2022年の中学入試から、今回は医学部進学率も高い大阪府の男女共学の進学校、高槻中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2023年の対策等について徹底解説いたします!
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CONTENTS:
1.高槻中入試の特徴
2.2022年の入試データ
3.高槻中志望者の併願校受験日程パターン
4.大手塾別合格者数
5.科目別成績データ
6.2022年度入試からみる科目別の傾向と対策
7.まとめ~高槻中合格への道~
1.高槻中入試の特徴
高槻中の入試は、統一入試日初日の午前中に「A日程入試」または「英語選択型入試」、2日目の午後に「B日程入試」が行われ、2回受験するチャンスがあります。
日程は昨年と同じですが、募集人員の男女比や理科と社会の試験時間などは昨年度から変更されました。詳細は次の通りです。
◆A日程入試
募集人員:男子100名、女子80名、計180名
(※昨年度まで男子120名、女子60名)
試験概要: A日程入試は4教科型受験(国語・算数・理科・社会)または3教科型受験(国語・算数・理科)のどちらかを選択します。試験時間と配点は国語と算数が各60分で120点、理科と社会は各40分で80点の計400点満点(昨年度までは45分でしたので、5分の短縮となりました)で、評価点は以下の通りです。判定に3教科型、4教科型の区別はありません。
<4教科型> 評価点=下記のうち最も高得点の点数
・国語・算数・理科・社会の合計点
・国語・算数・理科の合計点×1.25
・国語・算数・社会の合計点×1.25
<3教科型> 評価点
・国語・算数・理科の合計点×1.25
◆B日程入試
募集人員:男子60名、女子30名、計90名(※昨年度から変更はありません)
試験概要: B日程入試は国語・算数・理科の3教科のみで、時間と配点はA 日程と同様の320点満点で判定されます。
◆英語選択型入試
募集人員: 募集人員若干名と書かれておりますが、毎年10名程度の合格者を出しています。
試験概要: 国語・算数・英語(筆記)・英語(リスニング)の4教科で、時間と配点は国語と算数が各60分で120点と同じで、英語の筆記が40分の100点、英語のリスニングが30分の60点の計400点満点で評価されます。英語選択型で受験する国語と算数はA日程入試と同じ試験となります。
2.2022年の入試データ
(前年比)<人>
募集人員 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
英語選択型 |
若干 | 37(+3) | 37(+6) | 15(+1) | 2.5倍(+0.3) |
A日程男子 | 100 | 351(+4) | 323(+13) | 120(-23) | 2.7倍(+0.5) |
A日程女子 | 80 | 226(+2) | 216(-1) | 124(+29) | 1.7倍(-0.6) |
B日程男子 | 60 | 863(+42) | 714(+35) | 339(-34) | 2.1倍(-0.1) |
B日程女子 | 30 | 397(-35) | 299(-57) | 97(+6) | 3.1倍(-0.8) |
高槻中A日程の男子は、昨年受験者数が大きく減少しましたが、今年は少し戻ってきました。しかし、昨年より募集人数が20名減ったことにより、合格者数も大きく減りましたので、実質倍率としては昨年より大きく上がることになり、狭き門となりました。
A日程の女子は昨年に比べ受験者数は変わっていないのですが、募集人数が20名増加しましたので、合格者数も大きく増加。実質倍率は大きく下がることになり、男子とは逆に広き門となりました。
B日程は男女とも募集人数に変更はなかったのですが、女子の受験者が昨年に比べ大きく減少したため、女子の実質倍率は昨年に比べ大きく下がりましたが、それでも3倍を超える高い倍率となり、変わらぬ人気校であることがわかります。
3.高槻中志望者の併願校受験日程パターン
高槻中を第一志望に考えている受験生の併願パターンは、統一受験日前に前受けとして、愛光・岡山白陵・岡山などを受験し、統一受験日初日午前の高槻A日程に臨みます。その日の午後は帝塚山・雲雀丘・金蘭千里などや、男子なら明星や東山なども併願校になります。
A日程の合格発表は翌日の10時ですので、2日目の午前までは受験が続きます。2日目の午前の併願校は帝塚山・立命館・金蘭千里・雲雀丘、女子なら同志社女子・京都女子・甲南女子などとなります。
午前の試験が終わった時点で高槻A日程の合否の確認はできますので、合格していれば当然これで終了です。もし不合格なら午後の高槻B日程を受験することになります。
3日目は帝塚山・同志社香里・男子なら清風などを受験します。B日程の合格発表は4日目の午前中ですので、4日目も大阪桐蔭・開明・関西学院、男子なら東山など受験した受験生もいました。5日目以降なら大教大附属池田などが併願校となります。
前受(お試し受験) | 1日目(1/15) | 2日目(1/16) | 3日目(1/17) |
・愛光学園(愛媛) ・岡山白陵(岡山) ・岡山(岡山) |
<午前> ・高槻A(大阪) <午後> ・帝塚山(奈良) ・雲雀丘学園(兵庫) ・金蘭千里(大阪) ・明星(大阪) ・東山(京都) |
<午前> ・帝塚山(奈良) ・立命館(京都) ・金蘭千里(大阪) ・雲雀丘学園(兵庫) ・同志社女子(京都) ・京都女子(京都) ・甲南女子(兵庫) <午後> ・高槻B(大阪) |
・帝塚山(奈良) ・同志社香里(大阪) ・清風(大阪) 【4日目以降(1/18~)】 ・大阪桐蔭(大阪) ・開明(大阪) ・関西学院(兵庫) ・東山(京都) ・大教大附属池田(大阪) |
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の高槻中合格者数は多い順に下記の通りでした。
浜学園 | 日能研 | 馬渕教室 | 希学園 | 能開センター | 成基学園 |
220(+15) | 106(±0) | 105(-19) | 88(-9) | 72(+29) | 49(+14) |
進学館 | SAPIX | 京進 | 第一ゼミナール | 久保塾 | 若松塾 |
47(+9) | 25(-3) | 9(±0) | 5(-6) | 2(+2) | 2(+1) |
昨年大きく高槻の合格者数が減少した浜学園がまた合格者数を戻し、2位の日能研に100名以上の差をつけました。
2位と3位は僅差ですが昨年と入れ替わりました。5位の能開センターは今年最も増加幅が大きく大躍進しました。
来年も浜学園の一位は揺るぎないと思いますが、2位から5位くらいまではどのような変動があるのか、能開センターがさらなる躍進を見せるのか、今年合格者数が減少した馬渕教室や希学園の巻き返しがあるのかなど注目です。
5.科目別成績データ
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無料体験授業お申し込み高槻中合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
<点>(前年比)
科目 | 受験者平均 | 合格者平均 | 合格者平均との差 |
国語 (A入試・男子) | 78.3(+1.0) | 87.9(+3.1) | 9.6(+2.1) |
国語 (A入試・女子) | 90.5(+3.6) | 95.1(+2.7) | 4.6(-0.9) |
算数 (A入試・男子) | 76.2(+22.5) | 92.2(+24.7) | 16.0(+2.2) |
算数 (A入試・女子) | 81.8(+16.9) | 95.5(+11.8) | 13.7(-5.1) |
理科 (A入試・男子) | 56.3(+0.9) | 62.2(-0.3) | 5.9(+1.2) |
理科 (A入試・女子) | 59.7(+0.3) | 64.6(-2.4) | 4.9(-2.7) |
社会 (A入試・男子) | 50.3(-1.0) | 54.3(-0.7) | 4.0(+0.3) |
社会 (A入試・女子) | 54.2(-1.4) | 57.5(-2.8) | 3.3(-1.4) |
合計 (A入試・男子) | 265.9 | 304.4 | 38.5 |
合計 (A入試・女子) | 292.3 | 320.4 | 28.1 |
科目 | 受験者平均 | 合格者平均 | 合格者平均との差 |
国語 (B入試・男子) | 87.5(+10.4) | 95.3(+8.8) | 7.8(-1.6) |
国語 (B入試・女子) | 95.2(+13.9) | 101.4(+6.7) | 6.2(-7.2) |
算数 (B入試・男子) | 51.4(-26.6) | 67.1(-27.4) | 15.7(-0.8) |
算数 (B入試・女子) | 47.0(-25.3) | 66.4(-24.6) | 19.4(+0.7) |
理科 (B入試・男子) | 57.1(-0.2) | 62.1(-2.0) | 5.0(-1.8) |
理科 (B入試・女子) | 55.1(+0.6) | 62.4(-0.2) | 7.3(-0.8) |
合計 (B入試・男子) | 196.0 | 224.4 | 28.4 |
合計 (B入試・女子) | 197.3 | 230.0 | 32.7 |
科目 | 受験者平均 | 合格者平均 | 合格者平均との差 |
国語 (英語選択型入試) | 74.8 | 82.5 | 7.7 |
算数 (英語選択型入試) | 69.2 | 91.7 | 22.5 |
英語 (英語選択型入試) | 124.7 | 131.8 | 7.1 |
合計 (英語選択型入試) | 268.7 | 306.1 | 37.4 |
(※全入試、国語、算数は各120点、理科、社会は各80点、英語160点)
昨年2021年のA日程入試は、一昨年に比べやや易化しましたが、今年の入試ではさらに大きく易化しました。上の表でもわかるように、特に算数では昨年に比べたいへん易化したことがわかります。
逆にB日程を見ると国語では大きく易化しましたが、算数はたいへん難化したことがわかります。
今年から女子の募集人数が増えたとはいえ、男子の方が募集人数が多く、上の表の通り特に女子の高槻受験者にとっては非常にハイレベルな算数力と国語力が求められる試験となっています。
6.2022年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の高槻中A日程入試を中心に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
・難易度
高槻中2022年の国語入試は、A日程は昨年よりやや易化、B日程では昨年大きく難化しましたので、昨年と比べると大きく易化しました。
・出題構成
60分120点満点の試験で、大問3題構成。大問1と大問2が長文読解、大問3が漢字の書き取り問題です。
大問1と大問2の長文読解は、今年も例年通り論説文と物語文でした。ただし、昨年は論説文と随筆が出題されました。
記述解答が数問あり、今年は70字以内での記述というのが最も長く、30字以内という短い字数指定のものまでありました。
・合否のポイント
今年から男子の募集人数が20名減り、A日程における男子の受験者平均点と合格者平均点の差が9.6点と大きく差がついています。
通常、差が出るのは算数ですが、特に男子受験者にとっては国語力も合否に大きく影響することがわかります。長文も短文も記述解答があるので、しっかりと記述する力と短くまとめる力と両方必要になります。しっかり訓練しておくべきでしょう。
今年は例年に比べ、選択問題がやや多かったのですが、多くは5択で最後一つに絞り切るのは簡単ではありません。消去法だけでなく、しっかりと根拠をもって選択できるようにしておきましょう。
◆算数
・難易度
ここ2~3年の高槻中の算数入試は、受験者平均点が得点率50%を下回る難しい試験でしたが、今年は受験者平均点が得点率65%を上回り、合格者平均点に至っては得点率約78%と大きく易化しました。最近の過去問に慣れていた受験者にとっては解き進めやすい試験になったと思います。
・出題構成
60分120点満点の試験で、問題用紙は冊子形式7ページ構成。時間のわりに問題数が多くもないので、じっくりと解くことができますが、それだけにケアレスミスの許されない試験となりました。
基本的には解答欄には解答だけですが、最後の2問だけ解き方も必要となります。解き方もしっかり書けるように練習しておきましょう。また、今年は作図解答もありました。例年、数論・平面図形・立体図形・速さの単元は頻出です。
・合否のポイント
今年は大きく易化したので来年度はまた難化するのか、今年度の難度が継続されるのかはわかりません。したがって、来年度は一概に「6割取れば十分」や「7割は必要」とは言い難いです。
どちらにしても、120点満点を目指すような試験ではないと思われます。問題の難易度を見極め、問題の取捨選択を正確に行いどのような難易度の試験でも対応できるように準備しておきましょう。
※解答のみを求める試験ではケアレスミスが命取りになります。ケアレスミス対策については、下記の2020年3月11日に掲載しました当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
・難易度
高槻中2022年の理科入試は、試験時間や問題数は昨年度とは違いますが、難易度に大きな変化はありませんでした。
・出題構成
今年は40分80点満点の試験となりました。昨年までは45分80点満点でしたので5分短縮されました。問題用紙はこれまでと同様に冊子形式の22ページ構成。ただ、問題数は昨年より大きく減りました。
問題構成は昨年までは、物理・化学の分野から各2題と生物・地学の分野から各1題と総合問題1題の大問7題構成でしたが、今年は物理・化学・生物・地学の各分野から1題ずつの大問4題構成で、出題順序は例年通り物理・化学・生物・地学の順でした。
・合否のポイント
高槻中の理科の問題用紙は22ページの冊子形式で、今年は問題数が減ったとはいえボリュームを感じますが、難易度は特別高くないので落ち着いて解き進めるようにしましょう。
ただし、40分という短い時間で、減ったとは言いつつも小問数38問を解き進めなければいけません。やはりスピードが要求されます。今年は計算問題が減りましたが、今後も難度の高い計算問題が出題されることも想定して準備しておきましょう。
◆社会
・難易度
高槻中2022年の社会科入試は、昨年に比べやや難化しましたが、今年度は概ね例年並みの難易度と言えるでしょう。
・出題構成
40分80点満点試験で、問題用紙は冊子形式の21ページ構成。理科同様に昨年より試験時間が5分短縮されました。
出題は歴史・地理・公民の各分野から出題されますが、例年、歴史と地理の割合が多く公民分野は少なめとやや偏った出題分野となります。
解答欄は例年、用語記述と記号選択が半分ずつくらいで、20字程度の短文記述が1題となっています。記述は1題ですが例年小問数は50問ほど出題されます。
・合否のポイント
問題量が多いわりに時間が40分と短いので、やはりスピーディーな解答と読解力が求められます。また用語の解答は漢字指定も多いので、日ごろから漢字で正確に書けるようにしておきましょう。
7.まとめ~高槻中合格への道~
今年の中学受験は昨年に続き、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた入試となりました。来年2023年の入試もどうなるかは誰にも予測できませんが、これだけははっきり言えます。どのような状況下でも慌てずに受験できるよう、今からしっかりと準備をしていきましょう。
高槻中学校は2014年に大阪医科大学と法人合併しましたので、大阪医科大学との交流が深く、医学部を志す生徒も多い男女共学の進学校です。ハイレベルな英語カリキュラムや「メタ学習」など、「卓越した語学力や国際的な視野を持って、世界を舞台に活躍できる次世代のリーダーを育成すること」を使命と考える教育を行っています。
一昨年に創立80周年を迎え、「学びの森」と称される立派な図書館の入った新校舎も建てられ、人気の高い大阪府の名門校です。
小学生が自分1人で難関校の受験勉強するのはとてもたいへんだと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。
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