子どもがテストで悪い点数を取ってきた時に、もっと悔しいと思ってほしい、このままでは入試に受からないかもしれないという危機感を持って欲しい、と思う事はありませんか。私だってあります。
さらに、子どもが全然落ち込んでいない様子を見てつい感情的になり、「もっと悔しいと思いなさい!」「危機感はないの?」と言ってしまう事もあるかも知れません。
しかし私の経験から言って、こう言われて悔しいと思うようになったり、危機感を持つようになった子は、あまりいません。むしろ感情的に言われる事で、子どもには嫌な気持ちだけが残り、大人もいら立ちを募らせるばかりとなるのです。
なぜ、悔しさや危機感を持たせる事が出来ないのでしょうか? それは、これらは根本的に、子どもに"気持ち"を持つよう強制しているからです。
例えば、嫌いなものを好きになりなさいと言われて、おいそれと好きになれるでしょうか? また、お化けなんて出ないと言われても、夜の墓場はやっぱり怖い...。
つまり、気持ち(感情)は自然と湧いて出るものであって、言われて作られるものではないのです。
しかしそれでも、子ども本人に悔しさや危機感を持ってもらいたい。そのためにはどうしたら良いのか。それは、子どもと共に目標を再確認し、客観的データに基づいて、これでは目標に届かないと子ども自身に"思わせる"事です。
以前のコラムでも書いた事がありますが、"言い聞かせる"のではなく、"思わせる"事が大切なのです。
客観的に状況や現実をきちんと認識すると、それに伴う感情は自然に芽生えるはずです。悔しさや危機感、あるいは喜びや達成感。子どもは本来、感情には素直です。しかし反面、状況の理解には、時に大人の助けを要する事があるのです。
気持ちは自然と湧いて出るものです。例えそれがネガティヴなものであっても、否定せずに、きちんと受け入れてあげて下さい。
◆算数科 前田敏孝◆