ソチオリンピックに引き続き、平昌オリンピックでも金メダルを獲得した羽生結弦選手。昨年11月に大怪我をしたにも関わらず、わずか3ヶ月で見事復活し、悲願のオリンピック2連覇を成し遂げました。
羽生選手のコーチであるブライアン・オーサー氏は、あのキム・ヨナ選手をバンクーバーオリンピックで金メダルに導いた名コーチで、今回のオリンピックでも、羽生選手の他、銅メダリストのハビエル・フェルナンデス選手など、合計5カ国の選手の指導を一手に担っていたそうです。まさに引く手あまたの売れっ子コーチですね。
羽生選手は、4回転ルッツなど難度の高い新技にこだわる傾向が強かったそうです。しかし、オーサー氏は前々から、故障リスクのある大技にこだわるよりも、基本的な技一つひとつの精度を上げることを重視するよう指示していたそうです。オーサー氏の不安が的中する形で、羽生選手はオーサー氏の不在中に4回転ルッツで転倒し右足の靭帯を損傷しました。その後、オーサー氏は、回復具合をチェックしながら緻密なトレーニング計画を立て得点しやすいプログラムを組み、羽生選手がオリンピックでベストを尽くせるよう策を凝らしたのでしょう。
審判の採点基準を分析し、選手の持ち味やその時の調子を見極め、勝つ確率の高い指導をする。そんな戦略家たる名コーチの導きがあって初めて、羽生選手はその才能を開花させることができたのです。
言うまでもなく、受験生にとってのオリンピックは入試本番であり、金メダルは第一志望校合格です。この受験生がこの志望校に合格するためにはどうすれば良いか。受験を知り尽くした家庭教師が、一人ひとりに必要なものを見極め、個別に指導することこそ、最も贅沢で効果的な学習方法であることは間違いありません。
しかし、忘れてはいけないのは、生徒が信頼して身を委ねてくれなければ、効果が出ないということ。生徒が素直に指導に付いて来てくれることが理想ですが、残念ながらそうでない場合もあるのです。しかし、生徒が素直でないというのは、その子の問題ではなく、教師側の問題でもあると考えています。つまり、教師が、指導者として信頼されるよう、指導態度を改めるべきなのです。
入試にはそれぞれの人生が懸かっています。縁のあった生徒さんたちを望んだ未来へ翔かせてあげられる、頼もしい名コーチでありたいです。
◆中学受験部 森下亜美◆