2020年の中学入試から、今回は大阪府の女子中最難関、四天王寺中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2021年の対策、新コース等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.四天王寺中入試の特徴
2.2020年の入試データ
3.新コース制度について
4.大手塾別合格者数
5.科目別成績データ
6.2020年度入試からみる科目別の傾向と対策
7.まとめ~四天王寺中学合格への道~
1.四天王寺中入試の特徴
四天王寺中学校の入試は複数の関西圏最難関男子校と同様に、国語・算数・理科・社会の4科目、または国語・算数・理科の3科目のどちらかを選ぶことができます。
試験時間と配点は国語と算数が各60分で120点、理科と社会は各40分で80点です。4科目の合計点または算数・国語・理科の合計×1.25点、もしくは算数・国語・社会の合計×1.25点(医志コースは理科のみなので、社会3科目は含まれません)の中から高得点が得点となり合否の判定となります。3科目受験の場合は算数・国語・理科の合計×1.25点が得点となり、いずれも400点満点で判定します。
四天王寺中は最難関コースである医志コースで受験した場合、その合格点に達していなくても、英数Ⅱコースや英数Ⅰコースの合格点に達していればコースを変更して合格することができるため、とりあえず最難関の医志コースで受験する受験生が多いようです。
2.2020年の入試データ
募集人員 |
志望験者数 |
受験者数 |
合格者数 |
265名 |
770名(+59) |
757名(+62) |
576名(+24) |
※( )内は昨年比
今年の四天王寺中学校の志願者数は、募集265名に対し770人と昨年に比べ59名増え、受験者数も757人と昨年から62名も増加しています。近年の医学部人気の影響なのか、医歯薬系や理系に強いこともあり、年々人気が高くなっているようです。
英数Ⅰコースなどの医志コースの回し合格者まですべて合わせると、実質倍率は毎年1.3倍前後、今年も1.33倍でしたので例年並みでした。ただし、最難関の医志コースは、今年度で5.9倍、昨年度は6.1倍でした。
四天王寺は「医志コース」など4つのコースがあることが特徴的ですが、「医志コースでないなら入学しない」という方もいらっしゃいますし、「どのコースでもいいからとにかく四天王寺に入学したい」という方も多数いらっしゃいます。いずれにせよ、今年度の全受験者数757名のなか、医志コースの受験者数は547名なので、四天王寺において圧倒的に人気のあるコースだと言えるでしょう。
3.新コース制度について
これまで四天王寺では、「医志コース」、「英数Ⅱコース」「英数Ⅰコース」と「文化・スポーツコース」の4コースがありましたが、これは今年度までで、来年(令和3年)度から新コース制度になり、受験も以下の新しいコースで出願することになります。
◆英数Sコース(約40名)
医歯薬系以外の文系、理系の文理混合クラスに国際教養も身につけるハイレベルなコース。医志と同等レベルの最難関国公立大学、海外大学進学を目指します。
◆英数コース(約170名)
現在の英数IIと英数Iを合わせたもので、英数IIの教育スタイルに新しい教育プログラムを融合した基礎力を高めるための手厚いサポートが得られるコース。
◆医志コース(約40名)
キャリア講座や英語のカリキュラムをより充実させ、6年間を通してハイレベルな知識、学力、教養を身につけながら、国内外の最難関医歯薬系大学進学を更に確実に目指すコース。
◆文化・スポーツコース(約20名)
※このコースに変更はありません。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の四天王寺中学校合格者数は多い順に下記の通りでした。
(人)
浜学園 |
馬渕教室 |
能開センター |
日能研 |
希学園 |
144 |
128 |
125 |
74 |
38 |
進学館 |
第一ゼミナール |
SAPIX |
京進 |
|
10 |
6 |
5 |
4 |
|
四天王寺もやはり浜学園が強いのですが、馬渕教室が昨年より大きく合格者数を増やし、昨年まで浜学園の次に多く合格者を出していた能開センターを抜かし、今年は2番手に躍り出ました。
5.科目別成績データ
四天王寺中学校合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
(点)
|
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 |
72 |
76 |
4 |
算 数 |
74 |
81 |
7 |
理 科 |
54 |
56 |
2 |
社 会 |
55 |
58 |
3 |
(※国語、算数は各120点、理科、社会は各80点の400点満点)
四天王寺中も他校と同様に他の教科に比べ算数で大きな差が出ていますが、最難関の男子校や共学校に比べるとさほど大きな差ではないかもしれません。女子中学の一つの特徴でもあると言えるでしょう。
6.2020年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の四天王寺中学校入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
四天王寺の国語科入試は昨年大幅に難化しましたので、今年は易化しましたが例年並みの難易度と言えます。
問題構成は例年通りで、説明文と物語文と随筆の3題構成でした。3題合計で10,000字前後の長文読解となりますので、速読力と各設問を解き切る処理スピード力が必須です。
最難関校の中では記述解答の字数は多くない方ですが、今年は1題50字の記述がありました。ただ、記述問題はさほど難しい問題ではないので、長文ということで後回しにして時間が足りず白紙解答にすることのないようにしましょう。部分点も十分に見込めます。
漢字の書き取りは毎年出題されますが、単独問題としてではなく、長文の中から出題される形式です。ここ数年毎年出題のあった語句の意味を問う知識問題ですが、今年は出題されませんでした。
語彙力や読解力をつけるため、文学はもちろん、社会問題にも関心を持ち、日ごろから新聞記事などを意識して読むようにしましょう。また、限られた時間の中で解答できるよう、時間を計って解答するトレーニングを行うといいでしょう。
◆算数
算数の入試も昨年大きく難化し、今年は例年に比べても易しい試験でしたので、昨年に比べると大きく易化した試験となりました。昨年に比べると受験者平均も合格者平均も20点近くも上回っています。
出題単元は例年頻出単元である「速さ」「場合の数」「規則性」「平面図形」「立体図形」からの出題でした。
今年の出題内容であれば、四天王寺の医志コースを志望する受験生なら、大問7題のうち前半の1~4番までは全問、そして大問5~7はそれぞれの小問1までは確実にミスなく解ける内容だったと思われます。
来年の試験は難化すると思われますから、頻出単元の対策をしっかりとしておきましょう。また、すべての算数問題の基本である計算力は必須ですから、速く正確にできるよう毎日練習しましょう。複雑なものでも計算の工夫が自然にできるようにしておきたいところです。
「平面図形」は図形を並べ替えて面積を読み取ったり、折り返したり、対称性を利用したりといった特徴を活用できる目を養っておくようにし、「立体図形」は断面図や展開図も描けるようにしておくといいでしょう。
◆理科
2020年の理科入試はここ5年くらいの中では最も取り組みやすい易しい試験でした。受験者平均と合格者平均の差が約2点とあまり差がつく教科にはなりませんでした。
今年は例年通りの物理・化学・生物・地学の各分野からの4題構成に戻りましたが、記述問題がなくなり、計算問題が減ったことも易化した要因と思われます。難易度はさほどではないものの、問題文が長くきちんと読み解く力、読解力が必要です。算数同様に、来年度はやや難化が想像されます。
出題単元の偏りが少なく、毎年各分野のどの単元から出題されるかわからないので幅広く学習しておく必要があります。理科の「用語」、「単位」などは正しく理解して使えるようにし、正確な漢字で書けるようにしておきましょう。また、教科書に出てくる実験器具と操作の意味や意義をしっかり理解しておくと良いでしょう。
最終的には過去問演習で、「問題形式」や「解答方法」などに慣れておき、決められた時間内で問題文をしっかり読み取れるようにしておきましょう。
◆社会
2020年四天王寺社会科入試の難易度は例年並みで昨年度と同難度でした。問題形式はや単元は毎年まちまちで、歴史・地理・公民の各分野からの出題は毎年あるものの、その中の出題単元は年によって異なります。
また、問題形式も一昨年は大問6題、昨年は5題、今年は3題と毎年変わっていますが、、小問数は30~35問ほどとあまり変わりません。
どの分野でも全体的にバランス良く学習し、教科書や地図帳、資料集などを活用して幅広い知識を身につけましょう。語句や用語は正しく書けるように徹底しましょう。
毎年時事問題も出題されているため、国内外の出来事に関して新聞やニュースのチェックもしっかり行うようにしましょう。
※時事ワードについては、6月30日に掲載しました下記ブログの「4.今年ならではの時事ワードを把握しよう」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『2021年中学入試を徹底予測!
【問題】三密を避けて教室に入れるのは最大何人まで?』
7.まとめ~四天王寺合格への道~
今年も1月に中学入試が終わり、例年でしたら4月から一斉に新学年をスタートできるはずでした。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で前代未聞のイレギュラーなスタートとなり、夏休みも例年とは異なる状況となっています。
来年2021年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、それでも通常通り行われると予測して日々準備していく他ありません。
すべての生徒が基礎的読解力、数学的思考力、情報活用力を習得し、文理分断から脱却することを目指し、4つのコースで生徒の能力を引き出す教育を進めている四天王寺学園。医歯薬系や理系はもちろん、東京大学や京都大学など最難関国立大学への進学率も高く、大阪府の女子最難関中学と位置づけられている人気校です。
小学生が自分1人だけで難関中学の受験に取り組むのはたいへんだと思いますから、親御さまもぜひいっしょにサポートしてあげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。