前回は、摂取した栄養素を体内で最大限に引き出すための鍵となるビタミンの働きについてご紹介しました。
人の体には多くの栄養素が互いに作用し合いながら、効率よく機能を発揮する仕組みが整えられています。
体内でエネルギーそのものにはなりませんが、糖質からエネルギーを、たんぱく質から筋肉や骨を、脂質からホルモンを作るために欠かせないもう一つの鍵となるのがミネラルです。
ビタミンよりも、さらに栄養素としての働きがイメージしづらいのがミネラルではないでしょうか。
そもそも、ミネラルとは無機質ともいわれ地球上に存在する100種類以上の元素のうち、生体を構成する主要な4つの元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称です。
沢山あるミネラルのうち、実際私たちの体に必要なものは16種類といわれており、その代表的なものに、カルシウムや鉄、マグネシウム、カリウムなどがあり名前を聞くとその働きが連想されるものも多くあると思います。
その中でも今回は、受験生にとって特に重要な働きを担っているミネラルについてご紹介したいと思います。
◎ミネラル
ミネラルは、体内で合成することができないため、すべて食物から摂取する必要があります。
また、その過不足によって欠乏症や、過剰症といった弊害も出てくるためバランスよく摂取しなくてはなりません。
特に、現代の日本人においては次のような傾向があります。
◆鉄
鉄は、血を作る上で欠かせないミネラルであり不足すると貧血などを引き起こすことはよく知られています。
特に、女性においては月経や出産など血を多く必要とする機会が多いため特に重要な栄養素です。
受験生にとっても、鉄不足による貧血は脳の酸欠状態を生み出し、集中力・思考力・記憶力などの低下を招きます。
特に、小学校の高学年から中高生にかけては、体の変化が大きい時期ですので必要量も増す重要な栄養素です。
鉄の種類
鉄には、動物性食品に多く含まれているヘム鉄と植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄の2種類があります。
体内での鉄の吸収率はその種類によって大きく異なってくるため、吸収率の良い食品を選ぶ工夫が必要です。
鉄と一緒に摂りたい栄養素
・タンパク質
タンパク質は、血液中の赤血球やヘモグロビンの材料となる大切な栄養素であり、動物性タンパク質にはヘム鉄(吸収されやすい鉄)が多く含まれます。
良質のタンパク質を含む食品とは、魚介類、肉類、卵などですが、一度に沢山摂っても体の中に貯めておくこてとができないため、毎食主菜にとりいれて食べるようにしましょう。
・ビタミンC
ビタミンCは、食品中の鉄が体内で利用される際に必要な栄養素であり、非ヘム鉄(吸収されにくい鉄)の吸収率を高めてくれます。
・ビタミンB12、葉酸
ビタミンB12と葉酸は、正常な赤血球を作る上で必要な栄養素であり、貧血の予防には鉄分だけでなくこれらの栄養素も欠かせません。
ビタミンB12を多く含む食品‥‥牛・豚レバー、魚介類、貝類、卵黄、チーズ など
葉酸を多く含む食品‥‥レバー、卵黄、大豆、納豆、ほうれん草、ブロッコリー など
受験勉強で夜型の生活になると、朝に時間がなく食欲もわかず、朝食を抜くケースが増えてきます。
しかし、朝食からしっかりとタンパク質や果物を食べることが鉄分をはじめとする栄養素の不足を解消することに繋がるため、朝食をとる習慣をつけるようにしましょう。
◆亜鉛
亜鉛は、肉や魚介、穀類、種実類など多くの食物に含まれているため、通常であれば不足しづらい栄養素と考えられます。
しかし、偏食やダイエット、受験勉強などからくる食習慣の乱れ、加工食品やレトルト食品(亜鉛の吸収を阻害する食品添加物を含む)を頻繁に摂取することなどによって、現代の日本人においては不足しやすい栄養素になりつつあります。
不足しないためには、一汁三菜のバランスのとれた食事スタイルを意識することや、忙しい場合も何か一品は自炊するなどの工夫が重要になってきます。
亜鉛不足が続くと、集中力が下がる、疲れやすい、風邪を引きやすいなどといった受験生にとっては致命的な症状にも繋がりかねないため、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
【亜鉛を多く含む食品】
牡蠣、牛肉、卵、チーズ、高野豆腐、アーモンド、切干大根 など
◆リン・ナトリウム
リンやナトリウムは幅広い食品に含まれているため、不足することはほとんどありません。
反対に、お菓子や缶詰、レトルト食品など私たちの食生活の一部となりつつある加工食品に多く含まれており、過剰摂取の注意が必要です。
普通の食物と比べて、インスタント食品やスナック菓子、加工食品に多く含まれる食品添加物の中にはカルシウムや亜鉛など他のミネラルや栄養素の体内吸収を阻害する物質が含まれていることが多くあります。
受験勉強の合間に食べる間食や夜食、時間がないからとついつい買って食べてしまう習慣など様々な場面にリスクが潜んでいますので注意が必要です。
<レシピ>
〜ラム肉とプルーンの赤ワイン煮込み〜
【材料】(2人分)
・ラム肉(ランプや赤身)……250~300g
*豚肉で代用も可
・干しプルーン(種ぬき)……5粒(50g)
・玉ねぎ……1/4個
・セロリ……10cm(15g)
・にんにく……1片(10g)
▼▼▼ A ▼▼▼
・しょうゆ……大さじ1と1/2
・はちみつ……大さじ1と1/2
▲▲▲ A ▲▲▲
▼▼▼ B ▼▼▼
・赤ワイン……100ml
・八角……1個
▲▲▲ B ▲▲▲
・水……250ml
・塩……少々
【作り方】
① 玉ねぎとにんにくはみじん切りにし、セロリは筋があればピーラーなどで除いてから、みじん切りにする。干しプルーンは粗みじん切りにする。ラム肉は一口大に切ってから塩こしょう(分量外)を少々まぶしておく。
② フライパンに少量の油をひいて熱したところに、ラム肉を入れ焼き色がつくまで両面を焼く。
③ ラム肉を一旦取り出し、フライパンに残った油をさっと拭き取り、少量の油をひいてにんにく、玉ねぎ、セロリを入れてしんなりするまで炒める。
④ そこにAを加えて一煮立ちさせたら、Bとラム肉とを加える。
⑤ 再び煮立ってきたら水を加える。沸騰したらアクを取り、蓋をして弱火で20分ほど煮込み、干しプルーンを加えてさらに弱火で10分煮込む。
⑥最後に蓋をとり中火〜強火で4~5分ほど煮込み水分を飛ばして煮詰めたら、塩で味を整えて出来上がり。
*お好みでイタリアンパセリなどを散らしてください。
最近、スーパーなどでも見かける機会が多くなったラム肉(子羊の肉)は、非常に栄養価が高く亜鉛や鉄などが豊富に含まれています。
鉄分においては牛肉や豚肉よりも多く含んでおり、加えて貧血予防に重要なビタミンB12も同時に含まれています。
そのほかにも、疲労回復効果が期待できるL-カルニチンが豊富で、夏の終わり頃などの疲れが溜まりやすい時期にぴったりの食材です。
一緒に合わせたプルーンはスモモの仲間で、鉄分が豊富なことでも有名ですが、それだけでなく食物繊維やカリウム、ビタミンA、ビタミンB群など現代の日本人に不足しがちな栄養素を多く含んでいます。
お肉との相性も良く、プルーンが苦手な人も煮込み料理にすると気にならずに食べられると思います。
<レシピ>
〜ふるふるアーモンドプリン〜
【材料】(3〜4個分)
・アーモンドミルク……200ml
・ココナッツミルク……50ml
・クコの実……3g
・はちみつ……大さじ2
・粉ゼラチン……2.5g
【作り方】
① ゼラチンに水を大さじ1(分量外)加えてふやかしておく。
② 耐熱ボウルに、アーモンドミルク、ココナッツミルク、クコの実、はちみつを入れてラップをせずに、電子レンジ600Wで3分30秒加熱する。
③ そこに、①のゼラチンを加えてよく混ぜて溶かす。
④ 粗熱が取れたら、プリンの容器に注いで冷蔵庫で4~5時間ほど冷やして出来上がり。
*ふるふるの柔らかい食感にするために、ゼラチンの量は極力少量で作りましたので、冷蔵庫で冷やし固める時間も長めになっています。
*お好みで、フルーツやクリームを添えても美味しいです。
アーモンドミルクは低カロリーで、食物繊維や抗酸化作用のあるビタミンEを含んでいることが有名ですが、アーモンド自体にミネラルが豊富なため、鉄やマグネシウム、カルシウムといったものも多く含まれています。
合わせたクコの実はスーパーフードと呼ばれるほど多くの栄養素が含まれています。
その中でもビタミン、ミネラルがバランスよく豊富に含まれており、カリウム、鉄、亜鉛、マグネシウムなどはドライフルーツの中でも特に多く含まれています。
ココナッツミルクは、濃厚なコクをプラスしてくれるだけでなく、含まれる脂質は中鎖脂肪酸といい、体内で素早くエネルギーに変わることから注目されています。
とても簡単ですので、いつもとは違うプリンをぜひ作ってみてください!