よく「バランスの良い食事をしましょう」という言葉を聞きますが、どういった食事がバランスの良いものなのでしょか。
その定義は年齢や性別、生活習慣などによって人それぞれに違ってきますが、昨今日本人の食生活(食環境)の傾向として過剰になりやすい栄養素と、不足気味の栄養素が顕著化するようになってきました。
これらの摂取栄養素の偏りが、私たちの体にさまざまな不調を引き起こし、これが普段の生活のパフォーマンスを左右しています。
前回の記事では、普段の食生活の中で過剰になりやすい栄養素とそれらが引き起こす不調などについてご紹介しましたが、今回はその反対となる不足しがちな栄養素について詳しくご紹介します。
<不足しがちな栄養素>
◎タンパク質
私たちの体は、筋肉も血も、骨も、髪も、爪もホルモンもほとんどがタンパク質でできています。
そして、それらは日々新しいものへと作りかえられており、その材料となるのが食事から摂取するタンパク質です。
受験生においては特に脳の働きを支える神経伝達物質や、気持ちの安定、モチベーションなどの面で働くホルモンの材料として、このタンパク質の摂取が非常に重要になってきます。
みなさん、毎食どれくらいのタンパク質食品をとっていますか?
タンパク質は摂取したものを体内で溜めておくことができないため、毎食ごとに十分な量を摂る必要がある栄養素でもあります。
(必要量目安;体重×1.0g)
食事から十分量の摂取が難しい場合はプロテインなどが便利ですが、まずは食品から取る努力をしてください。
食品にはタンパク質だけでなくその吸収と体内での利用に必要なその他の栄養素も同時に含まれていることが多く、より理想的な摂取の方法だからです。
タンパク質には植物性(大豆製品、ナッツ類、ブロッコリー など)と動物性(肉、魚、卵 など)の2種類があります。
タンパク質を構成しているアミノ酸の種類や量のバランスが優れているのは動物性ですのでこちらを中心にしつつ、食物繊維やミネラルが豊富に含まれている植物性タンパク質もバランスよく取り入れることが重要です。
◎ビタミンB群
次に不足しがちな栄養素として重要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群は、食べたものからエネルギーを作り出す際に必要となるビタミンであり、不足すると正常にエネルギーを作れなくなるため疲れやすくなったり、集中力が低下したりします。
また、ビタミンB群は脳と神経系において特に需要が高く、それらの機能維持に欠かせないビタミンです。
ビタミンB群は主に9種類ありそれぞれに重要な働きをするのですが、それぞれが働く際には他の種類のビタミンBを必要とするため、1種類のみを摂取するのではなく9種類全てをB群として摂ることが重要です。
そのため、ここでも複数の栄養素が含まれている「食品(食物)」という形で摂取することが重要であり、毎日の食事の中でさまざまな食材を摂取するメリットがここにもあります。
ビタミンBは、多くの食品に含まれているため毎日適量の食事を摂っていれば不足することはないと考えられてきました。
しかし、過度に精製された食品や加工された食品、添加物が多用された食品の増加とともに、昨今ビタミンBの含有量が減少した食事が目立つようになり、ビタミンB群の欠乏リスクも高くなってきています。
◎鉄
鉄は成長期に欠かせない栄養素であり、女性だけでなく子どもの時からの鉄不足も問題になっています。
鉄不足は目に見える症状以上に多くの不調の原因となっており、特に受験生においてもやる気、心の安定などの精神面や、疲れやすさ、だるさ、集中力、意欲の面でも大きく影響してきます。
鉄は吸収されにくい栄養素ですが、タンパク質食品に多く含まれているヘム鉄は比較的体内での吸収率が高いです。
そのため、普段の食事でタンパク質が不足するとそれに伴い鉄も不足していきます。その上、鉄は体内でタンパク質と結合して初めて血液として身体中に運ばれるため、ここでも鉄だけではなくタンパク質をはじめとするその他の栄養素が重要となってきます。
そのため、サプリメント利用時もタンパク質やビタミンCなどと一緒に摂取することが望ましいですし、何よりもレバーや赤身肉・魚などの食品から摂取することが理想的でここを増やす努力がまず必要です。
<レシピ>
〜味噌はちみつマスタードの牛肉葉野菜巻き〜
【材料】(2人分)
・牛肉(ステーキ用など厚切)……150g
・酒……大さじ1
・片栗粉……大さじ1
・ごま油……大さじ1
▼▼▼ A ▼▼▼
・味噌……大さじ1と1/2
・はちみつ……大さじ1
・粒マスタード……大さじ1/2
▲▲▲ A ▲▲▲
<添える野菜>
・フリルレタス
・白髪ネギ
・かいわれ大根
・スナップエンドウ
・大葉やごまの葉
などお好みのもの
【作り方】
- ① 牛肉は細切りにして酒を加えてよく揉み込んだ後、片栗粉を加えてさらに揉み込み、ごま油を入れてよく混ぜ合わせる。
- ② Aの調味料を混ぜ合わせておく。
- ③ フライパンにごま油(分量外)を少々ひいて熱したところに、牛肉を入れて軽く炒める。
- ④ そこにA調味料を加えて焼き目がつくまで、しっかりと炒める。
- ⑤ 器にお好みの葉野菜などを並べたら、その横に④の牛肉を添えたら出来上がり。
(野菜にお肉を巻きながら食べられるように、盛り付ける)
牛肉はタンパク質はもちろんのこと、鉄分も豊富でタンパク質の代謝に欠かせないビタミンも含まれています。
旬の野菜も生のものや茹でたものなどを牛肉と一緒に食べることで、熱に弱いビタミンや、油と一緒に吸収されるビタミン(脂溶性ビタミン)なども摂取できる上、さっぱりとたくさん食べられます。
<レシピ>
~レバーのエスニック風南蛮揚げ~
【材料】(3人分)
・鶏レバー……200g
・片栗粉……大さじ2
・カレー粉……小さじ1/2
・ニラ……6本
・人参……1/4本
・たまねぎ……1/4個
▼▼▼ A ▼▼▼
・ナンプラー……大さじ1と1/2
・しょうゆ……大さじ1/2
・レモン汁……大さじ1
・砂糖……大さじ1
・はちみつ……大さじ2/3
・にんにく(みじん切り)……1片
▲▲▲ A ▲▲▲
【作り方】
- ① 鶏レバーは白い部分と血管などを取り除いて食べやすい大きさに切り、水をはったボウルに入れて血の部分をきれいに洗う。
(水を3回ほどかえながら)洗い終わったら、フォークで何か所かに穴をあけ1時間ほど牛乳(分量外)に浸けた後、よく水洗いし水気を拭いておく。
*少し時間がかかりますが下処理をすることで、レバーの臭みを抑え食べやすくなります。 - ② ニラは5cmほどの長さに切り、人参は千切りにする。
たまねぎは薄くスライスして水にさらして辛みが抜けたら、キッチンペーパーなどで水気をよく絞る。
ニラと人参は沸騰したお湯で1分ほど茹でて水気をきる。 - ③ Aの調味料を合わせて、ニラ、人参、たまねぎを加えてよく混ぜ合わせ冷蔵庫でしばらく置く。
*ナンプラーが苦手な方は、しょうゆに置き換えてもOKです。 - ④ ①のレバーの水気をキッチンペーパーで拭いたら、片栗粉とカレー粉を合わせたものを全体にまぶして、フライパンに油をひいて揚げ焼きにする。
*この時油がはねたりするので注意してください。
*弱火でじっくり揚げ焼きにすると、油はねが抑えられます。 - ⑤ 器にレバーを盛りつけ、上から➁のたれと野菜をのせたら出来上がり。
苦手な方も多いレバーですが、栄養面ではとても優れた食材で不足しがちな鉄分やタンパク質、ビタミンも豊富に含まれています。
そんなレバーを今回は少しでも食べやすくなるように、カレー粉で揚げ焼きにし、アクセントにエスニック風の味付けにしました。
熱々ですと、さらに美味しく食べられますので是非一度作ってみてください。