親御さんからのご相談でとても多いのが、「算数でミスが多いのですが、どうしたらいいでしょうか。」というものです。家庭教師として、この難テーマに触れないわけにはいきません。
ミスが多いと一言で言っても、その原因は様々です。
例えば、単純な計算間違い、自分の雑な字の読み間違い、途中式を書かないがゆえの間違いなどは、いわゆる技術的なものです。
それに対し、焦り、思い込み、ミスに対する意識の低さといった、メンタル的なもの等々。
それぞれに対して対処法はあるのですが、その中でも今回は、子ども達の"ミスに対する認識"についてお話したいと思います。
テストを受ける子ども達の多くは「問題を最後まで解く」ことに意識を支配されがちです。決して余裕があるとは言えない制限時間ですから、それはもっともです。
そんな状況下で、多くの子ども達は当然ミスをしないように気をつけてはいるのでしょうが、それを凌ぐのが「空欄は極力減らしたい」という強迫観念です。
子ども達は空欄を埋めるため、ミスをしないという客観性はどこへやら、とにかく目の前の問題を「解く」ことに100%の集中力を使ってしまうのです。普段はミスをしないという意識をあれほど持っているにも関わ らず...。
では、そのような状況の中でもミスをしないようにするには、どうすれば良いのでしょうか。
2つの方法をご紹介しましょう。
1つ目は「解く」ことに集中力を100%使っていたのを、80%程度に抑え、残りの20%は「時間配分」「見直し」に使うことです。
没頭するのは良いことのように思えますが、テストでは、自分を冷静にコントロールする客観性が必要なのです。
具体的にどう意識づけるかというと、まずは大前提として「テストでは全問解かなくて良い」と思わせることです。
3分手が止まる問題の多くは、5分10分考えても手が止まります。
"解かない"というのは、負けではなく、次の問題に進む勇気ある判断なのです。
そしてそこで生まれた時間で「見直し」に注力できるよ うになります。
2つ目は「計算力をつける」ことです。
単純ですが、これこそすべての基礎なのです。
スポーツ選手の地道な筋力トレーニングのようなもので、一朝一夕には出来ませんが、継続的な訓練により、計算の正確さとスピードの両方が鍛えられます。
ミスが減り、時間も生まれるので、より1つ目の「見直し」に注力出来るのです。
1つ目と2つ目の行き着く先は、共に、いかに「見直し」に注力させるかです。
「見直しをしなさい!」とただ言うのではなく、「見直しが出来る」よう、お子さんを上手に導いてあげましょう。
◆算数科 前田敏孝◆