受験生の食事 合格の鍵を握る栄養素④〜脂質〜

  • 2022.05.20
  • 受験レシピ

私たちが考え学習する機能の中枢である脳は、どのような物質によって出来ているか知っていますか?

脳を構成する成分は、脂質約60%、タンパク質約40%といわれています。

脳の多くを占める脂質の内50%はコレステロール、25%はリン脂質、残りの25%はDHA(魚油などに含まれる、n-3系脂肪酸)によって構成されており、他の臓器と比較しても非常に多くの脂質を含んでいます。


このことは言い換えれば、脳はコレステロールやDHAの不足に非常に弱く、脂質の摂取不足は脳やその機能に大きく影響を及ぼすとも言えます。


そこで今回は、学習機能の中枢である脳を構成する主成分であり、その機能をも左右する脂質について詳しくご紹介します。






◎脂質とは

脂質は、糖質、タンパク質と共に三大栄養素の一つであり、体内では生きていくための主要なエネルギー源ともなります。

また、細胞膜やホルモン、生理活性物質、脂溶性ビタミンなどの原料にもなり、不足するとホルモン異常や免疫低下、うつ病などのリスクが高まります。
栄養素の中でも脂質は体を構成し機能させる上で、非常に多くの役割を担っているのです。



◎脂質は悪者?

脂質と聞くと「太る」、「健康に良くない」、「病気の原因」など悪いイメージを持つ人も多くいると思います。

しかし、脂質は私たちの体の細胞を構成し、機能させるための酵素やホルモンなどの材料になる非常に重要な栄養素です。
脂質そのものが肥満や、病気に直結するのではなく、偏った食事や過剰摂取、運動不足、乱れた生活習慣(飲酒・喫煙・ストレス・不眠)などにより体内で脂質の代謝異常が引き起こされることの方が問題なのです。

反対に、脂質が不足すると発育不良、身体機能の低下、うつ病などの恐ろしいリスクを高めてしまいかねません。



◎脳を構成する脂質の働きと重要性

◆コレステロール

コレステロールは心疾患のリスクを高める有害なものと思われがちで、コレステロールの摂りすぎは良くないから「卵は1日1個まで」といった話を一昔前まではよく聞きました。

しかし実際には、コレステロールは細胞膜、神経組織、ホルモン、胆汁酸などの原料となる、体にとって非常に重要な栄養素です。

また、必要なコレステロール量は体内で調整されているため(体内合成もされる)、コレステロールを多く含む食物を食べたからといって血液中のコレステロール濃度は上がりません。

脳においては、脳の神経細胞の神経繊維をコレステロールが覆い、神経伝達物質(情報)を素早く正確に伝達することを可能にしています。
この神経伝達物質のやりとりが、脳の神経細胞間で円滑であればあるほど脳がよく働き、外部からの情報を適切に処理し、対応できる、つまり勉強が効率よくはかどることにも繋がります。


◆DHA(ドコサヘキサエン酸)

体内で脂質(脂肪)は分解され脂肪酸という形となり蓄えられています。
そのうち、人の体内ではほとんど作ることのできない脂肪酸を必須脂肪酸と呼び、その一つが魚などに多く含まれているDHAです。

このDHAは、脳や神経組織の発育・機能維持に必要な栄養素であり、特に神経や記憶に関わる海馬に多く含まれています。

そのため、DHAは脳内の情報伝達や記憶の保持に大きく関わります。
また、魚油の中にDHAと一緒に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)には血液をサラサラにする作用があるため、脳の細い血管にもくまなく血液がいき渡りやすくなります。

それにより、栄養や酸素が脳細胞のすみずみまで運ばれ、脳の活性化が期待できます。

しかし、これらの脂肪酸はすぐに酸化されてしまう欠点があるため、抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンC、β-カロテンを含む食物と一緒に摂取するのが効果的です。

DHAを多く含む食物……さば、ぶり、まぐろの脂身、さんま、いわし、うなぎ など



◎気をつけたい悪い脂質

脳は大量の脂質によって構成されているため、摂取した脂質の良し悪しによってもその機能は左右されます。

私たちが摂取する脂質の多くは、肉やバター、魚油などの動物性の脂質や、紅花油やごま油といった食物性の脂質であり、これらは摂取するバランスや量に気をつける必要はあるものの、それら自体は悪いものではありません。

しかし、脂質の中には摂取すること自体が体にとって有害なものもあります。
それは、トランス脂肪酸や酸化油脂、生成過程で化学溶剤によって抽出・漂白された油脂などです。

これらは、総じて血管疾患やアレルギー、認知症などのリスクに繋がるため、摂取は控えましょう。

・トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニングや、それらを使った食品など)
……トランス脂肪酸は人工的に水素が添加され加工された油脂で、過剰摂取により心筋梗塞や冠動脈疾患リスクが上がり、肥満やアレルギーとの関連も指摘されています。

・酸化した油脂(調理して時間が経った油や、料理)
……油脂は酸化すると毒性を持った過酸化脂質へと変化し、それらを大量に摂取することで消化器官の不調を引き起こしたり、一部は体内に蓄積され、細胞機能に異常を起こしたりして、動脈硬化や認知症のリスクとなることもあります。

・生成過程で化学溶剤などが使われた油脂(サラダ油、キャノーラ油)


<レシピ>

 

〜鯛と蒸しなすのゴマだれ和え〜



【材料】(2〜3人分)

・鯛のお刺身……100g
・なすび……1本
・きゅうり……1/2本
・大葉……5枚
(・お好みでみょうが……1本)
▼▼▼ A ▼▼▼
・練りごま……大さじ1
・砂糖……大さじ1
・しょうゆ……大さじ1
・酢……大さじ1/2
・すりごま(白)……大さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

① なすびは縦半分に切って2~3分水に浸けた後、1つずつラップで包んで600Wの電子レンジで5分加熱し、粗熱がとれるまでそのまま余熱で蒸らす。
粗熱がとれたら食べやすい長さに切って、くし切りにし、冷蔵庫で冷やしておく。

② 大葉、みょうがは千切りにする。きゅうりは千切りにし、塩ひとつまみ(分量外)をまぶして1~2分置き、キッチンペーパーなどで水気をよく絞っておく。

③ 鯛は短冊状に細めに切りそろえる。

④ ボウルにAを合わせそこに鯛、なすび、大葉、きゅうりを入れてよく混ぜ合わせる。
器に盛って、上にみょうが(お好みで)を添えたら出来上がり。
 


春に旬を迎える真鯛は、DHAやEPAといった良質の脂質がたっぷり含まれており、お刺身など生で食べる事で、これらの脂が調理によって流出するのを抑えられます。
DHAなどは酸化しやすいため、抗酸化作用のある大葉やみょうがなどの薬味を合わせるのもポイントです。

また、ごまにもゴマグリナンという抗酸化作用を持つポリフェノール類が豊富に含まれています。

ごまは、そのままでは外皮が硬く体内で消化・吸収できずにそのまま排泄されてしまうので、すりごまや練りごまとして料理に使うのがオススメです。
(ただし、ごまは酸化しやすいため食べる直前などにするのが良いです。)

 

〜サーモンとアボカドの味噌グラタン〜



【材料】(2~3人分)

・サーモン……100g
・アボカド……1/2個
・長ネギ……10cm
・味噌……小さじ1
・みりん……小さじ2
・溶けるチーズ……15~20g
(シートタイプなら1枚)

<ホワイトソース>
・バター(あれば無塩)……10g
・小麦粉……10g
・牛乳……100ml


【作り方】

(ホワイトソース作り)

① 大きめの耐熱ボウル(または耐熱容器)にバターを入れて、ラップをせずに600Wの電子レンジで30秒〜1分加熱する。(バターが溶ける程度)

② そこに、小麦粉を加えてなめらかになるまでよく混ぜる。

③ 牛乳を3回ほどに分けて加えその都度よく混ぜ合わせる。
(極力ダマが残らないように泡立て器を使用して、全体が均一になるように混ぜる)

④ ラップをかけて600Wで1分30秒加熱して、さらによく混ぜ合わせる。
(この時もできるだけ、ダマがなくなるように混ぜる。)

⑤ この工程をもう一度繰り返す。最後に塩を1つまみ(分量外)入れて混ぜる。
(グラタン仕上げ)*オーブンを180度に予熱する。

⑥ サーモンは1cm角に切る。アボカドは種を除いて皮をむき、1cm角に切る。長ネギはみじん切りにする。

⑦ ボウルに味噌とみりんを混ぜ合わせ、そこにサーモン、アボカド、長ネギを入れてさらによく混ぜる。

⑧ グラタン皿にバター(分量外)を塗り、⑦の具材を入れ、その上にホワイトソースをのせて、チーズをかけたら、180度のオーブンで25分ほど焼いて出来上がり。
 


アボカドは抗酸化作用のあるビタミンEを豊富に含んでおり、サーモンのDHAやEPAといった油脂の酸化を防いでくれるだけでなく、魚や味噌との相性もぴったりです。
サーモンとアボカドにも味付けをする事で、おかずとしても美味しく食べられるグラタンですので是非一度作ってみて下さい。

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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