算数の指導をしている時に、 時々びっくりするような珍解答を出す子がいます。
例えば、 自転車の速さが時速180㎞、父の年齢が6歳、 クラスの人数が20.5人など...。
なぜ、こういう常識では有り得ない答えを出すのでしょうか?
おそらくこういう子は、 算数を机の上でしか勉強していないのではないか、 と考えられます。
算数というのは、 実は日常生活の中にたくさん潜んでいるのです。
スーパーなどはまさに、算数の恰好の隠れ場です。
例えば、 500mlのペットボトルや1Lの牛乳パックを、 意識的に見て手に取るという経験をしておくと、算数で学習す る"かさ"の数字や単位と、 実際の量を体感して理解する事が出来ます。
卵1個が60g前後、 1円玉1枚が1gといった重さの感覚も知っておくと良いでしょう 。
○割引、○%引のラベルがあちこちに貼られ、 果たしてそれらはレジでいくらになるのか、 消費税込みの値段は何円なのか...なども。
お家に帰っても、算数は机の上以外のあちこちに居ます。
組み立てるイメージも出来るので、 向かい合う面についてなども、 容易に想像出来るようになるはずです。
お出掛けの際は、車や電 車に乗っている時に、 速度計の指している数字を説明してあげれば、 速さの概念が掴めます。
"30"を指していれば「 1時間で30km進めるスピードだよ。30kmは、 だいたい大阪から神戸までの距離ね。」と教えてあげれば、 子どもは理屈抜きに感覚で理解します。
子どもの場合、数の理論を論理的に理解にさせようとするよりも、 まずは感覚的に身体や脳に馴染ませる方が手っ取り早いでしょう。 その上で、その感覚の裏付けとなる論理的な理解が加わると、 二度と忘れない強固な、且つ、 柔軟に応用がきく真の知識となるのです。
もし算数嫌いのお子さんがいたら、まず"数で遊ぶ" 事をお勧めします。
このように日常の数字に興味が持てるようになれば、 算数をもっと感覚的に楽しく勉強する事が出来ます。
そして、 自転車の速さが時速180kmという答えが出てしまった... という間違いも、感覚的に"おかしい" と感じられるようになるのです。
決して机の上だけの勉強を勉強と思わず、 楽しみながら勉強にも役立つであろう見聞を広げて下さいね。
◆算数科 前田敏孝◆