前回は、身体のコンディショニングの要である免疫をあげるための食事ポイントをご紹介しました。
しかし、受験本番に最も良いパフォーマンスを発揮するために気を付けたいのは大きな病気だけではなく、日々の些細な不調や違和感をなくすことも重要です。
緊張からの腹痛、食後の眠気、軽い頭痛、女性であれば生理痛などどうしようもないものの、病気ではないからと我慢してやりすごしてきた経験はないでしょうか。
これらは、食事の栄養素の過不足からくるものも多く、それらを理解し過不足をなくすことで改善される症状が沢山あります。
ではそれには、どのような食事が適しているのかポイントをみていきましょう。
◉タンパク質はしっかり
体のあらゆる器官や細胞、ホルモンに至るまですべてタンパク質(アミノ酸)でできており、それらは日々古い物から新しい物へと作り変えられる新陳代謝を繰り返しています。
そのため、主材料となる新しいタンパク質が常に体内に十分量なければ、古いタンパク質を再利用して器官や細胞を作り変えなくてはならず、その結果それらの機能や働きも落ちて不調へと繋がりやすくなります。
そして、タンパク質は食べ溜めが出来ない栄養素であるため、食事毎にしっかり補給しなくてはなりません。
朝食に食べたタンパク質は午前中の体調や活動に、昼食で食べたタンパク質は午後からの体調や活動にも影響を及ぼすため、毎食しっかりタンパク質は摂りましょう。
<レシピ>
~牛肉とほうれん草のくるみ和え~
【材料】(4⼈分)
- ・牛肉(薄切り)……150g
- ・ほうれん草……100g(3~4束)
- ・くるみ……30g
- ▼▼▼ A ▼▼▼
- ・しょうゆ……小さじ2
- ・砂糖……小さじ2
- ・味噌……小さじ1
- ▲▲▲ A ▲▲▲
【作り方】
- ① くるみは麺棒などで叩いて細かくし(あれば、すり鉢で細かくなるまでする)、Aの調味料を加えてよく混ぜ合わせる。
*戻し汁は捨てずにとっておく。 - ② ほうれん草と牛肉は沸騰したお湯でさっと茹で、ほうれん草は水気を絞って食べやすい長さに切る。
- ③ ボウルに牛肉、ほうれん草、①を入れてよく混ぜ合わせたら出来上がり。

鉄分とタンパク質豊富な牛肉と、鉄やビタミンC、ビタミンAに富んだほうれん草を、ミネラルや抗酸化作用たっぷりのくるみで和えました。
食べ応えがあり、冷めても美味しくお弁当のおかずにもピッタリな一品ですので、ぜひ一度作ってみて下さい。
◉糖質の摂り方
糖質はブドウ糖を含み、脳のエネルギー源として広く認識されてきました。
そのため、脳を使う受験生にとっては、エネルギー補給において重要な栄養素だと思われている方も多いと思います。
しかし一方で、糖質の血糖値を上げるという働きについては注意が必要です。
栄養素の中で糖質が唯一血糖値を上げる働きをもっており、この血糖値は糖質の摂取によって急激に上がることでその後急激に下がる特徴があり、この時に眠気や頭痛、無気力感、落ち着かない、イライラなどさまざまな不調が生じてきます。
そのため糖質の摂り方においては、糖質の量を控えおかずを多めにすることや、食べる順番を血糖値が上がりにくい「副菜→主菜→主食」の順番を心がけること、砂糖が多く含まれるお菓子やジュースは控える、おにぎりなどの糖質単体だけの食事は控えるなどの意識が重要になってきます。
◉鉄とビタミンB群
日常生活において、よく使われる栄養素であり、なおかつ現代の日本人において特に不足しがちな栄養素の代表が鉄とビタミンB群です。
◆鉄
鉄は体内の血を作る上で重要な栄養素としてよく知られていますが、そのほかにも脳の神経伝達物質の材料となりやる気や、落ち着き、幸福感などを作り出し受験生の勉強のパフォーマンスにも影響を与えます。
また、コラーゲンの材料ともなりしなやかな血管や丈夫な腱を維持したり、過剰になると細胞を傷つける「活性酸素」を除去する酵素の材料となったりして私たちの体を守っています。
成長期の子供においては、発達に伴い鉄の需要量も増えるため、毎食しっかりと肉や魚、レバーなどを摂取して鉄欠乏を予防することが重要です。
鉄を多く含む食材……レバー、牛肉、赤身魚 など
*鉄は大きく分けてヘム鉄と非ヘム鉄があり、体内での吸収率に大きな違いがあります。
食事からは吸収率の高いヘム鉄を含む、動物性食品から摂取するのがおすすめです。
◆ビタミンB群
ビタミンB群は3大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)すべての代謝に関わり、食べた物からエネルギーを作りだす際に必要となります。
そのほか、脳や神経の働きにも深く関わりさまざまな感情や気力を作り出すホルモンを生成するなど、それらの働きは多岐にわたるため多くの量が必要となります。
特に受験生においては勉強の集中力や、理解度、記憶、やる気などにも影響を与える重要な栄養素でもあります。
また、ビタミンB群はB1、B2、ナイアシンなど全部で8種類ありますが、互いがそれぞれの働きに関与するためB群として全ての種類を摂取することが重要であり、それには食事からさまざまな食材を摂取することが重要となってきます。
1種類ではなく、様々な食材からビタミンB群全体の摂取が重要
<レシピ>
~豚巻きレタスの味噌チーズ焼き~
【材料】(4人分)
- ・豚バラ肉(薄切り)……250g(約8~10枚)
- ・レタス……3~4枚
- ▼▼▼ A ▼▼▼
- ・味噌……大さじ1
- ・みりん……大さじ1
- ・にんにく(すりおろし)……1片
- ▲▲▲ A ▲▲▲
- ・溶けるチーズ……適量
【作り方】
- ① 豚バラ肉に塩・こしょう(分量外)をする。オーブンを200℃に予熱する。
- ② レタスを適当な大きさにちぎり2枚重ねてきつく巻き、豚バラ肉の上に置いて手前から巻いていく。
- ③ それを包丁で横半分に切り、耐熱皿に切った断面が上にくるように並べる。
- ④ Aを混ぜ合わせ、③の上にかけ、さらにチーズをかける。
- ⑤ 200℃のオーブンで15分焼き、器に盛りつけたら出来上がり。
*焼きあがった耐熱皿の下には、豚バラ肉の油とレタスの水分が溜まっているので、別皿に盛りつけて食べるのがおすすめです。

タンパク質とビタミンBが豊富な豚肉に、ビタミンAやビタミンB2に富んだチーズを 合わせ、冷めても美味しい一品にしました。
さまざまな種類のビタミンB群を含んでいる味噌は、チーズとの相性も良くオーブンで焼くことで香ばしく食欲をそそります。