受験生の食事、何を・どう食べたら良いの?② ~強い心と体を作る食事のポイント~

  • 2023.05.24
  • 受験レシピ

新学期や入学、引っ越し、職場異動など春は何かと環境の変化が大きな時期ですが、5月に入り新しい環境にも慣れてきた頃ではないでしょうか。

緊張や不安などで張り詰めていた気持ちが緩むと同時に、心身共にこれまでの疲れが出てくる頃でもあります。

受験に向けての良いスタートをきり走り続けていく上でも、この時期の心と体のコンディション管理は非常に重要であり、それに欠かせないのが食事です。

自分に必要なものをしっかり食べることで体と心は養われます。
そこで今回は、ストレスの多い時期に摂取したい栄養素や食物のポイントをご紹介します。
 



 

◎抗ストレス栄養素

春は生活環境の変化だけでなく、気温の寒暖差や花粉、紫外線など外的なストレスも多く、これらのストレスによって私たちの体はこの時期知らず知らずのうちに酸化して(錆びていって)います。

これにより、体内ではストレスに対抗するためのホルモンを生産する臓器の働きが疲弊したり、免疫力が低下したりするなどさまざまな不調が出てきます。

そこで、この時期は特に食べ物からストレスに対抗する栄養素をしっかりと摂取することが重要です。


・ビタミンC……ストレスがかかると体内ではそれらに対抗するためのホルモンが作られ、その際に大量に必要になってくるのがビタミンCです。ビタミンCが不足すると体調を崩しやすい、疲れやすい、歯茎の出血やアザができやすいといった症状がみられます。
ビタミンCは、加熱で壊れやすく、水に溶け出しやすい性質を持っているため、生食で摂取したり、汁ごと摂取したりするのがおすすめです。


・ビタミンB群……ビタミンC同様、ストレスがかかることで体内で大量に消費される栄養素です。
また、ビタミンB群は、タンパク質・糖質・脂質といった3大栄養素を体内でエネルギーに変える際にも、大量に必要になってくるため、不足すると疲れやすい、だるいといった状態にも陥りやすくなります。

・ビタミンE……抗酸化作用の強い栄養素の一つでありアボカドやナッツ類、卵などに多く含まれています。
油と一緒に摂取することで体内での吸収率が上がるため炒めたり、ドレッシングをかけたりして摂取するのがおすすめです。



<レシピ>

〜アボカドディップのタンドリーポーク〜



【材料】(2人分)

<アボカドディップ>
・アボカド……1/2個
・ヨーグルト……小さじ3
(クリームチーズやカッテージチーズでも可)
・玉ねぎ……1/8個
・レモン汁……小さじ1
・しょうゆ……小さじ1
・はちみつ……小さじ1
・塩……2つまみ

<タンドリーポーク>
・豚こま肉……200g
▼▼▼ A ▼▼▼
・カレー粉……大さじ2/5
・プレーンヨーグルト……大さじ1
・ケチャップ……大さじ1
・中濃ソース……大さじ1
・オリーブオイル……大さじ1
・おろしニンニク・しょうが……各小さじ1/2
・塩……2つまみ
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

  • <タンドリーポーク>
  • Aの調味料と豚こま肉をよく混ぜ合わせて、冷蔵庫で1時間以上置く。
  • ② フライパンでしっかり火が通るまで焼く。
  • <アボカドディップ>
  • ① 玉ねぎはみじん切りにし、耐熱容器に入れラップをして600Wの電子レンジで30秒加熱する。
    アボカドは皮と種を除いておく。
  • ② 玉ねぎの粗熱がとれたら、ボウルに全ての材料を入れて、アボカドはフォークなどで潰しながら、滑らかになるまでよく混ぜ合わせる。
  • ③ 器にタンドリーポークを盛りつけ、その上にアボカドディップをかけたら出来上がり。
 



ビタミンB群が豊富な豚肉に、ビタミンE(アボカド)やビタミンC(レモン)豊富なディップを合わせました。カレー粉やソースを合わせて食欲をそそる味付けにしたタンドリーポークはお弁当のおかずにもおすすめです。

また、お家で食べる際はアボカドディップをつけることで酸味や甘味が増しサッパリと食べやすくなるだけでなく、ストレス時に不足しやすい栄養素もしっかり摂れます。
美味しく食べてストレスや酸化に負けない体作りを目指しましょう!




◎心を作るタンパク質と鉄

喜怒哀楽などさまざまな感情を司っている「心」は、体内のホルモンや神経伝達物質により形成されています。

ストレスなどの大きな負荷がかかると、これに対抗しようと同じく体ではさまざまな抗ストレスホルモンなどが生成されますが、ストレス状態が長く続くとホルモンを作る臓器は疲弊し十分に生成できなくなり、バランスが崩れ心身に不調をきたしてきます。

これに拍車をかけるのが栄養不足です。
心を作るホルモンはアミノ酸(タンパク質)を主材料として鉄やビタミンB群などにより作られるため、これらの材料が不足していると心の状態も悪くなります。


◆タンパク質を多く含む食材……肉・魚・卵・大豆製品 など

◆鉄を多く含む食材……レバー・牛肉・かつお・まぐろ・納豆・小松菜 など

タンパク質はホルモンだけでなく、それらを生成する臓器の材料ともなるため、しっかり摂取し強く元気な体を維持することが重要です。

 

◎心と体の強さの鍵を握る腸内環境

腸は「第二の脳」とも呼ばれ、人の意志や脳からの指示とは関係なく働いており、一部のホルモン(幸せホルモンであるセロトニン)やビタミンB群なども腸内で生成されます。

また、脳と腸は互いにつながり影響し合っているため、緊張や不安など脳で感じとったストレスにより腸内環境が変化し、下痢や腹痛といった症状として現れることもあります。

反対に、腸内環境が悪くなることで脳の疲労やうつ状態を招きやすくなるほか、肌荒れなどのさまざまな不調としても現れてきます。

そのため、ストレスの多い時期にはいつも以上に腸内環境を整えることを意識することが重要です。
腸内環境を整えるには、善玉菌を増やし、悪玉菌が繁殖できない環境を食物によって作ることがポイントです。
 

<腸内環境を整える食事>

○善玉菌のエサとなる食物繊維グルタミンの摂取

不溶性食物繊維=穀類・豆・野菜などに多く含まれます。
⇨便秘の予防・改善、大腸ガンの予防、食べ過ぎの予防 など

水溶性食物繊維=野菜、果物、海藻、こんにゃくなどに多く含まれます。
⇨腸内環境の改善、血糖値上昇抑制、高血圧予防 など

グルタミン=大豆、肉、魚、卵
⇨善玉菌のエサとなり、悪玉菌の増殖予防


タンパク質の摂取

タンパク質を構成するアミノ酸の一種である「グルタミン」は、腸が機能するためのエネルギー源にもなります。そのため、タンパク質が不足すると腸での栄養吸収や水分調節に支障をきたすことにも繋がりかねません。

このようにして、腸内環境を整えることは免疫力を高め、強い体づくりに繋がるばかりか、思考やメンタルにもさまざまな影響を与えます。

そのため、受験シーズンをベストコンディションで過ごすためにも、腸内環境を整えることは非常に重要になってきます。




<レシピ> 

〜三つ葉と切り干し大根のバンバンジー〜



【材料】(4人分)

・切干大根(乾)……20g
・三つ葉……20g
・わかめ(乾)……4g
・ささみ……2本(約120g)
▼▼▼ A ▼▼▼
・すりごま……大さじ2
・ごま油……大さじ1
・しょうゆ……大さじ1
・酢……大さじ1
・砂糖……大さじ1
・テンメンジャン……大さじ1
・おろしニンニク……少々
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

  • ① 沸騰したお湯にささみを入れて、火を消し15分ほどおいて余熱で火を通し、粗熱が取れたら食べやすい大きさに手でさく。
  • ② 切干大根は2回程よく洗って、水に10分浸してよく水気を絞っておく。わかめも、水で戻して水気をきる。
    三つ葉は洗って、食べやすい大きさに切る。
  • ③ ボウルにささみ、切干大根、わかめ、三つ葉とAを入れてよく混ぜ合わせたら、出来上がり。
 



腸内環境を整える上で重要な、善玉菌のエサとなる食物繊維が豊富な切干大根やわかめと、春らしく爽やかなアクセントとなる三つ葉、アミノ酸豊富なささみを使い、しっかりとしたおかずになる副菜を作りました。
食べやすい味付けで、切り干し大根が苦手なお子さんにもおすすめです。

 

 

管理栄養士
浅田ゆうき先生

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