2020年の中学入試から、今回は洛星中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2021年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.洛星中学校入試の特徴
2.2020年の入試データ
3.大手塾別合格者数
4.科目別成績データ
5.2020年度入試からみる科目別の傾向と対策
6.まとめ~洛星中学校合格への道~
1.洛星中学校入試の特徴
洛星中学校の入試は統一入試日の初日に前期入試、しばらく空いて6日目に後期入試があります。他の最難関校と違い2回チャンスがあるわけですが、後期試験には灘や甲陽など統一入試日からの前半戦で合格を勝ち取れていない最難関受験者が殺到しますので、かなりレベルの高い狭き門となります。
募集人数も前期が180名に対し後期は45名ですから、洛星中学を第一志望に考えている受験生はもちろん前期試験を受験します。そこで、今回は主に前期入試を中心に振り返ります。
洛星中の受験方法は4教科型(国語・算数・理科・社会)か3教科型(国語・算数・理科)を選択して出願します。出願後の変更はできません。
試験時間と配点は国語と算数が各60分で120点、理科と社会は各50分で100点の計440点満点で判定します。3教科型は合計点340点満点を440点満点に換算して判定します。
今年は特に前期の社会の受験者平均点が78.8点と8割近くあり、平易だったため社会が苦手でなければ4教科型受験が有利だったと言えるでしょう。
2.2020年の入試データ
|
募集人員 |
志望者数 |
受験者数 |
合格者数 |
前期日程 |
180 |
468(-2) |
448(-10) |
264(+4) |
後期日程 |
45 |
282(-7) |
253(-12) |
60(+2) |
※( )内は昨年比
今年の洛星中学校入試は志願者数、受験者数共に昨年より微減し、実質倍率も1.70倍と近年ではやや低めでした。
3教科型受験と4教科型受験を比べると、3教科型は1.83倍、4教科型は1.67倍と今年も4教科型が有利となりました。
ちなみに、後期入試の実質倍率もここ数年では低かったとはいえ4.22倍とやはり狭き門となりました。
3.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の洛星中学校合格者数は多い順に下記の通りでした。
(人)
馬渕教室 |
浜学園 |
成基学園 |
日能研 |
希学園 |
99 |
84 |
51 |
35 |
22 |
京進 |
能開センター |
SAPIX |
第一ゼミナール |
|
18 |
9 |
3 |
2 |
|
今年は浜学園が人数を減らし、馬渕教室が大きく人数を増やしたことにより、馬渕教室が合格者数トップとなりました。
京都に強い成基学園がやはり合格者を多く出していることと、京進という京都の進学塾から18名(昨年は25名)と多く合格者を出していることなどが特徴的です。
4.科目別成績データ
洛星中学校受験者の各教科の平均点と最高点、最低点を表したものが下記の表です。
(点)
前期/後期 |
受験者平均 |
最高点 |
合格最低点 |
国 語 |
66.8/75.5 |
101/101 |
49/58 |
算 数 |
78.3/54.0 |
120/120 |
54/38 |
理 科 |
64.3/51.3 |
98/78 |
44/46 |
社 会 |
78.8/52.3 |
100/73 |
58/38 |
(※国語、算数は各120点、理科、社会は各100点の440点満点)
洛星中学校は合格者平均点を公表していないので、他校のような合格者平均との差が分かりませんが、前述した通り今年は特に前期の社会の受験者平均点が78.8点と平易だったので、社会が得意な生徒にとっては前期日程で4教科型受験をした方が有利だったと言えるでしょう。
一方、後期試験では国語以外は大きく受験者平均点が下がっているので、かなり難度の高い試験だったことが推察されます。
5.2020年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の洛星中学校入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
洛星中学校2020年の国語入試は、例年通り長い物語文1題と漢字の書き取り10問という2題構成で、昨年に比べるとやや易化しました。
今年の物語文は芥川龍之介の『トロッコ』で比較的読みやすい文章でしたが、近年はやや古い文体で小学生には読みにくい物語文が出題される傾向にあります。普段から名作と呼ばれるような文章を読んで慣れておくと良いでしょう。
記述は主人公の心情読解に関する出題が多く、今年も字数指定のない記述が5問出題されました。日ごろから解答欄の大きさ(行数)を見て的確な字数で答える練習をしておかないと、なかなか本番で手を動かすのは難しいかもしれません。過去問などでしっかり対策しておきましょう。
◆算数
2020年の洛星中学校算数入試は昨年より易化し、ここ数年の算数はやや易化傾向にあります。
今年も受験者平均が78.3点と約65%ですので、ケアレスミスが命取りになる高得点勝負の試験でした。洛星は解き方を書かせる問題がないので、いくら解き方があっていても計算ミスをして最終の解答が不正解では点数がもらえません。正確な計算力、作業力が求められる試験となります。
図形と速さの問題は例年出題されていますので、しっかりとした対策が必要です。数年連続して出題のあった図形の移動の問題は、今年度は出題されませんでした。
ちなみに、今年の後期試験は受験者平均点が54.0点と45%ですので、昨年に比べ大きく難化、例年と比較してもたいへん難しい試験となりました。
※ケアレスミス対策については、下記の2020年3月11日に掲載しました当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
2020年の中学校理科入試は昨年よりはやや易化したとは言え、例年に比べると難易度の高い試験でした。
物理・化学・生物・地学から各1題ずつ出題されましたが、今年の特徴は計算問題の割合が増加したことです。昨年度入試で計算問題が50%以上と大幅に増えたのですが、今年はさらに多く出題されました。しかし、さほど難解な計算問題はありませんので、求められるのは正確な計算力です。
もう一つの注意点は毎年問題文が長いことで、これも洛星の理科入試の特徴と言えます。つまり、単なる理科の知識だけでなく国語力、読解力も必要となります。過去問の演習を徹底しておきましょう。
◆社会
洛星中学校社会科入試は昨年に比べ受験者平均点が10点以上上がり、78.8点と大幅に易化しました。小問数は今年も70問とやや多めでしたが、頭を悩ますような時間がかかる問題は少なかったと思われます。
今年は文章記述の問題が大幅に減少し、用語記述や正誤問題が増加しました。単に用語を覚えるだけでなく、その背景や因果関係を説明できるようにしておきたいところです。
時事問題も毎年出題があるので、日々新聞やニュースなどに気を配り、今年話題となったワードを説明できるようにしておくほうがいいでしょう。
※時事ワードについては、6月30日に掲載しました下記ブログの「4.今年ならではの時事ワードを把握しよう」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『2021年中学入試を徹底予測!
【問題】三密を避けて教室に入れるのは最大何人まで?』
6.まとめ~洛星中学校合格への道~
今年も1月に中学入試が終わり、例年でしたら4月から一斉に新学年をスタートできるはずでした。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で前代未聞のイレギュラーなスタートとなり、夏休みも2学期のスタートも例年とは異なる状況となりました。
来春2021年の入試がどうなるかは誰にも予測できませんが、それでも通常通り行われると予測して日々準備していく他ありません。
洛星中学校は「キリスト教カトリック精神に基づく“全人教育”」を目標に、生徒の自主性を重んじた授業やクラブ活動、学校行事、宗教行事など「心と身体のバランスのとれた人間を育てる」教育を行っています。中高一貫ならではの特色ある教育や進路指導で高い進学実績がある、京都を代表する中高一貫の男子校です。
小学生が自分1人だけで難関中学の受験に取り組むのはたいへんです。ぜひ親御さまもいっしょにサポートしてあげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。