朝日小学生新聞 2016/1/10
分かったのに解けない!?
子どもが塾から帰ってきて、「今日の授業はよく分かった!」と言っていたのに、いざ宿題をしてみるとほとんど解けない...。すかさず「塾で何を聞いてきたの!」と、お母さん。
そんなやりとりは、多くのご家庭でお馴染の光景ではないでしょうか。
先生の仰った内容は分かったのに、いざ自分でやってみるとできない。これはどういう事なのでしょうか。
それは、"分かる"にも段階があるという事です。
"先生の話を聞いて何とか分かる"という段階から、"先生の話はもちろんの事、問題の本質や解き方の筋道まで分かる"という段階まで。
私はこの"分かる"を、"簡単に思えるか?"に置き換えると 、もう少し子どもの理解度が見えてくるのではないかと思っています。
子どもは、自分が簡単だと思える問題は当然ながらスラスラ解けます。しかし、難しいと思う問題は解けない、もしくは解くまでに時間がかかります。
そこで、子どもにいかにその問題が簡単と思わせるかが、理解へのカギになってきます。教える側の力量により、子どもがその問題を簡単と思うか否か左右されますので、私は指導する際に、その点をことさら意識します。
これに関してご家庭でできる事としては、簡単だと思えるまでとにかく類似問題の数をこなす、という事です。
難しい問題1問を20分も30分もかけて解くよりも、少し簡単に思える問題を5問解く方が、意外に頭にしっかり残り、力となるものです。
同時に子どもにとっては負担が軽く、楽しく感じられる事でしょう。もちろん解き方だけを覚えてしまって、できた"つもり"になってしまうのには注意が必要ですが。
このようにして徐々に簡単な問題の難易度を引き上げていけば、いつしか応用問題にまで達していることになるのです。
子どもが「分かった」というのを、問題が解けないからといって否定せず、「じゃあ次は、"分かった"が"できる"ようになるまで練習しよう。」と言ってあげてください。
自分で解けるようになることが、本当の"分かる"なのです。
算数科 前田敏孝