五年生にもなると、女子のほとんどが、男子の三分の二が社会を選択しています。社会が好きだ、社会が他科目の点数をカバーしている、という子どもならまだしも、多くの子どもが算数・国語の二の次、三の次で、宿題があるから仕方なくという感じで取り組んでいると思います。その宿題も量が多いですね。地理歴史ともに、マスの中に漢字で答えを埋めるプリントが何十枚もホチキスでとめられた宿題です。優先順位が低いうえに、量が多いから、やっつけ仕事で宿題をすます。本来ならば解答とてらしあわせてゆっくり答えあわせをして、記憶の再確認をする。そんな地道な作業のつみかさねが重要なのに、多くの子ども達が自転車操業でこなしている社会。お母さんに聞かれます。
「これで覚えられるのか?」
「こんなドリルみたいな宿題がいつまで続くのか」
小六の冬までです。ハムスターの回し車のごとく直前まで続くのです。今の塾がとっている社会の方針は、六年生までに大量の問題を一通り解かせ、さらにもう一周大量に書いて覚えさせる。多少の記憶漏れは、もう一巡二巡した時におさえるから大丈夫、です。つまり量でおしているわけですね。この考えに間違っているところはありません。誰だって一度で覚えられないので総花的にやってから再び補填する。賢いやり方です。それが近年、多くなりすぎている気がするのですが...
勉強のコツとしては「塾はあきらかに宿題の量が過ぎている」現状を知っておくことでしょう。少し多すぎる――ことを知っておけば、たまに課題がこなせず登塾する日だって、気がラクになります。そして時間をかけすぎないことです。お子さんにも「集中して短時間で終わらせるよう」指示しましょう。時間をかければ覚えられるものではありません。短時間で集中して一気に宿題を片付ける。多少積み残しがあってもたんたんと進めていく。もちろん授業中になるべく覚えて帰る。ほんの少しのコツで社会への取り組み方がラクになるのではないでしょうか。
◇中学受験部 近藤奈央子◇