筋肉の材料として広く知られ、肉や魚、卵、大豆製品、野菜などにも含まれているタンパク質ですが、普段の食事から果たして十分な量は摂取できているのでしょうか?
というのも、私たちの体はほぼ全てがタンパク質でできており、日々体はタンパク質を材料として新しいものへと作り変えられています。
受験勉強などで、頭で考え情報を処理する際に必要な神経伝達物質もタンパク質(アミノ酸)が材料となってできています。
また、年齢や生活習慣(食事、運動、勉強 など)、生活環境(ストレス、病気 など)により、必要とするタンパク質の需要量は大きく変わってきます。
特に、成長期ではタンパク質の需要量は増大し、受験生の場合ここに毎日の受験勉強が加わりさらに必要量は多くなります。
毎日、家族と同じ量の食事をしていたのではまかないきれないかもしれません。
しかし、多くの量が必要であるからといって大量のタンパク質を摂れば良いかというと、そういうわけにもいきません。
タンパク質を多く摂ることを勧めると、お腹の調子が悪くなる(お腹がはる、胸やけ など)人も多くいます。
これは、摂取したタンパク質を十分に消化・吸収できないために起こる不調です。
また、多くのタンパク質を摂取してもそれを体内で使うためのビタミン・ミネラルが不足していては意味がありません。
そこで、今回はタンパク質の重要な働きと共に、食べる際のポイントや工夫についてご紹介したいと思います。
<タンパク質の重要な働き>
◎体の材料となるタンパク質
タンパク質は筋肉の材料となるだけでなく、脳、皮膚、毛、骨、血など体のありとあらゆるものの材料となっています。
また、タンパク質はアミノ酸からできており、このアミノ酸はホルモンや酵素、抗体(免疫細胞)などの材料となり、私たちの生命活動を作り上げています。
◎エネルギーとなるタンパク質
タンパク質は、生きていくためのエネルギーにもなります。
体内では炭水化物が優先的にエネルギー源として使われますが、炭水化物が不足してくると次に脂質や筋肉中のタンパク質がエネルギー源として使われます。
◎心の材料となるタンパク質
タンパク質を構成しているアミノ酸は、心の状態を作る脳内ホルモンの材料となります。
例えばタンパク質が不足すると、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンがうまく生成できなかったり、元気ややる気などを司るドーパミンが不足したりするなど、ホルモンバランスが崩れることで心に支障をきたす可能性もあります。
◎勉強の質を上げるタンパク質
頭で考え、情報を処理する際には、脳内の無数の神経ネットワーク間を神経伝達物質が駆け巡っています。
この神経伝達物質もタンパク質を材料として作られます。
例えば、タンパク質不足により神経伝達物質の一つであるセロトニンが十分に作られなくなると、睡眠ホルモンであるメラトニンが作り出せなくなり、睡眠不足や不眠など睡眠の質が落ちてしまい、勉強では集中力の低下などにも繋がります。
また、神経伝達物質であるドーパミンが作り出せなくなると、集中力ややる気、判断力などの低下を招きやすくなります。
こういった意味でもタンパク質は、まさに受験合格の鍵を握っている、最も重要な栄養素とも言えます。
<タンパク質を摂る際の工夫>
・調理
効率的なタンパク質摂取を考える際には、より消化・吸収しやすい形に調理する必要があります。
例えば魚の場合、同じ魚でも生の刺身が最も消化しやすく、次いで煮魚、酒蒸し、干した魚などが消化に優しい調理法となります。
逆に、焼き魚や揚げ魚は消化が悪くなります。
これは、タンパク質は加熱温度や時間が長くなるほど固まりやすくなり、かえって消化に負担がかかるためです。
また、レモン汁や酢などの酸と一緒に摂取することで、胃でのタンパク質の消化が促進されます。
・適度な胃酸の分泌
タンパク質は、胃で胃酸により消化されます。
そのため、胃酸が十分に分泌されていることがタンパク質の効率的な吸収に繋がります。
しかし、暴飲暴食や長時間の空腹状態、早食い、ストレス、刺激物(カフェイン、お酒、香辛料 など)の摂りすぎなどにより、胃酸が過剰に分泌されると、胃の粘膜が荒らされ、胃もたれ、胃痛など胃の不調を招いてしまいます。
こうなると、タンパク質だけでなくその他の栄養素も十分に消化できません。
そのため、適度な運動や規則正しい生活、腹8分目の食事などには日頃から気をつけておきましょう。
胃の調子が悪い時は、タンパク質を分解した形のアミノ酸(食品やサプリメント)での摂取も有効な場合があります。
・腸内環境を整える
消化されたタンパク質は、小腸で吸収されます。
そのため、腸内環境が良くなければその吸収能力も低下し、沢山の量を食べても十分に吸収されません。
・一緒に摂りたい栄養素
ビタミンB6
タンパク質が体内で利用される際にはビタミンB6が必要です。
ビタミンB6は酵素を活性化する補酵素として、多くのアミノ酸の代謝を助けています。
しかし、ビタミンB6を効率的に働かせるためには、B6だけでなくビタミンB群(B1、B2、ナイアシン、B12、パントテン酸、葉酸など)全体での摂取が理想的です。
<レシピ>
〜たっぷりニンニクと豚肉煮込みのクレープ巻き〜
【材料】(4人分)
・豚肩ロース(ブロック)……350~400g
・竹の子(水煮)……50g
・ニンニク……3片(30g)
・しょうが……1片(15g)
・ごま油……大さじ1
・五香粉……小さじ1/2
▼▼▼ A ▼▼▼
・水……250g
・砂糖……大さじ2
・酒……大さじ1
・酢……大さじ1
・オイスターソース……大さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲
・しょうゆ……大さじ1.5
・春巻きの皮……適量
・きゅうり……適量
・白ネギ……適量
【作り方】
① 豚肩ロースは1cm角に切り、竹の子は5mm角に切る。ニンニク、しょうがはみじん切りにする。
② フライパンにごま油、ニンニク、しょうが、五香粉を入れ、火をつけ香りが立ってきたら、豚肩ロース、竹の子を入れて中火で炒める。
③ 豚肉の色が変わったら、Aを入れて中火〜弱火で蓋をせずに20〜25分煮る。
*煮汁が少なくなり、トロッとしてくるまで火加減を調整しながら煮詰める。
④ そこに、しょうゆを加えてさらに5分ほど煮る。
⑤ きゅうりと、白ネギを千切りにする。白ネギはサッと水にさらした後、しっかりと水気をきっておく。
⑥ 食べる直前に春巻きの皮を2~4等分に切り、きゅうり、白ネギ、④の煮込んだ具材をのせて巻いたら出来上がり。
*多くの春巻きの皮は、製造過程で加熱してあるため生のままで食べても問題はありません。
タンパク質やビタミンBが豊富な豚肉に、ビタミンB6を含むニンニクをたっぷりと合わせ、五香粉や酢を使って食欲そそる煮込みにしました。
五香粉は中国の代表的な複合スパイスで、シナモンや、八角、クローブなどの5種類のスパイスをミックスさせたものです。
甘くスパイシーな香りは、食欲を刺激してくれます。
きゅうりや、長ネギの他にもお好きな野菜を包んでアレンジも楽しめますし、春巻きの皮を使って手軽なクレープ巻きにすることで、食卓も楽しくなると思いますのでぜひ一度作ってみてください。
<アレンジレシピ>
〜魯肉飯(ルーローハン)〜
【材料】
・ニンニクと豚肉の煮込み……適量
・ご飯……適量
・ゆで卵……1/2個
・青菜……適量
・お好みの副菜……適量
【作り方】
① 青菜はサッと塩茹でし、水気をきる。
② 器にご飯を盛り、その上に豚肉の煮込みをかけて、ゆで卵、青菜、副菜を添えたら出来上がり。
ニンニクと豚肉の煮込みはご飯の上にかけるだけで、人気台湾料理の魯肉飯になります。
ゆで卵や青菜、副菜を添えることで、見た目も美しく、さらに栄養バランスが整いますし、作り置きしておけば、時間のないときにもとても便利です。
五香粉が苦手な方や小さな子供はスパイスを抜いても良いです。
子供から大人まで家族みんなで美味しく召し上がっていただけるレシピです。