中学入試までラスト2~3ヵ月の間にやるべきことや注意点、また併願校選びの落とし穴、学校を休ませた方がいいのかなど、勉強以外の本格的なラストスパートの過ごし方について詳しくご紹介します!
CONTENTS:
1. 直前期の受験生の精神状態は?
2. 試験会場の下見
3. 受験直前期、学校は休ませる?それとも通学させる?
4. 併願校選びで注意したい6つのこと!
5. 併願校が決まったら
6. 前受け(お試し)受験について~メリットとデメリット
7. 保護者が気をつけるべきことは?
1.直前期の受験生の精神状態は?
入試まで残り2ヵ月ともなると、受験生は否応なしに緊張し始めます。よく「うちの子はぜんぜん緊張感がなくて、のんびりしていて困る」と言われる親御さまがいらっしゃいます。しかし、のんびりしているように見えても、実は内心かなり緊張していたりします。それを親には見せたくないだけということがほとんどです。
子どもも「今から緊張しても仕方がない。最後は自分自身を信じて、今まで頑張ってきた成果を発揮するしかない」ということは頭ではわかっているのですが、だんだんと受験日が近づいてくるとそれもなかなか難しいものです。
塾や模試の会場も、これまでとは違ったピリピリとした緊張感に、周りのライバルたちもなんだか自分より賢そうに見えて焦りを感じます。実際は他の受験生もみな同じで、自分もそう見られていることには気がつきません。
最後までいかに落ち着いて試験に臨めるかが勝負を左右します。これから入試本番まで、なるべくリラックスしてこれまで培った学習の成果を思う存分発揮することがとても大事です。
それでは受験生や保護者はこの時期をどう過ごすのが良いのでしょうか。
2.試験会場の下見
受験校の試験会場にまだ一度も足を運んでいないのであれば、この時期に下見をしておきましょう。当日の交通機関など行き方を確認するだけでなく、本番で緊張しないためでもあります。
初めてその学校に行くと、今まで通っていた小学校とは違う立派な校舎に圧倒されたり、その雰囲気にのまれてしまったり、初めて見る光景に緊張してしまうことがよくあります。
学校の校舎を一度見ておくことで、より落ち着いて試験を受けることができるというメリットもありますから、時間の許す限り一度は下見をしておくことをおすすめします。
ただし、練習のために遠方で受ける前受け(お試し)受験にはその必要はないでしょう。
3.受験直前期、学校は休ませる?それとも通学させる?
毎年この時期になると、学校について「うちの子は何日くらい休んだらいいでしょうか」などと学校を休ませることに関する質問を受けることがよくあります。
決まった答えはありません。本人の希望や学校の環境、クラスの雰囲気などにもよるでしょう。感染症などのウイルスをもらってきてはたいへんだと学校を休ませ、自宅で勉強をする受験生も多く出てきますし、3学期は受験が終わるまで1日も学校に行かなかったり、長い場合はまるまる2ヵ月ほど学校に行かなかったりする受験生もいます。
しかし、中学校によっては合否に関わるか否かは別として、欠席日数をチェックする学校もありますから、注意する必要があります。
2021年度入試ではコロナの影響で欠席日数はどこの学校でもあまり考慮されなかったと言われていますが、今年はどうなっているか受験校の確認をしておいた方がいいでしょう。
また、塾などによっては、学校を休むことを推奨し、朝から塾で勉強する環境を作っている所もあるようです。
学校を休んで塾で勉強をすることについて、ここでは肯定も否定もすることはないのですが、一つだけ気をつけておかなくてはいけないことがあります。
学校を休むことによって、変な後ろめたさや不安を感じるようでしたら、せっかく学校を休んでも勉強が進まないどころか気持ちだけが不安になり逆効果です。本人が学校に行った方が心の安定が得られるのでしたら、感染症対策をしっかりして普通に学校に行った方がいいでしょう。
以前、当ブログでも述べましたが、今までいいリズムで生活できているのであれば、受験前だからとそのリズムを変える必要はありません。
大切なことは、受験生本人がどうしたいかです。子どもは学校に行きたいのに親は学校を休んで塾で勉強させたいというご家庭もあれば、逆に子どもは学校を休んで塾に行きたいのに、親が小学校の最終学年なのだから休ませたくないというご家庭もあります。
学校を休むことで不安を覚える子どももいれば、休まないで通学することで他の受験生から遅れをとると不安になる子どももいます。その学校や塾の環境、雰囲気にもよりますので、よくよく親子で話し合って決めるようにしてください。どのような選択をするにせよ、お子さまにとって後悔のない選択をしてほしいと思います。
4.併願校選びで注意したい6つのこと!
10月にもなると、そろそろ第一志望校が確定し、併願校を考える時期でもあります。中学受験では早いところになると、11月から願書提出となりますから、あまりのんびりもしていられません。
第一志望校の事ばかり考えていて併願校をなおざりにしていると、いざ併願校を受験しようと思ったときに、考えていた学校と第一志望校の受験日時が重なっていたり、午前と午後で同日に受験できると考えていた学校が想定していたより遠くて試験に間に合わないことがわかったりと、もっとちゃんと併願校を考えておくべきだったと後悔する受験生が毎年います。併願校選びも一筋縄ではいきません。
第2志望など併願校のことをあまり考えていなかった(知らなかった)ために陥りやすい落とし穴や注意点は以下の6つです。
① 統一日初日など1日目に第一志望校を受験し、安直に第一志望校のやや下くらいの偏差値の学校を併願校として考えていたら、その学校の後期受験(B日程)では上位難関校を第一志望校にしている生徒の併願校にもなっており、思った以上にレベルの高い戦いとなる。
② 偏差値だけで決めてしまうと、各科目の配点などが第一志望校とは違い、思ったほどの点数が見込めない。
③ 受験日時が第一志望校と重なったり、時間は午前と午後で分かれていても距離的に離れていて午後の試験に間に合わなかったりする。
④ 実は宗教色が濃い学校で家庭の考えとは合わない。
⑤ 入りたい部活動が第一志望校にはあったが、併願校にはない。
⑥ 実は自分の家から通うには思った以上に遠かったり交通の便が不便だったり、また通学路が薄暗かったり繁華街を通ったりなど通学に不安やストレスを感じる学校だった。
以上の6点を考慮した上で、効果的な併願校の受け方も併せて考えましょう。第一志望校を先に受験し、後でランクを落とした押さえ(すべり止め)としての受験校を決めるのか。先に押さえの学校で合格を勝ち取って安心感を得てから第一志望に挑戦するのか、本人の性格なども見極めた上で総合的に決めましょう。ご家庭で考えるのが難しいようなら、塾や家庭教師の先生など、受験を知り尽くしたプロに相談した方がいいでしょう。
5.併願校が決まったら
併願校が決まりましたら、前回のブログでもお伝えしましたが、時間の許す限り受験日までに併願校の過去問を最低1回は演習しておきましょう。思った以上に難しかったり、試験時間が短かったり、出題単元に偏りがあったりなど、その学校ならではの特徴があります。第一志望校しか視野に入れてなかったため、併願校の各教科の配点が第一志望校とは全く違い、戸惑う場合もあります。
理科が得意で得点源なのに、その併願校は受験教科が国語と算数だけなどということもあります。それらを確認することによって、もしかしたら考えていた学校が併願校としてふさわしくないという判断になるかもしれません。併願校選びは偏差値や日程だけでなく、教科や配点、過去問を見て入試問題と本人の相性も確認しておきましょう。
6.前受け(お試し)受験について~メリットとデメリット
来春2022年の近畿圏の中学受験統一受験日初日は、年明け1月15日(土)ですが、岡山県の学校などいわゆる「前受け(お試し)受験」は、早ければ今年の年末、12月から始まります。
先にも述べましたが、早い学校の出願は11月中になります。まだ先の話とうかうかしているとあっという間に時間が過ぎ、気がついた時には出願が締め切られてしまったということになりかねません。前受け受験を考えている受験生は出願期間に遅れないようくれぐれもご注意ください。
そもそも「前受け(お試し)受験は必要か」という親御さまからの質問もよく受けます。前受け受験に関しては考え方が二分し、ご家庭によってもさまざまです。前受け受験の主なメリット、デメリットは以下の通りですので、ご参考にしていただければと思います。
◆前受け(お試し)受験のメリット◆
●場慣れや練習になる
第一志望校受験の前に、受験独特の緊張感や雰囲気を味わっておくというのも大事なことです。いちばん初めに受験する試験はどうしても緊張してしまうものです。そういう意味で場慣れや練習のために、さほど力を入れなくてもいいと思える学校を最初に受験しておくという受験生は多いでしょう。
●安心感が得られる。
1つでも合格をもらうと自信や励みになり、気持ちもラクになります。「失敗したらどうしよう」とネガティブに考えてしまうような性格なら、最初にレベル的に余裕のある学校を受験させて合格証を持たせてあげた方が安心でしょう。
◆前受け(お試し)受験のデメリット◆
●遠方まで受験させることのリスク
たいてい前受け(お試し)受験の学校は第一志望校の前に練習する意味合いで受験することが多いと思います。残念ながらその学校しか合格しなかった場合、遠方でも寮に入ったり、転校したりしてでもその学校に行くつもりでしたら何の問題もありません。
しかし、単なる「練習」としてだけの受験で、結果がどうであれその学校には絶対に行くつもりはないという場合は、わざわざ遠方まで受験に行く必要はないという考えも一方にあります。感染症などのリスクがないとは言えませんし、その時間を第一志望校のための勉強時間に充てることもできます。練習で風邪をひいて、本番まで引きずってしまっては本末転倒です。
●却って不安になる場合も
合格を1つでも勝ち取って安心感を得ようと、かなりレベルを落とした学校を受験したつもりが、まさかの不合格ということも実際にあります。その場合のショックは計り知れません。もっとも、それで目が覚めて、後がないと却って気合いが入るお子さまももちろんいます。しかし、気落ちしてしまい「もうダメだ」とやる気を失ってしまう場合もあるでしょう。そこからモチベーションを上げるのは親御さまもたいへんご苦労されることになると思われます。
以上のように考え方は人それぞれですが、塾などに相談すると1校でも多くの合格実績が欲しいので、受験するように勧められることがほとんどです。これらはご家庭の事情や環境、本人の性格などにもよりますし、上記のメリット、デメリットを踏まえた上で、ご家庭でよく話し合って決めていただきたいと思います。
7.保護者が気をつけるべきことは?
ラスト2ヵ月のこのいちばん大事な時期に、親御さまは何をしてあげたらいいのでしょうか。また、やってはいけないことは何でしょうか。
◆親がやってはいけないこと◆
●無意味なプレッシャーをかけない
この時期の受験生は冒頭でもお伝えしたように、たいへんなプレッシャーを感じ、とても緊張しています。日に日に緊張感が増してきているにもかかわらず、子どもが飄々としているように見えて親がイライラしてしまい、「もうすぐ大事な入試なのに、なんでそんな飄々としていられるの。もう少し緊張感をもって」と緊張感を強要するようなことを言ってしまいがちです。
平常心で受験できるに越したことはありません。子供の緊張感をほぐすようなことならともかく、逆に緊張感を増長させるような言動は慎みましょう!
●本人の前でダラダラしない
受験生が観たいテレビもやりたいゲームも我慢しているのに、親の方がゲームやスマホで遊んでいたり、休日だからとゴロゴロダラダラしたりしているのではやる気をなくしてしまいます。
少なくともこの時期に受験生の前ではスマホやダラダラは控えるようにしましょう。
◆親がするべきこと◆
●笑顔で見守る
何度もお伝えしていますが、親が勉強に関してできることはほとんどありません。この時期に「勉強しなさい」や「早くやりなさい」などといったガミガミ文句は逆効果。親にできることはやさしい笑顔と温かい見守りだけです。
どんな状況でも親が明るくやさしく支えてくれているのだという安心感を与えるがいちばんです。
●健康と生活の管理
この時期の受験生は心身ともに無理をしがちです。あまり生活のリズムが狂わないように、それとなく管理してあげる必要があります。
また、栄養バランスもとても大事です。食事面と睡眠の管理だけは本人1人では難しいので、親御さまがしっかりサポートしてあげてくださいね。
●受験が終わるまで襟を正した生活を
中学受験は親子の受験とも言われています。スマホやゲーム、ダラダラは少なくとも子どもの前ではしないようにお伝えしましたが、効果的なのは子どもが勉強している横で親も何か一生懸命やっていることです。
資格試験の勉強でもいいですし、読書でも料理でもいいでしょう。親も勉強している、何か一生懸命やっているという姿は必ず子どもに伝染します。「親もがんばっているんだな。自分もがんばろう」という気持ちになりますから、ぜひ試してみてください。
時間は止まってくれません。泣いても笑ってもあと2ヵ月!悔いのないように、ラストを有意義にお過ごしください。もし少しでも不安を感じたら、受験のプロにご相談くださいね!
ラストスパートをより有利に!
保護者の疑問にお答えし、不安を解消する