受験生は⻑時間勉強する中で、食事の時間を削りがちになる傾向があります。
しかし、体や脳は勉強と共に確実にエネルギーを消費しており、それらをどのようにリカバーしたかにより、健康はもちろん勉強の質にも影響してきます。
脳の唯一のエネルギー源の糖質がきれた時点で集中力はぐんぐん下がり、自ずと勉強の効率が下がってきます。
3度の食事のみでは、途中で脳のエネルギーが切れてしまうことが多くなってきます。
そこで、重要になってくるのが食事と食事の間にとる『間食』です。
ここでの「間食」とは、おやつだけではなく必要な栄養素を摂るための軽めの食事も含みます。
そもそも、私たちは体内での情報のやり取りを、神経を介して行います。
その際に、「神経伝達物質」というものを放出し、神経に情報を伝えるのですが、いかに多くの神経伝達物質が放出され神経に伝わったかで刺激の大きさが決まります。
この神経伝達物質は材料となるアミノ酸から摂る必要があります。
しかし、体が健康で、必要な栄養が摂れていれば体は自然と適量の神経伝達物質を作り出します。
そのため、これさえ食べれば頭が良くなるといった食材などは存在しないのが事実です。
しかし、逆に栄養が不足してしまうと脳にも悪い影響を与えてしまうため、3 度の食事に加えこの間食で上手に取り入れることで、体や脳の健康と、質の良い勉強が期待できます。
また、そのほかにも間食が果たす様々な機能や栄養素をレシピと共に以下にまとめてみました。
<「間食」を摂るメリット>
◆脳や体への栄養補給
集中した勉強で疲れた脳には、ガソリンとなるブドウ糖の補給が必要になってきます。
またこれに加え、集中力を持続させるカルシウムや、記憶力を高めるDHA などの栄養素も間食で補えると良いと思います。
◉チョコレート
チョコレートには、糖分や抗酸化作用のあるカカオポリフェノールの他に、テオブロミンというものが含まれています。
このテオブロミンが脳の神経細胞を刺激し、集中力が高まり、また、疲労して落ちた記憶量を元に戻す効果が期待できます。
ただし、この効果を確実に得るためには、板チョコを1枚ほども食べる必要があります。
ですが、手軽に美味しく少しでも良いものが摂取できるのはチョコレートの強みです。
◉カルシウム
カルシウムには、体内で正常な神経伝達の保持をする働きがあります。
この神経伝達が正常に行われると、脳の異常興奮が抑えられ、落ち着くことができ、集中力が高まります。
<レシピ>
〜ミネラル・食物繊維たっぷり! チョコレートサラミ〜
【材料】(20cm/1 本分)
・ブラックチョコレート……100g
・生クリーム……大さじ2
・ミックスナッツ……25g
・グラノーラ……20g
・ミックスドライフルーツ……30g
・水……大さじ2
・粉糖……適量
【作り方】
① チョコレートは刻んでおき、ミックスナッツも粗めに刻む
ミックスナッツは水と合わせてラップをして、電子レンジ(600w)で30 秒加熱してそのまま蒸らしておく
② チョコレート湯煎で溶かし、生クリームを加えて馴染むまでよく混ぜ合わせたら湯煎から外す
③ そこに、ミックスナッツとグラノーラ、水気を切ったミックスドライフルーツを加えてよく混ぜる
④ 大きめのラップにのせたら、棒状にくるくるとラップを巻いていき20cm 程にまとめる(ラップを巻き込まないように注意する)
⑤ 冷蔵庫で1〜2時間冷やし、固まったらラップを外して粉糖をまぶし、好みの厚さにカットして出来上がり
*グラノーラを入れることで腹持ちが良くなるとともに、食物繊維などの摂取も期待できます!
ナッツやドライフルーツの種類や量はお好みで調節してください。
少量でもしっかり糖分は摂れますので、食べ過ぎには注意し1 度に2〜3枚程度を目安に食べてみてください。
◆気分転換
⻑時間の勉強で行き詰まったときや、切り替えが上手にできない場合などでは気分転換も必要になってきます。
その際に、間食でアロマ効果のある柑橘系や、目を覚まさせるクエン酸やカフェイン、リラックス効果のあるセサミンなどを上手に摂り入れることで、再び頭や体を効率よく動かせるようになります。
◉ハーブ・スパイス
ハーブやスパイスは、芳香性植物の一部で、人間の生活の中で有益な役割を果たしてくれます。
その特徴や用途は様々で、ハーブティーやアロマオイルとしても身近です。
勉強をする上でもローズマリーは記憶をよくし、集中力を高める働きがあるといわれます。
また、ペパーミントやレモングラスは、清涼感のある香りや味などでリフレッシュ効果が期待でき、気分転換にも適しています。
そして、ラベンダーは気持ちをリラックスさせ安眠にも役立つ働きをしてくれるため勉強後や入浴中にもオススメです。
<レシピ>
〜美味しく、スッキリ! ローズマリーとバナナのマフィン〜
【材料】(マフィンカップ6個分)
・バナナ(熟したものがオススメ)……2本
・ローズマリー……2枝
・薄力粉……120g
・ベーキングパウダー……小さじ1
・砂糖……80g
・無塩バター……50g
・塩……1 つまみ
・卵……1個
・牛乳……50ml
・(お好みで)クリームチーズ……適量
【作り方】
(下準備)オーブンを180 度で予熱スタート
① 薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるっておき、無塩バターと卵(溶いた状態で)は室温に戻しておく
② バナナをフォークの背などで潰し、ローズマリーは細かく刻む
③ ボールに無塩バターを入れてクリーム状になるまで泡立て器でよく混ぜる
④ 砂糖を2〜3回に分けて加え、その都度よく混ぜる(空気を含ませるように、⽩っぽくフワフワになるまで混ぜる)
*あれば、電動泡立て器を使うと早い
⑤ そこに、卵を2〜3回に分けて入れその都度よく混ぜる
⑥ 牛乳を加え混ぜる(分離したようになる場合は、ふるっておいた粉類を少し加える)
⑦ 薄力粉、ベーキングパウダーを加えて、ゴムベラで切るようにサクッと混ぜ合わせる
⑧ バナナと、ローズマリーも加えて混ぜる
⑨ マフィン型にスプーンで生地を入れ(お好みで小さくカットしたクリームチーズをのせてあげてもOK)、180 度に予熱したオーブンで20〜25 分焼いたら出来上がり
*バナナに含まれる果糖やブドウ糖は消化・吸収に優れており、即効性の高いエネルギー源として、間食には向いています、また、食物繊維やオリゴ糖も含んでいるため、腸内環境にとっても有益です。
◆体調管理
風邪、貧血、食欲不振、肌荒れ、便秘 など……、体調の変化があれば自分の状況に合わせて、3 度の食事では摂りきれない栄養素や不調に有効な栄養素を、間食で補充しケアをしてみてください。
◉オレイン酸
オレイン酸は、オリーブオイルやピーナッツなどの油に含まれており、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らす働きもします。
(多く摂取しても、善玉コレステロールを減らすことはありません。)
また、排泄物を柔らかくして腸の運動を活性化し、美肌を保つ効果もあります。
◆やる気アップ
「これを食べるとやる気が出る!」といった食べ物がある場合は、それを受験本番でも上手に摂り入れる事をお勧めします。
例えば、教科ごとの空き時間や昼休みなどに少量でいいです。
科学的ではないかもしれませんが、心と頭は繋がっているものです。
食べる事を楽しいと感じ、自分の大好きな食べ物があるのなら、それを食べる事はきっと精神的にも良い効果を生むと思います。
ただし、食べ過ぎや過度な刺激物、生物などは避けてください。
受験生は運動時間が少なくなるため、体重増加や体のことを気にして間食をとりづらいと感じる方もいると思います。
もし、実際に体重増加などが気になるようでしたら3 度の食事量を少し減らすなどで調整し、間食は量より質を重視し取り入れるようにしてみてください。
管理栄養士 浅田ゆうき先生
受験生の食事 間食の重要性
- 2019.03.07
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