近年、成績と朝食に関係する様々な調査が行われ、そのデータから「朝食を抜くと成績が下がる」という結果が多く出ています。
すでに、このことをご存知の方も多いと思いますが、なぜ朝食が成績に大きな影響を及ぼすのでしょうか。
その理由に迫るべく、今回は脳とエネルギーの関係について詳しくみていきましょう。
◎体と脳のエネルギー源
食物を摂取すると、食べた物は唾液や胃酸などの消化酵素によって消化され、体内で吸収できる形にまで次のように分解されます。
そして、その多くは腸で吸収され私たちの体へと運ばれていきます。
この中で唯一、脳のエネルギー源となるのがブドウ糖です。
脳は、体内の脂肪などを燃料として使えないばかりか、他の体の部位と比べてもそのエネルギーとなるブドウ糖の消費量は3倍にものぼります。
ブドウ糖は、脳以外にも筋肉を正常に動かしたり、血糖値を維持するなど生きていく上で欠かせないものです。
そのため、私たちの体は食事から得たブドウ糖をグリコーゲンという形に換えて、肝臓などに一時的に貯めておくことができます。
しかし、グリコーゲンのままでは血液中を流れることができないため、必要に応じてブドウ糖へと再び変換され脳をはじめとする体の各部位へと届けられエネルギー源となるのです。
◎寝ている間も、脳は働く
脳は勉強をしている間だけではなく、寝ている間も働き続けています。
脳は寝ている間に勉強したことや日中に起きたことなどを脳に書き込み、いつでも引き出せるように準備するとともに、いらない記憶は消去して、記憶の整理をせっせと行っているのです。
この就寝中の脳のエネルギー源となるのが、夕食でとった食事です。
夕食で摂取したブドウ糖は肝臓にグリコーゲンとして貯蔵され、必要に応じて再びブドウ糖へと分解された後脳に供給されます。
このようにして寝ている時も、起きている時と同じだけのブドウ糖を消費しているため、朝目覚めた時には脳のエネルギーは残りわずかな状態となっています。
<レシピ>
〜目覚める朝のエネルギーチャージ!柿とオレンジのジンジャーラッシー〜
【材料】(2人分)
・柿……1個
・オレンジ……1/2個
▼▼▼ A ▼▼▼
・プレーンヨーグルト……50g
・牛乳……40ml
・おろし生姜……小さじ1/4
・はちみつ……小さじ1
・氷……2個
▲▲▲ A ▲▲▲
【作り方】
① 柿は皮をむいて4〜8等分に切り、種があれば除く。
オレンジは皮をむいて適当な大きさに切る。
② ミキサーに柿と、オレンジ、Aを加えてよく撹拌したら出来上がり。
時間がない朝や、食欲がわかない朝などにも、素早くエネルギーチャージができるドリンクレシピです。
この時期に旬を迎える柿には様々な栄養素が含まれており、目や皮膚、粘膜の健康維持に働くβ-カロテンや、体の抵抗力を高めてくれるビタミンCも豊富です。
また、柿の渋味成分のタンニンには、疲れの原因となる活性酸素を除去してくれる抗酸化成分が多く含まれています。
これに、消化のよいタンパク質を含むヨーグルト、食欲増進効果や消化を高めてくれる生姜などを加え、すっきりと飲みやすく仕上げました。
◎朝食抜きから始まる、悪循環
朝は肝臓に貯蔵されているグリコーゲンが枯渇している状態です。
というのも、前日の夕食で食べたものはグリコーゲンとして肝臓に貯蔵されますが、これらが脳などのエネルギー源として利用できるのはせいぜい10時間程と言われています。
そのため、多くは就寝中に使い果たされ、グリコーゲンがなくなると今度は筋肉のタンパク質をブドウ糖に変換し脳に供給します。
(*この時、脂肪組織もエネルギー源として利用されるが時間がかかるため、筋肉のタンパク質分解からのエネルギー合成が先に進む。)
つまり、朝食を抜くと自分の体の一部分を破壊してエネルギーを作り出さなくてはならない状態が続きます。
その結果、午前中に十分なエネルギーが確保できず頭が働かないばかりか、筋肉量の減少が進み代謝の低下から太りやすくなったり、免疫力・抵抗力が低下しやすくなり、いつ体調を崩してもおかしくない状態に陥ります。
また、朝食は1日の体内リズムをリセットして整える働きもあるため、朝食を抜くと、体内時計のリセットの時間も遅くなり自然と1日のリズムが後ろにずれ、夜型のリズムとなっていきます。
夜遅くに食事を摂ると翌朝早くには当然食欲はわかず、朝食を食べないといった悪循環に繋がります。
これらを避けるためにも、とくに受験生にとっての朝食の意義は非常に大きいものですので、いま一度ご家庭における朝食の在り方を振り返ってみてください。
<レシピ>
〜食欲がわかない朝にもピッタリ!ふんわり卵の鶏飯だし茶漬け〜
【材料】(2人分)
・鶏胸肉(皮なし)……1/2枚
・干し椎茸……2枚
▼▼▼ A ▼▼▼
・水……600ml
・顆粒鶏がらスープ……小さじ1
・酒……大さじ1
・しょうゆ……大さじ1
・みりん……大さじ1
・砂糖……大さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲
・卵……2個
・たくあん……適量(30g程度)
・細ねぎ……適量
・のり……少々
・ごま……少々
・ご飯……適量
・塩……小さじ1/4
【作り方】
① 干し椎茸は水で戻して、石づきをとっておく。
細ネギは小口切りにし、たくあんは食べやすい大きさに薄く切る。
② 鍋にAを入れて沸騰したら鶏胸肉、戻した椎茸を入れて蓋をして弱火で15分ほど煮込む。
③ 卵をボウルに割り入れ、塩を一つまみ(分量外)加えてよく混ぜる。
熱したフライパンに油をひき溶き卵を入れ、火が通りだしたら箸でゆっくり混ぜながら弱火にして、火が8~9割通ったら火を消す。
④ ②が15分経ったら鶏胸肉と椎茸を取り出し粗熱を取り、椎茸は千切りにし、鶏胸肉は繊維に沿って手で細くさく。
⑤ 残った②のだしスープに塩を加える。
⑥ 器にご飯を入れその上に鶏胸肉、椎茸、卵、ねぎ、たくあんを盛り付けて、のりとごまを散らす。食べる直前に、だしスープをたっぷりかけたら出来上がり。
*時間がないときは、前日や時間があるときに鶏胸肉と干し椎茸を煮込み、だしスープを作っておく(冷蔵庫で数日間は日持ちします)と、朝に盛り付けてだしスープを温めるだけでできるので便利です。
脳や体のエネルギー源となる糖質、たんぱく質をしっかり朝から補充してあげましょう。
卵は、ふんわりと半熟にすることで消化が良く食べやすくなります。
食欲がわかない朝でも、鶏だしの旨みたっぷりのスープで美味しくさっと食べられ、栄養バランスも整う朝食レシピです。
ただし、お茶漬けなどにするとついついさっと飲み込みがちになるので、よく噛んで食べることを意識して下さい。
夏場はだしスープを冷やしてアレンジもできますので、朝食だけでなく昼食や補食、夜食などにもぜひ一度作ってみて下さい。