これまで、炭水化物・タンパク質(アミノ酸)・脂質の3大栄養素の重要性についてご紹介してきましたが、それらの栄養素を最大限に生かす鍵となってくるのが、今回からご紹介するビタミン・ミネラルです。
体内に入った食物は消化吸収の過程で、様々な生化学反応を起こしながらエネルギーを生み出したり、細胞を作り替えたりしていきます。
その反応を進める役割が、酵素という触媒であり、酵素を働かせるために必要なのがビタミンとミネラルなのです。
ビタミンやミネラルが不足すると他の栄養素の力が十分に発揮されません。
つまり、勉強で高い集中力を長く維持するために多くのエネルギーを生み出したいと、どれだけ多くのご飯(炭水化物)を食べたとしても、ビタミンやミネラルの豊富な食材が不足していては、十分なエネルギーは生み出せないのです。
健康のためにもビタミン・ミネラルの豊富な食材(野菜・海藻など)を食べなくては、と頭では分かっているつもりでも、具体的にどのような働きをするのかが分かりづらい栄養素でもあります。
今回はその中でもビタミンについてお話ししますので、体内でどのような働きをして自分(受験生)にとってなぜ必要なのかを、今一度確認してみて下さい。
◎ビタミン
ビタミンは体内で合成することができないため食物から摂取しなくてはなりません。
その性質から「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」に大きく分類することができます。
どちらも体にとっては重要な働きをする栄養素ですが、今回は特に受験生が勉強をする上で重要となってくるビタミンについてご紹介します。
◆ビタミンB(疲労回復・エネルギーの維持)
ビタミンB群は、8種類のビタミン(B1、B2、B6、B12、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)があり、食物を摂取することで起こる体内の様々な反応を、効率よく進める上で欠かせないビタミンです。
多く含まれる食材は、
・ビタミンB1……豚肉、大豆、うなぎ、玄米
・ビタミンB2……レバー、魚、牛乳、卵
・ビタミンB6……カツオ、マグロ、鶏胸肉、バナナ
・ビタミンB12……貝類、レバー
・葉酸……緑黄色野菜、豆類、果物
・ナイアシン……魚、レバー、種実
・パントテン酸……うなぎ、納豆、アボカド
・ビオチン……レバー、卵、椎茸、ピーナッツ
ビタミンB群は水溶性ビタミンのため、一度にたくさん摂取しても体内にためておくことはできずに、余分なものは尿中に排泄されます。
そのため、毎日・毎食コツコツと摂取したい栄養素です。
ビタミンB群は、糖質、脂質、タンパク質からエネルギーや必要物質を作る反応をスムーズに行わせる潤滑油のような働きがあるため、食べたものからエネルギーを生み出し、脳をしっかり働かせ効率よく勉強する上でも非常に重要な栄養素です。
◆ビタミンA(眼精疲労回復・免疫の維持)
ビタミンAは脂溶性ビタミンのため脂質によって吸収率が上がり、またタンパク質とともに粘膜を作るなど他の栄養素との相互の働きが欠かせません。
多くは、レバーやうなぎ、卵黄、バターなどの動物性食品に含まれています。
その他にも、緑黄色野菜に含まれるβカロテンは、体内に入り小腸から吸収される際にビタミンAへと変換されます。
ビタミンAは脂溶性ビタミンのため体にたまりやすく過剰摂取による弊害も起こるのですが、βカロテンからビタミンAへの変換は体内で調整されるため、βカロテンの過剰摂取による心配はありません。
また、日本人のビタミンA摂取の約4割が緑黄色野菜からと言われるほど、野菜はビタミンの供給源として重要です。
長時間の勉強をする受験生に目の疲れはつきものです。
定期的な休憩と、ビタミンAをはじめとする栄養補給からしっかりケアしていきましょう。
<レシピ>
〜緑黄色ナムルの冷しゃぶ巻き〜
【材料】(2〜3人分)
・豚 (冷しゃぶ用もしくは薄切り)……200g
*部位はバラやモモがオススメ
・人参……1/3本
・かぼちゃ……50g
・ほうれん草……100g
・きゅうり……1/2本
・細ねぎ……3本
▼▼▼ A ▼▼▼
・塩……小さじ1/3
・ごま油……大さじ1/2
・すりごま……大さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲
▼▼▼ B ▼▼▼
・しょうゆ……大さじ1
・みりん……大さじ1/2
・砂糖……大さじ1
・レモン汁……小さじ2と1/2
・ごま油……小さじ1
▲▲▲ B ▲▲▲
【作り方】
① 人参、かぼちゃ、きゅうりは千切りにし、人参とかぼちゃは耐熱容器に入れラップをかけて、電子レンジで600W1分加熱し粗熱を取っておく。
*加熱しすぎるとかぼちゃが崩れるため、歯ごたえが少し残る程度に加熱。
② ほうれん草は、塩をひとつまみ(分量外)加えた熱湯で茹でて水気を絞り4cmほどに切る。
細ねぎは小口切りにする。
③ ボウルに人参、かぼちゃ、ほうれん草、きゅうりを入れそこにAを加えてよく和え合わせてナムルを作る。
④ 耐熱容器にBと細ねぎを入れラップをして、電子レンジ600Wで1分加熱する。
⑤ 鍋に1リットルほどの水を入れそこに酒大さじ2(分量外)、塩小さじ1/2(分量外)を入れ、沸騰前(80~90度)まで温めたら、肉を1枚ずつ広げて入れていき軽く火が通ったらざるなどにあげて冷ます。
⑥茹でた肉の上にナムルを少量のせて巻いたら、食べる前に④のタレをたっぷりかけて出来上がり。
βカロテン(ビタミンA)やビタミンCが豊富な人参やかぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜と、ビタミンB群が多い豚肉を合わせた夏にぴったりなレシピです。
タレにはレモン汁を効かせてさっぱりとさせつつも、暑い日でも食欲をそそる一品です。
◆ビタミンC(免疫力の増進)
ビタミンCは緑黄色野菜や、柑橘類などの果物に多く含まれます。
水溶性ビタミンのため、調理時には水にさらす時間を短時間にする工夫や、汁ごと摂取できる汁物にすることで効率良く摂ることができます。
ビタミンCは短時間で尿や汗などと共に体外へ排泄されるため、食事のたびに新鮮な緑黄色野菜や果物からの摂取を心がける必要があります。
また、ストレスによって消費され少なくなるビタミンでもあるため、常にストレスにさらされがちな受験生にとっては積極的に摂りたいビタミンの一つです。
<レシピ>
〜タコのビタミンサラダ〜
【材料】(2〜3人分)
茹でタコ……50g
・人参……1/2本
・玉ねぎ……1/4個
・オレンジ……1/2個
・大葉……5枚
・塩昆布……5g
▼▼▼ A ▼▼▼
・しょうゆ……小さじ1/2
・塩……1つまみ
・ごま油……小さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲
【作り方】
① 人参は千切り、玉ねぎはみじん切りにする。切った人参と玉ねぎを耐熱容器に入れラップをして、電子レンジで600W2分加熱して冷ましておく。
② タコは薄切り、大葉は千切りにする。オレンジは皮をむいて4等分のくし切りにしてさらに、薄めのいちょう切りにする。
③ ボウルに人参、玉ねぎ、タコ、オレンジ、大葉、塩昆布を入れてよく混ぜ合わせる。
*できれば、手などで揉むように混ぜ合わすと全体に味が馴染みやすいです。
④ そこに、Aの調味料を入れてさらに全体をよく混ぜ合わせたら出来上がり。
*作りたてよりも、しばらく冷蔵庫でおいてからの方が美味しいです。
ビタミンCたっぷりのオレンジと、ビタミンAが豊富な人参を使ったサラダです。
タンパク質やミネラル豊富なタコは旨味を増すだけではなく食べごたえもあり、塩昆布との相性もぴったりです。
この時期に旬を迎える大葉も豊富なβカロテンを含んでおり、爽やかなサラダのアクセントとなっています。
昆布の旨みが効いたサラダは、小さなお子さんでも食べやすい味付けとなっているので、ぜひ一度作ってみてください。