受験生の食事〜心のケア〜

  • 2021.01.29
  • 受験レシピ

受験生は⻑い受験勉強の中で、疲労、睡眠不足、焦りや、不安、イライラなど身体的にも、精神的にも様々なストレスにさらされています。


そのような状況の中で、勉強の成果を発揮するために重要になってくるのが心の状態を保つケアです。
小さなストレスでも積み重なってくると大きくなり、悪循環に陥りやすくなります。

そこで、毎日の生活の中での気分転換や、意識の切り替え、ストレス緩和の手段として食事を意識してみてはどうでしょうか。


毎日の食事はメンタルヘルス(心の健康)と繋がっており、近年、食事によるストレスの改善が注目されています。

また、心の状態が食べ方や食品の選び方にも影響すると共に、偏った食事や、不規則な食事がストレスの原因の一つになっているかもしれません。


毎日の食事を振り返り、少しの工夫をすることで心のケアをしてみませんか?






◆心の健康を助けるセロトニン


私たちの体は食べたもので出来ており、それは身体だけではなく心も同じです。
心の健康を助けるホルモンに「セロトニン」というものがあります。

セロトニンとは、脳内で働く神経伝達物質の一つで、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっています。

また、セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれており、不足するとイライラしやすくなるだけでなく、やる気や集中力の低下などにもつながります。
セロトニンを増やすためには食事から材料となる栄養素を取り入れ、太陽の光を浴び、適切な運動をすることが重要です。


◎食事

・トリプトファン

アミノ酸の一種であるトリプトファンは、セロトニンの材料になります。
トリプトファンは牛乳やチーズといった乳製品や大豆製品などに多く含まれおり、体内では作り出すことができないため、食物から取らなければなりません。



・炭水化物

トリプトファンからセロトニンを合成する際に必要な栄養素であると共に、脳の唯一のエ ネルギー源であるため不足しないようにすると共に、摂り過ぎにも注意しましょう。



・ビタミンB6

トリプトファンからセロトニンの合成を促進させる栄養素で、⻘魚や肉、バナナなどに含ま れています。




◎太陽光を浴びる

セロトニンは太陽の光を浴びることで合成が活発になります。
特に、朝に太陽の光を浴びると体内時計のスイッチも入り、生活リズムや自律神経も整いやすくなります。


◎リズム運動

ウォーキングなどの一定のリズムを刻む運動でもセロトニンが増加すると言われています。
食事の際によく噛むこともリズム運動の一つでありセロトニンの分泌を高めるだけでなく、噛むことにより消化を促したり、脳への血流が増え脳の神経活動が活発になります。



<レシピ>

〜幸せいっぱい!バナナコロッケ〜




【材料】(2〜3人分)

・豚ロース(トンカツ用など)......200g
・バナナ......2本 ・玉ねぎ......1/2個
・溶けるチーズ(ピザ用細切り)......40g
・にんにく......1片
・バター......20g
▼▼▼ A ▼▼▼
・酒......大さじ2
・しょうゆ......大さじ1
・カレー粉......小さじ2/3
・塩......4つまみ
▲▲▲ A ▲▲▲
・小⻨粉......適量
・卵......適量
・パン粉......適量
・揚げ油......適量


【作り方】

①玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。バナナ、豚肉は粗みじん切りにする。

②フライパンを熱してバターを溶かし、にんにく、玉ねぎを入れて炒める。

③玉ねぎがしんなりしてきたら、バナナ、豚肉を入れて、豚肉に火が通るまでしっかり混ぜ炒める。

④そこに、Aの調味料を加えてさらに2分程、中〜弱火で混ぜながら炒める。

⑤具材が炒まったら粗熱をとって、チーズを混ぜる。(このとき、チーズが溶けない温度まで冷ますようにする。)

⑥さらに冷蔵庫などで具材を冷やして、8~10 等分にして丸く成形し、小⻨粉、卵、パン粉の順に衣をつける。
*冷蔵庫で冷やすことにより、成形しやすくなります。

⑦180度の油できつね色になるまであげたら出来上がり。
*あまり熟れたバナナを使うと水分が多くべちゃべちゃになり、成形しづらいので注意してください。




ジャガイモの代わりにバナナを使ったコロッケです。
バナナを使うことで、砂糖を入れなくてもコクのある甘みが加えられるうえ、カレー風味の豚肉にもよく合います。

チーズなどの乳製品(トリプトファン)、豚肉(ビタミンB6)、バナナ(ビタミンB、糖質)といったセロトニンの材料となる3つの栄養素がぎゅっと詰まったコロッケ、ぜひ一度作ってみてください。




◆楽しむための食事


食事の本来の目的は、生きるために必要な栄養素を補給することと共に、食事を通して生活を豊かにすることだと思います。

食事は舌で味わって、目で見て、鼻で嗅いで、耳で聞いて楽しむことができ、様々な感覚を刺激してくれます。
様々な感覚が刺激され、美味しいと感じ幸福感を味わった時にも、セロトニンの分泌は促されます。

それと共に、食事は家族や人と繋がりコミュニケ―ションの場でもあるため、感情の共有や、想いを聞いてもらうことでストレスの軽減にも繋がります。



◆リラックスするための食事


勉強や試験による疲労、不安や緊張などで心が張り詰めているとき、それらをやわらげるために飲食をするのも有効だと思います。
緊張や不安などのストレスがかかると、自律神経の交感神経が優位になり私たちの体は興奮し戦闘状態になります。
逆に体や心がリラックスすると自律神経の副交感神経が優位になります。

食事ではこの、副交感神経の働きを高めることができます。


[副交感神経の働きを高めてくれる食材]

・GABA
GABAは神経伝達物質として、脳に酸素や血流をめぐらせ、神経をリラックスさせる働きがあります。
とくに、発芽玄米や発酵食品、ココアやチョコレート(カカオマス)、野菜の中でもトマトなどに多く含まれています。

・ハーブ
ハーブの中でも、カモミールやジャスミン、ラベンダーの香りには副交感神経の活動を高めてくれる働きがあり、心拍数を落ちつけ、就寝前の摂取では安眠にも繋がります。
ハーブの中でも逆に交感神経を高めるものもあるので注意してください。


[リラックスする食べ方] 

・温める
リラックスする上で大切なことは、体を温めることです。
体が温まると、血管が拡張して血液が体のすみずみまで運ばれ自律神経や免疫機能を正常に働かせてくれます。
食事により体を中から温めることも有効なため、温かい飲み物や食べ物がおすすめです。

・空腹状態を短くする
人間は、お腹が空き血糖値が下がると、それだけで疲労を感じやすくなり、イライラしたり、不安感が強くなるものです。
そのような状態が長時間続かないように、間食や補食を取り入れることも有効です。



<レシピ>

甘酒のカモミールミルクティー




【材料】(1人分)

・牛乳......100ml
・カモミールティー......1パック
・甘酒......50ml
・生姜......スライス1枚(1g)
・はちみつ......小さじ1/2
(・お好みでシナモン......少々)


【作り方】

①小鍋に牛乳を入れ軽く湯気が立つまで温める。(沸騰させずに、70〜80度)

②火を止めて、カモミールティーパックを加えて蓋をして10分程おく。

③10分経ったら生姜を加えて、再び蓋をして1〜2分おく。

④生姜とティーパックを取り出して甘酒、はちみつを加える。弱火で混ぜながら軽く温めたら、カップに注いで出来上がり。

*ティーパックを取り出す際に、スプーンなどでぽんぽんと上から優しくティーパックを押さえてあげるとよりカモミールの風味がつきます。
*お好みでほんの少しシナモンを入れても美味しいです。




リラックス効果のあるカモミールを温かいミルクで煮出し、抗菌効果や疲労回復効果の高いはちみつの他に、GABA が豊富に含まれている発酵食品の甘酒を使い飲みやすく仕上げました。

GABA は熱に強く温めても壊れにくい栄養素ですので、就寝前に温かくして飲むことで、さらに副交感神経の働きを高めて安眠などにも繋がります。
また、夜食がわりに飲むことで、空腹感を和らげ落ち着かせてくれますのでおすすめです。

 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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