(月)9:00~1/6(月)17:00 |
12/23(月)~1/7(火)必着 |
東大寺学園 |
12/5(木)0:00~12/20(金)23:59 |
- |
甲陽学院 |
12/23(月)9:00~1/6(月)17:00 |
12/23(月)~1/6(月)消印有効 |
洛南高附 |
12/9(月)0:00~12/20(金)23:59 |
- |
大阪星光学院 |
12/14㈯0:00~12/22(金)23:59 |
- |
西大和学園 (本校) |
12/9(月)10:00~1/10(金)18:00 |
- |
洛星 ≪前期≫ ≪後期≫ |
12/9(月)0:00~1/7(火)24:00 1/19(日)17:00~1/22(水)17:00 |
- |
神戸女学院 |
12/23(月)9:00~1/10(金)17:00 |
1/10(金)必着 |
四天王寺 |
11/9(土)9:00~1/15(水)21:00 |
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高槻 |
12/5㈭10:00~12/26(木)11:59 |
- |
清風南海 |
12/2(月)10:00~1/15(水)23:59 |
- |
六甲学院 |
12/20(金)9:00~1/10(金)17:00 |
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須磨学園 ≪第1回≫ ≪第2回≫ ≪第3回≫ |
12/19(木)~1/16(木)16:00 12/19(木)~1/19(日)8:00 12/19(木)~1/19(日)14:00 |
- |
※各学校の受験日や出願方法は、必ず公式ホームページなどで再度確認するようにお願いいたします。
5.まとめ~令和時代の受験、親の役目とは
受験生の親には便利な時代に!
今回は中学受験の「出願準備」についてご紹介しました。出願するだけなのに「なんだかたいへんそう」と負担に感じる親御さまも少なくないでしょう。
しかし、今はパソコンやスマホですぐに情報を得ることができますし、出願も家から簡単にWeb出願できるようになり、かなり便利になりました。
一昔前までは、出願期になるといかにも受験生の親と思われるたくさんの人たちが、資料や地図を片手に学校周辺の道を緊張した面持ちでぞろぞろ歩いていましたが、最近はそんな姿も見かけなくなりました。
令和時代の親の役割
インターネットが物事の主流となった令和時代。出願が簡素化された分、情報過多となり、メンタルに余計な負荷がかかったり、スマホやゲームなどで寝不足になったりしている子どもも増えました。親も時代に合わせた役割が必要です。
これから受験までの期間は、「スケジュール管理」と「体調管理」が受験生の親の最も大事な役目になります。親が受験に関わる事務作業等をしっかりサポートしてあげることで、子どもも安心してラストスパートの勉強に専念することができます。
入学願書の入手から提出までの一連の流れは、中学を受験する上で親が行うとても大切な作業です。繰り返しになりますが、余裕をもって丁寧に行えるよう、早め早めに準備できるようにしましょう。
出願のやり方やラストスパートに不安がある方、またはその他受験のことで何か悩みがある場合は、思い切って残りの数日だけでもプロの家庭教師に相談してみましょう。ひとりで悩んでいるより、きっといい解決策が見つかりますよ!