私たちの体は食べた物をもととして、さまざまな生命活動を体内で繰り返し、その過程でエネルギーを作り出したり、細胞を作り変えたりしながら生きています。
このように、食事から摂った物を、人が生きていくために必要なものへと変換していく活動を「代謝」と言います。
代謝の働きの良い・悪いは言い換えれば、食べたものをどれだけ効率よく身体の中で使えるかということになります。
食事を効率よくエネルギーや、細胞の新陳代謝などに利用できると、日常生活や勉強にも良い影響がたくさんあります。
反対に代謝が落ちると、さまざまな不調へと繋がり、それは受験生における勉強のパフォーマンスにも影響してきます。
そこで今回は、この代謝を落とさないための食事について詳しくご紹介します。
◎代謝が落ちると……
代謝が落ちるとはじめは自覚症状があまりなく気が付きにくいのですが、慢性的になるにつれて疲れやすい、太りやすい、むくむ、排便リズムが乱れる、肌荒れ、女性では生理不順などの不調が出やすくなります。
受験生においては勉強中も疲れやすくなるわけなので、集中力や記憶力、やる気の低下、ひいては勉強全体の効率の低下に繋がってきます。
◎代謝が落ちやすい食習慣
生命活動を維持する上で欠かせないだけでなく、日々の体調にも影響を及ぼす代謝ですが、この働きが低下する原因とは何でしょうか?
それは、私たちの普段の生活における運動、ストレス、食事などの生活習慣の中にあります。
特に食事においては、身体の消費エネルギーに見合ったエネルギーを食事から補給ができない、または作り出せない次のような場合に起こりやすくなります。
◆欠食
朝は食べない、休みの日は1日2食、勉強疲れや睡眠優先で食事を抜いてしまうといった経験はないでしょうか?
また、ダイエット目的で食事を抜く方もおられますが、欠食が続くと、身体はエネルギー源が入ってこないためエネルギー消費を抑えようと、代謝活動も最低限に抑えられ、結果として代謝の低い体質となってしまいます。
◆空腹時間が長い
ついつい、勉強に集中するあまり食事を摂る時間が遅くなることはありませんか?
あまりにも、お腹がすいた状態で食事を摂ると血糖値の急上昇が起こりやすくなります。
すると、だるい、疲れやすい、眠たいといった不調が出やすくなるだけでなく、血糖値が上昇することで余分なものは脂肪へと蓄積されやすくなります。
◆小食
食欲がないから、お腹がすかないからあまり食べないといった経験もあると思います。
しかし、消費されるエネルギー量によって食欲も左右されます。
普段から十分な食事を摂っている場合は、身体も入ってくるエネルギー量に見合った代謝(消費)活動を行うため、自然とお腹がすいてきます。
反対に、毎回の食事量が少ないと身体はその量に見合った消費活動に抑えられ食欲もわきずらく、代謝の低い体質へと繋がりやすくなります。
◆偏食
体内で食べたものを利用する際には、実にさまざまな栄養素が必要となってきます。
例えば、食事から摂取した糖質を代謝し体や脳のエネルギーに利用する際にはビタミンB1やB2、パントテン酸、マグネシウム、鉄などが必要ですし、食べたタンパク質から新しい細胞を作るためにはビタミンB6などの存在が欠かせません。
このように、さまざま栄養素があって初めて体内での代謝経路は回るため、偏食により摂取栄養素が偏ると代謝の低下が起こりやすくなります。
◎代謝を落とさないための食事ポイント
では、食事において代謝を落とさないためにはどのようなことが重要なのでしょうか。
それらを大きく左右するのが『食事の摂り方』と、『内容』です。
◆分食
代謝が落ちやすい食習慣を防ぐためには、小まめに食事を摂る分食がおすすめです。
分食することにより、血糖値の急上昇が抑えられ、適度な栄養が常に入ってくる環境が作りやすくなります。
小食の方でも実行しやすく、反対に一度に食べ過ぎることも防ぎやすくなります。
ここで重要になってくるのが、血糖値を急激に上げない範囲での食事を小まめに摂ることです。
血糖値を急激に上げないためには、
★食べる順番を副菜・主菜(おかず)→主食(糖質)の順に食べる。
★血糖値の上がりにくいタンパク質、脂質を中心とした食材を間食に入れる。
★糖質のみを単体で食べない。
★麺類や丼ものなどは食べる順番の調整ができなかったり、糖質に偏りやすかったりするものも多く、血糖値が乱れやすくなるため量や食べる回数に気を付ける。
★一度にたくさんの糖質を摂らない。
といった工夫が必要になってきます。
◆タンパク質、ミネラル、ビタミンの補給
上記したように、体内で代謝を行う際にはさまざまな栄養素が必要となります。
とりわけ、食べたものを体や脳のエネルギーに変える際には糖質のほかに次のような栄養素が多く必要となってきます。
これら糖質以外の栄養素が、しっかりと体内にあるかどうかで代謝の働きが左右されます。
・タンパク質
私たちの体の全ての細胞はタンパク質からできており、毎日古いものから新しいものへと作り変えられる新陳代謝を行っています。この代謝を促進するには、新しい材料となるタンパク質を食事から毎食十分量摂ることが重要となります。
食事からのタンパク質が不足すると、新しい材料が入ってこないため身体は古い細胞を壊して再利用することとなり、フレッシュで元気な細胞が作られず機能も低下します。
・ミネラル
ミネラルも私たちの体が効率よく働くために欠かせない栄養素です。
中でも鉄や亜鉛などの栄養素は、エネルギー生産や細胞の新生といった代謝活動に大きく関与します。
そのため、これらのミネラルが不足すると代謝がうまく回らず、身体の働きが低下し、その結果不調としてさまざまな症状があらわれてきます。
・ビタミン
ビタミンの中でも代謝において特に重要となってくるのが、ビタミンB群です。
ビタミンB群は8種類あり全てにおいて、食べたものからエネルギーを作り出す代謝活動に必要不可欠なビタミンです。
また、ビタミンB群は多くの種類がありますが、これらは互いに作用し合うことで働く複合的なビタミンでもあるため、さまざまな食材から多くの種類を摂取することが重要です。
<レシピ>
~春キャベツのごちそうゴマサラダ~
【材料】(4人分)
・春キャベツ……1/4個
・ブロッコリー……1/2房
・卵……2個
・ささみ……2本
・蒸し大豆……50g
▼▼▼ A ▼▼▼
・すりごま……大さじ2
・酢……大さじ1
・しょうゆ……大さじ1
・砂糖……大さじ1
・ごま油……大さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲
・塩……少々
【作り方】
- ① ブロッコリーは小房に分けて塩茹でし、食べやすい大きさに切る。
春キャベツは洗って太めの千切りにして、耐熱ボウルに入れラップをして電子レンジで600W2分ほど加熱し、粗熱を取っておく。 - ② ささみは沸騰したお湯に入れ火を止めて20分ほど余熱で火を入れ、茹で上がったら食べやすい大きさに手で割く。卵は固めに茹でて、食べやすい大きさに切る。
- ③ ボウルに春キャベツ、ブロッコリー、ささみ、ゆで卵、蒸し大豆とAの調味料を加えたらよく混ぜ合わせ、味見をしながら塩で味を調えたら出来上がり。
旬の春キャベツに、卵やささみ、蒸し大豆といったさまざまなたんぱく質、ミネラル豊富なゴマを合わせて、一品で満足感のあるごちそうサラダにしました。
多くの種類の食材を摂ることが、代謝の良い体作りを目指すうえで非常に重要となってきますので、豊富な栄養素と旬を組み合わせた一品をぜひ一度作ってみてください。
~牡蠣と豚バラ肉のチンジャオロース~
【材料】(4人分)
・牡蠣……100g
・豚バラ肉(焼き肉用)……150g
・ピーマン……3個
・たけのこ(茹で)……50g
・長ネギ……1本
・小麦粉……大さじ1
▼▼▼ A ▼▼▼
・オイスターソース……大さじ2
・鶏ガラスープの素(顆粒)……大さじ1
・しょうゆ……小さじ1
・酒……小さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲
・にんにく……1片
・しょうが……1片
・ごま油……大さじ1
【作り方】
- ① 牡蠣は水気を切ってボウルに入れたっぷりの片栗粉(分量外)をまぶして優しく揉み洗う。
そこに静かに水を入れてかき混ぜ水を捨てる、水が濁らなくなるまで繰り返して、キッチンペーパーで水気を取っておく。 - ② 豚バラ肉は5㎜幅の細切りにし、牡蠣と一緒に小麦粉をまぶしておく。
ピーマン、たけのこは千切りにする。長ネギは斜め切りにし、にんにく、しょうがはみじん切りにする。 - ③ フライパンにごま油をひいてにんにく、しょうがを加え香りがたつまで熱する。
- ④ そこに長ネギ、牡蠣、豚バラを入れて強めの中火で表面にしっかり焼き色がつくように炒める。
(この時、あまりかき混ぜすぎずにじっくり焼くように炒める。) - ⑤ 全体に焼き色が付き火が通ったら、ピーマン、たけのこを加えてさらに炒める。
- ⑥ ピーマンがしんなりしてきたら、Aの調味料を加えてさらによく炒めたら出来上がり。
牡蠣には亜鉛が豊富に含まれており、エネルギー生産や体の細胞を新しく元気なものへと作り変える働きを促進してくれます。
また、これに合わせた豚肉にはタンパク質のほかにエネルギー代謝やタンパク質代謝を行う上で必要量が増す、ビタミンB群も多く含んでいます。
ビタミンB群は代謝を促進するほかに、脳や神経系の機能維持にも欠かせない受験生にとっても重要な栄養素です。
ビタミンもタンパク質もミネラルも美味しくバランスよく摂れる一品としておすすめです。