いよいよ中学受験がスタートします。そこで、これまで実際にあった受験生の失敗談から、試験前日や当日に注意すべきこと、NGワードなどをご紹介。後悔しないための対策をお伝えします。
CONTENTS:
1.前日の夜のご馳走
翌日に大事な試験があるからと、奮発してご馳走を用意したり、ゲンを担いでトンカツを出したりするご家庭がよくあります。
気持ちはよくわかりますが、何も特別なことをする必要はありません。いつも通りの生活をするのが基本です。翌日に胃もたれして、それが気になって試験でいつもの力が発揮できなくなっては本末転倒です。
いいものをいっぱい食べるのは合格してからの楽しみに残しておきましょう。
前日の夜はもちろん、当日の朝やお昼も特別なものではなく平常通りのもので、脂っこくない消化のいい食事にしましょう。
また、その際は楽しい食事になるよう意識してください。間違っても「いよいよだね、だいじょうぶよね」などと本人を煽ったり不安にさせたり、不快な思いをさせないよう注意しましょう。
2. 早く寝ようとして逆に睡眠不足
翌日は朝から試験でいつもより早く起きなければならないため、親御さまは早めに寝かせようとお考えになるかもしれません。そうは言っても、いつもよりも2時間も3時間も早く寝なさいと言われても、ある程度習慣的なものもあるので、そう簡単に寝られるものでもありません。
無理やり早く寝かされても、布団の中で逆に焦りを感じて余計に寝られなくなってしまうこともあります。試験の前日はいらないプレッシャーやストレスはなるべく排除し、気持ちよく寝かせてあげてください。
試験前日に難度の高い勉強を遅くまで頑張るのはやめましょう。ふだんのテストの一夜漬けではないのですから、前日に徹夜してどうにかなるものではありません。難しい問題をやって解けないと不安になりますから、これまでの確認、復習を軽く行う程度にしましょう。
そして試験日前日の夜は、いつもよりも少しだけ早めに就寝することが基本です。「少しだけ」というのがポイントで、基本は「いつも通り」で、それより少しだけ早めに就寝できたらいいでしょう。ここは家族皆で協力して、本人の好きそうなテレビやゲームなどを夜遅くまで楽しむようなことはしないであげてくださいね。
3.持ち物チェックを怠った結果が…!?
試験当日の持ち物は、「受験票と筆記用具」と簡単に考えがちですが、会場に持ち込めるものは、学校ごとに異なります。当日、試験会場で試験監督の先生に「これは持ち込み禁止ですよ」などと言われると、ただでさえ緊張しているのにさらに緊張感が増幅してしまうこともありますから注意しましょう。
受験する学校の募集要項を再度確認してください。当日2校受験するのであればそれぞれ確認する必要があります。また、試験会場に持ち込めないもの、持ち込めても試験中に机上に置けないものなどもありますから、よく確認しておきましょう。
下記は、実際にある入試当日の所持品に関する注意事項の一部です。受験する学校にもこのような注意事項があるはずですから、事前にしっかりチェックしておきましょう。
- 「スマホの持ち込み禁止」「電源は必ず切ってカバンの中に入れておく」など
- 「時計の持ち込み禁止」「アナログはいいがデジタル時計不可」「時計以外の機能の付いた時計は不可」など
- 「定規の持ち込み禁止」「直線定規はいいが三角定規や分度器は不可」など
- 「コンパスの持ち込み禁止」
- 「シャープペンシル不可」「鉛筆のみ使用可」
- 「筆箱不可(鉛筆、消しゴムなどは机上に出して)」
- 「ポケットティッシュは袋から出して(広告などがついていると漢字や語句のヒントになる可能性があるため)」
- 「ハンカチは無地のもの」
上記のような注意事項とは逆に、算数で作図の出題があるため、コンパスや三角定規などを必ず持参するよう指示されている学校もありますので注意しましょう。
※「シャープペンシル禁止」は、最近では減ってきているものの、今でもカチカチする音が周囲に耳障りという理由で禁止している学校もあります。失敗談のように、会場で自分だけが指摘されるとかなり焦ることになりますので、よく確認しておきましょう。
後悔談として多いのが「忘れ物」です。毎年必ず「受験票」や「消しゴム」など、何かしら必要な携行品を忘れてしまう受験生がいます。
さすがに「受験票」を忘れる受験生は少ないですが、時計や文具、ハンカチにティッシュなど、さまざまな忘れ物があります。試験そのものは受けられても、そのために焦ったり不安になったりすることはよくあります。
また、万が一シャープペンシル不可の試験会場でシャープペンシルしか持っていなかった場合や「消しゴム」など、何か必要なものを忘れた場合でも、試験監督に言えば鉛筆や消しゴムを貸してくれると思います。しかし、緊張感漂う初めての試験会場で「鉛筆を忘れたので貸してください」というのは勇気がいるでしょうし、かなりのストレスにもなります。
事前にしっかり準備しておくにこしたことはありません。くれぐれも持ち物の事前確認は怠らないようにしましょう。
前述の忘れ物とは逆に、必要なものを何度も確認し、直前まで見直しができるようにと、今まで使っていた教材やノートをたくさんかばんに詰めて試験会場に向かう受験生もいます。
しかし、重いだけで、けっきょく教材などはほとんど見ることもなく、ただ疲れただけで「持っていき損だった」といいます。
当日の試験会場でバタバタしてもどうにもなりません。大らかな余裕ある気持ちでいるほうがリラックスできますし、他の受験生からも「この人余裕だな」と思わせることで精神的に優位に立てるかもしれません。
当日に持っていく教材等は、サラッとおさらいできるくらいの最小限のものにし、荷物はできるだけ軽くするように心がけましょう。
4.寒さ対策によかれと思ったことが…
冬の入試が寒いことは誰にでも想像つきますが、会場がどうなのか、また自分の席がどういう状況なのかは行ってみないとわかりません。少し寒い会場もあれば、暖房がガンガンに効いて暑く感じる場合もあります。
寒いと思って厚着をしたら、暖房が直に当たる席で暑くて汗びっしょり、気持ち悪くて集中できなかったというケースもありますし、またその逆で寒くて手がかじかんで思ったより時間がかかってしまったという場合もあります。
また、漢字などの文字の入った服を着てしまい、上着を着る(または脱ぐ)ように言われ、寒くもないのに上着を着て試験を受けることになったり、寒いのに上着を着ることができなかったりということもあります。
当日はどのような席に座るかわかりません。基本的に試験会場は空調の効いた快適な教室で行われるはずですが、窓側なのか、廊下側なのか、席によって多少の違いもありますし、個人の体質や当日の体調にもよります。服装は、脱ぎ着がしやすい(文字などの入っていない)服を着ていきましょう。
5. 受験は友人といっしょに行かない
試験会場には友人らと行かないようにしましょう。友人といっしょのほうが緊張感もほぐれていいという考えもありますが、それ以上にストレスになる可能性が高くなります。
それは、何かしらトラブルになる可能性が倍増するからです。待ち合わせ場所を間違えたり、時間になっても来なかったり、せっかく何度も確認したスケジュールが乱されることになりかねません。
入試当日はただでさえピリピリと張り詰めた状態なのに、余計なストレスとなってしまいます。リスクあるアクシデントはできるだけ排除するようにしましょう。
親御さまとしては、入試当日にお子さまをリラックスさせようと、友人と楽しく会話をしながら試験会場に向かわせてあげようと考えるのかもしれませんが、何気ない友人との会話が、大きなプレッシャーとなって緊張感が増幅し逆効果になってしまうこともあります。
「この問題の答えはこれだよね」「この漢字の読みって〇〇だっけ」などと、友人はまったく悪気なく問いかけているつもりでも、本人にとっては「え?そんな問題出るの?」「わからない、どうしよう」と焦り、急に不安になるかもしれません。
友人との会話がどのような影響を及ぼすかは想像できません。もちろん、リラックスしていい状態で試験に入れる場合もあると思いますが、内心ものすごく焦って頭が真っ白になってしまう可能性もないとはいえません。
余計なリスクを負うくらいなら、最初から友人とはいっしょに行かないと決めておいたほうがいいでしょう。
6. 「どうだった?」と聞かないで!
試験から戻ってきたお子さまに、「どうだった?できた?」などと聞く親御さまが多いかと思います。実はこれこそが受験生にとっては苦痛に感じる質問です。
しっかりと手応えがあり自信があるなら、親が何も聞かなくても、本人自ら「できた!けっこう簡単だったよ」などと誇らしげに言うでしょう。
「別に」などと無愛想に応えるか、何も言わないのなら、聞かれたくなかった質問ということです。それなのに「どうだった?」「できた?」「合格できそう?」「何点くらい取れていると思う?」などと矢継ぎ早に質問しては、どんどん追い詰めてしまいます。
もし午後にも試験がある場合、プレッシャーや不快な気分が午後の試験にまで影響しかねません。
お子さまが試験から戻ってきたら、まずは頑張って試験を受けてきたことに対し、「お疲れさま。よく頑張ったね」と、笑顔でねぎらいの言葉をかけてあげましょう。
親御さまの明るい笑顔を見て、お子さまが緊張感から解放され、話したいのであれば、たとえあまり試験ができていなくても自分から話してきます。
「難しかった。算数があまりできなかった」などと本人から話し始めてきたら、しっかりと話を聞いてあげてください。話すことによって気持ちは落ち着いてくるものです。
間違っても、「そんなことでどうするの」「もう後がないんだからね」などと追い打ちをかけるようなワードを言わないでくださいね。特に最初に受ける試験後の親子のやり取りが、その後に続く他の試験に影響を及ぼすということも頭に入れておきましょう。
もちろん、本人の性格やご家庭の状況によってそれぞれ声掛けや対応はさまざまで、絶対にこれが間違いで、こちらが正解というものでもありません。それでも、親が質問責めにするのではなく、まず「笑顔でねぎらいの言葉をかけ、次にしっかりと本人の話を聞いてあげる」ことが何より大切だといえるでしょう。
親が受験前日や当日によく言ってしまいがちなNGワードは、
・ がんばって!
・ どうだった?
・ 絶対合格だね!
上記の3ワードです。え?なぜNGなの?よく言う励ましの言葉ではないかと思われるかもしれません。
試験前日や当日に当たり前のようによく使われる言葉ですが、親は良かれと思っていても、実は受験生本人には辛く聞こえる場合が多い言葉です。
もう十分がんばっているのに、「がんばれ、がんばれ」と言われると、「もっとがんばらなきゃいけないのか」としんどく重く感じます。
前述した通り、いちいち試験が終わる度に「試験どうだった?」「できた?」などと聞かれると辛くなります。次の試験のモチベーションダウンにもなりますし、試験結果についてはこちらからは聞かず、本人が話し出すのを待ちましょう。
「絶対合格」は、とてもポジティブな言葉で、一見するといい言葉のようにも思いますが、「絶対合格しなければいけない」と無用な圧力を感じさせてしまう可能性があります。余計な力が入ってしまいますので、言わないほうが無難でしょう。
7.まとめ~家族でゴールする中学受験
今回は中学受験で後悔しないために、試験前日と当日に注意すべきことやよくある後悔談、親のNGワードなどについてご紹介しました。
これまで頑張ってきた成果を十分に発揮できるように、そして受験生本人はもちろん、親御さまもストレスなく気持ちよく試験に向かえるように準備してくださいね。
当日はできるだけ受験生本人の無用なストレスを排除して、晴れ晴れとした気持ちで入試に臨めるように家族で協力してあげてください。
それもあと数日です。もう少しで受験から解放されます。昔から「中学受験は親子の受験」と言われています。親子で同じゴールに向かっているはずです。悔いのないよう最後まで走り切って下さいね。ゴールテープは目の前ですよ!
最後まで諦めないでください!
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