受験生の食事 合格の鍵を握る栄養素③〜鉄〜

  • 2022.04.21
  • 受験レシピ

これまで、受験勉強においてより良いパフォーマンスをするために重要な栄養素として、タンパク質やビタミンB群についてご紹介してきました。

この2つの栄養素の働きは、比較的よく知られているものも多かったと思います。
しかし、今回ご紹介する鉄の働きについては、「貧血予防」としてくらいにしか知られておらず、女性や高齢者で不足しやすく自分には関係ないと思う方もいるかもしれません。

しかし、鉄は血を作る以外にも体内で非常に多くの重要な働きを担っています。
その上、貧血ではないと言われていても、男性であっても、月経のない子供であっても、実は不足していることが多い栄養素なのです。

そして、受験生においても欠かせない重要な栄養素の一つです。

今回は、そんな沢山の働きを担う鉄についてご紹介します。




 

◎鉄の働きと重要性

鉄の多くは血の材料として体内で利用されますが、それ以外にもコラーゲンの材料となりしなやか血管や丈夫な腱を維持したり、過剰になると細胞を傷つける「活性酸素」を除去する酵素の材料となったりして私たちの体を守っています。

そして、鉄は脳の神経伝達物質の材料ともなり、受験生の勉強のパフォーマンスにも影響を与えます。

例えば、やる気や集中力を司る神経伝達物質のドーパミンや、心の安定・睡眠の質を上げるセロトニンなどの材料には鉄が必要となるため、学童期における鉄欠乏は学習能力や注意力、集中力の低下のリスクとなります。

特に、成長期にある子供達は骨格筋の発達に伴い鉄の需要も増すため、積極的に肉や魚、レバーなどを摂取していなければ、気が付かないうちに鉄欠乏に陥っていることもあります。


◎鉄の種類

貧血の予防だけでなく、健康な体や心をつくるために欠かせない鉄ですが、普段の食事から十分な量を摂取できているでしょうか。
食物によって含まれる鉄の種類には違いがあり、その違いは体内への吸収率にも大きく影響します。

・ヘム鉄……動物性食品(肉類(レバーや牛肉)、いわし、かつお など)
体内への吸収率=約23%と高く、他の栄養素の影響を受けない


・非ヘム鉄……植物性食品(緑黄色野菜や穀類、大豆製品、果物 など)
体内への吸収率=約5%と低く、同時に摂取する食物の栄養素 によってその吸収率に大きな影響が出る

 

◎鉄摂取のポイント

体内での吸収率が特に低い非ヘム鉄ですが、同時に摂取する栄養素によってその吸収率はさらに大きく左右されます。
 

【非ヘム鉄の吸収率を高める栄養素】

タンパク質(アミノ酸)
動物性タンパク質(肉・魚・乳製品)と一緒に摂取する事で、非ヘム鉄の吸収率が高まる。

ビタミンCやクエン酸
ビタミンCの還元作用により、非ヘム鉄は吸収されやすい形へ変化する。(Fe3+→Fe2+)
*また、酢や梅干し、柑橘類などによって胃酸分泌を上げることでも、鉄の吸収率は上がります。
(胃酸によっても、非ヘム鉄は体内で吸収できる状態になる。)
 

【非ヘム鉄の吸収率を下げる栄養素】

シュウ酸(ほうれん草)、フィチン酸(穀物の外皮に含まれる)
シュウ酸やフィチン酸などは体内で鉄と結びつき、消化吸収されにくい形となる。

食物繊維(不溶性食物繊維)、タンニン(コーヒー、紅茶などに含まれる)
大量の食物繊維などは非ヘム鉄の吸収を妨げる。
 

また、非ヘム鉄は亜鉛や銅などの他のミネラルと同じ経路によって体内で吸収されるため、互いに競合関係にあります。
そのため非ヘム鉄の大量摂取によって他のミネラルの吸収が低下してしまうおそれもあります。

このことからも、鉄の摂取はヘム鉄を基本として、適度に非ヘム鉄をたんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することが重要になってきます。

 

<レシピ> 
 

〜ネギ塩レモンのレバカツ〜



【材料】(3人分)

・鶏レバー……300g
・青のり……小さじ1
・粉チーズ……大さじ1
・パン粉……適量
・卵……適量
・小麦粉……適量
・白ネギ……1/2本
▼▼▼ A ▼▼▼
・レモン……1/4個
(もしくは、レモン汁……小さじ1)
・塩……小さじ1/4
・酢……小さじ1
・砂糖……小さじ1
・オリーブオイル……大さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

① レバーは食べやすい大きさに切り、氷水の中で血の塊などを綺麗に洗う。
(水が濁ってきたら変える作業を、3回ほど繰り返す。)
*丸いハツ(心臓)が付いて入れば、半分に切って中の血などをよく洗っておきます。

② レバーの水気をキッチンペーパーで綺麗に拭き取り、両面に包丁で5mm間隔の切り込みをいれる。
(レバーを揚げた際に爆発や油はねを抑えます。)

③ パン粉と青のり、粉チーズを混ぜ合わせる。

④ レバーに小麦粉、卵、パン粉(青のり・粉チーズ入り)の順に衣をつけたら、160~170℃ほどに熱した油で揚げる。
(片面1分30秒〜3分程度ずつ)
*この時、あまり高温であげると爆発や油はねしやすくなります。

⑤ 長ネギをみじん切りにしてAの調味料とよく混ぜ合わせる。

⑥ お皿にレバカツを盛り付け、その上からネギ塩レモンだれをかけたら出来上がり。  
 


鉄分たっぷりのレバーは揚げる際に両面に切り込みをいれることで、爆発を防げます。
また、衣に青のりと粉チーズを混ぜることで香ばしくなり、お子様にも食べやすくなります。

そして、ネギとレモンが効いたタレをかけることで、レバーの臭みも気にならずさっぱり美味しくなりますので、ぜひ一度作ってみて下さい。

 

〜春キャベツと牛肉のホットサラダ〜



【材料】(4人分)

・牛肉(薄切り)……150g
・春キャベツ……1/6〜1/4玉
・じゃがいも……小1個
・玉ねぎ……1/4個
・卵……2個
・にんにく……3片(30g)
▼▼▼ A ▼▼▼
・ツナ缶……1個(70g)
・マヨネーズ……大さじ2
・レモン汁……小さじ2
・牛乳……大さじ2
・塩……3つまみ
・こしょう……適量
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

① キャベツは洗って、食べやすい大きさに手でちぎる。玉ねぎはスライスして水にさらし、水気をしっかりきっておく。
卵は沸騰したお湯に入れ8分ほど茹でて殻をむき、8等分に切っておく。

② じゃがいもは皮が付いたまま水から茹でて、くしがすっと通るまで柔らかくなったら、お湯をきって皮をむき、食べやすい大きさに切る。

③ にんにくは皮をむいて半分に切り芽を除いたら、小鍋に入れてかぶる程度の水を加えて火にかけ沸騰したら、15分程そのまま茹でる。

④ ボウルに茹でたにんにくを入れてスプーンの裏などで潰し、そこにAを入れてよく混ぜ合わせる。

⑤ 鍋にお湯を沸かし、キャベツをさっと茹でて水気をきる。
(春キャベツは柔らかいので、さっと茹でる程度にする。)
*この時、キッチンペーパーなどでしっかり水気をきっておかないとサラダが水っぽくなります。

⑥ もう一度、鍋にお湯を沸かしたら牛肉を色が変わるまでさっと湯通しして水気をきる。

⑦ キャベツと牛肉が温かいうちに、卵、じゃがいも、玉ねぎと一緒に器に盛り付け、その上から④を回しかけたら出来上がり。
 


鉄分とタンパク質が豊富な牛肉と、旬の新キャベツや新じゃがいも、新玉ねぎを使った食べ応えのあるサラダです。
ツナとニンニクのソースは温かい野菜とお肉によく合い、お子様でも安心して食べられる優しい味付けです。

いろんな旬の野菜と合わせてアレンジもできますし、野菜に含まれている非ヘム鉄も牛肉(タンパク質)とレモン汁(ビタミンC)やじゃがいも(熱に強いビタミンC)などと一緒に摂取することで、体内での吸収率が上がります。

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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