受験が終わったこの時期、子供たちの大きく成長した姿を頼もしく思われている方も多いと思います。
このような成長はまさに長い受験勉強の中で培われてきたものだと思います。
受験において目標を持ち続け、長い間努力を重ねていく過程の中で、自分の弱点などに目を向け厳しい意見を聞く機会もあります。
学力はあるのに意欲に欠ける、分からないことに対する探究心が低い、成績が上がると油断してしまうなど、勉強そのものよりも一人一人の人格や性格が問われることもあるのではないでしょうか。
それらの土台になっているのは、環境や周囲の人々との関わり方の影響が大きいのですが、それらと同じくらい影響をもたらしているのが毎日の食事です。
少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、食べたものによって心も体も、思考も、性格も作られていくのです。
日々の食事から摂取する栄養素は過剰になっても、不足しても病気や不調を招く原因となり、その積み重ねが反映されて性格などとして見えるように、目に見えない部分や気がつかないことも実はその多くが食べたものによって作られているのです。
そこで、現在の日本の食事環境において知らず知らずのうちに過剰になりやすい栄養素、不足しがちな栄養素とその影響を知ってもらいたく、今回ははじめに過剰になりやすい栄養素についてご紹介します。
《過剰になりやすい栄養素》
◎糖質
糖質は現代の日本人にとって最も身近で、世の中に最も溢れかえっている栄養素です。
手軽に食べられるもの、安くて美味しいもの、一度食べたら無性に食べたくなるものまで少し考えるだけでたくさん出てきますが、その多くが糖質中心の食品ではないでしょうか。
(例:おにぎり、パン、うどん、ラーメン、丼、スイーツ、スナック菓子 など)
糖質は、体内で素早くエネルギーに変わる栄養素として脳や血糖の維持のために必要であり、勉強をする受験生にとっても重要であると言われてきました。
しかし、この糖質の過剰摂取や精製された糖質が原因となり、実に多くの不調が起こることも知っていなければなりません。
多くの栄養素のうち糖質だけが血糖値を上げる働きがあります。
そのため特に、過剰な糖質摂取や精製された砂糖などの糖質、また糖質単体のみで摂取した場合、体内の血糖値は急激に上がります。
そして、その後上がった分だけ血糖値は急激に下がり、この時に食後低血糖状態に陥ったり、下がった血糖値を上げようとさまざまなホルモンを分泌する副腎が疲弊して不調が引き起こされてくるのです。
食後に眠くなる、集中力の低下、意欲の低下、軽い頭痛、だるい、イライラする、些細なことで怒ってしまう、気分が落ち込みやすいなど誰もが一度は経験したことのある不調が、この糖質によって引き起こされているかもしれないのです。
ここまで聞いて、明日から糖質を減らそうと思われる方もおられるかもしれませんが、ここでも注意が必要です。
普段の間食や飲み物などで甘いものを毎日摂っている場合はそれらをやめて減らす必要がありますが、食事においてはただ単にご飯などの糖質を減らせば良いという話ではなく、減らした分「不足しやすい栄養素」をきちんと増やして全体量は確保していくことが重要になってきます。
そのため、食事を見直し組み立てる際には、次回ご紹介する「不足しやすい栄養」も参考にしてみて下さい。
<レシピ>
〜手軽な補食に!肉巻き豆腐〜
【材料】(2人分)
・牛肉薄切り……150g
(もしくは豚バラ肉の薄切り)
・焼き豆腐……100g
(もしくは厚揚げ)
・塩……少々
・片栗粉……少々
▼▼▼ A ▼▼▼
・しょうゆ……大さじ1
・みりん……大さじ1
・酒……大さじ1
・砂糖……小さじ1
・おろしにんにく……小さじ1/4
・おろししょうが……小さじ1/4
▲▲▲ A ▲▲▲
・しそ、小ネギ、白ごま(お好みで)
【作り方】
- ① 焼き豆腐は一口大になるように4等分ほどにする。牛肉に軽く塩を振り、焼き豆腐全体にくるくると巻きつけ(焼き豆腐が見えなくなるように)、片栗粉を全体にまぶす。
- ② フライパンに油(分量外)をひいて熱したら、①の肉巻き豆腐を入れて全体に焼き色がつくまで焼く。
- ③ そこにAを加え、全体に絡めながら煮詰める。
- ④ 器に盛り付けて、お好みで上からしそや小ネギや白ごまをかけたら出来上がり。
おにぎりの代わりに、豆腐を用いて手軽な補食になる肉巻き豆腐にしました。
不足しがちな栄養素の代表であるタンパク質もしっかり補え、食べ応えのある一品ですので、夜食や塾の合間の補食、お弁当のおかずなどにもおすすめです。
◎n-6系脂肪酸
私たちを取り巻く食環境の中で、糖質に次いで溢れているのがn-6系の脂肪酸と言われる油です。
これらは植物油(サラダ油・米油・ごま油・紅花油 など)のほか、揚げ物や洋菓子、スナック菓子、菓子パン、インスタント食品、カレーなど外食や中食、加工品において身近で摂取頻度の高い食品に多く含まれており、一般的な現代の日本人の食生活では過剰摂取の傾向が強い栄養素です。
受験生においても、休日の食事や塾の合間の補食、間食などで外食やコンビニ、スーパーのお惣菜、カップラーメン、冷凍食品、洋菓子、スイーツなどばかりに偏ると過剰摂取に陥りやすくなります。
これらの脂肪酸は体内の炎症を促進する傾向があるため、過剰に摂取することで肌トラブル(ニキビや皮脂の過剰分泌、肌荒れなどの皮膚の炎症)や、動脈硬化(血管の炎症)、また魚油に含まれるn-3系脂肪酸(D H A・E P A)との摂取バランスの乱れによりアレルギー疾患やうつ病(意欲の低下、集中力の低下、気分の浮き沈みが激しいなど軽い不調も含む)などのリスクが高まるなどさまざまな不調を招きます。
言いかえると、そのような不調は体からのS O Sですので、気がついたら今一度自身の食生活を見直してみて下さい。
一方で、n-6系脂肪酸は体内で合成されないため食品から摂取しなければならない脂肪酸でもあります。
本来適量であれば悪玉コレステロールの低下や認知機能の向上などの重要な働きをするため、自宅などでの料理に使われる際の多少については必要以上に怖がる必要はありません。
<レシピ>
〜揚げずにプリッと!タラの甘酢卵あんかけ〜
【材料】(3人分)
・タラ切身……3切
・塩……少々
・片栗粉……少々
・長ネギ……1/2本
・にんにく……1片
・ごま油……少々
▼▼▼ A ▼▼▼
・しょうゆ……大さじ2
・顆粒鶏ガラスープの素……小さじ2
・酢……大さじ2
・砂糖……大さじ2
・水……大さじ2
▲▲▲ A ▲▲▲
・水溶き片栗粉……小さじ2
・卵……1個
【作り方】
- ① タラは皮を剥いで一口大に切り、塩を軽く振り、片栗粉を薄くまぶす。沸騰したお湯に入れ1分ほど(火が通るまで)茹でてザルに上げ、水気と粗熱をとる。
- ② 長ネギは斜めの薄切りにし、にんにくはみじん切りにする。ごま油をひいたフライパンに、にんにくを入れて香りがたってきたら長ネギを加えてしんなりするまで炒める。
- ③ そこにAの調味料を加えて一煮立ちさせたら、火を止めて水溶き片栗粉を入れ、再び弱火にかけてとろみが付いたら溶き卵を回し加えて、半熟になったら火を止める。
- ④ 器に①のタラを盛り付け、上から③の甘酢あんをかけたら出来上がり。
余分な油を使わずに、プリッとした食感を楽しめる魚料理です。
片栗粉でコーティングされているので冷めても、あまり固くならずに美味しく食べられます。
また、あんは旬の野菜を加えたり、カレー粉で食欲が出る風味をつけたりとアレンジもききますので、是非一度作ってみて下さい。