前回のコラムに続き、今回は子どものやる気を引き出す具体的な方 法についてお話したいと思います。
子どものやる気を引き出すのに最も簡単で効果的な方法は、「褒め る」事です。そんな事は当たり前だ思われるかもしれませんが、た だ単に褒めるのではなく、褒め方にもとても重要なポイントがあり ます。
例えば、テストで20点を取ってきたとしましょう。とても褒めら れるような点数ではないのですが、20点という「結果」 だけを見て褒めるか叱るかを判断してはいけません。「結果」 ではなく、まずは20点を取るに至った「過程」で褒めるポイント を探すのです。また間違えた問題でも、途中までは合っているもの があれば、 「ここまでは良く出来たね!」と、これもまた過程を褒めるように します。
気を付けなければならないのは、「結果」が良ければ褒められると いう事を繰り返していると、良い結果が得られなくて、褒められな かった時の落胆が大きくなってくる事です。気概のある子であれば 、なにくそ根性で次も頑張るのですが、そうでない子なら、逆にや る気が起きなくなってしまう恐れがあります。
結果はさて置き、頑張った努力を褒められた子は、たとえ失敗して も「次はもっと頑張ろう!」とチャレンジを繰り返すようになり、 「頑張る→褒められる→ドーパミンの分泌」と繋がります。 前回お話しましたが、ドーパミンが分泌すると、 やる気や意欲が出て、学習能力や記憶力なども向上するのです。
とは言え、「叱られる」という経験も時には必要です。明らかに悪 い習慣があるにも関わらず、それには目をつぶって褒めるポイント だけを探そうとすると、子どもはそれを変えようとせず、 やっかいな事に、褒められ"慣れ"だけするのです。スイカに塩を 振って食べると甘みが増すように、褒める効果を高めるためにも、 時にはきちんと叱る事が必要です。
次回も引き続き、やる気を引き出すコツについて、別の視点からお 話したいと思います。
◆算数科 前田敏孝◆